トミーさんの井戸掘り勉強塾

[マチャアキJAPAN、2011ネパール、2012ザンジバル、2015カンボジア][2013/Dash島]テレビ出演

井戸掘りの 「イドセン」

井戸掘り30年、個人職人の井戸屋さんです。 時代と共に井戸掘りの機械は随分変わりました。 小さな機械で井戸を掘る昔ながらの井戸屋はほとんど姿を消しました。 このブログより、井戸掘りの理屈を皆さんに提供していきたいと思います。 「自分で井戸が掘りたい」「井戸について知りたい」など、井戸についてご質問のメッセージを頂ければ詳しくお答えいたします。 個人職人の井戸屋さん「イドセン」http://www.idosen.sakura.ne.jp/idosen/

災害時に井戸水提供を呼びかける

2013年04月26日 | 日記
全国の多くの市町村が、災害時に個人の井戸の提供を求めています。

指定された井戸には維持費として助成金を支払う所もあるようです。

また、災害井戸のある家の地図を配布してるところもあります。

こんな表示を見たことありますか?

とある地域の玄関先にかけてありました。

でも、実際に災害井戸というものの少し使いづらい気分がしませんか?

いくら市町村が災害用にしていると言っても他所の家

昔から知っている近所の家なら抵抗もないかもしれませんが、

仲の悪い家や付き合いのない家の井戸は何となく嫌な気分になるかも・・・

やっぱり災害用の防災井戸は、公園や公民館などの公共の場がいいですね。

ところが、そう言った公共の場に防災井戸ってあまり見ませんよね。

なんで公的機関が積極的に取り組まないのか疑問です。

地域の公園などに手押し井戸があれば災害時は役に立つはずです。

消火栓は結局水道だから断水の可能性が有り、

井戸であっても、モーターで汲み上げるのは停電すればダメ。

だからこそ、手押しの井戸が一番役立つと思います。

公的機関が先頭に立ち取り組んでこそ、民間に協力を求めるべきと

私はそう思います。


では(o・・o)/



災害には手押し井戸が一番

2013年04月25日 | 日記
今日は名古屋の福祉施設で井戸を掘ってきました。

現場に着いたら・・・「え!」???

機械は充分置ける広さって言われたけど、こんな狭い場所なの?

おまけに三角スペースで、かつ通路が無い・・・冗談でしょ((((;゜Д゜))))

幸いにも30分で倉庫に戻れるところだったので小型機を取りに・・・



まあ、この自作の機械でも掘れない事はないので持ってきました。

1m位まではガラが混じる埋め土だったけど、

全体には砂層が続く地層です。

水位は3mにあるけど、透水性のよい8mまで掘りました。

作業時間は、3時間ほどで完成。



砂が細かくて密なため、ちょっと手押しのピストンが重く、

水の出も少なめだったが、汲み上げ開始20分で水量も多くなった。

井戸は汲み上げれば汲み上げるほど水の通しが良くなり生きてくる

私の仕事はここまでで終わり。

後は、左官屋さんがレンガでも積んでカッコよくなることでしょう。

災害時の為に手押し井戸・・・備えあれば憂いなしですね(^_-)-☆


では(o・・o)/


防災井戸の意味をを考えよう

2013年04月21日 | 日記
災害が発生したとき、電気、ガス、水道が麻痺することがあります。

供給されるものは絶対とは言えません。

その中でも、水というものが一番困るのではないでしょうか?

東北の震災被災者の方も、井戸は絶対に必要と言っていました。

災害時でも、手押し井戸は電気も要らず水を出すことができます。

通常の手押し井戸は浅井戸となっています。

鉄分などを多く含んだ水が出る場合もあります。

しかし、仮に水質の悪い水であっても災害時には助かるはずです。

みなさんも一緒に考えてみましょう。

集落にある消火栓は、結局水道なのですよね。

災害時には出なくなるということは往々考えられます。

防火用水も敷地面積が必要となり、増やすのも大変ですね。

ても、集落の中の所々に手押し井戸があったらどんなに助かるでしょうか?

仮に飲用水とならなくても、トイレを流す水や、

汚れたものを洗う水には使えますよね。

沸かして身体を拭いたりする事も出来ると思います。

そういった事に使用出来れば、給水車が来た時に、

「雑水は井戸水で補ってください」と言うことができ、

給水車から汲んで行く1人当たりの水の量が減り、

給水車1台で多くの人が水を供給されることにもなるわけです。

このように普段は使わない水であっても、災害時には助かるのです。

阪神大震災を覚えていますか?

家屋は倒壊し火の手があがり、水も空になった消防車が行く手を阻まれ、

そんな状況が、上空からの映像でニュースで映し出されました。

あの時、地上では何が起こっていたのか?

私はニュースでこんなインタビューを見ました。

崩れた隣の家の中にお婆さんがいる。

助け出したくても、崩れた家の柱や壁に塞がれて助け出すことができない。

みんなで一生懸命救出していたが火の手が迫りどうすることもできなかった。

「お婆ちゃん、ごめんな」

助け出すこともできず、お婆ちゃんは火の中に包み込まれた。

お婆ちゃんも可愛そうだが、隣の奥さんもその後辛い人生を送っているだろう。

その時、手押し井戸があれば火の手は防げたかもしれない。

鉄分が多くても、黄ばんでいても、臭くても、

きっとその時「水!」「水!」と叫び声が飛び交っていたのだろう。

防災井戸の必要性とは何なのか?

供給される綺麗な水道水を普通と考えるのは、ある意味「幸せボケ」

人々は、つい半世紀前までそんな井戸水で生活していたのです。

街には下水が通り、小さな水路は子供が落ちるといって蓋がされ、

地表に水の流れるところも減りました。

実は、こう言った整備事業が逆に災害時には悪影響になることもあります。

「住み良い街づくり」

その言葉に思いもかけない盲点があるのではないでしょうか?

本当に住み良い街づくりには、災害を想定した本当の意味をつくってもらいたいです。


では(o・・o)/


井戸水の水質検査とは?

2013年04月20日 | 日記
これは本当に多い質問になります。

「飲める井戸水?」

こんな質問をするのは人間だけでしょうね。

井戸水で魚を飼ってもたいていは死にません。

でも、水道水では魚は死んでしまいますよね。

魚が死ぬ水道水は安全で、魚が死なない井戸水をなぜ気にするのですか?

今日は、この疑問について考えてみましょう。

水道水の検査項目は50項目あります。

安全な水を供給するのって厳しい検査基準があるんですね。

水道水は川の水を浄水して供給しているのが多いのですが、

井戸水を浄水して供給している地域も多いのです。

川の水であろうが、井戸水であろうが、元々は雨水なのです。

雨水は川を流れ、工場の排水や畑の農薬などが流れ込んで来ることもあるでしょう。

地下に浸透した雨水は、土壌の様々な物質に触れることもあるでしょう。

ここで問題になるのが有害物質です。

砒素、六価クロム、硫黄、その他、人体に悪影響を及ぼす物質はNGです。

また、酸やアルカリが強すぎてもダメです。

そして、大腸菌などの部類もダメですね。

通常、保健所の井戸水検査は代表的な10項目でやることが多いです。

全ての項目を検査するのは大変お金がかかりますからね。

そこで、検査に関わる内容なのですが、

検査基準って、人体に直接悪影響を与えるものばかりではないのです。

有害物質は絶対混入していてはいけません。

ここで、多くの皆さんが気にする項目を挙げてみましょう。

一番多いのが鉄分です。

鉄分の水質基準は、0.3mg以下/L です。

この基準より鉄分が多いと有害なのか?

人間の体には鉄分は必要であるにも拘らず、体内で作ることが出来ません。

男性成人の場合、1日当たり10mgの鉄分を取り入れないといけないそうです。

女性の場合は、月経などのため男性よりも必要となるのです。

鉄分といえば「ヘモグロビン」と連想する人も多いと思います。

「鉄骨飲料」なんて言うのも流行りましたよね。

つまり、人間には水質基準の数十倍の鉄分が必要なのです。

では、なぜ水質基準に 0.3mg以下/Lの鉄分の項目があるのか?

実は、飲用井戸水検査の10項目に直接「鉄分」という項目はないのです。

「味」という項目で鉄分を調べているのです。

あまり飲み過ぎると気分が悪くなり嘔吐する場合がある。

結局、直接人体に害があるということではないのです。

よほどの鉄分が入っていれば臭くて飲めません。

でも、臭はあるが飲めないこともない程度なら害は無いと言えるでしょう。

マンガンが多いと水が黒くなると言うのも「濁り」の検査項目なのです。

このように、味や濁りなども検査基準になっています。

しかし、不味いとか濁っているとか人間以外の動物はほとんど気にしませんね。

それから、一般細菌も有害ではないのです。

ものすごく多ければ別ですが、そんなに気にすることはないでしょう。

WHOの井戸水の水質検査でも一般細菌という項目はありません。

日本って本当に基準が厳しいですね。

と言うより素晴らしいと言ったほうが良いかも・・・笑

話は変わりますが、最近焼肉屋さんでレバ刺しって無いですよね。

以前問題となって、焼肉屋さんで生肉を出さない店が増えました。

井戸水を飲むことに抵抗のある人に言います。

「刺身は好きですか?」「生牡蠣は好きですか?」

「食事の前に石鹸で綺麗に手を洗いますか?」

「歯ブラシは使った後、熱湯で殺菌しますか?」

私たちが生活する中で、どれだけの細菌を体内に入れているか知ってますか?

刺身や野菜など、加熱しない食物が無菌なんてありえません。

トイレから手も洗わずに出てきて食事をする人が

「井戸水飲んでも大丈夫ですか?」って・・・


上記に書いたように、有害物質はダメです。

ただ、鉄分が多いとか一般細菌が多いとかは直接人体に影響はありません。

(と、私は言いたいですが絶対無いとも言えません)

が、非常時の場合なら沸かして飲めばイイと思いますよ。

安全な水道水だって、人間が死なない程度の有害な塩素を使用しているのですから。

人間には生きていくために免疫だって必要ですよね。

無菌で生きることのほうが、よっぽど怖いです。

清潔も程々に考えなきゃ強い体になれませんね。


つい半世紀前まで人々は井戸水で生活して生きてきました。

塩素で殺菌なんて本当に最近の話なんですよ。

海外では、未だに川の水や濁った水を飲んでいる国も多いのです。

こんなに良い地下水に恵まれた日本で井戸水を怖がるのは変です。

何度も言うように、鉄分や一般細菌は過剰に気にする必要はありません。


但し、これは私の思いであり、皆さんにすすめるわけではありません。

「飲んでも大丈夫です」と責任も持ちません。

災害が起こった時、どおしてもやむを得ない時、

そんな時のために皆さんの井戸水への考え方を改めていただきたいです。


では(o・・o)/

海外井戸掘り支援のボランティア

2013年04月17日 | 日記
アフリカを始め世界の中では水事情に苦しむ国は本当に多いです。

マチャアキJAPANなどテレビで時々海外支援番組の様子が映し出されますね。

建設、農業、教育などいろんな支援の中に井戸掘りというものがあります。

海外支援の窓口といえばJICAが有名です。

日本の伝統井戸掘り「上総掘り」で、今も世界各地で井戸を掘っています。

誰もが困った人を助けたいという気持ちはあると思います。

「いつか自分も・・・」と、夢見ることもあるでしょう。


私のところに時々メールが届きます。

「いくら位で海外の井戸は掘れますか?」

「会社を辞めたので2年くらい井戸掘りボランティアに行きたいのですが」

「海外の友人が水に困っているので行ってもらえませんか」

その他、いろんな内容のメールが届きます。


この事について言っておきたいのですが、

ボランティアで井戸を掘ると言えば歓迎されると思いがちですが、

海外への井戸掘りって、思いつきで簡単に出来るものではありません。

その国にそれぞれの手続きもあるでしょうし、

しっかりとした目的で計画をたて申請する必要があります。

また、ボランティアと言えば直ぐに採用されるわけでもありません。

確かに無償で働きに行く気持ちは素晴らしいです。

労働に対して賃金は要らないといってもタダではありません。

海外渡航費、現地での宿泊、食事など誰が出費するのですか?

海外で井戸1本掘るのって、大きなお金がかかるものです。

井戸掘りの技術もなく「海外で井戸掘りに行きたい」と言っても、

理想と現実は大きく違います。

現地の人が喜ぶ感動的なシーンを思いを浮かべ、

自分もその気分を味わいたいという先走る気持ちだけでは支援はできません。

少なくとも井戸掘りのすべての工程や完成までの計画が必要です。

日本国内には、たくさんの海外支援団体がありますので、

そう言ったところが人員を募集していたら応募してみては如何でしょうか?

JICAなどでも募集はしていますが、

審査に合格しないと行くことは出来ません。

個人的に短期間で井戸掘りを覚え、個人的に海外支援しに行くなんて、

無謀な考えであるとしか言えません。

我々井戸職人でも海外支援というものは難しいと思います。

海外支援の井戸掘りを目指すのであれば、まず国内でやってみては如何でしょうか?

井戸掘りの技術をしっかりと身に付け、順序よくその窓口をくぐり、

そして海外支援の一員として世界に羽ばたいて戴きたいと思います。

では(o・・o)/