遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

風は収まる

2020-05-07 23:50:45 | BIONEWS

北風が吹き荒れる1日でした。明日は高気圧がどっぷり覆って風は収まるでしょう。天気はもちろん明日も晴れっ!
gooニュース
7日全国的に晴れ夜はフラワームーンも

明日8日(金)の天気 全国的に晴天
一日の気温差20℃以上の所も(ウェザーニュース)

寒気が入ってきた後なんで、朝晩は寒いやろな。

D614Gだそうです。
新型ウイルスに数百の変異、影響はいまだ不明=英米研究 (BBC)
14種の新型コロナ変異株をすでに特定 感染力が強いのは「欧州株」(SPUTNIK日本)
アミノ酸表記のDはアスパラギン酸、Gはグリシン。D614Gというのは614番目のアスパラギン酸がグリシンに変わったよーってことです。アスパラギン酸をコードするコドンは"GAU"か"GAC"、このどっちでも真ん中のAがGに変わればグリシンをコードする配列になります。グリシンはタンパク質構造をグッと大きく変えるようなアミノ酸ではないですが、アスパラギン酸が失われるのでその部位のマイナス電荷がなくなることになります。
ウイルスゲノムはRNAでできてて、これを複製する酵素はRNA依存RNA合成酵素。この酵素の複製の正確性は低くてちょくちょく間違う。そんなわけでウイルスは変異しやすい。ここら辺はインフルエンザで人類は痛い目に遭ってます。逆にこうやってウイルスは宿主ヒトの免疫から逃げるんで、毎年感染を繰り返せるわけですな。
新型コロナウイルスは、発症までに2週間くらいかけててすぐに発症しない、しかも症状出さないままいつの間にかなかったことにしちゃったりするし、発症して回復後にいなくなったと思っても再び発症したりする。多分こいつは、抗体によっててってー的に殲滅される前に大人しく体内で和平を結べるんじゃないかな。ほんで、チャンスがあればまた勃発する。中東問題みたいや。てなわけで、ワクチンとか集団免疫は望み薄だと思う。まあ、できればいいなとは僕も思うけど・・・。
そして、最後の選択肢・・・ウイルスが弱毒化変異して、感染はするが重症化せずにただウイルスは広がるけどどうってことなくなる展開・・・こういうのを「ただの風邪」って言うんやで。今、人がひく「ただの風邪」の4割はコロナ系のウイルスが起こしてるわけでして、こいつらも大昔デビュー当時は人類を苦しめたはずで、後に共存を果たしたのではないかと思います。ウイルスの生存戦略的には、強毒化は宿主であるヒトが死んじゃったり行動できなくなるので乗り物として都合が悪いんで、弱毒化は十分あり得る・・・と思う。ただこのゴールは、人類側になにもやれることがなく、ただひたすら神に祈るだけ。
遺伝解析を生業にしているんで、突然変異とは長年付き合ってきてるんだが、そもそも遺伝子配列が変位したときに起こることって、【変化がない】【機能が弱くなる】【機能が失われる】【遺伝子そのものが完全にぶっ壊れる】【活性が上昇する】【新たな機能を得る】とかがあるんだけど、最後の二つは普通起こらない。こんな変異はとても珍しいんで、見つかればそれで論文が書ける。D614G変異はそういう変異なんかもしれないですね。細胞表面に接着するスパイクタンパク質の変異だそうだから、何かあるとすれば感染力に関わるんだろうな。記事にはまだ明確な機能変化についてはわかっていないと書かれていますから、研究の進展を待ちましょう。

本日の酒:GRAND KIRIN IPL + 立山 特別本醸造


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