音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Brad Mehldau/Introducing Brad Mehldau

2009-08-31 00:06:07 | ジャズ
この人について,どの作品で書こうか迷っていたら結構後回しになった。

brad mehldauを知ったのはJoshua Redmanのmoodswingで、テーマやソロ以外のバッキングで脳天を叩かれたのは初めてでした。それでいて、「そうそう、ピアノはこうやって鳴らさなきゃ、これはきっと正解」などとも思ったのでした。それはもう15年も前のことになってしまいましたが、今でも同じ気持ちです。そして相当のジャズピアニストが影響を受けたと思います。

moodswingでのmehldauは結構話題になったと思います。それから間もなくしてデビュー作が出ました。タワレコへ買いに走り、ビルを出る前にはCDウォークマンにセットして聴きながら家に帰ったと思います。

第一印象は音の良さと曲の作風からか「now he sings,now he sobs」でした。

「聴いたことない曲調、美学」
でもそれ以上に
「聴いたことのないピアノの音、表現力」
そして
「恐ろしく遠くまで捉えている拍の感覚」
というところかと思います。この人は。

当時私は大学のジャズ研に居ましたが、そこに出入りしていた滅多に褒めない音大の先輩は
「ドラッ○でもやってないとこれは、、、」
と怖いことを言っていました。

ピアノは私は超ド素人でしたが、それだけに練習すれば弾けるようになるかもしれないと無謀にもよくそう思っていたものですが、このmehldauは本能的に「これは絶対一生無理」と感じてしまったのでした。それは自分が庶民と再確認して楽になると共に、スターが存在するという現実を目の当りにするという喜びでした。

全体にそれぞれ聴き所が満載なのですが、

1.の7拍子は当時初めて耳にするものだったと思います。ベースのパターンでなんとか付いていけるのですが、mehldauのリズム感覚は頭の中がどうなっているのやら。最近では変拍子は当たり前になってきていますが、この曲が走りでは無いかと。なによりちゃんと歌っているのがすばらしい。変拍子はオマケなんでしょう。おふざけ程度というか。

2.ここでは超速フレーズで歌うmehldauに釘付け。ソロ交換も斬新。

3.聴いたことのない濃密なバラード表現。ピアノという楽器が進化したという錯覚に陥る。

4.聴いたことのない癖のある曲。慣れてくると見たことの無い感情、景色、異文化みたいなものをを知らされる曲。

、、、といた具合に全方位的に凄すぎて革新的な作品でした。しかも今聴いても当時と同じ感覚で聴けます。

ジャズの全盛期をとっくに過ぎた時代に聴き始めたものにとっては、リアルタイムで「更新」の衝撃を味わえたとてもありがたい作品なのです。



お好み度:●●●●● ●●●●●




Brad Mehldau/introducing Brad Mehldau

1. It Might as Well Be Spring
2. Countdown
3. My Romance
4. Angst
5. Young Werther
6. Prelude to a Kiss
7. London Blues
8. From This Moment On
9. Say Goodbye

Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b),Jorge Rossy(ds) (1)~(5)
Brad Mehldau(p), Christian McBride(b),Brian Blade(ds) (6)~(9)

1995年作品


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