音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

John Patitucci Trio/Remembrance

2009-10-05 22:27:54 | ジャズ
なんだかんだでほとんど揃えているPatitucciのリーダー作です。
そろそろいいかなぁなどと思っていたら今回は期待出来そうなメンツです。
というか毎回メンツはなんか惹かれるところがあって買うのですが、、、。

結論、いいですよ。良い。
joe henderson亡き今一番好きなテナーのJoe Lovano。
スコーン、バシャーンと炸裂するいつものBrian Blade。
トリオはやっぱいいですよ。皆が100%出し切っても密度が丁度良い感じだから、旨味がよく味わえるし。
特にテナートリオなんて臭みの出過ぎたトンコツラーメンみたいな男臭さです。最高。

しかしここからいつもの減点方式です。

今回はエレベはそれなりに良さがあるし、アルバムを通しての変化を与えているのでいいです。替え玉で太麺細麺味わう感じです。しかし,奥様のチェロ、トンコツでもチェロですよ。作品の意味というよりは家族写真的に受け取ってしまう自分がいます。スッキリしないんですね。

あと、やっぱりPatitucciの曲は苦手かな。これはどうしょうもない。


しかしあなたのベースは大好きです。他のメンバーも一緒にやってて絶対上がるよね。映像で見てると特に良く分かる。
今後もよろしくお願いします。リーダー作が出たら次もきっと買うでしょう。なんせあなたのベースは最高ですから。




お好み度:●●●●● ●●○○○



John Patitucci Trio/Remembrance

1. Monk/Trane
2. Messaien's Gumbo
3. Sonny Side
4. Meditations
5. Mali
6. Scenes from an Opera
7. Blues for Freddie
8. Safari
9. Joe Hen
10. Play Ball
11. Remembrance (for Michael Brecker)

John Patitucci-acoustic bass,6-strings electric bass,6-strings electric piccolo bass
Joe Lovano-tenor saxophone,alto clarinet
Brian Blade-drums

Sachi Patitucci-cello
Rogerio Boccato-percussion


2009年作品

Stefano Bollani/Stone In The Water

2009-10-03 22:50:33 | ジャズ
今まである程度の一流どころのミュージシャンのライブは一通り見に行ったと思います。

しかし一番純粋に乗れたのはこのStefano Bollaniでした。


二年前のブルーノート東京でのピアノトリオでした。「I'm in the mood for love」が出た頃なのでレパートリーも同じだったと思います。ピアノの真ん前を陣取ったんですが、あまり見ず、集中して聴いてました。

今までは「本物だー」とか言いながら動きをみてはしゃいでいたライブがほとんどでしたが、Bollaniに関しては強烈なスウィングに引き込まれたのでした。スウィングってベタですが、本当にそんな感じです。

また、ピアノソロの後半でタオルを使った激しいプレイがあり(それでも良く歌っていましたが)、ソロが終わり次第ピアノを丁寧に磨き始めたのには大受けでした。ベースソロが終わるとベースまで磨いてました。

自分がこのライブで受けたBollaniの印象は「陽気なkeith」。資質には性格も大きく関係していると思いますが、keithがお茶目な性格だったらこんなかなと思ったのでした。全然違うという気もしますが、アドリブの純度が高そうに感じられるところが自分にそう思わせたのかな、と思っています。



で、このECM盤です。過去に出ている「Gleda: Songs from Scandinavia」とかと同じメンツということで期待は大きいです。Venus盤とは打って変わって制御された演奏が素晴らしくて、brad mehldauの「songs」と同じような統一した世界観を出していました。Venus盤も好きですが、「Gleda」のほうが彼独自の美学が分かりやすく出ていると思います。

今回の「Stone In The Water」ですが、このメンツでECMなんである程度予想通りではあります。でもすぐに「gleda」の世界観が蘇ってきました。暗闇をトツトツと,時にははしゃいで照らすbollaniとそれに寄り添うJesper BodilsenとMorten Lund。このトリオの音、といういうものを確実に持っている事自体にちょっと感動です。

輪郭は今までよりぼんやりしていて、「gleda」では白夜的な景色を感じさせたのですが、ここではまだそういう道しるべ的な親切なものは見えてきません。が、わかりません。今後聴こえ方が変わってくるかもしれません。

輪郭がぼんやりした分、トリオとしてはさらに有機的に絡んでいて、たまにぞっとするほど静かですが劇的なインタープレイが聴けるからです。これは狙えるもんじゃありません。まさにインタープレイです。その時その時にしか見えない道を3者がちゃんと見ているという感じです。

全容が見えないくせに、何かありそうと思える盤はたまに出ますが、これは自分を引き上げてくれる時ですね。ジャズにはこういうありがたい瞬間がたくさんありますよね。



、、、しかしbollani、お茶目にピアノを磨いていた陽気な彼がこういう演奏もするんだからまだまだ分かったなんて言えませんね。
ライブはまた行きたいです。


お好み度:●●●●● ●●●○○




Stefano Bollani/Stone In The Water



1. Dom de iludir
2. Orvieto
3. Edith
4. Brigas nunca mais
5. Il cervello del pavone
6. Un sasso nello stagno
7. Improvisation 13 en la mineur
8. Asuda
9. Joker in the village

Stefano Bollani-piano
Jesper Bodilsen-bass
Morten Lund-drums


2009年作品

The Monterey Quartet

2009-10-02 00:23:38 | ジャズ
旨!音が旨い!空間が旨い!
そしてなにやら漠然と「極まっている」感。

、、、しかしやや気難しい。

この盤はこんな第一印象。それからいったん距離を置いてから急に合いたくなったら今日はこんな印象に。


GonzaloはCharlie HadenのLand of the Sunで聴いて以来大好きで、自分の中で頂点の一人。ただ速いだけだと思っていたらとんでもなくて、歌うし音は奥行き感あるしフレーズはオリジナリティーあるし。欠点なんてありゃしない。

Chris Potterはそれほど聴いてこなくて、John Patitucciの作品でBreckerかと思ったら誰だお前は、というのが最初の印象。
無名(私が無知なんですね)でこんなのがゴロゴロいるのかとちょっと戸惑ったものでした。

Eric Harlandもクレジット買いしたことは無いし,気に留めたことは特にないです。

Dave Hollandはいろいろありますが、特に意識したのはJoe HendersonのSo Near, So Farです(これはいつか改めて必ず書きます)。John Patitucciと並んで一番好きなベーシストですね。


というわけでワンホーンでのGonzaloのアプローチに関心が強かった感じでの買いでしたが、うーん、、、みんなすごい。
特に誰がって、挙げていくといつの間にか全員。強いていえばDave Hollandが置いていかれるくらいか。ある意味自然。

Gonzaloは要所で速弾きしながらも、基本ジェントル、インテリジェンス、そして何それってリズムとフレーズ。
こういうフレーズやリズムはとても3次元的。

こうやって書くとPotterもある意味似ている気がして、音を立体というか彫刻的に捉えているような感覚も両者に共通している気がする。音の空間に投げ込み斬り込むセンスがすんばらしい。

Eric Harland。すごい。この人まで上の二人とおんなじ。誰に似てるんだろう。音から受ける気持ち良さはVinnie Colaiutaっぽい。密、ソリッド、しなやか。でももっと空間が綺麗。もういいってならない。


それとはじめは曲が複雑すぎて、こんなにだまし絵みたいなキメとか作ってアドリブ上どういう意味があるんだろうとか、譜面で作り過ぎ,遊び過ぎじゃないかって思って一旦放置していたんですが、全体の音の旨さが欲しくてチョイチョイ聴いているうちにパッと開けました。

これはアドリブのための曲であり,アレンジでありキメでした。

こう思えたのは自分にとって大きな進歩です。
なぜなら難解なアレンジやキメ、拍数なんかはやり尽くしたジャズ界での産物みたいに感じていた部分がどこかにあったからです。
でもこの作品を聴いていると、そんなわだかまりはスッと消化されていきます。

こういうコンポジションはただただ奇をてらったものではなくて、彼らの彫刻的な感覚を活かすための題材では。
逆にこういう曲をちゃんと演れるのは彼らのようなごく一部のプロなのかもとも思いました。

音が旨いのはオーディオ的にも大きく関係していると思いますが、楽器が鳴りまくっているのは60年代のレコードでも何故か分かるものです。この盤の気持ち良さは明らかに鳴っているもの。これはすごい作品でした。まだまだ聴きたいし、もっと良くなるでしょう。


お好み度:●●●●● ●●●●○



The Monterey Quartet/Live at the 2007 Jazz Festival

1. Treachery (7:46)
2. Minatour (11:36)
3. Otra Mirada (5:16)
4. Step To It (10:11)
5. Maiden (10:34)
6. 50 (9:59)
7. Veil Of Tears (10:48)
8. Spoken Introduction (:38)
9. Ask My Why (11:20)


Dave Holland-bass
Gonzalo Rubalcaba-piano
Chris Potter-tenor sax
Eric Harland-drums

2009年作品(2007年録音)