音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Michael Formanek / Small Places

2014-01-16 22:05:02 | 現代音楽


当時ジャケ買いしました。ECMはこれやっても大外れはしないのです。
なんでこんな写真に惹かれるのかわかりませんが、個人的に名作扱い。
ちょっと忘れられないジャケです。

中身はドライ。Craig Tabornが居たらそうなりそうな温度感です。
ハズレではないのだけれどその先への感動が無い。
そういう扱いでした。

しかし2年ほどして何故か今頃効いてきたのです。
「ドライ」で済ませてはいけなかった。
ちゃんとストーリーが見えてきたのです。
ストーリーが見えてきたということはどこかに行ける音楽ということ。

よく聴けば曲が秀逸。ミニマルとまではいきませんが、非常に建築的。
そして動的な曲と静的な曲のバランスが絶妙。

書けば書くほど普通のECMという感じですが、僕は勝手にこの観覧車のある無人の遊園地に潜入しているのです。ジャケに手を借りているかもしれませんが、ちゃんと相互リンクしていると感じます。そこでここにある曲に導かれながら遊園地内で様々な何かを目にします。音楽のまんま、よくわからない何らかの感情です。喜怒哀楽では語れない感情、しかしそれこそ実際の心に迫るものです。


今更ですが、ECMの音楽を聴く目的はここか。
やっぱりハズレないから、今後も構わずジャケ買いアリだな。




Michael Formanek / Small Places
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1.Small Places
2.Pong
3.Parting Ways
4.Rising Tensions And Awesome Light
5.Slightly Off Axis
6.Seeds And Birdman
7.Wobble And Spill
8.Soft Reality


Tim Berne - alto saxophone
Craig Taborn - piano
Michael Formanek - double bass
Gerald Cleaver - drums, shruti box

2011年作品

Brad Mehldau・Kevin Hays・Patrick Zimmerli/Modern Music

2011-10-04 21:26:59 | 現代音楽



2台のピアノによるひとつの音楽。その辺りを楽しめないといけない作品だと思います。

寄り沿ったりちょっとだけずれたり散ったり、非常に繊細なドットが音でしか描けない絵を映し出してくれる。具体的な何かというよりはグラフィック的な面白さ。
かと思えばスローな曲ではクラシック的な情緒を発揮。


Mehldauの音は良く聴いているからかしっかりと個性が発揮されていることを感じるが、Kevin Haysの方は対等に弾いているはずなのに表に出てこない。でもここにおいてはそれが即ち最高の仕事の結果という気もします。きちっとひとつの音楽として立ち上ってくるのでそれを無心で聴いています。
Patrick Zimmerliという人の影響力は残念ながらよくわかりませんが、出てくる音を聴けばこの二人を活かしきっているのかなとも思います。


肝心の2台であることの意味。
音数が少ない「4」でもしっかりと感じ取れます。
無段階で色が変化していくような「5」はもちろん。
ある程度譜面にされていたとしてもこの2人の一体感は意外であり、驚きです。
競わない、ぶつからない。代わりになにやら大きな「豊かさ」。


車で聴いたときは良くわかりませんでしたが、深夜にヘッドフォンで聴いたときは情報量が10倍にもなったような気がしました。
近くで、もしくは潜って聴かないともったいないですね。

個性的な音楽ですが、ムリヤリなところはなくすんなりと入ってきます。気付くと何回も1曲目に戻っているのでした。





Brad Mehldau・Kevin Hays・Patrick Zimmerli/Modern Music
●●●●● ●●●●○


1. Crazy Quilt (Patrick Zimmerli)
2. Unrequited (Brad Mehldau)
3. Generatrix (Patrick Zimmerli)
4. Celtic Folk Melody (Patrick Zimmerli)
5. Excerpt from Music for 18 Musicians (Steve Reich, arr. Patrick Zimmerli)
6. Lonely Woman (Ornette Coleman, arr. Patrick Zimmerli)
7. Modern Music (Patrick Zimmerli)
8. Elegia (Kevin Hays)
9. Excerpt from String Quartet No. 5 (Philip Glass, arr. Patrick Zimmerli)



Brad Mehldau & Kevin Hays-piano
Produced by Patrick Zimmerli


2011年作品




メルヘンチック街道+Julian Lage/Sounding Point

2010-11-20 00:15:25 | 現代音楽


久々の電車通勤の帰りの駅。
クリスマスが近づいてきてもともとメルヘンチックな駅がさらにその方向へ。平和だなぁ。





初めて聴いたときは「なんだ、ジャズじゃないじゃん」で終わっていた盤がウォークマンのシャッフルで当った。若手ギタリストJulian Lageのデビュー作。



これが帰りの駅からの徒歩20分、最高に良い音楽だった。






室内楽みたいな感じですが、考える間もなくただただ気持ちの良い音楽でした。
アコースティックを主体としたギターの音も良いです。

作品を云々批判する前にこっちも流動的なことを忘れてはいけないですね。

でもどうして化けた?

少なくとも街並のなかで聴くのが合うようです。
この音楽が街の中の人々の楽しげな身振り手振りのように感じたんだと思います。





えーと、、、わかってはいたんですがついに仕事が忙しくなってきました。
ペースダウンになると思われますが、オンオフ切り替えにこれからもやっていきたいです。

が、ひとまず食欲の秋、終了です。










Anne Sofie Von Otter・Brad Mehldau/Love Songs

2010-11-11 20:30:02 | 現代音楽




クラッシック系のヴォーカリストAnne Sofie Von OtterとジャズピアノストのBrad Mehldauのデュオ。

2枚組ですがそれぞれ風合いが異なる。
同じ編成のデュオなのでそう変わらないはずですが、結構違う。
そしてそれが凄く良いバランス。

どちらだけでは物足りなさを覚えただろうと思うのですが、それを互いに補っているのです。

DISK1はクラシック特有の緊張感ある歌唱でMehldau作の曲もいわゆるジャズとは違うものなので、自分にはちょっとキツめのトリップ感。
DISK2は慣れ親しんだ曲や旋律が出てくるのでホッと一息。しかしお互いがそれぞれ歩み寄った感じで、何か出し切ってない感じがしてくるから不思議。
この二人でなくてもいいのでは?この二人ならでは音楽は?と思いここで改めてDISK1を聴いてみる。

改めて聴くDISK1はまた印象が違う。お互いのらしさはこっちが本流じゃないかと思える。
Mehldauの曲はそういえばいつもの作風だと思えるし、彼の特異なピアノはもともとこっちが合っている気さえしてしまう。
クラシック系の歌唱を聴き慣れていない自分にとって30分と言う長さも凄く良い。積極的に聴こうと思える。


Anne Sofie Von Otterという人は初めて聴くので何とも言えないが、Mehldauのピアノには良く合うと思う。
DISK2でのヴォーカルは彼女にとって本意なのかどうかはちょっと解らないけど、
Mehldauに関してはDISK1では彼特有の尊厳なピアノと作曲、2ではスルスルと美しい絹の様に歌を紡ぎ出す両方のピアノを味わえるので満足です。

僕はMehldauにはテーマばっかり弾いてもらってても良いと思っているくらいなのであまりソロが無くても平気です(失礼か)。


かといって恐らくこの作品に似たRenee Flemingとのデュオにも手を出してみようかと思えるかというと微妙。
この辺の音楽には免疫のない自分にとっては2枚組で親切に手解きをしてもらってちょうどいいと思うので、
聴き込んでみてこの先変化があったらまた、ということで。

Mehldauにはいろんなジャンルの方と共演してもらって、またいろいろな音楽を教えてもらいたいですね。




お好み度:●●●●● ●●○○○


DISK1
1. It May Not Always Be So
2. We Met At The End Of The Party
3. Child, Child
4. Twilight
5. Because
6. Dreams
7. Did You Never Know?

DISK2
1.Avec Le Temps(leo ferre)
2.Pierre(barbara)
3.Marcie(joni mitchell)
4.Something Good(richard rodgers)
5.Chanson de Maxence(michel Legrand)
6.Chanson des Vieux Amants(jacques Brel)
7.Sakta vi ga Genom Stan(fred e.ahlert)
8.Att Angora en Brygga(lars farnlof)
9.Dis,Quand Reviendras-Tu?(barbara)
10.What Are You Doing the Rest of Your Life?(michel legrand)
11.Calling You,(bob telson)
12.Blackbird(lennon&mccartney)
13.Some Other Time(leonard bernstein)

Anne Sofie Von Otter-vocal
Brad Mehldau-piano



2010年作品