音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Lars Jansson/What's New

2010-11-26 00:19:07 | ジャズ




前々作「Worship Of Self」は今でもかなりのお気に入り、愛するLars Janssonの新作です。ちなみに前作はいまだに未チェック。この人は本当に中古が出ない(中古狙いが「愛する」とか言うな?)。

初のスタンダード集ということですが、いつもある意味スタンダード以上に耳馴染みの良いオリジナルをやっているからそんなに特別な感じは受けない。

それよりうなり声がKeith越えか?
スタンダードということで今更きれいにまとめるのもなんだからこの際好きな曲で暴れてやろうという意図を感じます。

暴れると言ってもそこはJanssonなのであくまでメロディアス。変わったフレーズやトリッキーなリズムに頼ることなく、盤石のタイム感と潤いのある音で歌いまくっています。声まで出しまくって要は気合いで勝負しています。全く問題ない、絶好調です。

しかし、個人的には実の息子(「実の」ってなんだ?)というPaul Svanbergのドラムが聴き進めるに連れて気になってきます。この人の煽りでこのハイテンションJanssonがいるのだと思うのですが、ちょっと平面的すぎるというか、空間をベターッと地べたに近い高さで覆ってしまっている感じ。そしてそこかしのおかずがいちいち効果的でない時に入ってくるというか、そんな印象なのです。ブラシもたくさん登場しますがこれもなんだかどうも、、、、スタイルが古い云々ではなく、私にはあんまり合わないと言うしかないですかね。

しかしながらJanssonのピアノは絶好調です。セッション的な勢いと、逆に単調さを露呈している気がしますが、歌っているのでやっぱりこれはこれで良いかと思います。ただし、ドラムが中盤から気になって来て、うーん、、、これはめずらしくストレスです。なんとも期待していた盤だけにややショック、という作品でした。





お好み度:●●●●● ●○○○○




1. Lover Man
2. The Masquerade Is Over
3. Hilda Smiles
4. What´s New
5. Very Early
6. Beginners Blues
7. Everything Happens To Me
8. Willow Weep For Me
9. Come Rain Or Come Shine
10. Latour



Lars Jansson-piano
Thomas Fonnesbaek-bass
Paul Svanberg-drums



2010年作品




Lizz Wright/Dreaming Wide Awake

2010-11-24 03:40:53 | 洋楽




全体的にどこかで聴いたことがある音楽ではあります。
ゴスペル、フォーク、カントリー、、、ネオアコっぽい場面もある。
際立った特徴やはっきりしたジャンルがあいまいなのですが、まぁ何でもいいですよね。

この作品がすごく良いのでファーストに戻ろうと思ったらあまり好みでなかったのか、なんとitunesに入れた音源を消してしまっておりました。このセカンドとは作風が違った気がします。こちらのほうが随分ポップですかね(でも気になるので今度再収集しよう)。

さてこのアルバムは曲もいいのですが、特に私が気に入っているのはサウンドプロダクションです。ここが良いジャズメン絡みのヴォーカルアルバムって最近多い気がします。

どっしり艶やかなヴォーカルも含めたこれらの音に浸っていると、緩やかでありながら動きのある水や空気の側で過ごしているような気分になれるのです。

たとえばゆっくりヨットのオールで水を掻いているとか、
水車が廻っているのを見ているとか、
稲穂が揺れている音がするだとか。

音の質感が非常に豊かでそれがアコースティック楽器だけではなく、シンセ系の音まですごく豊かです。

生の楽器の音で空気が震えて心に響くというのはなんとなくわかりやすいですが、
電子楽器もまた同様に響くというのは面白い。

シンセ系ってほとんど知らないんですが、手元にあったらいろいろ新たな発見がありそう、
と強く思ってしまいました。これは初めてのこと。

「2」なんて水車のようなアコギを土台にピアノとエレキギターのようなヴァイオリンのような音が泣きながら浮遊していてその美しさは感涙ものです。

「4」のすこし青いオルガンによる土台の味付けや「5」のヴィブラフォン系シンセとビルフリ系ギターの醸す淡くも鮮やかな情景など好みの音世界が続く続く。

音の集まりなのに素晴らしい情景を思い描かせる力がある音楽というのは全く持って不思議です。
すごく良いと感じる音楽にはこのプラスアルファがあることが多いです。

ここで聴かれる音達はひとつひとつが出どころを伺って大切に奏でられ、それらが一丸となって充実した一曲一曲を作っていて、相当愛されて作られた音楽という印象を受けます。この作品に携わったプロデューサーやミュージシャンは毎回こんなものをホイホイっと作れるんでしょうか。きっと当人達の想像を大きく超えて仕上がったんではないかと勝手に想像しています。

それくらい充実したヴォーカルアルバムだと感じています。





お好み度:●●●●● ●●●●○




1. A Taste Of Honey
2. Stop
3. Hit The Ground
4. When I Close My Eyes
5. I'm Confessin'
6. Old Man
7. Wake Up Little Sparrow
8. Chasing Strange
9. Get Together
10. Trouble
11. Dreaming Wide Awake
12. Without You


Lizz Wright-vocals
Chris Bruce-guitar
David Piltch-bass
Earl Harvin-drums
Glenn Patscha-keyboards & backing vocals

Bill Frisell-guitar(1.9.11)
Jeff Haynes-percussion(1.4.9)
Patrick Warren-keyboards(4.8.11.12)
Greg Leisz-guitar(2.6.7.12.13)
Marc Anthony Thompson-harmonica and backing vocals(6)
Toshi Reagon-backing vocals(3.9)



2006年作品





メルヘンチック街道+Julian Lage/Sounding Point

2010-11-20 00:15:25 | 現代音楽


久々の電車通勤の帰りの駅。
クリスマスが近づいてきてもともとメルヘンチックな駅がさらにその方向へ。平和だなぁ。





初めて聴いたときは「なんだ、ジャズじゃないじゃん」で終わっていた盤がウォークマンのシャッフルで当った。若手ギタリストJulian Lageのデビュー作。



これが帰りの駅からの徒歩20分、最高に良い音楽だった。






室内楽みたいな感じですが、考える間もなくただただ気持ちの良い音楽でした。
アコースティックを主体としたギターの音も良いです。

作品を云々批判する前にこっちも流動的なことを忘れてはいけないですね。

でもどうして化けた?

少なくとも街並のなかで聴くのが合うようです。
この音楽が街の中の人々の楽しげな身振り手振りのように感じたんだと思います。





えーと、、、わかってはいたんですがついに仕事が忙しくなってきました。
ペースダウンになると思われますが、オンオフ切り替えにこれからもやっていきたいです。

が、ひとまず食欲の秋、終了です。










Fred Hersch Trio/Live at the Village Vanguard

2010-11-15 20:16:10 | ジャズ




これはすごい。生で見たら死んでしまうかも知れない(少しだけ誇張)。

当時のレギュラートリオでしょうか。Fred Herschのピアノトリオ。
これが意表をついたバタ臭い土臭いトリオですごく面白い。

音もVillage Vanguardということでややモッタリしてるんですが、シンバルがちゃんとクリアに届くしピアノも鳴っているので問題ない。
むしろこのトリオの音楽に合っている気もします。ピアノもちょっとだけ調律の狂ったアップライトみたいな身近な音に感じて臨場感がある。

聴いていてまず感じたのがMonkやEllingtonのトリオみたいだということです。
ピアノの音塊の濁りや外しの感じもそうなんですが、トリオとしての印象が。

それでいていつものバラードになると一気に音が澄み切ってくる。
この辺はMoonbeamsあたりのEvansっぽくもある。

曲ごとの物凄い振れ巾、それぞれにおける表現力、ジャズの歴史を汲み取った跡を感じさせる音楽としての確かな成り立ち。
それでもあくまでHerschの音。

特に最高のMonkへのアプローチを示す「1」、しっかり濃厚にブルージーな「5」、シンプルなイントロのみでうっかり涙腺が緩んでしまった「7」など。
うっかり1曲づつ感想を書きかけてしまいましたが、本当に1曲ごとになぎ倒される思いでした。

「6」が終わった頃はもう完全に圧倒されていたたんですが、それに続く「7」でまだ上がるのかという嬉しい「愕然」。
このバラードにおけるの表現の高まりはもう究極で、弾きまくることなく集中していく様は初期Evans以来に聴くような思いです(これは通勤中に聴いていて、会社に着く直前うっかり帰りたくなってしまってとりあえずコンビニで一休みしました(秘))。


この作品は初めから順に聴いていくのが正解。演奏の大きさと曲ごとのドラマを感じていけると本当に最高。

ジャズの素晴らしい部分がすべて詰まった、ピアノトリオの大名盤だと思います。






お好み度:●●●●● ●●●●●



1. Bemsha Swing
2. At The Close Of The Day
3. Phantom Of The Bopera
4. Endless Stars
5. Swamp Thang
6. Sluttering
7. Some Other Time
8. Days Gone By
9. Miyako / Black Nile
10. I'll Be Seeing You


Fred Hersch-Piano
Drew Gress-Bass
Nasheet Waits-Drums


2004年作品





録museum&録cafe(中村拓志&NAP建築設計事務所)

2010-11-14 00:53:51 | 住宅・建築・家具


栃木県小山市まで行ってきました。
気合いを入れて下の道のみで片道105Km。
中村拓志氏の手がけた小さなMuseum、「録museum&録cafe」という出来たての建築を。

建築模型をみて一目惚れしてしまったのでこれはこの目で見なければ。
住宅クラスの大きさの建築は一番好きだし、何より中に入れるし。

下の道で行ったのは家から小山市までどういう景色で繋がってたどり着くのか、
そして繋がった先でその建築はどういう環境の中で建っているのかという点にも興味があったので(もちろん高速代もばかにならないし)。

さすがになかなかの距離です。ひたすら北へ。
しかしいつも思っていることだが、今回もその寂しさにかられることに。



今の時代、主に郊外の主要部を象るのは「チェーン店」です。
「チェーン店」がどういう配列でそこにあるかで「何駅周辺」とかを認識するのです。

今回は特にひたすら平野。野山があるうちは十分その土地を表しています。
平野を店舗が埋め尽くすとそこはCGで描いた様な「チェーン店」で埋め尽くされます。

そしてそれは手元にある少し古いDVD時代のカーナビの画面と全く同じなのです。
地図の目印に配されるコンビニ、ホームセンター、ガソリンスタンド、、、。
建築とはなんぞや、人知はどこへやら。

これだけ走って人知を詰め込んだであろう作品をみてこの気持ちが晴れなかったらどうしよう。というか、落ちてしまうとそんな世界なんて無いんだろうと思い始めてしまいます。




最後まで住所が入力出来ず、番地は走りながら探そうというところまできて意外と見つからない。とりあえずこの辺のはずというところで停車、突如右手に現れる怪しい塊。





これだ。もう全然違う質感。
場を取り込むもの凄い存在感。

CG鬱は一瞬で吹っ飛びます。

久々に出会えたというこの感じ。良かったという安堵感と興奮。



裏から寄ってみます。



樹木を建物が避けて共存するという建物らしいですが、それよりもシルエットが美しいという印象が勝つ。白い窓周りも美しい!




正面に回ります。
この建物が視界に入るあたりはこの建築で一気に引き上げられる。
人が知的に豊かに暮らしているというメッセージがこの街に出来る。





エントランスに近づきます。



入り口は頭が当たりそうな位低いです。
白いその入り口の向かって左にあるこれまた小さいドアからスタッフのお姉さんが出てきて案内をしてくれました。



入る前にちょっと上を見る。もう圧倒されてしまいます。このフォルム。





ここから先、「中は撮影をお控えください」とのことだったので、カフェでホットチョコレートを頂きながら一休み(かなり美味しかったです)。
館内をグルグル見回して頭に焼き付けました。

案内してくださったウェイトレスさんもこの建物と建築家中村拓志さんを凄く崇拝しているようでした。建築関係の方かもしれませんね。



建築家と言えば非常に突飛な建築を世に出すイメージがあります。
たまにその作品の力が弱いと「自己満足でしょ」、としらけてしまうこともあるのですが、そうならないように、自分の仕事も少しでも可能性を見いだして頑張れるように、良い作品には触れ続けたいです。



今回は既に私個人、今までの作品に強く共感をしている建築家さんでしたが、
期待以上の物を見させて頂きました。改めて建築が担える力の大きさを目の当たりにした思いです。

そして、何がどう良かったかって、よくわかりませんが本能的に揺さぶられた感としかいいようが無い。色々な裏がもちろん取ってある建物ですが、それは知らなくてもあまり関係がない感じ。おこがましいようですが自分が潜在的に見ていた夢を実現してくれた様な感動です。共感するってことはそういうことですよね。ただし、潜在的に見ている物以上の物が目の前に出来上がっていると考えた方が正しいです。そういう幸せはそうは無い。

つまりは、この人ひとりがいなかったら絶対見ることが出来なかった景色が実現されていることに対する感謝。それに尽きます,今回は。



帰りの105kmは穏やかなハイテンションでした。
挙げ句、明日の子供達の誕生日を勝手に切り上げてケーキを買って帰ってしまいました。子供だなぁ、自分も。






録museum&録cafe







Anne Sofie Von Otter・Brad Mehldau/Love Songs

2010-11-11 20:30:02 | 現代音楽




クラッシック系のヴォーカリストAnne Sofie Von OtterとジャズピアノストのBrad Mehldauのデュオ。

2枚組ですがそれぞれ風合いが異なる。
同じ編成のデュオなのでそう変わらないはずですが、結構違う。
そしてそれが凄く良いバランス。

どちらだけでは物足りなさを覚えただろうと思うのですが、それを互いに補っているのです。

DISK1はクラシック特有の緊張感ある歌唱でMehldau作の曲もいわゆるジャズとは違うものなので、自分にはちょっとキツめのトリップ感。
DISK2は慣れ親しんだ曲や旋律が出てくるのでホッと一息。しかしお互いがそれぞれ歩み寄った感じで、何か出し切ってない感じがしてくるから不思議。
この二人でなくてもいいのでは?この二人ならでは音楽は?と思いここで改めてDISK1を聴いてみる。

改めて聴くDISK1はまた印象が違う。お互いのらしさはこっちが本流じゃないかと思える。
Mehldauの曲はそういえばいつもの作風だと思えるし、彼の特異なピアノはもともとこっちが合っている気さえしてしまう。
クラシック系の歌唱を聴き慣れていない自分にとって30分と言う長さも凄く良い。積極的に聴こうと思える。


Anne Sofie Von Otterという人は初めて聴くので何とも言えないが、Mehldauのピアノには良く合うと思う。
DISK2でのヴォーカルは彼女にとって本意なのかどうかはちょっと解らないけど、
Mehldauに関してはDISK1では彼特有の尊厳なピアノと作曲、2ではスルスルと美しい絹の様に歌を紡ぎ出す両方のピアノを味わえるので満足です。

僕はMehldauにはテーマばっかり弾いてもらってても良いと思っているくらいなのであまりソロが無くても平気です(失礼か)。


かといって恐らくこの作品に似たRenee Flemingとのデュオにも手を出してみようかと思えるかというと微妙。
この辺の音楽には免疫のない自分にとっては2枚組で親切に手解きをしてもらってちょうどいいと思うので、
聴き込んでみてこの先変化があったらまた、ということで。

Mehldauにはいろんなジャンルの方と共演してもらって、またいろいろな音楽を教えてもらいたいですね。




お好み度:●●●●● ●●○○○


DISK1
1. It May Not Always Be So
2. We Met At The End Of The Party
3. Child, Child
4. Twilight
5. Because
6. Dreams
7. Did You Never Know?

DISK2
1.Avec Le Temps(leo ferre)
2.Pierre(barbara)
3.Marcie(joni mitchell)
4.Something Good(richard rodgers)
5.Chanson de Maxence(michel Legrand)
6.Chanson des Vieux Amants(jacques Brel)
7.Sakta vi ga Genom Stan(fred e.ahlert)
8.Att Angora en Brygga(lars farnlof)
9.Dis,Quand Reviendras-Tu?(barbara)
10.What Are You Doing the Rest of Your Life?(michel legrand)
11.Calling You,(bob telson)
12.Blackbird(lennon&mccartney)
13.Some Other Time(leonard bernstein)

Anne Sofie Von Otter-vocal
Brad Mehldau-piano



2010年作品





こども対策 無印良品「壁に付けられる家具」

2010-11-10 20:48:07 | 日常
こどもがテーブルの上のものに手が届くようになってきて、PC周辺のもろもろがどうにもならなくなってきた。収納が足りない。しかも家具は床からあるのが普通だから半分は使えない。

そこで今まで何となく目にはしていた無印の「壁に付けられる家具」が浮上。
賃貸に住む者としては派手なことは出来ないが、これなら画鋲程度の穴で付く。





PCに接続が絡むデジカメ、ハンディカム、ウォークマン(2個)、あとPC用のスピーカーが収まってスッキリ。配線はおおよそモニターの裏でまぁまぁ隠れる。







ついでにCD、携帯、財布、車の鍵等今まで下駄箱等にあった物まで入ってかなり満足。
もしかして自分初の自分専用収納コーナーかも(悲)。






ただし下から力を加えると一気に外れる恐れがあるので、箱の上には抑えのピンを打つのが良いと思われる。そのうちここも決壊するんだろうな。その時はもう少し脱怪獣の状態であることを願います。






Chris Potter Quartet/Lift: Live at the Village Vanguard

2010-11-10 00:10:48 | ジャズ




わ、悪ーっ。

出だしから貫禄たっぷりのPotterはいいとして、悪いのはKevin Haysのこと。


この音は何でしょう(そういや誰かがなんとかエレクトリックバンドⅡのライブでもかましていたっけ)。なんでこんな音階が1/10しか付いて来ない様なピコピコ音が悪ーく決まってしまうんでしょうか。ピアノも入ってますがこの頭のピコピコ音で悪乗り方面は決定してしまう。誰かが全裸になって盛り上げちゃう様な確信犯的なバンドなのか。

しかしこれもヘナヘナテナーだったらただの悪ふざけになってしまう。Potterの芯があるから出来る、余裕から生まれる更なる余裕。好循環。


それにしてもPotterってなんでこんなに全てのフレーズに歌があるんでしょうか。意味というか、垂れ流した繋ぎの音というものが感じられない。かなり変な(いや、凄いというのか)ことをしているのに聴きやすいなんて、誰もが目指すところなんでは。


Kevin Haysは今まで聴いた中で一番かっこいい。ピコピコの悪乗り以外にもピアノも随分聴かせてくれる。この方面の音に向かって思い切りがよく力も抜けていると言うか、凄く感覚的にプレーしている様な感じ。それでいてこのバンドの曲をよく消化していてしかも大好きという感じが伝わってくる。Joshuaのデビュー盤ではなんとなく頼りなかったという印象があった人ですが、昔の話なんですね。


Scott Colley、この間のSanchez盤が異常でした。ここでは普通に良いプレイヤー。


Bill Stewartはなんだか久々に聴いたかも(このCDはちょっと前のものだからこれ以降の音は聴いているけど)。繊細さ,鬼のパルスっぷりは控えめに結構荒々しく叩いている印象だけどこのバンドには良い案配。


そして曲やリズム等結構凝ったことしていて、変化にも富んでいるのですが、スタンダードのステラなんて相当変なんですが、印象は「聴きやすい」。


適当やっていても下手すると「何だか凄い」とか、難しい雰囲気だから「知的」とか思わせられる恐れがあるジャズですが、ここでは適当はナシです。わかってて外したりふざけたり吠えたりしている。

文句無く「かっこいい」!



個人的にピアノが一番好きなのでそこを重点的に聴いていることが多いのですが、今回も彼が入ると耳が行ってしまう、Chris Potterは嬉しい例外プレイヤーです。ベースレスの最近のバンドも良いんですが、このカルテットは一番好きかもしれません。バンドの中心でバリバリ吹きつつ、メンバー全員を少し「バカ」にしてまた暴れて欲しいです。





お好み度:●●●●● ●●●●○





1. 7.5
2. What You Wish
3. Stella By Starlight
4. Lift
5. Okinawa
6. Boogie Stop Shuffle Sax Intro
7. Boogie Stop Shuffle


Chris Potter-Tenor Sax
Kevin Hays-Piano & Fender Rhodes
Scott Colley-Bass
Bill Stewart-Drums



2004年作品





スピッツ/とげまる

2010-11-07 08:26:49 | 邦楽




結構前の話ですが志村けんがお茶の間に戻ってきた頃思ったこと。何事も継続することで最終的に人々に認められるようになるということ。継続すること自体の説得力というのを学びました(マジ)。

スピッツ。永遠の少年。微妙な年齢を過ぎて更にファン層を広げている気がします。

私個人、海外の方に「日本のポップス教えて下さい」と言われたらスピッツを勧めると決めている(残念ながら聞かれたことナシ!)。フォークミュージックの延長にあって、もう一歩でみんなのうたになりそうな音楽性はかなりのジャパンオリジナルに感じられるはず。

なにより「ポップス」に対するスタンスが好きです。
ポップスをポップスとして、それ以上のものを乗っけていない感じがいい。ポップスに入り込んで変に熱くなるんではなく、ポップスはポップス、楽しく格好良く親しみやすく、という感じが。音がロックっぽい曲でも精神はポップスかなと思います。

それでいてバンドの軸がしっかりしているし一過性の音にはなっていない。初期の頃からそうですが、可愛い音の割に意思は硬派です。

バンド名も「吠えても所詮飼われている」と皮肉ったものらしいが、かなり粋だと思ってしまう。長いキャリアのはじめからわかってやってるんですかね。この辺りが歳を重ねても破綻しないポイントかもしれませんね。

ところでスピッツを初めて聴いたのは大学でジャズにはまった後です。きっかけはジャズ研の後輩が皆聴いていたところから。それからずっと付かず離れずフォローしてます。この辺はTSUTAYAで借りられるんで買うことはないんですが、偉大なる継続に敬意を表して(大袈裟)スピッツだけは買い続けています。

作品の中身は基本的には今までと変わらずですが何の不満もないです。美声も変わらないなぁ。



お好み度:●●●●● ●●○○○




1. ビギナー
2. 探検隊
3. シロクマ
4. 恋する凡人
5. つぐみ
6. 新月
7. 花の写真
8. 幻のドラゴン
9. TRABANT
10. 聞かせてよ
11. えにし
12. 若葉
13. どんどどん
14. 君は太陽


2010年作品





Fred Hersch/Whirl

2010-11-06 16:30:37 | ジャズ



この気持ちよさを表現する言葉がなかなか見つからない。

Fred Herschは本当に私にとっては特殊解で、Blog関係の方々の記事なくしてここまで聴きこむことはなかったと思う。しかしこの言葉にしにくいなんとかは自分が堀部安嗣の建築でブツクサ言っていたことがそのまま当てはまっていた。

突出した何かというのは見えにくいが、細かいものの積み重ねで何かが成っている。

繊細と思える音を出しながらミスタッチを恐れない荒っぽいプレーも混在。
綺麗に走るフレージングと思えばフッと止まるタイム感。
つまり繊細なのか荒いのか、上手いのか下手なのか判らないのです。

それにしてはこの良さは何だろう。これを朝から晩までリピートしていた日があるんですが、飽きるどころか毎回気持ちいいのです。止める理由が生まれなかったというある意味「神盤」です。

今までHerschはソロばかり聴いてましたが、トリオはトリオでまた別の味があります。このトリオのメンバーはHerschをすごく理解しているんでしょうか。Herschの世界にしっかり寄り添っている印象。

そして生まれている独特のスイング感が「シトッ」としていて良いのです。リズムの間に落とされるタッチの力感もなんというか、何度でも押したくなる感触のスイッチボタンのような、又はナタデココのような食感というか(結局無理やり言葉にするとこのありさま。なんだナタデココって)。

曲もオリジナルはもちろんそれ以外も「シトッ」としている統一感でしょうか。

あとは、もしかしたらいろんなものが解決している様で解決していないかもしれないということ。
ハーモニーやフレーズ、タイム、オリジナル曲(進行が解決してるしてないはまた別問題)の作風も。完結させてない感じ。

判りやすい音波は脳が記憶しやすく、そうなると飽きると聞いたことがあります。
そういう意味ではいろいろなことが単純ではなく、脳が憶えきれない音楽なのかもしれないです。でないと一日中聴けない。

ジャズ自体が記憶しにくいものだと思っていますが、Herschは表面的にはエレガントですがひときわ複雑な内容を擁している気がしてならないです。




お好み度:●●●●● ●●●●○(更新しました)



1. You're My Everything
2. Snow Is Falling...
3. Blue Midnight
4. Skipping
5. Mandevilla
6. When Your Love Has Gone
7. Whirl
8. Sad Poet
9. Mrs. Parker of K.C.
10. Still Here


Fred Hersch-piano
John Hebert-bass
Eric McPherson-drums



2010年作品