音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Fred Hersch Trio/Everybody's Song But My Own

2011-01-25 01:29:24 | ジャズ




まずはFred Hersch復帰後の時期にレコーディングを持ちかけたVenus Recordに感謝。
そしてこの時期本人がどういう状態だったのかは本人にしかわからないところでしょうが、それに応じて作品を作ってくれたHerschに感謝。

どういう取り決めが交わされるのかは知りませんが、今回も基本的にはVenus色に染まった作品になっていると思います。今までのミュージシャンもそうですが、レーベルのカラーは全く揺るぐことがないんですね。それだけに好き嫌いも分かれることが多いレーベルですが、ある意味どういう仕上がりになるか読めるので聴き手は選びやすいと言えると思います。

善し悪しが分かれるのはミュージシャンの素の個性が合っているかそうでないかというところが多いと思います。Fred Herschは合う方だと思っているのですが、すばらしい作品も多いのでなかなかハードルは高いです。


Webで試聴した時点では「Herschの音楽」というより「スタンダードを演奏するジャズのピアノトリオ」になっている感じを受けたことで少し残念な気持ちになっておりました。曲やフォーマットを超えて彼の音楽になっていくような感覚が、例えば同じメンバーでのWhirlにあったものがここでは希薄で、ある種の枠を設けてしまっているような感覚。

聴いていくと実際そういう印象はあるのですが、Herschの音は独自性がありどう聴いても彼の音ですし、John HerbertもEric McPhersonもキメの細かいサポートでこの枠内で集中している印象です。また、美しいルバートで始まる「5」「7」は言葉を失う美しさがあり、しっかりHerschの音楽が表現されていると感じます。

そしてこの音は非常に近くで鳴っているようです。自分がハンマーになったんではないかというくらいの音で、生で聴いてもここまで近くはないのでは。もしかするとこの作品の一番の独自性、Venusらしさというのはこの点かもしれないです。


というのも、アグレッシブに展開する「8」、
その後のソロで暖かく熱のこもった表現の「9」。

この2曲は完全に枠を超えてただただ至福の音。期待以上の音楽。遠く深く持っていかれます。


最後の「10」がケロッと明るいクロ-ジングナンバー風になっている辺りが、エンドロールに浸りたいところでパッと明かりをつけられてしまったような残念な感じに、、、。ここはこのレーベルらしさかも。残念。しかし「8」「9」の流れで完全にもとを取っています。得難いテイクです。




、、それにしても裏ジャケなどで見るHerschは非常に弱々しく見え、この細い体でこの演奏がされているのかと思うと少し信じがたいです。リズムなどはフィジカルも大きく関係してくると思いますが、この人は本当に情念の強さで音が出ていると改めて思ってしまいます。そしてこの作品が録音されたことを再び感謝するのでした。



Fred Hersch Trio/Everybody`s Song But My Own
●●●●● ●●●○○



1. East Of The Sun
2. Shall We Dance
3. I Concentrate On You
4. From This Moment On
5. Two For The Road
6. Invitation
7. The Wind / Moon And Sand
8. Everybody’s Song But My Own
9. In The Wee Small Hours
10. Three Little Words



Fred Hersch-piano
John Herbert-bass
Eric McPherson-drums


2010年録音





Alboran Trio/Meltemi

2011-01-22 21:20:32 | ジャズ






このトリオは全く予備知識がなかったのですが、年始のDisk Unionでの中古漁りで入手しました。似たジャケットでチェックしている作品がたくさんあるのですが、これを機に掘り下げていくことになりそうです(Jan Lundgrenは先日入手)。





この盤、ピアノトリオの特性を活かし切った音が詰まっていて、耳がもう大喜び状態です。

このユニットはECMの音と言われても違和感の無いような世界を作っていますが、若干聴きやすい方向でしょうか。ECMでも聴きやすいといえばMarcin Wasilewski、Christian Wallumrod
、Tord Gustavsenあたりが思い当たりますが彼らに近いものがあります。

非常に美しい旋律を紡いでますがそれが主というほど浅くもなく、冒頭のドラムからして「剥き出しの生音にこだわってます」という宣言に聴こえる。ピアノも弦を指で押さえて鍵盤を叩いたりベースもアルコ弾きをガッツリやっていたりして結構アグレッシブな部分もあるのですが、それでも印象は非常に音楽的で疲れることなく聴かせてくれます。

ユニットとしての成熟の成果なのか、これは相当凄いことだと感じます。この美しくもアグレッシブな音の数々の全てが肯定的に受け取れる、個人的には珍しいケースです。


音質も非常に良いので音楽と共に楽器の響きを丸ごと味わえるようなところもあって、このユニットのみならずACTというレーベルも今更ながら注目していきたいと思っています。

幸いというかなんと言うか、このレーベルの諸作は中古屋でもちょこちょこ見かけたので手に入れやすいと思っているのですが、逆に例えばこの作品の何処が気に入らなくて売ってしまったのかが解らない。それだけ私の好みに合っているということなんだと思うのですが、中古で良い作品に出会うと同時にそんなことを考えてしまいます。有り難いんですけどね。




Alboran Trio/Meltemi
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1.Nic's Road
2.Balkan Air
3.Pianissimo
4.Cinque lunghissimi minuti
5.Duende
6.Hoy es manana?
7.Ho sognato che mi amavi
8.Meltemi
9.Ninna nanna Nic
10.Theme from the movie "Pinocchio"



Paolo Paliaga-piano
Dino Contenti-double bass
Gigi Biolcati-drums



2006年作品





Joe Chindamo Trio/AMERICA!-plays the Paul Simon songbook

2011-01-20 23:18:42 | ジャズ




ピアノトリオによるPaul Simon作品集ということで。
Joe Chindamoは一枚だけ持っていましたが、この企画は当時即飛び付きました。

Simon & Garfunkel時代の曲が多いので先のPaul SimonのソロというよりはSimon & Garfunkelのカバーという感覚です。そしてこれはなかなかの好盤だと思います。


まずJoe Chindamoは間違いなくPaul Simon大好きだろうというのが伝わってくるのが良い。そしてどういうテイストで仕上げていこうかというのが見えていて、おそらく本人にとっても満足な仕上がりだったと思われます。

アレンジがきめ細やかに練られていてキメも多いのですが、しつこすぎずうるさくならず、ひたすら聴きやすい。その分ジャズ的なスリルには欠けると思うのですが、これはこれで良いと思うのです。

テーマだけ凝っていて→ソロに入ったら4ビートになり→それが10分も続き結局いつものジャズと同じ、、、
というパターンはよくありますが、そこからは離れた作品です。スタジオで丁寧に愛情を持ってPaul Simonを楽しく仕上げました、という。そう、丁寧というのが合っています。そして原曲では少し陰りのある彼らの音楽がカラッと明るく表現されています。Brad MehldauもよくPaul Simonを取り上げますが彼とは正反対と言えるでしょうね。


曲はAmericaで始まってAmericaで終わります。やりたい曲はたくさんあっただろうに。一つの作品として綺麗に仕上がるようにアイディアを寝かせていたかどうかはわかりませんが、ジャケットも含めて丁寧に仕上がっており、非常に好意的にこの作品を受け取っています。


ネタはまだまだあるんだから続編も期待したいんですが、さすがにここだけに突っ込んでくることも無いのかな。アコーディオンを使って映画音楽集もやっているみたいだから、幅広く楽しい方向の音楽を追求しているんでしょう。アレンジもそうですが、ピアノの音がもう明るいので。こういう音は続けては聴かないのですが必ずたまに登場します。そういう持続力がこの作品にはあります。





Joe Chindamo Trio/AMERICA!-plays the Paul Simon songbook
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1.America
2.The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
3.El Condor Pasa (If I Could)
4.Mrs. Robinson
5.Keep The Customer Satisfied
6.Scarborough Fair (trad.)
7.Goodbye Frank Lloyd Wright
8.Cecilia
9.Old Friends
10.Fifty Ways To Leave Your Lover
11.Bridge Over Troubled Water
12.The Sound Of Silence
13.America (REPRISE)


Joe Chindamo : piano
Matt Clohesy : bass
David Beck : drums
 


2002年作品




Paul Simon/Greatest Hits, Etc.

2011-01-20 03:03:42 | 洋楽




私の両親はあまり音楽を聴きません。
特に父親はよく歌ってますが、聴いているのは見たことが無い。

小5の時、私の熱望で自宅にミニコンポ(なんか懐かしい響き)が来てから父も知人からのお勧めということでCDを何枚か買ってきた。

Paul Simon/Greatest Hits, Etc.
Miles Davis/In a Silent Way
George Winston/Autumn
ホルスト:組曲「惑星」

という4枚です。知人の親切心が感じられます。どれに引っかかるか試しているようですね。そして案の定というか、ミニコンポが目新しくなくなると共に父は全く聴かなくなり、母はGeorge WinstonのAutumnが大好きになりました。私も子供ながらこれはいいなぁと思いましたが、やはりC-C-Bとか安全地帯なんかのほうが全然好きでした(笑)。Miles Davisは異次元の音楽で今風で言うと「意味分かんないんだけど」という感じだったと思います(今ではMilesの中では5本の指に入るくらい好きです)。

Paul Simonも当時はものすごく「古い!」と感じる音楽で、それほど好きではなかったと思うのですが、高校生の頃突然「何これ、ものすごく良い!」と180度見方が変わったのを憶えています。

Simon & GarfunkelのPaul Simonというのが一般的な認知のされ方だと思うのですが、私はSimon & Garfunkel時代よりPaul Simonのソロのほうが全般好きです。音作りの原材料が好みという感じだと思いますが、音楽の「天気」みたいなものも違いますよね。

この「Greatest Hits, Etc.」は結構古いベスト盤なので後の「Graceland」などは全然含まれないのですが、その辺りが入っている最近のベストよりこちらのほうがしっくり来てしまいます。ここはやはりベスト盤で入門してしまったので個人的にひとつの作品として捉えているからだと思います。


ここで聴かれる名曲の数々、特に
「Still Crazy After All These Years」
「Me And Julio Down By The Schoolyard」
「Something So Right」
「Kodachrome」
「I Do It For Your Love」
「50 Ways To Leave Your Lover」
「Mother And Child Reunion」
「Loves Me Like A Rock」
「Take Me To The Mardi Gras」
など(全然抜粋されてないですが)、好きすぎて何書いていいかわかりません。
ひたすら暖かい曲の数々、「ハートウォーミングな~」なんてよくある言い回しですが、こんなんではまだまだ足りません。


そして曲の良さもありますが、やっぱり音作りの原材料が好みなんですね。
大学生のころ気付いたのですが、ジャズサイドから見るとSteve Gadd,Richard Tee,Bob James,Phil Woods,Michael Brecker,David Sanborn,Anthony Jacksonなどのクレジットが目に留まります。蒼々たるメンバーが大人しくいい仕事をしているのがしっかりと効いているんですね。Phil Woodsは「Have A Good Time」で派手に華を持たせてもらっているけど、ジャズ聴きしていない当時でも「カッコいいなぁ」と思えました。やっぱりPaul Simonの采配というのが作曲と同様、素晴らしいのだと思います。



この「Greatest Hits, Etc.」はウォークマンのデータが容量不足のため足したり消したりを繰り返している中で、全くいじられることなく居座る作品のひとつです。長年楽しませてもらっている信頼と自分の好みはもう揺るぐことは無いのだと思います。




Paul Simon/Greatest Hits, Etc.
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1. Slip Slidin' Away
2. Stranded In A Limousine
3. Still Crazy After All These Years
4. Have A Good Time
5. Duncan
6. Me And Julio Down By The Schoolyard
7. Something So Right
8. Kodachrome
9. I Do It For Your Love
10. 50 Ways To Leave Your Lover
11. American Tune
12. Mother And Child Reunion
13. Loves Me Like A Rock
14. Take Me To The Mardi Gras




1977年作品





Jamiroquai/Rock Dust Light Star

2011-01-19 02:28:40 | 洋楽




昨年の11月に新作が出ていたとは。
この情報はひとかけらもキャッチしていませんでした。そのことにビックリ。
HMVなどの情報ページをジャズでブックマークしているからか。
それともそれほど宣伝されてなかったのか。店頭でも気付かなかった。

そういえばお茶の間で「カップヌードルが良いよー」って言っていたのはその頃?いや、もっと前か。
あの時「懐かしー」と共に
「随分近い所まで降りてきたなぁ」
「なんて事させるんだ」
などなど複雑な気分になったりしました(ちなみに歌っていたのは一部本人じゃないみたいですが)。

Jamiroquaiは全作品リアルタイムでチェックしてきているのでそんなに懐かしがることはないんでしょうが、CMをVirtual Insanityでやられてはやっぱり15年も前なので懐かしい。それにあの頃が一番猛威を振るっていたと思うので新作を出し続けていてもJamiroquaiは自分にとってどこか懐かしい。

そしてこの5年ぶりという新作はあの頃の音の感触に戻っている気がします。デビュー作ほどのバンド感は無いにせよ、基本生音が前面に感じられるのがとてもいいです。音は重すぎず軽すぎずのファンクベースでそれを相変わらずの宇宙系シンセ音で若干宙に浮かせてJay Kayのベタつかない声があくまでも心地よく泳ぐ。地べたを這わない重力感は完全にJamiroquai。嬉しいですねえ。

これだけ色々な音楽が溢れている世の中なので、こうやって変わらないでいてくれることは歓迎です。これ聴いて気持ちよくない人なんているんだろうかと思うくらい、自分の世代にとっては主食として擦り込まれてしまった音楽ですからね。なくなったら困る。これでいいです。いや、これがいいです。

「4」の四つ打ちが出てくる辺りが楽しさの最高潮です。なんか笑ってしまいます。ノレる要素の応酬ですよね、Jamiroquaiって。なんか脇で2歳児もノリノリだし。やっぱこれ世代とか関係ないんじゃ?





Jamiroquai/Rock Dust Light Star
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1. White Knuckle Ride
2. Blue Skies
3. Rock Dust Light Star
4. Hurtin'
5. Lifeline
6. Goodbye To My Dancer
7. All Good In The Hood
8. Smoke and Mirrors
9. She's A Fast Persuader
10. Two Completely Different Things
11. Hey Floyd
12. Never Gonna Be Another




2010年作品





佐野元春/slow songs

2011-01-15 23:47:28 | 邦楽




佐野元春は一時期随分聴きました。
、、、が一番聴いたのはこのコンピレーションで、今でもたまに聴いています。ウォークマンなんかに入れておくと日本語表記だし目立つんですよね。随分生き残っているなと。しかしこのコンピが個人的に一番好きな作品になってしまったのは良いのか悪いのか。

ところで「Slow Songs」ということで女性をターゲットにした作品かと思いきや、思うにこれは完全に男の音楽です。そして夜にのみ聴く音楽。

そしてこの「Slow Songs」が女性には受け入れられるイメージはありません。女性には受け入れられにくい男性の女性的な感情というか。ロマンチストな男の絵が浮かびます。そこにくぐもった佐野元春の声と歌詞が重なると、どう聴いても男のための音楽になってしまいます。なんというか、女性の思うロマンチックというのとは少し違って、男から見ても少し照れが出てしまうくらいの「男の夢」っぷりが全開なのです。

なのでこの部分がこの作品を聴くにあたってのメインの目的ではありません。

全曲のイントロが最高なのです。
はい?と思われるでしょうが、それだけ掴みが最高なのです。

そもそも佐野元春の率いるバンドはHeartlandなどの腕利きを集めていますが、始めの数秒の音で引き込んできます。バンドサウンド以外にもこの作品はピアノやストリングスで始まる曲も多く、そのすべてが夜のイメージを醸し出していてこのコンピレーションを徹底的なものにしています。バンドの技量とともにアレンジが最高、そして佐野元春のこの声、歌詞がしっくりと馴染んでいくのです。


これはひとつのアルバム制作では成し得ない、長年の一貫した姿勢でひとつひとつ実っていった楽曲が正しいセレクションのもと正しく並べられてひとつの絵になった、素晴らしい成果だと思います。いわゆるベスト盤とは全く違う成り立ちで、こういう作品が出せるミュージシャンは核がしっかりしている証拠とも言えると思います。

パロディー的なものから実験的なものまで、各時代のアルバムはバラバラのようでまとめられるとしっかりと軸が通っていて、どの曲も十分すぎるくらい佐野元春色に染め上げれられています。





佐野元春/slow songs
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1. 恋する男
2. こんな素敵な日には
3. 情けない週末(フル・オーケストラ・ヴァージョン)
4. ふたりの理由
5. 真夜中に清めて
6. バルセロナの夜(リミックス・ヴァージョン)
7. 週末の恋人たち(同)
8. バッドガール(フル・オーケストラ・ヴァージョン)
9. 彼女(リトラック1991)
10. 君を待っている
11. 雪~あぁ世界は美しい
12. グッドバイからはじめよう



1991年作品





Dave Brubeck/Just You, Just Me

2011-01-15 01:13:08 | ジャズ




愛情度MAXという趣のソロピアノの私的名盤。


Dave Brubeckといえば「Take Five」。
それが入っている名盤といえば「Time Out」。
ということになるでしょうが私はよく知りません。

ここで聴かれる「Strange Meadowlark」が入っているから「Time Out」は買いましたが、Dave Brubeckといえばわたしにとってはこの「Just You, Just Me」が重要です。



ここで聴くことが出来るソロピアノは非常にオーソドックスかつオールドスタイルのジャズピアノで、新しい何かを感じ取るジャズではないです。変った曲をやっているわけでもないです。

しかし多くの何かを感じることが出来ます。

非常に人間的なスケールの音楽であり、人の目線の高さでいつも見ている生活の風景が浮かんでくるのです。寝室で小さい面積を照らしてるスタンドライト、階段の暗がり、ガラス扉の食器棚の雑然、そして誰かしらの気配、、、といった具合です。これは不思議なんですが、本当にそういう空気を伝えてくるのです。

そして基本的にインドア派で家の中のいろんなものが好きな自分にとっては非常に身近な音楽で、「Home」か「Away」かと言われれば文字通り「Home」でしかもその筆頭と言えるものです。

これを聴いて一瞬でも安らぎを感じることが出来ない人がいるとすると、相当家の中が大嫌い、もしくは旅大好き流浪人、もしくはたまたま好戦的な気分なんだと思います。

この作品はそのくらい究極の癒しをもたらしてくれます。ピアノの技術とかフレーズがどうとか音質がどうとか、この作品に関してはもうどうでもいいですね。昼でも夜でも横たわって聴いていると他にはもう何にもいらないや、という危険な気分にもなります。が、引き籠もり系のぐうたらとは違って、沸々と充電までさせてくれます。調子が良いと「I Married An Angel」で泣けます。


これもまたジャズを超えた一つの音楽。



、、、断っておきますが最近自分の過去の記事のリストを見ながら「自分はやっぱ甘口が結構好きなのか?」と自覚つつあります。辛め好きは要注意。




Dave Brubeck/Just You, Just Me
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1. Just You, Just Me
2. Strange Meadowlark
3. It's The Talk Of The Town
4. Variations On Brother, Can You Spare A Dime?
5. Lullaby
6. Tribute To Stephen Foster
7. I Married An Angel
8. Music, Maestro, Please?
9. Briar Bush
10. Newport Waltz
11. I Understand
12. More Than You Know


Dave Brubeck-Piano



1994年作品





Metro/Metrocafe

2011-01-14 00:04:14 | ジャズ




これを聴いたのはごく最近。
ソロのMitchell Formanはちょっと置いておいて。普通にフュージョンを演っているのはまだ聴いたことがありませんでした、ということで。

好みでないフュージョンサウンドというのがあるのですが、例えばド派手な原色がバンバン出てくるデリカシーに欠けるテクニカルだけの印象の物。このMetroはその辺からは逃れていてホッとしています。管が居ないというのもあるのかも。


「1」はアシッドジャズ(死語?)かと思わせるローズの音色のイントロ。
結構好きです。デザイナー系音楽ですね。スタイリッシュとかそういう言葉が出てくる。一方のChuck Loebは思いっきりロック的な音色。

「2」はFourplay+PMGという感じです。Chuck Loebが格好良すぎです。Fourplayの最新作は聴いてないのですが、評判がいいのもわかります。

「3」はRhodesをメインに据えたスペーシーな曲。と思いきや後半ハードに。Chick Corea Elektric Band風?

「4」今度はYellow Jacketsですか。

「5」は曲自体がどことなくTOTOを思わせる。ギターはいわゆるジャズの音から後半ハードロック風のそれに激変。



、、、という具合にオリジナリティーというよりは元ネタをあれこれ感じ取ってしまう聴き方になってしまうのですが、全編スタイリッシュな味わいでまとめられたアルバムカラーが個人的には評価高いです。ローズ音が結構フューチャーされているのも好みです。


気付けば目当てのMitchell Formanもソロほどの情緒は出てないですが、バンドサウンドをトータルコーディネートして楽しませてくれました。ソロでの作風を発展させた様な曲もしっかりやっていますね。でもソロのほうが表現出来ていたかもなぁ。


ソリストとしてはChuck Loebのほうが目立っていると思います。この人もジャズからロック、アコースティックと何でもこなしていて器用なことこの上ない。「2」のソロなんて最高にカッコよくて何回も聴きたくなります。この曲があったからこの作品は買って正解でした。


ただ全体的にもう少し音の種類や曲の数を絞ったほうがアルバムカラーが出たかもしれないと思います。なんでもかんでもこなし過ぎて後半に行くにつれて印象が薄くなっていきます。気持ちよく流し聴きするには既に十分なんですが、前半はガッツリ聴かせてくれるだけにそんなことを思ってしまいます。もしかしたら後半から聴き始めたら同等の質かもしれないのでやってみようかな。いずれにしても13曲は集中力は続かないという印象です。






Metro/Metrocafe
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1. Metrocafe
2. It's All Good
3. Shadow Play
4. Month Of Sundays
5. Field Of Diamonds
6. Those Who Wait
7. One A Day
8. House And Home
9. People Person
10. Q
11. Your Name Here
12. Moroccco
13. Untitled



Mitchell Forman-keyboards
Chuck Loeb-guitars
Victor Bailey-bass
Wolfgang Haffner-drums

Carmen Cuesta-vocals(2)
David Charles-percussiom and field drum(2.5.7.8.9)
Munyungo Jackson-percussion(1.3.4.6.11)



2000年作品






Mitchell Forman/Harvest Song

2011-01-12 14:25:58 | ジャズ




これを初めて聴いてからもう12年も経つんですね。一人で勝手に驚いています。近年では主にフュージョン系キーボーディストとして活躍しているMitchell Formanのソロ作。涙無しでは聴けない。

もちろん泣きませんが、時間が経ったせいかなんだかやたらとノスタルジックに響きます。今より多感だった時期に聴いて、更に寝かせたので強力な思い入れのある作品になっています。

この作品はキーボードも使用していますがピアノの音の印象が強い。
ただしキーボードでも情緒たっぷりです。
素晴らしい技術と歌心。そして強烈な美メロ。


名曲Gorgeousの本人バージョンを含むオリジナルの数々が素敵過ぎます。めくるめく名曲達の名演集。すこしだけ辛めの美メロもちょうどいい具合に入ってます。

スタンダードだとThe Nearness Of Youなんて今まで何種類聴いてきたかわかりませんが防衛に次ぐ防衛。いまだにここでのトラックが個人的にNo.1。ベッタベタで誰かと聴くと気恥ずかしいですが、素直に感動するためにこっそり一人で聴くべき名演です。

美メロでピアノやシンセなんてある意味危険と隣り合わせでものすごくつまらない作品にもなりがちですが、そこはMitchell Formanのピアノストとしての実力の高さでカバー、いや相乗効果をあげて立派なソロ作に仕上げています。



さて、このMitchell Forman。これほどの実力なのにもっとソロで聴かせてくれないだろうかという思いが付きまとう(いろいろ探して見つけたピアノトリオ作はそれほど入り込めないんですが、Chuck LoebとのMetroは最近少し気に入っています)。本人がやりたいこととリスナーの思いは結構一致しないものだとつくづく思う。この人もその典型。もう少しソロ名義で目立っても良い人だと思っています。





Mitchell Forman/Harvest Song
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1. A Deeper Dream
2. The Alchemist
3. Harvest Song
4. Gorgeous
5. Myst
6. Shelter
7. The Nearness Of You
8. Song For Ellis
9. Sleeping Beauties
10. Just A Thought
11. The Wrong Trousers
12. Right Together, Left Together
13. Sydney Lumet
14. The Piano Tuner
15. Odyssey


Mitchell Forman-keyboards




1998年作品




Morten Schantz Segment

2011-01-10 23:25:01 | ジャズ



2年位前から聴いているのですが、これ超ーカッコいいのです。アホみたいに言ってしまいますが,そういう感じの音楽です。

いわゆるクラブ系ジャズとして扱われていますが(個人的にはTSUTAYA系と呼んでいます)、この手の作品の中では唯一埋もれることなく聴き続きている作品です。

ベースになるのはHeadhuntersやRTF、Weather Reportあたりだと思うのですが、その時代以降のフュージョンやファンクの要素を確かな技術で演っています。ありがちと言えばありがちな路線。そしてクラブ系にありがちな女性ボーカルやラップが入ってきますが、この盤に関しては全く嫌でない。

思うにこの作品はシーンの切り替えが物凄く上手い。演奏に勢いがあるというのもありますが、曲のつながりや流れがすごく動的なんでしょう。この辺がクラブ系というならばその存在は甘く見れないという感じです。しかもその軸になる肝心の演奏はしっかり聴かせる力を伴っています。

リーダーのMorten Schantzのピアノは特徴こそ薄いものの真面目に上手いし、いや相当上手いし、ギターやテナーも顔を出すたび良いと思わされる。そして一番気に入っているのはJesper Thomsenというドラマーです。この人が効いているのでこのユニットは特に良いなぁと感じるのだと思うのです(ネットで検索してもこの人やこのグループはほとんど引っかからないのですが。これ以降の作品も無いようだし。調べが甘いかもしれませんが)。

しかし一番の肝はアルバム全体の構成力と、各曲それぞれのきめ細かなアレンジやソリストの配し方が良いのだと思います。非常に聴きやすい演奏群ですが、隅まで神経が行き届いているおかげで無駄な部分を感じないし、各パートが皆よく聴こえる。普段はトリオ以下の編成を好む自分ですが、ここまでしっかりやってくれたらこういう音楽も大賛成です。


真面目に何回も聴くと聴き易過ぎて「しばらく良いかな」、となるんですがたまに聴くと「超ーカッコいい」、となります。個人的にはたまに無性に飲みたくなるペプシやDr.ペッパーの様な存在に近いかもしれません(Dr.ペッパーほどのクセは無いかな、、、)。







Morten Schantz Segment
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1. Segment No.1
2. Herbie’S Habit
3. Ease
4. Transcended
5. Launch From The Cape
6. Sunny Sky
7. Segment No.2
8. Riddled In The Maze
9. Odyssey Of The Reptor
10. Segment No.3
11. Cheater’S Postcard
12. Segment No.4
13. River Negro
14. Tension-Release
15. Third Place Is Pretty Damn Good For A Guy Outside The Hood


Morten Schantz Segment:

Morten Schantz-piano.fender rhodes.hohner D6 clavinet.synthesizers&vocoder
Kasper Wagner-tenor.alto&soprano saxophones
Daniel Davidsen-electric guitars
Morten Ankarfeldt-electric bass
Jesper Thomsen-drums
Anna Landin-vocals



With:

Mark Jackman-percussion(2.3.4.5.7.9.10.11.13)
Thomas Caudery-trumpet(5.12)
Maria Bertel-tromborn
Ataf-rap(2)
Kristian Thomsen-flute(4.9.10.11)&backing vocal(6)
Frederik Juul Hauch,Andress Kahne,Mille-hand claps



2004年作品