自分の脇をスッと通り抜けてステージに上がる男性。
拍手に包まれ、手短かに挨拶をしてすぐに曲に入る。
Con Alma。
お客さんかと思ったと妻。
ごくごく普通のオーラの持ち主。
でもこの痩せた男性はピアノで生きている。
私は彼の音をいつも聴いているので、
かえって神様とはこんな感じなのでは、
という風に見えている。
音は生音半分モニター半分といった印象。
ヘッドホンで聴いているより小さい音。
右手だけが見えているが、左手は右より遥かに複雑だ。
聴いているけどむしろ見ている。
初Herschをしみじみと実感する。
やっぱりきたMonk系。Bemsha Swing。
楽しそうである。彼の料理は必ず間にこの辺が入ってきてバランスを取っていく。
でないと結構甘いものも本当に甘く出来ないのかも。
The Nearness Of Youなどからいつの間にか見なくなった。
居眠りをしたかも。
しかし必ず一曲が終わるまえにパチッと起きていた。
眠気は無い。
これはあれだ、夢見心地というやつだ。
The Wind/Moon and Sandの繊細で創造的なイントロ。圧巻?いや言葉が負ける。
Songs Without Words#4:duetの曲の美しさとダイナミクス。うーん、そんなもんじゃない。
オーソドックスなスタイルで楽しいYou`re The Top、
かなりのアップテンポでスタートしたIt Might As Well Be Spring。
機械的にもなりがちな楽器が、
この人の手に掛かると滑らかな一枚の繊維のようになるところが真骨頂か。
鍵盤の右の方はこうやって鳴らすのか。
安っぽくなりそうなのにふくよかな音だったり。
最後のValentineは総まとめ。
ジャズとかクラシックとかそういうことじゃなくて、
ピアノで何度でも奏でたい音楽。
演奏する方も聴く方も同じ。
何度でも、というところ。
食べるように、眠るように。
そこを確認出来たことが嬉しかったです。
そして次に聴く時もまたこの場所が良いと感じました。
Fred Hersch piano solo at Cotton Club
2014.4.19 1st.