
個人的な小曽根真の最高傑作は「Nature Boys」。しかしこれは小曽根よりもPatitucciが良かったのだと後で気付いた。逆にPatitucciのトリオを歌わせる力に気付いたのがこの作品。その後の作品はこの「Nature Boys」のせいで今ひとつ馴染めなかった。同時に小曽根真はどういうプレイヤーなのか少し解らなくなってしまったというのが本音。
小曽根真の音を私は凄く好きなんだと思います。しかし、同じ日本人として気持ちがわかり過ぎてしまうというか、それだけに驚きを感じられないというか。なんとなくChickの道筋を辿ってしまう辺りなんか時として「日本代表Chickファン」みたいに感じてしまうのも否めない。
なのでこのショパン集、やっぱり躊躇してしまったのですがAmazonでの評判が随分良いので聴いてみました。
ら、これが良いのです。小曽根真の東洋人的なソウルが存分に発揮された好演です。
ショパンをどう料理しているかということが焦点ではなく、小曽根真が自然に思うままに歌いたいように弾き倒している様が嫌み無くごくごく自然で、ゴチャゴチャ考えずにすんなり入ってくるのが良いのです。
クラシックをジャズでというと実験的だとか奇抜だとか思われがちですが、これは単純にごくごく自然な表現です。そしてこういう音楽が小曽根真の肌に合っている気がするのは意外というわけでもありません。彼のすっきりした感覚の音はビバップにアプローチする方が距離がある気がしないでもないです。
そういえば随分前、パルテノン多摩でのChickのライブを見に行った時、Chickと小曽根真がピアノデュオを演りましたが、その時のChickを圧倒せんばかりの好演を思い出しました。小曽根真は自身の魅力を更に引き出す独自の表現媒体がまだまだある気がしてならないです。
小曽根 真/Road to Chopin
●●●●● ●●○○○
1. ドゥムカ(あるべきもなく)
2. マズルカ 第13番 イ短調 作品17の4
3. ワルツ 第6番 変ニ長調 ≪子犬≫
4. 前奏曲 第4番 ホ短調 作品28の4
5. 練習曲 第4番 嬰ハ短調 作品10の4
6. 前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15からの即興
7. マズルカ 第24番 ハ長調 作品33の3からの即興
8. ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64の2
9. マズルカ 第40番 ヘ短調 作品63の2
10. ポロネーズ 第3番 イ長調 作品40の1≪軍隊≫
11. 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9の2
12. マズルカ 第2番-ポーランド民謡≪クヤヴィアック≫
小曽根 真-Piano
アナ・マリア・ヨペック-Vocal (1, 12)
グレゴアー・マレ-Harmonica (4, 7)
2009年録音