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音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

小曽根 真/Road to Chopin

2011-04-08 11:20:26 | クラシック




個人的な小曽根真の最高傑作は「Nature Boys」。しかしこれは小曽根よりもPatitucciが良かったのだと後で気付いた。逆にPatitucciのトリオを歌わせる力に気付いたのがこの作品。その後の作品はこの「Nature Boys」のせいで今ひとつ馴染めなかった。同時に小曽根真はどういうプレイヤーなのか少し解らなくなってしまったというのが本音。

小曽根真の音を私は凄く好きなんだと思います。しかし、同じ日本人として気持ちがわかり過ぎてしまうというか、それだけに驚きを感じられないというか。なんとなくChickの道筋を辿ってしまう辺りなんか時として「日本代表Chickファン」みたいに感じてしまうのも否めない。

なのでこのショパン集、やっぱり躊躇してしまったのですがAmazonでの評判が随分良いので聴いてみました。


ら、これが良いのです。小曽根真の東洋人的なソウルが存分に発揮された好演です。


ショパンをどう料理しているかということが焦点ではなく、小曽根真が自然に思うままに歌いたいように弾き倒している様が嫌み無くごくごく自然で、ゴチャゴチャ考えずにすんなり入ってくるのが良いのです。

クラシックをジャズでというと実験的だとか奇抜だとか思われがちですが、これは単純にごくごく自然な表現です。そしてこういう音楽が小曽根真の肌に合っている気がするのは意外というわけでもありません。彼のすっきりした感覚の音はビバップにアプローチする方が距離がある気がしないでもないです。



そういえば随分前、パルテノン多摩でのChickのライブを見に行った時、Chickと小曽根真がピアノデュオを演りましたが、その時のChickを圧倒せんばかりの好演を思い出しました。小曽根真は自身の魅力を更に引き出す独自の表現媒体がまだまだある気がしてならないです。





小曽根 真/Road to Chopin
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1. ドゥムカ(あるべきもなく)
2. マズルカ 第13番 イ短調 作品17の4
3. ワルツ 第6番 変ニ長調 ≪子犬≫
4. 前奏曲 第4番 ホ短調 作品28の4
5. 練習曲 第4番 嬰ハ短調 作品10の4
6. 前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15からの即興
7. マズルカ 第24番 ハ長調 作品33の3からの即興
8. ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64の2
9. マズルカ 第40番 ヘ短調 作品63の2
10. ポロネーズ 第3番 イ長調 作品40の1≪軍隊≫
11. 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9の2
12. マズルカ 第2番-ポーランド民謡≪クヤヴィアック≫


小曽根 真-Piano
アナ・マリア・ヨペック-Vocal (1, 12)
グレゴアー・マレ-Harmonica (4, 7)


2009年録音






Arturo Benedetti Michelangeli / Claude Debussy-Images 1 & 2・Children's Corner

2011-03-25 22:52:55 | クラシック



Bill Evans(P)を追いかけてた頃出会った作品。彼のことを調べていると必ずDebussyという名が出てきたので、ほぼ全く聴かなかったクラシックをこの作品で初めて真面目に聴いた。17年くらい前だと思います。


この作品を聴いた後、一時的に「作曲」の重要性と素晴らしさが「即興」を超えてしまった憶えがあります。即興なんて、なんていい加減なものだろうと。閃きといってもじっくり作り込まれたものに比べるとあまりにもその場しのぎじゃないのかと。

その気持ちは後で考え直されたのですが(即興の素晴らしさはその瞬間でしか作り得ない緊張感の連続が他に代えられないもので、旋律や和音、アンサンブルの完成度云々とは別問題だと思っています)、今でもDebussyがこの音楽を産み出した瞬間は、それは素晴らしい即興的な興奮がどれだけあったことだろうと思います。そのくらいこの音楽は出会った瞬間に感動しましたし、今聴いても全く色褪せない。


世界中には無数の観光名所がありますが、なんというかこの音楽も「Claude Debussy」という観光名所みたいな感じで自分のなかにある感じです。見たこと無い、ここでしか無い景色をしっかり見させてもらっていて、音楽なのに実際に何かを見た気分になっています。

ちなみにこれ以降Debussy作品はいくつか漁っていますが、この作品を超えるものにはまだ出会えていません。同じ曲をやっているのにその景色が出てこない。なんという不思議。なかなか出会えないので最終的に手を出すのが億劫になっています(どなたか推薦していただけないでしょうか、、、)。

ここでArturo Benedetti Michelangeliというピアニストの果たしている役割の大きさを感じてしまうのですが、この人の音楽でもまたこのDebussy作品以上のものをまだ知りません。それほど数を聴いていないというのがありますが、ここを開拓するのもまた少し億劫でもあります。もっといえばこれ以上のものを聴きたいという欲があまり無いというのが正直なところ。


自分にとっては何度訪れても感銘を受ける聖地のような(逆にそんな「聖地」なんて現実には知りませんが)、「これ以上の」ということとは何か無縁の存在になっています。





Arturo Benedetti Michelangeli / Claude Debussy-Images 1 & 2・Children's Corner
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1. Images I: I. Reflets dans l'Eau. Andantino molto
2. Images I: II. Hommage a Rameau. Lent et grave
3. Images I: III. Mouvement. Anime
4. Images II: I. Cloches a travers les Feuilles. Lent
5. Images II: II. Et la Lune Descend sur le Temple qui Fut. Lent
6. Images II: III. Poissons d'Or. Anime
7. Children's Corner: I. Doctor Gradus ad Parnassum. Moderement anime
8. Children's Corner: II. Jimbo's Lullaby. Assez modere
9. Children's Corner: III. Serenade For The Doll. Allegretto ma non troppo
10. Children's Corner: IV. The Snow Is Dancing. Moderement anime
11. Children's Corner: V. The Little Shepherd. Tres modere
12. Children's Corner: VI. Golliwogg's Cake-walk. Allegro giusto



1971年録音