電源ランプ点灯、確認。HDDアクセスランプ点灯しきり、何度も確認し、その度、ヤバさを覚える。モニタランプ点灯、ビデオ信号は送っているようだ。パニックという言葉を呑み下し、過去の経験を思い起こす。220Wの電源が駄目になりかけたときに似たようなことが何度もあった気がする。99年の年末に買ったショップブランドのタワー型PCである。BIOSは最終版にまでアップデートしてあるマザーボードのみがオリジナルで、パーツを何度も交換し補強してきたかけがえのない愛機である。手塩にかけてきたのである。購入先のショップの方が先に潰れてしまっているが、今でもメールサーバーとして活躍し、MSNメッセンジャーの貴重な基地になっている。
今となっては歴史的に希少なSLOT1であり、メモリ貧乏の悲惨さをもろに味わってきた。98からMEに乗り換え、電源を大容量に換え、さらにCPUを換装し、メモリやドライブ群をふんだんに搭載してきた。それらの経験は、自作機を組み立てる際に大いに役立ってくれた。寿命であるなら仕方がないが、糟糠の妻を正妻としてとこしえに添い遂げてやりたいという気持ちが強い。だから、急いで電源を落とさず、一時間余りそのままにして置いた。
脳裏に新しいパソコンが浮かび、ほんの6万ほどで遥かに凌駕するスペックのものが購えるのは理解できるものの、それでも未練が残る。この愛妻としでかした過去の栄光の数々が甦るのである。それらの思い出が知らず知らず涙を誘う(マジ!!)。教室の歴史なのだから。
意を決し、電源スィッチを押し強制切断。さらに一分ほど間を開けてスィッチ・オン。緊張しつつ、BIOS画面を見入る。ビデオ信号確認、メモリテスト384MBOK、各種デバイス良好、認識してくれている。そして、Windows画面へ。セーフモードになってしまったが、エラーチェック無しだったので一息ついた。セーフモードでの起動を充分待ち、再起動。どうやらいとしの妻は復活したようである。気分はサラ・ヴォーンの「ラヴァース・コンチェルト」である。
How gentle is the rain
That falls softly on the meadow
Birds high above in the trees
Serenade the flowers with their merodies oh oh oh
別に歌い出すこともないのであるが、口ずさんでしまった。
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