高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

12月9日 Ryuichi Sakamoto PLAYING THE PIANO/05

2005-12-16 | 千駄ヶ谷日記
坂本龍一さんのソロ・ピアノコンサートに行った。
今年は夏「JAPAN TOUR 2005」もあったから、私にとって良いことが夏と冬と2回もあったことになる。
夏の「ZEPP」は自然エネルギーだけでコンサートができる会場で、照明も程よくほの暗かったり、やや明るかったりした。
今回はさらにほの暗く、ステージ上の坂本さんとピアノに照明が一灯あたっているだけだった。
始まったとたんにステージから溢れてきたピアノの音は、はっとするほど美しく、私は闇の中に身を沈めて音を浴び続けた。

ステージには大きなグランドピアノが二台おかれていて、ずっと昔、坂本さんと高橋悠治さんが連弾したことがあったのを思い出した。
今回は共演者はいなくて、坂本さんが、あるところでこの二台のピアノをコントロールした。

後半、ロックのノリとかいうのとはぜんぜん違うんだけど、なにか突き動かされるものを感じて、身体が動いた。
それからしばらくして、静かに涙が溢れてきた。
なんと言ったらいいのか、音は湿ってないないのに、情感が溢れている。
その心地よさに、私は自分の心を全部預けた。

この世の中で、いちばんの幸せ、いちばんの贅沢は、美しい時間をシャワーのように浴びること。
そういう時間は、ある日、天から降ってきたみたいに訪れる。

写真 (撮影 伊藤信子) ちょっと前になるけど、2003・9・11の明治公園BE-INで。皆でキャンドルをひとつひとつ置いて直径100メートルぐらいのピースマークをつくった。ほの暗い闇は良い。

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4 コメント

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感激です (saimon)
2005-12-17 09:07:45
音楽って不思議ですね。と言うのも変なんですけど、文章は言葉の認識から、感情に入り込むのは当たり前と思えます。音楽には言葉のような1対1の決まりがないのに、色々と感じ取れますね。わたしも経験有りますが、ナチュラルハイにしてくれたりします。そう言う時って、本当に嬉しくて涙が出てきちゃいますよね。言葉は後天的に認識するんですが、音は生まれ持ったものとして、1対1と言うか認識する何かが備わっているのかも知れません。でも、感激するのに大きく影響するのは、その音楽の送り手の「ひと」なんでしょうが。YaccoさんがBE-INの写真をここに出してきたのは、坂本さんからのイメージにぴったりですね。
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共鳴 (sakura)
2005-12-20 17:24:00
sakuraと申します。いつも感心したり、そうだそうだと共感しながら読ませていただいております。本当に良い音楽を聞いていると幸せになり、自然に笑顔になって、嬉しくて涙が出てきてしまいます。特にコンサートでは同じ思いを共有している人が多いのでしょう、音楽だけでなく、そのパワーとも共鳴しているように思います。この日記で気持ちが共鳴したからでしょうか、さっそく9月の終わりに買ったCDをかけたら、とってもスムーズに入り込んできました。一人ですから良いのですが、ニコニコしながら片付けものをしていました。こういうコンサートレポートも良いですね。お願いします。
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Unknown (Seto.y)
2005-12-25 22:06:21
坂本龍一さんのソロ・ピアノコンサート★

まえに、大阪フェスティバルホールでの

ビンジョビンさんへのコンサートへは

伺ったことがあります。ボサノバでした。

素敵ですね、、いいなあ、、

いってみたいです。。。

ラストエンペラーは大好きな曲です。。
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わたしもNYで坂本さんのライブにいきました (カリビアン)
2006-08-14 14:13:16
もう10年も前の話だ。ソーホーのニッティングファクトリーというライブハウスでのコンサート。驚いたことに9割がアメリカ人。日本人はごく少数しかいない。アメリカでの坂本龍一さんの人気に驚いた。ライブでは、ベース、ドラムスがアメリカ人でした。とにかく、単なるピアニストとは一線を画した芸術家といった印象。激しさと優しさの共存した世界を見せていただきました。坂本龍一さん、かっこよすぎです。
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