青山のアンデルセンでアートディレクターの福田さんとランチしたあと時間の隙間があったので、ZUCCAに寄った。
ほとんど無意識状態でお店に入ったとたん、ある世界に引っ張り込まれた。
そこに流れている音楽が店の空気を振動させている。
そこにかかっている洋服たちが音楽に共鳴している。
私はじっと佇んで曲に聴き入った。フラワー・トラべリング・バンドの「サトリ」だ。それも「これがフラワー・トラべリング・バンドの音だったろうか?」と耳を疑うほど、エキゾチックな音に満ちている。この古典的な響きは、当時の録音のままなのだろう。
ジョー山中の”サンシャインエブリデイ”のリフレインが身体にじーんと残る。
店員さんに「この音楽、有線ですか?」と聴いたら「ちがいます。これはデザイナーの小野塚がこのシーズンのテーマにした曲なんです。それで、今シーズンはこれを店で流してます」
道理で洋服たちが共鳴しているはずだ、と思った。
私が動けなくなって曲に聴き入ったのも、そのせいだった。
私はお守り状態で持ち歩いている見本の本を取り出した。
「あの、ジョーってこの人なんです。ここにフラワー・トラべリング・バンドのこと、書いてあります」
それから階段を上がってカフェの脇にある「COW BOOKS」(本屋さん)に立ち寄った。
私はカウ・ブックスでときどき貴重な発見をする。アンアンの創刊号や宇野千代さんの「刺す」の初版本などを見つけている。
ここで、アンデルセンにいたるまでの午前中の行動を告白してしまおう。
午前中、新宿の紀伊国屋本店に行った。読売文学賞を受賞した宮内勝典の「焼身」を買うためだった。
1階で買ってから、2階、3階と売り場を歩いてみた。若い頃からよく来ているこの店。
30数年前、「表参道のアリスより」を出した時は一瞬売り場に私の本が並んだのを目撃して、ドキドキしたものだった。
こんどの「表参道のヤッコさん」はどうかしら、、、
一階に降りてゆき、さっき本を買った店員さんを見つめた。
そしてまた本を見つけて、その店員さんに渡した。町田康の「東京飄然」といしいしんじの「雪屋のロッスさん」。
ふたりとも小三治さんを追いかける落語仲間なんです、、、そして今度私も本を、、って言いたかったけど、言えなかった。
それから「日々の泡」(週間ブックレビュー推薦)と「河岸忘日抄」と合計5冊買って、5冊目にやっとその店員さんに「あのー」と切り出した。
そしたら、その店員さんに「あ、その本、入れることになってますから」と簡単におっしゃった。
1冊目を買ったときは店内はまだすいていた。
5冊目間を買う時は、もう混んできて店員さんは忙しくなってしまった。
私はあわてて「発売前に、これ読んでみてください」となけなしの見本を手渡してきてしまった。
そしてZUCCAのあとは2時から、下北沢の本多劇場で「夫婦犯罪」(片桐はいりさんなど出演)を観た。
そのあと、みんなで劇場の前の台湾料理屋で早い夕ごはんをわいわい食た。
今私は「小さな食卓」というブログをやっているが、みんなで食べる「大きな食卓」も楽しい。
そのこと書こうと気付いたのはさんざんご馳走になってから、帰りの電車のなかで重たい胃袋を意識した時だった。
あ、デジカメで撮っておけばよかったわ、と思ったときは、もう遅かった。
写真・ 70年代のジョー山中と私。原宿レオンでのスナップ。
あ、この写真を「表参道のヤッコさん」にいれるのわすれた。せっかくジョーさんがOKしてくれたのに。 (撮影・染吾郎)
ほとんど無意識状態でお店に入ったとたん、ある世界に引っ張り込まれた。
そこに流れている音楽が店の空気を振動させている。
そこにかかっている洋服たちが音楽に共鳴している。
私はじっと佇んで曲に聴き入った。フラワー・トラべリング・バンドの「サトリ」だ。それも「これがフラワー・トラべリング・バンドの音だったろうか?」と耳を疑うほど、エキゾチックな音に満ちている。この古典的な響きは、当時の録音のままなのだろう。
ジョー山中の”サンシャインエブリデイ”のリフレインが身体にじーんと残る。
店員さんに「この音楽、有線ですか?」と聴いたら「ちがいます。これはデザイナーの小野塚がこのシーズンのテーマにした曲なんです。それで、今シーズンはこれを店で流してます」
道理で洋服たちが共鳴しているはずだ、と思った。
私が動けなくなって曲に聴き入ったのも、そのせいだった。
私はお守り状態で持ち歩いている見本の本を取り出した。
「あの、ジョーってこの人なんです。ここにフラワー・トラべリング・バンドのこと、書いてあります」
それから階段を上がってカフェの脇にある「COW BOOKS」(本屋さん)に立ち寄った。
私はカウ・ブックスでときどき貴重な発見をする。アンアンの創刊号や宇野千代さんの「刺す」の初版本などを見つけている。
ここで、アンデルセンにいたるまでの午前中の行動を告白してしまおう。
午前中、新宿の紀伊国屋本店に行った。読売文学賞を受賞した宮内勝典の「焼身」を買うためだった。
1階で買ってから、2階、3階と売り場を歩いてみた。若い頃からよく来ているこの店。
30数年前、「表参道のアリスより」を出した時は一瞬売り場に私の本が並んだのを目撃して、ドキドキしたものだった。
こんどの「表参道のヤッコさん」はどうかしら、、、
一階に降りてゆき、さっき本を買った店員さんを見つめた。
そしてまた本を見つけて、その店員さんに渡した。町田康の「東京飄然」といしいしんじの「雪屋のロッスさん」。
ふたりとも小三治さんを追いかける落語仲間なんです、、、そして今度私も本を、、って言いたかったけど、言えなかった。
それから「日々の泡」(週間ブックレビュー推薦)と「河岸忘日抄」と合計5冊買って、5冊目にやっとその店員さんに「あのー」と切り出した。
そしたら、その店員さんに「あ、その本、入れることになってますから」と簡単におっしゃった。
1冊目を買ったときは店内はまだすいていた。
5冊目間を買う時は、もう混んできて店員さんは忙しくなってしまった。
私はあわてて「発売前に、これ読んでみてください」となけなしの見本を手渡してきてしまった。
そしてZUCCAのあとは2時から、下北沢の本多劇場で「夫婦犯罪」(片桐はいりさんなど出演)を観た。
そのあと、みんなで劇場の前の台湾料理屋で早い夕ごはんをわいわい食た。
今私は「小さな食卓」というブログをやっているが、みんなで食べる「大きな食卓」も楽しい。
そのこと書こうと気付いたのはさんざんご馳走になってから、帰りの電車のなかで重たい胃袋を意識した時だった。
あ、デジカメで撮っておけばよかったわ、と思ったときは、もう遅かった。
写真・ 70年代のジョー山中と私。原宿レオンでのスナップ。
あ、この写真を「表参道のヤッコさん」にいれるのわすれた。せっかくジョーさんがOKしてくれたのに。 (撮影・染吾郎)