中田清介のブログ:ほんまち界隈

下町の風情を残す本町商店街の四季折々や日々の活動報告を綴っていきます(2022年6月よりgooブログに引っ越し)

数字で見る高山市の経済④中心市街地交通量

2017-07-25 22:25:00 | 市政関連




 
 観光都市高山の中心市街地の交通量調査結果を見ていただきます。グラフは左が休日、右が平日の調査結果です。調査個所は鍛冶橋交差点を挟んで本町1・2丁目と本町3・4丁目。国分寺通り。安川通り。上3之町の古い街並みの5カ所です。
 H28年の結果からは休日の通行料約3万人、平日がその約4割の1万1500人。だいたい2対1の割合と言えます。調査地点は高山の中心部に位置し、観光資源でもある宮川、陣屋、宮川朝市、陣屋前朝市、古い街並みと接する観光エリアです。隣接商店街としては本町通り、安川通り、国分寺通りがありますが、本町通りは鍛冶橋交差点を挟んで南の1・2丁目と、北の3・4丁目では大きな差がでてしまっています。

 休日の調査から読み取れるのは、観光客入込数が増加したH28.27と古い街並みと安川通りは上昇カーブを見せています。これは別院駐車場から流れる観光客の流れが、大きく作用していると見ることができると思います。
 それと比して平日の人の流れは大きく違います。H28テで古い街並みの数値が大きく低下しています。これは観光バス規制の強化が響いているのでしょうか、この辺の分析は重要と感じます。

 先の分析でH28年度は観光客数450万人、観光消費額1、000億円。地域への経済波及効果2,210億円と発表された姿を見ていただきましたが、市内経済を潤す観光のすがたを求める中では、上三之町を中心に集まるまちなみ観光の集客力を、どれだけ周辺地域へも回すのかも一つの視点です。そうした観点から見れば、本町1・2丁目の休日の集客力は4,011。古い町並みに集まる人の1/3を受け止めているともいえます。まちの回遊性を高める一助になっているともいえます。
 そうした観点では国分寺通りは1/4ともいえますが、この地区は高山駅から本町通りまでの間に近年ホテルの開業が相次いでおり、交通ターミナルの利用効果とも相まって健闘しているといえます。
 安川通りは確かに交通量調査では大きな数値となっていますが、別院駐車所への往復観光客数を考慮すれば、今後の動向は注視していくべきと感じています。

 しかし他の地方都市に比べ観光資源がまちの中心部に集中し、まちなみ観光が主体となってにぎわいを見せる高山市は、恵まれていることは確かです。しかしその中身は体験観光等個人志向が強くなっており、体質改善への努力が求められるところとなっています。



高山市産業連関表作成に向けたキックオフセミナー

2017-07-21 00:06:00 | 市政関連

7月19日午後3時から、高山市産業連関表キックオフセミナーに参加してきました。「産業連関表で地域再発見」と題する岡山大学大学院の中村良平先生の講演でした。
地域経済構造分析の第一人者としての中村先生は、産業連関表の活用による地域経済分析には数々の地方都市での実践例があります。私たちは平成26年度の文教産業委員会の調査で「朝来市の経済成長戦略」を調査する中で、産業連関性の重要性を学んできました。その後のやり取りの中で先生からは次のようなご指摘・ご指導を受けました。

1点目は、報告書中(参考)部分の中で、「なお、美作市の独自調査による集計結果は30%弱という回収率であったが、朝来市は60%まで高める努力をしたとのことであった」と記述した部分について、中村教授からは「アンケート回収率が30%であり、追加調査を重ねる中で出荷額の捕捉率は7割近くであった」とご指摘を受けました。朝来市の視察担当者の言葉をそのまま掲載したためのご指摘でした。
やはり着実なデータの積み重ねがあっての成果であったのだと、関係者の皆さんの努力に敬意を表した次第です。
2点目は、中村教授が関わられた調査研究体制と最新の事例について説明された上で、自治体は産業連関表を作るだけではなく、それを使いこなしていく能力を身に着け、継続してバージョンアップしていく必要性についてご指摘いただきました。
3点目は、連関表作成については、ある程度の予算と時間がかかるものと述べられ、産業連関表の作成はいわば知識と熟練工の仕事であり、入札などで低価格で委託すると後で後悔することになるとのご助言です。
4点目は、市町村と県の産業連関構造はかなり異なるので、市町村独自でこそ連関表を作る意義があるとのご助言です。
5点目は、どうしても予算と時間に制約があれば、域際収支を調査しあとは推計で取引表を作成することもできるが、かなりの統計分析レベルが必要となる。連関表については素人が作成するととんでもない誤りを起こすことがよくあり、作成したとしても専門家のチェックが必要となるとのご指摘でした。

 委員会は市独自の産業連関表の必要性を指摘して報告書をまとめ、その後の政策提言等につなげたところです。報告書についてはこちらからご覧ください。http://www.nakada-seisuke.com/asagosisatu/asagosennryaku.htm

今回のセミナーでも紹介されました、岡山県赤坂町の事例についても、平成18年度に当時の産業委員会で調査に出向いています。「民間活力を利用した地域振興:㈱赤坂天然ライスの事例」として、合併後の赤磐市で調査してきました。赤坂町の事例報告はこちらからご覧ください。
http://www.nakada-seisuke.com/h18soumu/akasaka.htm

 本格的に産業連関表の必要性を議会として訴えたのは、平成26年の朝来市の事例朝最後ですが、リーサスによるビックデータの公開とその活用が広まったことも追い風となりました。

 思い込みによる政策展開から、実証的根拠に基づく政策立案へと大きく転換することができるか、今回の高山市による「産業連関表」作成の成果が待たれるところです。




数字で見る高山市の経済③観光客数と観光消費額

2017-07-15 10:18:00 | 市政関連




 今回は観光客数と観光消費額の推移を見ていただきます。こちらもH17を基準としてみていきます。左のグラフ入込客数はH17で425.7万人がリーマンショックと東日本大震災の影響で348.1万人まで減少しました。その後のビジットジャパンキャンペーンもあり、H28では451.1万人と過去最高の数字となりました。
 観光消費額もH17で771.2億円をカウントしていましたが、上記同様の理由で減少し586億円まで下がりましたが、こちらはH28では初めての1000億円台をカウントしています。

 ここで右のグラフ、H17年比で各年度の観光客数と観光消費額の推移を見ていただきます。こちらは伸び率を表していますから、各年度の動向が把握できると思います。毎年度だいたい観光客数に応じた消費額の動向が見えていますが、H28年度だけは極端に消費額が伸びています。対前年度比で見てもH27/H28=1.218で約22%の伸び率となっています。観光客数の伸び率は約4%ですから目立ちます。一体何が起きているのか?

 それでは観光客一人当たりの消費額の推移を、金額と17年度比で見ていただきます。



 金額ベースでみると、以前から言われていたことは宿泊は日帰りの3倍の経済効果があるという事でした。その比較をしてみるとH17では2.98倍、しかしH26で3.32倍、H27で3.73倍、H28では3.84倍と徐々に増加っしている姿が見て取れます。
 インバウンドのビジットジャパンの効果が、宿泊客へのサービスの向上につながっているのかとも見て取れます。
 しかし右のグラフでお分かりの様に、観光客数の増加割合と比して消費額の増加割合が大きいのが見て取れます。日帰り客の消費額の増加は対前年比で110円のところ、宿泊客では5123円と4.61倍の急伸です。宿泊消費がそんなに伸びているのでしょうか?

 先に見ていただきました、地域所得と国民所得の差がなかなか縮まらない現状ですが、高山市が発表する観光消費額はそのまま観光の経済波及効果として発表されます。H28観光統計では、地地域への経済波効果、は2,210億1,845万円と発表されています。私たちの実感としてそんな数字は地域に波及しているとは思えません。

この現状をどう見るかは今後研究していきたいと思います。
(高山市観光統計H28山椒)



数字で見る高山市の経済②

2017-07-09 11:56:00 | 市政関連

 今回は市民所得の推移という観点から、年度ごとの国民所得、県民所得、市民所得の比較でみていただきます。ご承知のように高山市は平成17年2月に周辺2町7村と合併しました。合併以後大きな社会・経済変動にも見舞われ(リーマンショック、東北大震災)、高山市でも市民生活への影響が大きなものがありました。この間の市民所得の変化を見て頂くために、平成17年度を基準としたその変化を指数でみていただきます。平成17度の数値を100として、どのように推移してきたのかを検証することによって、市民生活にどのような影響がでtee
れきたのかを見ていきたいと思います。
 内閣府の発表する国民経済計算、及び岐阜県の県民経済計算を参照しました。こうした現状では県民経済計算はH26年度までしか発表されておらず、高山市のデータは独自の推計により計上しました。
 この比較で見てただくと、リーマンショック後のH20、21にかけて経済が落ち込みます。連動して市民所得、県民所得、国民所得ともに対H17年度マイナス10%程度下がりました。東北大震災後の影響では市民所得の動向が一番影響を受けています。マイナス89.9%まで低下してしまいました。その後アベノミクスの効果が出て、国民所得の動向は平成27年度では、H17年度対比で100.3%と回復基調に乗せることができましたが、市民所得も、県民所得もそこまでの回復は出来ていません。
もちろん地方都市ですからsyp徳の面から言えば、進展する高齢化の影響も考慮しなければなりませんが・・・。
 全国の動向では力強い回復基調にあると解説されますが、地方は所得の面で未だ浮揚できないでいると言え、高齢化と少子化が進む中にあっては、生活防衛に走らねばならない面も多く、景気回復の恩恵にはあずかれない姿が見え隠れしていると言えます。

数字で見る高山市の経済①高山市制度融資h28の実績」

2017-07-04 22:52:00 | ノンジャンル


数字で見る高山市の経済①
 高山市制度融資のうち、小口融資と経営安定資金融資についてH28年度までの8年間の実績を見てみました。H20年度はリーマンショック後の影響を反映して、資金需要が伸びた年度でした。
小口融資ではH20年度予算額は補正も含めて8億2千万円、5倍協調融資ですので融資枠は41億円。融資実績は14億8、926万円でした。融資枠に対する融資実績額は36%でした。
 H28年度では予算額5億円、融資枠は25億円。融資実績は6億1800万円。融資枠に対する融資実績は25%となっています。
 制度融資は、「十分な予算額を確保して緊急事態に備える」と以前はよく説明されました。しかし執行率を見ると(融資実績率)、H20年度を除き3割弱で推移することが多かったため、議会は予算規模を縮小して、他の政策経費に充てられる道」を指摘し、H24年度以降予算規模を縮小してきました。それを反映して執行率は39%程度に高まりました。使われない予算は不用額として死に体の政策経費という事になります。H25.26.27と予算が減額されてもそれなりの融資実績が残せてきましたが、H28年度は融資金額がそれまでの約6割まで低下した6億1800万円となり、融資率も25%とガクンと落ちています。
 それではもう一つの経営安定特別資金融資を見てみます。ここでもH20年度では高い資金需要が生まれています。小口融資よりは融資金額も高めで推移し、限度いっぱいの返済期間を利用されることも多いため、その後の資金需要は抑えめであったことが伺えます。それでも東北大震災の影響からH23,24では一つの山が見えます。その後H25.26.27と融資金額も融資実績率も低下していましたが、H28には融資金額が8億9千万円、融資実績率は32%と伸びています。
 H28年度では、小口融資と経営安定資金融資では逆の傾向となっていることが見て取れます。
このことからH28年度は、零細企業にとっては小口の設備投資や積極的な投資活動が控えられ、経営面での資金繰りのための資金需要が増した、大変厳しい年であったと言えるのではないでしょうか。
 観光客の入込数が450万人を越した報告されています。大変観光が脚光を浴びておる面は否めませんンが、その割には市内の景況感は一向に良くならないとも言われます。いわれる補観光の波及効果が市民生活の隅々まで行き届いていないのではないか。
 しばらく数字の面から高山市の現状を見ていきたいと思います。