天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「ももへの手紙@試写会」20本目

2012年04月04日 | 映画感想
「ももへの手紙」

「人狼 JIN-ROH」の沖浦啓之監督の2作目。てかすまん人狼を知らんわ^^;
映画版「甲殻機動隊」の作画監督とキャラデザインやってた方らしいです。
チラシを見るとやたらめったら海外の映画祭に正式出品してますね。ハリウッドに目を止めてもらって
来年辺りのアカデミー賞の長編アニメ部門ノミニーでも狙ってるんでしょうか?^^;

あらすじは
父親を不慮の事故で亡くした宮浦いく子・もも母子は、いく子の古い縁故を頼って東京から瀬戸内海の小島「汐島」へ移住して来た。
母のいく子はヘルパー2級を取る為に引越して来たかと思ったら直ぐに今治に通い始めてほとんどももは相手をしてもらえない。
慣れない土地で戸惑うももだったが不思議な妖怪「イワ」「カワ」「マメ」と出会う。ももにはイワ達の事が見えるのだが、
他の人にはどうやら見えていないらしい。食いしん坊でわがまま放題、でも何とも愛嬌のある彼らには、実は隠された使命があったのだ。
ところでももは父親の死後、父の机の中から「ももへ」とだけ書かれた便箋を見つけていた。実は父親が死ぬ直前に大喧嘩をしていて
謝る事も仲直りをする事も出来ずに死別していたのだ。父親はこの手紙の続きを何と書きたかったのだろうか?

制作はプロダクションI.G(前身はタツノコプロ)、要するに「押井守組」が作ってるって事かな?
でも本作の作画監督はジブリ出身の安藤雅司氏が担当。だから微妙~に「押井風味」と「ジブリ風味」が融合された絵柄になってる。
そんな訳で絵は物凄くいい。風景とキャラクターの動きも物凄くいい。一番良かった頃のジブリを彷彿させる、てかあの頃のジブリより
今の絵の方がずっとずっと動きも何もかもいいんだけど、でもやっぱり黄金時代のジブリと比べくなりますよねぇ^^;

主人公「もも」が田舎の小島にやって来て、そこで謎の妖怪達や島の子供達と出会い、母親とぶつかってみたり妖怪達とちょっと
冒険めいた事もしてみたりしながら、父親の死を受け止めて乗り越えて、また母親の気持ちにも気付き、そして自分の本当の想いにも気付き
体も心も一段成長していく・・・みたいなー。てかオチまで全部書いたーwww

瀬戸内海の田舎の小島が舞台という事で、風景が思いっきり「昭和」してるんですよね。板張りで平屋の和風家屋の建ち並ぶ路地、
コンビニすらなくて「雑貨屋兼食料品店」が島の唯一のショッピングゾーン。
山へ目を転じると延々と続くミカン畑、街のはずれには古い祠のある神社がひっそりと建ち、山の頂上から眺める瀬戸内海の景色の美しさに
目を奪われ、そしてゲーセンもカラオケもない島の子供達の娯楽は橋の上から海に飛び込み水遊びをする事・・・
いやぁ~、コレちょっとやり過ぎだよねぇ?本作あくまでも設定は「現代(平成)」だと思うんですが、それにしては昭和し過ぎw
島の子供達の素朴度がハンパないよ。イマドキいくらド田舎だってガキはDSやPSP位は持ってるだろーよ^^;
携帯電話すら登場しないもんね。逆に21世紀の日本で「家電」しか使わない方が不自然極まりないんだけどな。

と、要するに思いっきりノスタルジックを前面に押し出して「こんな不思議な昭和な島なら妖怪が出て来てもおかしくないよね?」的な
アピールをして来るんですよ。もうむんむんに「昭和妖怪ワールド」w
だから映画全編「どこかで見たような風景」「どこかで聞いたような話」と既視感バリバリ。
何て言うか、「子供成長物語」「親子の絆を取り戻せプロジェクト」の超王道を大手を振って歩いて行く、みたいな感じ。

だから悪いわけがない。見て心がほっこりするし優しい気持ちになれるしいいに決まってる。
でも本当に「いつかどこかで見た・聞いた話」という感は否めない。
昭和な街並みやのどかな田舎の風景には「となりのトトロ」を思い出させるし、クリーチャー仕様の妖怪達の姿や動き、そしてクライマックスの
「嵐の中を妖怪達に守られて疾走するシーン」は「千と千尋の神隠し」と映像が被る。
映画を見ながら常に往年のジブリ作品と見比べてしまう自分がいた。

んー。あんまりジブリを意識し過ぎて鑑賞すると面白味が半減してしまうかもしれないですわね。ここは心をニュートラルにしてフラットな気持ちで
本作を鑑賞するのが正しい方法なのではなかろうかと^^;
ただ、作品自体は映像も内容もとても良かったですよ。ももの吹替えをやった美山加恋ちゃんも、いく子の吹替えをやった優香ちゃんも
本当にお上手だと思った。特に優香ちゃんはあらかじめ彼女が吹替えをやっていると聞かされてなければ判らなかったと思う。

ついでにもう1つ本作の魅力を付け加えると、ちゃんとアニメ好きのロリヲタのツボも心得ていて、主人公のももちゃんは現在小学6年生
という設定なんだけど、微妙~にイマドキの小6よりも子供っぽいロリ風味な風貌で、スク水(スクール水着)のシーンまでバッチリ登場☆
「ちょ、コレは狙い過ぎw」と思いつつも、まあアニメ映画を見に来る層をリサーチするとこういう設定も必要なんだろうなーと^^;

まーそんな訳で「なにこれジブリ丸パク…(コラコラ」とか意地悪な事を考えずに、日本人が一番好きな話を日本が誇るジャパニメーションの
最高スタッフが集結して作り上げた逸品なのだと心して素直な気持ちで鑑賞しましょう。本当に内容も映像も文句なしの素晴らしい出来ですから!^^
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