天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」@6本目

2020年02月03日 | 映画感想
「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」

SWシリーズ8作目の「最後のジェダイ」のメガホンを取った(そしてSW粘着ファンから怒号が渦巻いたw)ライアン・ジョンソン監督の作品。
主演は大大大好き!ダニエル・クレイグ(カッコイイ!)

あらすじ
85歳の誕生日を迎えた世界的ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、その翌日に遺体で見つかる。名探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、匿名の依頼を受けて刑事と一緒に屋敷に出向く。ブランは殺人ではないかと考え、騒然とする家族を尻目に捜査を始める。(Yahoo!Movieから丸パク)

本作はこの手にしては珍しくオリジナル脚本で、しかも本格ミステリなのでネタバレ厳禁なのです。
という訳でレビューなんて書きようがありませんが、オチバレまではいかないもののミステリに関わる重要なヒントを記載する可能性が高いので未見の方は以下スルー推奨
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タイトルの「ナイブズ・アウト」というのはお互いが刃物を鞘から抜いて威嚇し合っているような状態の事を言うそうでして。
刑事がハーラン氏の遺族一人一人に事情聴取すると、どいつもこいつも何か隠し事をしている。
刑事達にはその隠し事が何なのかは分からないけど観ている観客にはハーラン氏と家族それぞれがどんな揉め事があったのかは劇中の再現として提示されている。
まあ要するに「登場人物のほとんどがなにがしか思うところがあってハーラン氏殺害の動機は持っていた」という事。
正に横溝正史やアガサ・クリスティの小説さながらの設定と展開です。

だから、ミステリ好きさんには本作絶対に刺さると思います。自分はめっちゃツボりまくりました!
だけど普段本読まない、ミステリ興味ない、登場人物多いと人物相関図を覚えきれなくて訳わかんない、というタイプの人にはただひたすら眠たくて退屈だろうとw

この手のミステリのセオリーとでも言うのかしらね、
映画冒頭から事件が起こってしばらく、探偵と容疑者達の一通りの遣り取りが続く中でところどころで「ん!」と軽く引っ掛かる部分がある訳ですよ。
それはほんの小さな仕草だったり、登場人物が語るちょっとしたセリフだったり、特に話の筋には関係なさそうなワンカットが差し込まれていたり。
そういうモノが後に種明かしの際にキレイに繋がって「なるほどだからあの時にあのセリフが…」「あのシーンってやっぱり」みたいになる訳です。
本作はそういう「伏線回収」が非常に巧みだったし見せ方も上手かった(ちゃんと観客が引っ掛かるように見せているし、更にオチまでは見渡せない)と思います。

探偵から助手に任命されたハーラン氏付きの看護師マルタのキャラクター設定も秀逸だったと思います。
彼女は絶対にウソが付けない体質で(性格ではなく体質、というトコロがミソ)、ウソを付くと自然に吐き気を催して吐いてしまう、という体質。
だから必死でウソを付くんだけど我慢しても我慢しても最終的にはやっぱり耐え切れずに吐いちゃう…コレがクライマックスでいいオチを付けて来ます。
彼女は移民の母子家庭で貧しいながらも一生懸命アメリカという新天地に根を下ろそうとしている。そういう背景も本作の重要なキーになっています。

登場人物達がそれぞれ胡散臭く魅力的に描かれていて、誰が真犯人であっても納得出来るキャラクターだったと思います。
まあ中でも特に秀逸だったのはハーラン氏の孫(長女の子供)のランサムを演じたクリス・エヴァンスかなーやっぱり。
彼は「キャプテン・アメリカ」が当たり役で、というかそれしか自分認識がないんだけど(苦笑)でもキャプテン・アメリカとはぜーんぜん似ても似つかないキャラでw
これはダニエル・クレイグにも言えるけど「超当たり役が付くとそのキャラのイメージが固定してしまって他の役を演じられなくなる」というジレンマが役者には度々あるだろうけど(それはそれで役者冥利に尽きるとも言えるだろうけど)お二方共本作で実に上手く「自分の当たり役キャラ」から脱却していたと思います。

ところどころやや強引なくだりもあったものの(例えば、検視報告書を手に入れるくだりで〇〇の妹がたまたま某所の受付をやっている、と後出ししたりね)
概ねソツのないプロットでミステリとしても非常に見応えのある作りだったと思います。
何より…やっぱりダニエル・クレイグがとにかくカッコイイ!この人本当にいいわー♪ステキだわー♪
嬉しい事に、本作は上手いネタさえ考え付けば今後「名探偵ブノワ・ブランシリーズ」としてシリーズ化も充分可能な作りだという事です!!シリーズ化激しく希望!!!

ラストシーン、あのマグカップは洒落てましたね。本作は絵的にもなかなか洒落ていて好感の持てる作りでした。
ライアン・ジョンソン、SFよりもコッチ系撮ってる方が絶対に上手いよ!うん!!

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