天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「シングルマン」

2010年10月22日 | 映画感想
「シングルマン」

元グッチのデザイナーで今は自分の名前でブランド持ってるけど・・・稀代のデザイナー、トム・フォード初監督作品。
ヴェネツィア国際映画祭でコリン・ファースが最優秀主演男優賞を受賞したのも記憶に新しい。

実は本作、先週金曜の昼に見に行く予定してたんだよね・・・車上狙いに遭って行けなかったんだけど。
で、今日夕方になってダーから「夕飯いらない」って電話が掛って来たので、急遽夜の回を見に行って来た。
金曜の夜なんてガラガラだろうと思ったら、結構映画見に来る人っているんですね。
私みたいに1人で見に来てる人も結構いたし、お友達と2人で見に来てるケース等もあったわ。

あ、脱線脱線・・・映画の話ね、はいはい^^;

映画の時代設定は1960年、キューバ危機に揺れるアメリカ・カリフォルニアが舞台。
主人公(コリン・ファース)は大学教授、彼は当時ではかなりのマイノリティ(今でもか)であるゲイで、
16年連れ添った、退役軍人で建築家のパートナーを先頃不慮の交通事故で亡くしたばかり。
唯一無二の愛するパートナーを失って悲しみに打ちひしがれる主人公は自殺を決意、
身辺整理をしながら過ごす「最期の1日」を淡々と描いています。

こう・・・何て言うのかな、
「今日でお終いだ」と思いながら1日を過ごしていると、何もかもがノスタルジックに感じられて
何もかもが感慨深く、そして何故か普段ではしないような大胆な事も出来てしまう・・・
そんな事ってないですかね?あ、いや、自分自殺を決意して1日を過ごした事がないから判んないんだけど^^;

まあ、そんな感じの1日を主人公は過ごす訳です。

トム・フォードだけあって恐ろしい程スタイリッシュ!
主人公の自宅なんて1960年代に設計されたとは思えない程クラッシック・モダンでオシャレ!!
着ている服やカバン、靴、小物の細部に至るまで本当に溜息出る程ステキ!
室内内装や服飾・小物系に関して言えば、主人公と同郷(ロンドン)の「若かりし頃の元カノにして現在は親友」
であるチャーリー(ジュリアン・ムーア)の自宅や服装もすっげーオシャレだった!
ところでジュリアン・ムーアの肩から二の腕にかけてビッシリまだら模様になったシミがめっちゃ気になるんすけど!
あの調子だったら多分背中も一面シミだらけだろ。いや~白人の肌劣化ってめっちゃ怖い~!

あーまた脱線。でもジュリアン・ムーアのシミはマジ半端なくてさ、映画ドコロじゃなかったよーう^^;

まー本作はね、コリン・ファースの演技一人勝ちでしょ。
物凄く抑えた演技なんだけど、ほんの何気ない目の遣り方やかすかな仕草だけで何も語らずに
この主人公の絶望や孤独、そして自らが定めた「最期の一日」に引き寄せたサプライズに酔う姿を
実に瑞々しく、そしてセクシーに見せてくれる。

私はゲイでもバイでもないから「同性愛者的な視線」ってのがよく判らないんだけど、
よく同性愛者の方々って「同じ嗜好の人は目が合えば判る」とか言いますよね?
本作のコリン・ファースを見てると「ああ、こーいう事か」って何だか判った気になっちゃうんですよ(笑)
いやそれ位コリン・ファースの演技は凄かった、って事が言いたい訳で。

彼の一人語りのナレーションもとてもいい。
本当に「コリン・ファースの凄さを改めて見せつけられた」って感じの作品。
コメント
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