ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

Cashmere jacket & Light weight coat

2010-10-30 04:00:00 | 白井さん




 雨が続きますね~・・・そして、さ、寒い!いきなり秋が終わってしまったような寒さです!ところが明日は関東地方に台風が上陸するとのこと(汗)。強風、雹が降る、といった予報も出ているようです。いったい今の季節はいつなんだ!?という今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか(苦笑)。

   

 この撮影日もやはり一日ずっと雨。そんな天気を逆手に取り、この日は足元に最近新たにワードローブに加わったウォークオーバー(米)のデザートブーツを敢えて選択された白井さん。

 『こういうのこそ雨に履いて“痛めつけ”ないとね。』

 とのこと。いつもピカピカに光らせた靴を履かれる白井さん。ですが、おろして間もない靴のピカピカさはやはり些か気恥ずかしいのだそうです。

 『今日は“邪道”。普通は絶対に“ありえない”合わせ方だけどね(笑)。』

 デザートブーツはやはり綿のパンツなんかに合わせるもの、とのことでした。そういえば、白井さんはこの形の靴は必ず“デザートブーツ”って呼ばれてますね。

 『デザートブーツは二つ穴が好きなんだよね。』

 なんてことも仰っていたことがありました。

   

 この日の横浜の最高気温は12℃。急な寒気の到来で、私などは朝、思わず冬のコートに手を伸ばしそうになりましたが、白井さんは慌てず騒がず薄手のコートをサッと羽織って済まされていました。私が、

 『それでは寒くありませんか??』

 と伺うと、

 『全~然。』

 と、軽~く仰っていました(笑)。急場凌ぎとはいえ数ヶ月ぶりのコート姿の白井さん。もうすぐ本格的なコートの季節がやってきますね。



THE FLANNEL

2010-10-28 04:00:00 | 白井さん


 The Man in the Grey Flannel Suit

 かつてビジネスマンの服はドブネズミ・ルックと 呼ばれていたことがあった。漢字で灰色と書くと暗く冷たいイメージになるが、これがグレーのフランネルとなればこれはもう身も心も暖かくしてくれる冬服の定番となる。

 男の服にはこうでなければという頑固さが欲しいものである。寒くなればそれなりのマテリアルを選びたいもの。巷でいうウォームビズは大歓迎!

 得体の知れぬスリーシーズンなるもの、これはいけません。諸兄の皆様にはフランネルのスーツをビシッと身に纏っていただきたい。

                         ~信濃屋さんのHPより

   

 この項“白井さん”の撮影もいよいよ日没との競争が始まってきました。上一番左の写真はカメラの感度を上げて撮影したもので、実際は2枚目以降がより自然な条件に近いものです。この日はあいにくの曇り空でもありましたが、今までに比べ画像が暗くなってきているのは一目瞭然。如何に陽が短くなってきたかが判ります。

 そして、季節はここにきて慌しくその歩を早めてきたようで、ここのところ寒さが急激に増してきました。

 今日は“Just! Flannel gray!”フランネルのスリーピースの登場です!

     

 Grey Flannel 3piece suit DB, Wide-spread collar shirt, Big paisley tie, White linen pocketkerchief, and Suede brogue shoes with stitch“Benti Vegna”.

 
 冒頭の一文は信濃屋さんのHPの中で私が特に好きな項『THE FLANNNEL』(2007・12・12掲載)から引用させていただきました。

 白井さんは日頃よくこう仰ることがあります、

 『“何でもいい”はいけない。』

 と。ですが一方で、

 『好きなように着ればいいんだよ。』

 と仰ることもあります。う~ん・・・(汗)。

 先ほどの言葉を、前者は“こだわり”、後者を“自在”、と別の言葉で表現してみればどうでしょう。どちらの言葉も白井さんがよく使われる言葉です。

 自分だけにしか判らない、他人が見れば些細なこと。でもそこに自分なりの“こだわり”を持つ。

 『そんなところ誰も見ていないんだけどね(苦笑)。』と、笑い飛ばしつつ、

 『でも、一度は“そこ”を通らないと駄目なんだよ(笑)。』と、仰る白井さん。本当に服が好きな人は皆さんこの言葉に頷かれるようです(笑)。

 “服が好き”

 私如きがこんなことを申し上げるのは本当に口幅ったいのですが、白井さんはその道にずっとこだわり続けてこられています。このブログでご覧戴いているのはそのほんの一部分、極々僅かに過ぎません。このブログでは到底お伝えすることは不可能な膨大な経験の積み重ねがあり、“自在”とはその上に在る世界では?なんて思っています。

 些か抽象的な筆になってしまいましたが、今回は、この撮影日の信濃屋さんで、この日初めてお会いした或る一人の学生さんへ、私がこれまでに知りえた“白井さん”について、もの凄く掻い摘んでですが、お伝えしたくて老婆心ながら書かせていただきました。この日が信濃屋さんデビューの、まことに爽やかな好青年でした。



Glen check jacket

2010-10-23 04:00:00 | 白井さん


 横浜馬車道。

 このノスタルジックな地名を私が初めて知ったのは小学生の頃、かの桑田圭佑氏作(唄は俳優の中村雅俊氏)、大人の揺れる恋心を綴った名曲『恋人も濡れる街角』の一節を聴いた時だったと思います。

 ♪ああ 時折雨の降る 馬車道あたりで待っている♪

 子供だった私にはこの歌の世界、その意味するところはさっぱり判りませんでしたし(笑)、“馬車道”というのが“地名”だということが判ったのもかなり後のこと。ただ、何となく子供心にも詩情を揺さぶられるものがあったのか、そしてそういうものほど年月を経ても変らず残るもので、今でも私にとって馬車道は大人の居る場所、そして、勝手な思い込みに過ぎませんがこの街には不思議と雨が似合うような気がします。この日はちょうどそんな空模様でした。

  

 今日の“白井さん”はグレンチェックのジャケット。

 大ぶりな柄と茶の絶妙な色合いがたいへん素晴らしいこの服を私が初めて見たのは信濃屋さんのHP上でした。以来、このジャケットと大胆且つ洗練された白井さんの着こなしは私の心を捉え続けています。白井さんご自身もこのジャケットについて、

 『肩の辺りがほわっとしていて気に入っているよ。色も良いよね。』

 と仰っており、恐らくお気に入り度の高い一着と思われます(笑)。今回は色使いを秋らしく、エクルーのオックスフォードBDにマットな質感の無地のシルクタイ、タイと同系色のペイズリーのチーフ、やや濃い茶のギャバディンのパンツ、靴は中茶のセミブローグ、と全体的に色調を抑え落ち着いた雰囲気を漂わせた着こなし。

       

 今日の白井さんとのお話は、大人の男の代名詞“ロマンスグレー”の髪について。

 私、   『実は以前、天神山のIさんから伺ったことがありまして、それ以来ずっと伺ってみたいなと思っていたことがあるんですけど、白井さんは昔から“早く白髪になりたいなぁ”と仰っていたと・・・(ややビビリ気味に)。』

 白井さん、『そうそう(笑)。でもなかなか白くならなくてね(苦笑)。紺のスーツって最初は嫌いだったんだけど、学生服の延長みたいでしょ(笑)。でも、いつからか紺も良いなぁって思うようになって、でも髪が黒いうちだとねぇ。髪が白いと何でも合うでしょ、紺や臙脂が綺麗に着られるなぁってね。歳をとれば黒髪であれブロンドであれ、どんな人でも髪は白くなって、洋服も欧米の人達と同じ条件で着られるのが面白いよね。』

 このお話、白井さんはさらっとお話されていましたが、私は、特に最後の一文に、凄く深~い“何か”を感じました。残念ながら今の私にはその“何か”について上手に語る術も、またその資格もありませんが、いつの日かそれが心から理解できる時が来るならば、私も自分を“大人の男”と呼べるのかもしれません。





Dark gray stripe suit

2010-10-21 04:00:00 | 白井さん


 今週に入ってからの急な冷え込みでここ数日体調を崩しておりました(苦笑)。季節の変わり目は要注意です(汗)。

 私のことなどはさて置き、大人の男の着こなしを大いに楽しむ季節に突入してまいりました。今日の“白井さん”は素材、色使い共にもうすっかり秋の雰囲気の大変クラシカルなストライプスーツの着こなしです。 

  

 スーツはA・カラチェニ(伊)。白井さんは殊に肩の辺りの柔らかい雰囲気を気に入られている服です。シャツはブリーニ(伊)、硬いジャガード織り、クラシカルな意匠、臙脂とも紫とも見て取れる微妙な色合いが美しいタイは恐らくフランコ・バッシ(伊)。この組み合わせの足元に程よい色加減の茶のスウェード一文字を持ってくる。まさに“白井流”の真骨頂ともいえるスーツスタイルです。

     

 今回の白井さん語録から・・・。

 『秋冬が好きな理由は何と言っても紡毛の服が着れるから。ツイードやフランネルの独特の質感が好きなんだよ。本当の服好きっていうのは大概紡毛の服が好きなものだよ(笑)。それにコートも着れるし、帽子も被れるし、マフラーも手袋もできる・・・小物が活躍するからね。夏は服しかないからさ(苦笑)。』

 秋が深まり始めて、白井さんも少しお気持ちが高揚され始めてきたような、お近くで拝見しているとそんな気がしています。私もこれからの季節が楽しみです(笑)。きっと皆様もそうなのでは?



Blue blazer DB

2010-10-16 04:00:00 | 白井さん


 『もう10月だっていうのになかなか涼しくならないね~。』

 と、白井さんも呆れるほど、はっきりと“秋!”といえるような晴れやかな気持ちになる陽気がなかなかやって来ませんね。このブログをご覧の洒落者の皆さんも既に衣替えはあらかた済まされ、気分的には秋冬の装いを楽しみたいのにその一歩手前で足踏みするもどかしい日々をお過ごしではないでしょうか(笑)。

 さて、今日はそんなお洒落の中・上級者の方々にとっては“当たり前”の話題になってしまうかもしれませんが、今回はこれから本格的に大人の男の着こなしを身につけようとされる若い方の為に白井さんからアドヴァイスをいただきました。この話題は以前、セパレートの重要性について白井さんにお話を伺った際に派生的に出たお話だったのですが、大変興味深いお話だったので今回は“もし未だ一着も(紳士)服を持ってない若い人がこれから揃えるのなら?”という主旨で私が伺い直したテーマです。

 

 私、   『白井さん、やはり最初は10着くらいは必要でしょうか?』

 白井さん、『10着!?そんなに?(笑)』

 私、   『え!?多いですか?(汗)』

 白井さん、『3~4着あればいいんじゃないの(笑)。やはり最初はグレーと紺だろうね。』

 私、   『それはスーツですか?』

 白井さん、『そうだね。でもそれよりもシャツとネクタイを多めに揃える方が大事だよね。まあ一週間で考えると、シャツは5~7枚、ネクタイは10本くらいかなぁ。』

 私、   『シャツはやはり白ですか?』

 白井さん、『昔は白しかなかったけどね。でも今はそんなこともないから別に白一辺倒じゃなくてもいいんだろうね。靴も最初は黒が良いね、オックスフォードで。ベルトも黒だね。』

 以前白井さんはこうも仰っていました。“服を2~3着、シャツ数枚、ネクタイ数本、それだけでも組み合わせを単純計算しただけでかなりのヴァリエーションになる。いろんな組み合わせを試してみた方がいい”と。

 白井さん、『次はネイビーのブレザーとグレーの替えズボンだろうね。その次に何かジャケットを一着かな。スーツにしろジャケットにしろ最初のうちはシングル(ブレスト)で揃えた方がいいね。慣れてきたらダブル(ブレスト)も良いね。それと小物を少しずつ揃える。チーフ、靴下、スウェーター、ベスト、マフラー、手袋・・・あ、あと最初にレインコートを一着だね。昔は“ダスターコート”なんて言い方もあったんだけど、バルマカーンの襟の、まぁ何しろ雨・風・陽射し・埃、全部凌げるから。昔のバーバリー(英)のポスターみたいなやつね。オーバーコートも良いんだけど、今はそれはどちらかというと“お洒落着”だからねぇ。』

   

 白井さん、『まぁ最初はそんなところじゃないかな。後は徐々に万遍無く揃えていけばね。』

 私、   『ありがとうございます。でも、こうして文字にしてみると男の服の基本って種類が少ないですよね。』

 白井さん、『そう。少ないだけに奥が深い。グレーと紺ってひと口に言ってもいっぱいあるよ~そのどこを選ぶかは全てその人次第(笑)。』



 始めた当初は、白井さんや信濃屋さんをよくご存知の方を中心にご覧戴いていたこのブログ。お陰さまで最近はアクセス数も徐々に増え、コメントも紳士服に興味のある男性のみならず、老若男女問わず様々な方から頂戴しています。“もしかしたら10代、20代のこれからの紳士も観てくれているのかも”と思い立ち、今回はこのような運びとなりました。こうしてこのブログを続けていると、“もし、私がその年代の頃に白井さんにお会いしていたら?”なんてことを考えることが度々あったものですから(笑)。

 今回はじっくりお話を伺えた代わりにちょっと写真が少なかったですね(汗)。ちょっぴり反省。



Brown stripe suit

2010-10-14 04:00:00 | 白井さん


 秋の長雨に時折晴れ間が覗く空模様が続き、それに合わせて気温も上下する今日この頃。今回の撮影日も朝から静かな雨が降り続き最高気温はいよいよ20度を下回り始めました。今日の白井さんは落ち着いた色合いの茶の縞の背広姿。起毛系の服の出番が少しずつ増え始めてきました!

 『今日は何の話にする?』

 と、この日は早速にお尋ねくださった白井さん。ですが、粗忽者の私の頭の中はノープラン(汗)。慌てて思考回路をフル回転させ、過去に気になった白井さんの着こなしについてのあれこれの中から、この日私が選んだのが“ pocket kerchief”について・・・

 私、   『白井さん、いつも拝見していて思っていたのですが、チーフの挿し方は何か“白井さん的決め事”はあるのですか?』

 白井さん、『何も無いよ。無造作に“ひゅっと”入れちゃうだけ(笑)。』

 私、   『ええ~!“無造作”ですか??』

 白井さん、『そう“無造作”。』

 むむ~・・・“無造作”・・・。やはりポケットカチーフというあしらいには意図的に飾り立てたような“あざとさ”が見え隠れしてはいけないのでしょうね。ただ、そうは言ってもその境地に達するには何万回もの“無造作”を繰り返さなければならないような気もします。“無想剣”ならぬ“無造作絹”・・・まるで剣術の達人のお話のようです(汗)。

 白井さん、『あと、色はネクタイとは基本的にあまり合わせたくないよね。そういう風にすることも時と場合によってはあるけど。あの、ネクタイとセットになって売ってるやつあるでしょ?』

 私、   『あ、ありますね。共生地になってるやつですね?』

 白井さん、『そうそう、あれは嫌だよね(苦笑)。』

 因みに、この日のドットのチーフは。白井さんが学生時代に日本橋高島屋でお求めになられたものだそうです!!

     

 その後、信濃屋さんの今期お薦めツイード生地多数を見せていただきました。他ではなかなか見かけない色柄やゴリゴリとした厚めの生地群は、ツイードを着慣れた洒落者の諸兄に喜ばれそうなハイレヴェルなものばかり。ツイード初心者の私などは拝見するのもちょっとびびり気味だったのですが、

 『だめだめもっと見ないと。俺なんかいつまでも飽きずに見ちゃうよ。』

 と、すかさず白井さんの“教育的指導”が!そして、何をどう見ていいのか判らず自信なさげな様子の私に白井さんは、

 『自分の好みでいいんだよ。』

 と教えて下さいました。

 きっと白井さんは、矯めつ眇めつ生地を眺め、触り、と同時にご自分の好きな色柄の服で様々な着こなしを想像されるのでしょう。“本当に服が好きな人”というのはそういうものなのだそうです。



Blue blazer with sterling silver buttons

2010-10-09 04:00:00 | 白井さん


 セパレート・スタイル・・・着こなしを楽しむこと、またコーディネートを学ぶ上で普段から積極的に取り入れたいジャケット&パンツ。なかでも主役として人目を惹く上半身を占有する“ジャケット”は、スーツと共にこの項でも毎回タイトルにその名を冠する華やかな存在。ですが、それに比べると下半身を支える“パンツ”は、全体の占有率ではジャケットに次ぐ大きな分量があるにもかかわらず、ついつい見過ごされがちな地味な存在。

 今日は白井さんのお話を受けての“パンツ考”です!

  

 『(ア・)カラチェニなんかはやっぱり履き心地が良いよね。股上が深くて、“くり”がいいんだよなぁ、ウェストの収まりも良いしね。やはりカットが一番大事!縫製なんかよりもね。ただパンツって難しいよね、上半身よりも下肢の動きの方が、立ったり座ったりしてはるかに多いからね。でも何故か疎かになってる。まず、値段が安い。シャツなんかもそうだね。ジャケットは何十万円もするのがあるのにパンツはせいぜい数万円でしょ?パンツ(既製品)のハンドメイドなんて殆ど無いしね。』

 白井さんは、感覚や感性といった部分を磨くのに最も大切な10代~20代の頃に、既製服以前の仕立て服の時代をご経験されています。当時の仕立て服はまさに“英国そのもの”といった感じで、本場の服作りを、良い意味で、そのままコピーするように“しっかりとしたものづくり”をしていたそうです。当然全てハンドメイド。

 白井さんは、既製品のパンツはそれらが世に出回り始めた当時から既に金額面で低く抑えられていて、それが現在も慣行として続いていることが、パンツが疎かにされている大きな要因の一つだと思われているようでした。やはり最初の価格設定が低く抑えられてしまっていては作る側のこだわりにも限界があるのでしょう。また、買う側にも最初から“たかがパンツ”という意識が濃厚にあるのかもしれません。

 売れないから作らないのか、作らないから売れないのか、“卵と鶏どちらが先か”という問題に似ていますが、やはり金額的な扱いには作る側・売る側・買う側の意識が正直に反映されているのでしょう。もちろん私だってパンツがそれほど大事なアイテムだとはつい最近まで全く知りませんでした。

 70年代初頭、白井さんが欧州へ仕入れに行かれるようになった当時のこととして、作りの良し悪しはまた別問題として、シャツやパンツの金額が日本に比べて高かったことはちょっとした驚きだったそうです。やはり日本と欧州ではシャツやパンツといった準主役級アイテムの扱いに違いがあるのでしょうか。ちょっと文化人類学的な難しいテーマになってしまいそうなので私には扱いかねますが、ここには洋服を着こなす上での重要な“鍵”が潜んでいそうです。

   

 白井さんは、

 『勿論、人それぞれ好みがあるし、体型だって違うし、時代によって多少の流行の違いもあるけれども・・・』

 と前置きをされつつ、

 『やはり全体のバランスが大事、極端なものは避けた方が良いだろうね。極端に細いだとか、極端に丈が短い、とかいうよりは、やはりある程度は裾幅や渡りはあったほうが良いだろうし、丈もワンブレイクくらいはあったほうが良いと思う。その方がエレガントなんじゃないかな。例えば膝下丈くらいの重たいコートを着た時なんか、その下に見えてるパンツが細くて短かったらちょっとバランスが良くないもんね。』

 と、仰っていました。

 リヴァース・ツープリーツ、やや幅広のダブルの裾、といった“白井流”の代名詞的な(といっても私が勝手に自分の中で代名詞にしているだけなのですが)ディティールについても伺ったところ、

 『別に“何が何でも”ってわけじゃないよ(笑)。ウェスタンスーツなら当然ノープリーツだし、例えばツイルっぽい素材、キャバルリーツイルだとかカヴァートクロスなら裾はシングルだっていいだろうしね。軽い綿のパンツなら裾幅、渡りなんかは多少細めにしたり、フランネルだったら裾の折り返しはある程度ボリュームをもたせたり、全て“素材によりけり”だね。あ、でもストレッチ素材?あれは嫌だね!膝が伸びちゃって気持ち悪いんだよ。』

 とのこと(笑)。



Glen plaid suit

2010-10-07 04:00:00 | 白井さん


 今日はグレンチェックのスーツ!

 と、いつもの調子で始めたいところですが、この日の白井さんは多忙を極められていて、今回は立ち姿のお写真をなんとか撮影させていただくのが精一杯。それでも白井さんはお忙しい最中にもかかわらず、この項の撮影のために貴重な時間を割いてくださいました。白井さん、本当にありがとうございました!

 なんとか撮影をさせていただきホッとしましたが、先ほど試みにこのブログ“白井さん”にいったい今まで何枚の写真が掲載されたのか数えたところ、優に1000枚を越える写真が掲載されていました。更に言えば、シャッターを切った数はその何十倍にも上ります。改めて白井さんのご好意、その有難さが身に滲みました。

 今回は余計なテキストも無しにします(笑)。今日は早めに休んで明日の撮影に備えたいと思います、では。

   



Gun club check jacket

2010-10-02 04:00:00 | 白井さん


 女心と秋の空、もしくは、男心と秋の空。この時期は高気圧と低気圧が交互に入れ替わり前者が空高い晴天を、後者がそぼ降る雨を運んできます。一雨一度、空模様が変るその都度気温が少しずつ下がり、空気も少しずつ乾いてきます。先日の朝、私の職場の窓からは、夏の間は濃い水蒸気が視界を遮って見ることができなかった富士山を拝むことができました。

 この日の横浜は秋雨。そんな空模様に合わせてでしょうか、今日の白井さんは色調を抑えたジャケットスタイルです。

   

 私の勝手な予想では、この日の着こなしは恐らく靴から決められたのではないかと思います。

 『雨なんかびくともしないよ(笑)。』

 と仰っていたこの靴はノルベジェーゼ仕様のウェルトが異彩を放つ、シルヴァーノ・ラッタンツィ(伊)のセミブローグ。ぎっちり幾重にもめぐらされたステッチが雨水の浸入をいっさい許さない優れものなのだとか。

 雨の日には心強い味方となるこの靴の、もう一点白井さんが気に入られているところはその独特な色。甲革は購入時“インカス・ジャロ”と呼ばれる黄味がかった明るい茶だったとのことで、通常はライトタンの靴墨で磨いても、やはりある程度赤みがかってしまうのは避けられないそうなのですが、そこは白井さんが独自のテクニックを駆使して少しずつ現在の“黄土色”に仕上げたそうです。実に渋みの効いた色、そして艶です。

 靴の渋い色に合わせたかのように、今日は渋い色を組み合わせたチェックのジャケットとオリーブのギャバディンのパンツ、という上下の組み合わせです。ストライプのシャツ、縞のタイ、ペイズリーのポケットカチーフを大ぶりに胸元へ。“パターン・オン・パターン”ですね!と言いたいところですが、白井さん曰く『“パターン・オン・パターン”ならやはり“縞・縞・縞”とか“チェック・チェック・チェック”といった同じ柄同士の組み合わせをそう呼びたいよね。』とのこと。う~ん、なるほど~!

 大部をグリーンで統一されたこの日の着こなし。最後に悩まれたのは靴下の色だそうで、何種類かのグリーンのソックスを合わせてみたそうなのですが、

 『どれも“色相”が合わなかったんだよね。』

 とのことで敢えて臙脂に。以前、白井さんは靴下にはかなり気を使っていると仰っていましたし、靴とパンツの間にあるアイテムとしてその“繋がり”方が重要であるということも仰っていました。世を見渡してみれば紳士の足元は黒か紺の靴下が殆どなのに・・・凄いなぁ(笑)。