ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

焼きたてパン

2008-09-15 08:59:01 | お気に入り


 最近、我が家のごく近所に石釜焼きのパン屋さんがオープンしました!

 『Boulangerie Bonheur』というお店です。


 
 私は休日になるとこのパン屋さんに開店と同時に赴き、焼きたてのパンを購入するのがお決まりとなってしまい、すっかり顔も憶えられてしまいました苦笑。運が良いと石釜からまさに焼きたてほやほやのパンを直接手渡してもらえてとってもラッキー!そのときの私の心境はさながらローマ文明に感化された辺境の古代人のよう笑。



 私のお気に入りはバケット・ドラディッショナルとクロワッサン。バケットは皮がカリッとして分厚くて中身がもっちりと重たい本場フランス風の味。クロワッサンは豊かなバターの風味が特徴。よく冷えた牛乳を脇に、まだ暖かいうちにそのままかぶりつきパン屑を撒き散らすのが私のスタイルです笑。

 あまりに美味しいので、先日、職場にも持って行って同僚たちと一緒に朝食代わりに食べ、とても喜ばれました。上司曰く、『焼きたてのパンか~・・・本当の贅沢だな。』・・・なるほど~笑。


Fugee

2008-09-08 11:04:48 | お気に入り


私が生まれ育った町・渋谷の外れ、閑静な住宅街にひっそり佇むオーダーメイドの鞄屋さん『Fugee』さんです。



 二度目に訪問の際、店頭に飾ってあったスエードの抱え鞄の、こういう言葉は滅多なことでは使わないようにしているのですが、『芸術的な美しさ』に心の底から魅了された私は、帰った後も次の日も、目に焼きついたその鞄の映像が頭から離れず、そのまた次の日『Fugee』さんを訪れ、オーナーで鞄職人である藤井さんに無理を言って写真を撮らせていただきました。



 シンプルな曲線と直線で構築されたデザイン。肉厚で上質な革の質感。堅牢な持ち手と均一で繊細なステッチ。丁寧に処理されたコバ。鈍い輝きを放つ真鍮の錠前。これほど人の手のぬくもりを感じる完璧に美しい鞄を私は他に知りません。『命が宿っている』といっても過言でないのではないでしょうか。



 鞄の作りの詳しいことは素人の私にはわからないのでお店のHPをご覧になっていただきたい、といつもなら言いたいところなのですが、HPには必要最小限の記載事項があるだけ。藤井さんは控えめにこう仰っていました『やはり鞄はじかに手にとって感じてほしい』と。



 また、『Fugee』さんはオーダーメイドでの製作を基本とされているので、お客様と藤井さんがデザインのこと、素材の選定などあれやこれやと語らいながらまさにゼロから鞄を生み出す場所といえるのではないでしょうか。藤井さんはこうも仰っていました『同じ鞄ばかり作っていては・・・笑』。



 『Fugee』さんは鞄屋さんですが、お店の雰囲気は完全に『工房』といった趣です。お店の内装は鞄同様すべて手作りで、藤井さんがかつて工房を構えていた国立市在住の画家や彫刻家といったご友人達(国立時代の『Fugee』は近在の芸術家さん達の溜まり場のようになっていたんです、と藤井さんは苦笑いなさっていました笑)が手掛けてくれたそうです。



 お忙しい中にも関わらず、藤井さんは『この床材は無垢の真鍮なんですよ!』とか『この陳列棚は彫刻家が作ったんです!この脚はのこぎりでこ~削って』とか『この鏡は国立時代の作業机を転用したものなんです!』と熱心に、そしてなんだか楽しそうに説明してくださいました。



 他にも鞄を縫製するときに使う『馬』という呼び名の作業道具を見せて頂いたり、店内の光量では心許ないのでは、と自ら鞄を手に屋外での撮影に協力してくださったりして、まだ顧客でもない私は恐縮するばかりでしたが、また嬉しい限りでもありました。



 ただ残念なのは私の撮影技術が拙すぎてそれらの写真がお見せできる状態ではなかったことです涙。今回ほどもっと写真の勉強をしなければと痛切に感じたことはありません。藤井さんごめんなさい汗。



 もちろん他にも素晴らしい鞄の数々が陳列されていました。鞄がお好きな方は是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。



 これは蛇足ですが、私はまだ若いころ、S先生という壮年の洋画家を慕い、S先生がアトリエを構える国立市にしばらく住んでいたことがありました。初めてS先生のアトリエを訪れたのは暑さの残る夏の終わりでした。古いアパートの一階にある、やっぱりすべて手作りのアトリエで庭側の一面は全部開け放ち、晩夏のやや強い日差しが木造の室内に強い陰影をつくり出していました。畳を全て取り払ったむき出しの床が軋む音、壁に立てかけられた100号の書きかけの絵、静かに鎮座するイーゼル、絵の具で汚れた机や椅子の匂い、巻かれた画布の白い色・・・S先生は、奥様に伺ったお話では、絶対に他人をアトリエに入れない方でした。あのときの情景はいまでも私の胸にはっきりと刻み付けられています。『物を生み出す場所』とはこういうところなのか・・・と。S先生に頂いたH型イーゼルは今でも私の大切な宝物です。



 『Fugee』さんにもなんだか同じような匂いがしました。私の勝手な思い込みですが苦笑。



 以下は後日談です。2008年12月に思い切ってこの鞄を購入しました。未熟者の私には分不相応な鞄だということは重々承知していましたが、Fugeeさんの鞄や小物を愛用されているお一人、横浜・信濃屋の白井さんの『心に響く物と出会えば無理をしてでも買うべき。』『若いうちは目いっぱい背伸びをしなさい。』という言葉(直接言われたのではありませんが)に背中を押されました。

 そして藤井さんはこう仰っていました・・・『この鞄は実は白井さんをイメージして作った鞄なんですよ。』と・・・私が白井さんに憧れ、白井さん経由でこのお店を訪ねるようになったことをご存知であったにも拘わらず、そう仰ったのは私がこの鞄を購入する旨をお伝えしたその後でした。藤井さんの人柄を如実に現すエピソードとしてここに書き留めておきます。Fugee鞄を所有できることは無上の嬉びですが、それと同じくらい藤井さんという偉大な職人さんに出会えたことも私にとっては嬉しいことでした。


 



 FugeeさんのHPです→http://www.fugee.jp/