信濃屋オリジナルのレインコート“RIDER”です。本来は春先、まだ冬の寒さも残る氷雨降る時期に活躍するコートなので少し季節外れでのご紹介ですが、このコートに限っては『雨が降っていなくても着れる数少ないレインコート』と言っても過言ではないかもしれません笑。そして、このコートは私の記念すべき信濃屋デビューの品でもあります。
先日アップしたクラッシック・ローデンコートを昨年購入した際、天神山・店長のIさんが私にお薦めしていたコートが実はもう一着ありました。
このブログに頻繁に登場するIさんは、実はかつて30年近く横浜・信濃屋さんに在籍・ご活躍された、大変な“服飾経験値”をお持ちの方です。Iさんが私に話してくれたお話では、信濃屋さんが英国・バーバリー社のコートを取り扱っていた当時(現在は取り扱いはしていないとのこと)、かの有名なトレンチコートと並んで(ひょっとするとそれ以上に)優れた綿ギャバディンのコートがあったとか・・・。
“ライダー(RIDER)”という名を持ったそのコートはバーバリー社が乗馬用レインコートとして製造していた綿ギャバコートで、フォルムは世間で言うところの『ラグランスリーブのステンカラーコート』なのですが、秋冬の日本の巷に溢れかえっているそれとは明らかに一線を画した、Iさん曰く『本当にカッコイイ!』バーバリー社の名作の一つだったそうです。
そして近年、信濃屋さんがそのライダーへのオマージュを込めてオリジナルで作製したコートがあり、冒頭のIさんお薦めのコートがその信濃屋オリジナル“RIDER”コートでした。Iさんは今も月に2回程信濃屋(元町店)さんの店頭にも立たれているので『一度見に来ると良いですよ』と私に提案してくれました。ただ、Iさんのお話で『そのコートは所謂“玉虫色”の綿ギャバディン』というのを聞いて、粗忽な私は実物を見もしないうちから『うわ!オジサンコートだ・・・』と勝手に決め付けていました苦笑。
ただ、このブログにコメントを下さるderekさんのブログ『でれくの日記』を当時から愛読していた私は、『でれくの日記』の中に頻繁に登場する『横浜・信濃屋』という洋品店にかねがね興味津々でもありましたので、これは良い機会!とIさん&信濃屋さんを訪ねることにしました。一年前の12月のことです笑。
私を快く迎えてくれたIさんは早速この“RIDER”をご自身で羽織ってみせて『ね!いいでしょう~』と私に見せてくれました笑。実はIさんご自身も購入を考えていたほどの大層お気に入りの品だったようなのですが、そのコートを見た瞬間、私は“オジサンコート”と敬遠していたその玉虫色のギャバディン生地が放つ独特の渋ぅ~い光沢に完全にノックアウトされてしまい、その場で購入を決意していました笑(残念ながら、今回の撮影ではその色味は上手く表現しきれませんでしたが、実物の色はグレーっぽいオリーブ色です)。
男らしい大ぶりのステンカラー、防水の為の、一枚の生地で(外側に継ぎ目が無い様に)仕立てられた袖『ワンピーススリーブ』と革巻きバックルが付いた袖口の絞りベルト、大きく縦に切り込まれた存在感のある両脇のポケット、深く背に穿たれたインバーテット・プリーツ、近年のコートの『短・細・軽』という流れへ痛快なほどに逆らうようなゆったりとした胴回りと長めの丈が描く美しいAライン、『限界密度』と銘打たれた分厚くどっしりとした腰のあるギャバディン生地etc・・・それはまさに、ベーシックなフォルムで、仕立てや素材にクォリティの高さが感じられ、それでいて着る人の個性をキラリと主張する、長く愛着を持てる『心惹かれる洋服』でした。
またまた長くなってしまいました苦笑。こうして私の信濃屋さんとのお付き合いが“ひょんなことから”始まりました。この“RIDER”もローデンコートと並んで私にとっては大変思い入れの深い逸品です。10年後、分厚いギャバディン素材がよれて味が出てくるのが本当に楽しみですし、その過程も楽しんでいきたいと思います。
最後の写真は信濃屋・馬車道店に飾られているバーバリー社の年代物のポスター(原画)です。今回またまた図々しくも信濃屋さんにご協力いただき撮影させていただきました。白井さんが信濃屋さんに入った当時から在った貴重なポスターだそうです(ご本人談)!信濃屋さん恐るべし笑。不躾ではありますが、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当に有難うございました。
信濃屋さんのHPです→http://www.y-shinanoya.co.jp/top.html
天神山さんのHPです→http://www.tenjinyama.jp/
ライダーコートの記事を拝見しまして、僕も使用者の感想をコメントさせていただきます。
約3年前に同じコートを入手しまして、いま時期には、かなりの頻度で使用しています。
このコートは外見だけでなく、実用性もすぐれてますよ。今年11月ごろ、外出中に急に冷たい雨が降ってきたとき、傘を持っておらず、やむを得ず、かばんに入れていた八はぎのキャスケット帽と、このコートで外を10分ほど歩きました。でも、ぜんぜん雨が浸みません。傘のように雨をはじきます。ひざ下まで裾があるので、パンツもほとんど濡れません。きっと生地はいいんですね。3年使うと生地も軟らかくなり、あちこちにパッカリングがでてきましたが
それがまたいい風合いをかもし出しています。
よい品物を大切に長く使うのは、気持ちよいですね。
ほかにもコメントしたい(よい)記事が散見されますので、そのうちにまた・・・。
同じものをお使いの方からのコメント!心強いお味方を得た思いです笑。
“限界密度”と銘打たれたこの綿ギャバジン。私は2年前の購入なのですが未だに“カッチカチやぞ”です汗。傘を持たずに雨の中で着たことがまだ無いので今度やってみます!
それからどうでもいいことですが、私は購入時のベルトが付いていない状態のまま愛用しているのですが、信濃屋さんのHP“AUTUMN2006 SHINANOYA STYLE”の 白井さんのようにベルトでウェストをぎゅっと絞ったスタイルにも実は密かに憧れていて、押入れの中で陽の目を見ない共布のベルトを付けようか付けまいかと日々悩んでいます笑。
ではでは次回のコメントも楽しみにお待ちしております!
あくまで好みだと思いますが、僕はベルトをしたほうがシルエットが引き締まる気がします。
この辺り、赤峰先生のブログに以下のようなアドバイスがあったります。↓
http://www.incontro.jp/blog/index.php?date=2009-10-06
(リンクしてるかな)
ありがとうございます。やはり挑戦する価値有りですね。このコートの見せ場はまだ寒さが残る3月の桜舞う前辺りですから、それまでには取り付け完了させたいです。
では。