湯河原にあるフレンチレストラン『エルルカン・ビス』です。
山の上の竹林に囲まれた『なんでこんなところにレストランを作ったんですかいな!』と思わず突っ込みを入れたくなるロケーションにあり、初めて訪れたときは『本当にこんなところにレストランなんかあるのだろうか汗』と不安になったものです。ですが都会の喧騒を完全に忘れ去ることができる贅沢な時間を過ごせるレストランです。
店内に一歩足を踏み入れると白とダークオークを基調としたシンプルな内装と、静寂の中に微かに聞こえる厨房の金属音がゲストを出迎えてくれ、これから始まる寛ぎの時間への期待感に胸が躍ります。
真っ白なクロスが敷かれた大きめのテーブル、座り心地の良い椅子。シルバーやグラスはもちろんピカピカ。
テラス側は全てガラス張りドアで陽光をたっぷりとり入れることができます。気候の良い季節には全面開け広げることができるようになっています。
私のお勧めはやはりテラス席!降り注ぐ木漏れ日・澄んだ山の風・竹林のさざめき・・・都会のレストランではまずありえないシチュエーションですから。
オーナーシェフの伊藤さんは欧州で修行の後、国内で和食の修行も積まれた方。料理にも和の技法が盛り込まれているとのこと。現在はサービスをご担当されています。お箸もセットされていてナイフ・フォークが苦手な方も安心笑。
普段は恥ずかしいので料理の写真はまず撮らない、というか撮れない私なのですがここなら安心。一応お断りしようと恐る恐る撮影のお願いをすると、『是非是非、こちらからお願いしたいくらいです。どんどん撮っちゃってください!』とゆとりのお返事笑。ありがとうございます!ということでじゃんじゃん撮っちゃいました。
南瓜のポタージュです。
このパンが絶品!外側カリっと中ふんわか薫り馥郁味わい深し。
軽くグリルしたサーモンのマリネです。
盛り付けも非常~に丁寧です。
さて、現在のこちらのシェフは大城さん。私とほぼ同世代の方です。『エルルカン』入社後欧州で修行を重ね、帰国後シェフに就任。これは最近知ったことなのですが、彼が帰国の際、修行先のシェフが彼を手放すことを諦め切れなかったといわれる逸材で、当地では『マシン』とあだ名されていたほどの腕前。彼の料理を初めて口にしたときはそのあまりの繊細さに私も本当にびっくりしたことを憶えています。
牛テールのポアレ・コンソメのジュレ添えです。
いさきのグリルです。
大城シェフの魚料理は彼のキャラクターに合致しているのか、お店のコンセプト・湯河原という土地柄も相まって、毎回絶品です。このいさきもふっくらとしていて口にした瞬間いさきの香りが口中に広がります。
サービス担当はオーナーの伊藤さんともう一方、若いギャルソンがいらっしゃいます。彼らのサービス、ゲストに対しての物腰・態度はとても誠実です。お二人とも朴訥としていて、軽妙なトークでゲストの気分を盛り上げるという類のことはどちらかといえば苦手そう笑。でも私はレストランのサービスは基本の業務をしっかり守れば(でもそれが実は一番難しいのですが)それで良いと思っていますし、彼らのお店に対する愛情はいつもそこはかとなく感じられ、安心感という最高のサービスを与えてくれます。
仔牛のカツレツです。
このフォン・ド・ヴォーも是非一度ご賞味いただきたい味です!
ランチはコースが2品『木漏れ日のランチ』と『陽射しの中で宵の趣を』。どちらも内容を考えると破格のコストパフォーマンスです。この日は後者をチョイスしました。
『陽射しの中で宵の趣を』にはちいさなごはんものがついてきます。一品一品のボリュームは決して多くないのですが、ゆっくり食事ができる環境のせいかここまでくるとかなりお腹がいっぱいになります。
しらすごはんです。
こちらのお店には小さなサプライズがあって、テラスに足湯が設置されています。
足湯の脇にはタオルも完備笑。
もちろん湯河原!100%源泉掛け流しです。このお湯の流れる音が良いBGMにもなるのです。
デセール(デザート)は2品も付きます!
クラッシックな手法で作られたベリーのアイスクリームです。口どけが非常に柔らかくて、昔の欧州のやんごとなき方々はきっとこういうものを口にしていたのでしょう。
ここで珈琲が出てきて
エルルカン名物ブラジルプリンです。
あっという間に3時間くらいは平気で過ごせるほどの非日常空間『エルルカン・ビス』はいかがでしたでしょうか笑。
おまけですが、こちらのお店、なんと!建物の2階にゲスト専用にと宿泊設備も完備しています。オーナーの伊藤さんご自慢のひと部屋で、お部屋を見せていただいたとき、説明をしてくださった伊藤さんのキラキラした瞳が印象的でした。伊藤さんはかつて東京でもご活躍されていたシェフだったそうですが、『60歳まで東京には戻りません』と仰っていました。ここはきっと彼の夢のレストランなのでしょう。
エルルカン・ビスのHPです→
http://herlequin.com/herlequinbis/index.html