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女心と秋の空、もしくは、男心と秋の空。この時期は高気圧と低気圧が交互に入れ替わり前者が空高い晴天を、後者がそぼ降る雨を運んできます。一雨一度、空模様が変るその都度気温が少しずつ下がり、空気も少しずつ乾いてきます。先日の朝、私の職場の窓からは、夏の間は濃い水蒸気が視界を遮って見ることができなかった富士山を拝むことができました。
この日の横浜は秋雨。そんな空模様に合わせてでしょうか、今日の白井さんは色調を抑えたジャケットスタイルです。
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私の勝手な予想では、この日の着こなしは恐らく靴から決められたのではないかと思います。
『雨なんかびくともしないよ(笑)。』
と仰っていたこの靴はノルベジェーゼ仕様のウェルトが異彩を放つ、シルヴァーノ・ラッタンツィ(伊)のセミブローグ。ぎっちり幾重にもめぐらされたステッチが雨水の浸入をいっさい許さない優れものなのだとか。
雨の日には心強い味方となるこの靴の、もう一点白井さんが気に入られているところはその独特な色。甲革は購入時“インカス・ジャロ”と呼ばれる黄味がかった明るい茶だったとのことで、通常はライトタンの靴墨で磨いても、やはりある程度赤みがかってしまうのは避けられないそうなのですが、そこは白井さんが独自のテクニックを駆使して少しずつ現在の“黄土色”に仕上げたそうです。実に渋みの効いた色、そして艶です。
靴の渋い色に合わせたかのように、今日は渋い色を組み合わせたチェックのジャケットとオリーブのギャバディンのパンツ、という上下の組み合わせです。ストライプのシャツ、縞のタイ、ペイズリーのポケットカチーフを大ぶりに胸元へ。“パターン・オン・パターン”ですね!と言いたいところですが、白井さん曰く『“パターン・オン・パターン”ならやはり“縞・縞・縞”とか“チェック・チェック・チェック”といった同じ柄同士の組み合わせをそう呼びたいよね。』とのこと。う~ん、なるほど~!
大部をグリーンで統一されたこの日の着こなし。最後に悩まれたのは靴下の色だそうで、何種類かのグリーンのソックスを合わせてみたそうなのですが、
『どれも“色相”が合わなかったんだよね。』
とのことで敢えて臙脂に。以前、白井さんは靴下にはかなり気を使っていると仰っていましたし、靴とパンツの間にあるアイテムとしてその“繋がり”方が重要であるということも仰っていました。世を見渡してみれば紳士の足元は黒か紺の靴下が殆どなのに・・・凄いなぁ(笑)。
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