ちょうど一週間前に開花宣言が発表されましたが、その後は毎年恒例の“花冷え”が続き“満開”にはまだまだ程遠い桜花。このブログでも私が昨年撮影した皇居・千鳥ヶ淵の桜の写真をアップしたのですが、どうやら完全にフライングだったようです(汗)。
この日、馬車道店の一階では“信濃屋馬車道サロン”のセミナーが催されていて店内はいつもより賑やか。『俺も見てみるよ。』と白井さんも参加される勢いを示されたので私もお供することに(笑)。
内容はイメージコンサルタント・尾崎有香先生による“パーソナルカラー診断”。お馴染みのお客様方と共に尾崎先生の講義を拝聴しつつ自分に一番似合う色を診断していただく、という流れでした。
『例えばピンクと一口に云っても、鮮やかなピンク(春)、くすんだピンク(夏)、深いピンク(秋)、濃いピンク(冬)と色々なピンクがあり、どの(季節)傾向のピンクが似合うかはその人それぞれ。自分に一番似合うパーソナルカラーの傾向が判れば、今まで敬遠していた色の服も着こなせるようになっておしゃれの幅が拡がります。』といったお話でした。私も診断していただき“春”と“冬”の傾向の色が似合うことが判明しました。尾崎先生のお話は素人の私にも大変判り易く、意外と聞くことが少ない第三者の意見を自分の着こなしに反映する機会を得られたことはとても良い経験でした。なるほどなるほど、大変面白い試みですね。
真面目に講義を受ける白井さんです(笑)が、最後に『俺はね、“俺は何色だって似合うんだ”と思ってず~っとやってきたよ。』と尾崎先生にブイブイいわせていました!“白井流”全開です!(因みに私には『君は何色も似合わない!ふふふ。』と仰っていました・汗)
『そうですね。それが一番ですね(笑)』と尾崎先生も“元祖イメージコンサルタント”の白井さんに敬意を表してにこやかに頷かれて、その後白井さんとツーショットで記念撮影をされていました。なるほどなるほど、大変面白い光景ですね。(因みにその記念撮影のカメラマンは私でした・汗)
尾崎先生、撮影にご協力いただきありがとうございました。
またこの日は“信濃屋顧客列伝”でお馴染みの“W様”もセミナー参加者のお一人に加わっておられ、その後は白井さんと服飾談義に花を咲かせていました。ステッキや鞄など、特に小物を中心とした話題の中で前回のアップでご紹介した“信濃屋オリジナル・小島の傘”のお話になり、いつも白井さんが置き傘にしている茶色のナイロン張りの小島の傘を手にしたW様が絶賛されたところ、白井さんが『良かったら差し上げますよ。どうせ使わずにずっと置きっぱなしだから。』とW様に突然のプレゼント!余りのサプライズにさしものW様も驚かれていました。どんなにお金を積んでも今では絶対に手に入らない幻の信濃屋オリジナルの傘。W様はその後お帰りまでず~っと小島の傘を握りっぱなしでした(笑)。
という訳で、この日はなかなかじっくりと白井さんのお話を伺う余裕がなかったのですが、今日のジャケットは初登場のKiton・キートン(伊)です。『肩のあたりがキートン。』そう白井さんは仰っていました。
シャツはフライ(伊)の別注品で写真には写ってませんが襟の先端がちょっとだけ丸みを帯びた“ちょんまる”でした。
薔薇の小紋柄のタイはルビナッチ(伊)の繻子織り(サテン)。『サテンはあまり好きじゃないんだけどね。』(白井さん談)と仰っていましたが、この“白井流”の傾向については以前からいつもお馴染み銀座天神山のIさんからも伺っていたので、私も“繻子だ!珍しいなぁ~これは貴重なショットだぞ!”と思いました。
パンツはアットリーニ(伊)で、今まではジャケットスタイルの時はほぼ厚手のグレーフランネルが中心でしたが、今日からは同じグレーでも若干薄手の“ミルドウーステッド”素材の登場で季節の移ろいを感じます。またこのパンツはスーツと同じ工場で作らせた逸品だそうです。信濃屋のY木さん曰く『白井さんはパンツの履き心地はとても重要視されていますよ。』とのことなので、今度時間の余裕があるときに白井さん流のパンツへのこだわりについて伺ってみたいと思います。
それから、実はシャツについても“ハシミシン”や“アペルト”などもう少し突っ込んだお話も伺ったのですが、何せこの日は白井さんもお忙しかったので、慌てずじっくりとまた機会を作ってまとまった内容でご紹介したいと思います。
オリーブ・ブルー・グリーン・ブラウンと落ち着いた色あいのガンクラブチェックのジャケットに合わせて全体的に落ち着いた色あいのコーディネートの中で、今日は一際目を惹くのがこちら!ピッカピカのチャーチ(英)です。サンダルウッドカーフのクォーターブローグはもちろん信濃屋オリジナルの逸品。白井さんが以前『オリジナルのチャーチは自分が履きたいと思うものばかりを作らせていたからそれこそ何十足って持ってたけど、殆ど人にあげちゃって今では3足しか持ってないよ。』と仰っていた内の貴重な一足です。
4枚目の写真のスウェードはW様がお履きになられていた’90年代のシルヴァーノ・ラッタンツィ(伊)。『いいねえ~本人(ラッタンツィ氏)が真面目に作ってた頃の靴だよ。』と白井さんが仰る逸品です。いつもこのブログをご愛読いただいているW様は、私がカメラを向けると『どっちの足ですか?』と仰ってそっと靴の内側を見せてくださいました。心優しき紳士・W様、撮影にご協力いただきありがとうございました。
お帰りのコートは恐らくこれまでで最軽量でしょう、綿のバルマカーンコート(チェスターバリー英)です。襟元はビエラ・コレッツォー二(伊)のシルク・ウールのドット柄マフラー。ぱっと見ただけなので確信は無いのですが恐らく一重のコートだったような気がします。綿も触った感じで上質なものが使われていると感じました。何の飾りも無い極めてシンプルな無地の綿コートだったのですが、白井さんが軽やかな動作でさっと無造作に羽織った時の“さりげないカッコ良さ”にスプリングコートの魅力を見た気がしました。
『僕は無精者だから・・・コートや服のメンテナンスといってもポケットに樟脳を一つ入れておくだけ・・・』
以前、男性服飾誌上のインタビューに応えて仰っていた言葉。実は私はこの記事を読んで以来、“樟脳”についてず~っと白井さんに伺ってみたいなぁ~と思っていて、前回のアップで“衣替え”について白井さんに伺ったときに“樟脳”についてもいろいろ教えていただきました。
『樟脳の匂いが好きなんだよ。ナフタレンは便所臭くてダメ(苦笑)。これは昔、親父に聞いた話だけど、昔は“カンファーボックス”っていって楠の丸太をくり抜いたやつに冬物のコートやジャケットを入れて夏を越したらしいよ。昔から家で使っているのは“藤澤樟脳”ってところの樟脳。近所の薬局で買ってくるんだけど、そこのオヤジさんが“最近は樟脳なんて知っている人は少ないから”ってちょっと嬉しそうに言いながら店の奥から出してくるんだよ(笑)。これ一つをティッシュペーパーに包んでポケットに入れて、直接入れると服が黄色くなっちゃうから必ずティッシュで包んで。良かったらこれあげるよ、でも売り切れになっちゃうと困るから内緒ね(笑)。』
そう仰って一箱私にお譲りくださったのが写真の“藤澤樟脳”です。『内緒ね』と白井さんは冗談っぽく仰っていましたが、白井さんが長年愛用している品ですから私から是非にとお願いしてこの度のアップとなりました。100%天然素材を使用している樟脳ですから匂いはとてもナチュラル。男同士でいささか不気味ですが(汗)、白井さんと同じ匂いで何だか洒落者度がアップしたような気分でちょっと誇らしくもあります。また、前回のお話を受けて早速私のためにこの“藤澤樟脳”を持ってきてくださったことが、私にとっては何よりのプレゼントであり最高の誉でした。白井さん、ありがとうございました!!
おっと!忘れるところでした(汗)、最後に前回訂正です。
『因みにブリッグと並んで有名な傘メーカーのフォックスアンブレラは“F.FOX”ですから別の会社です。』と書いた件の、“F.FOX”は間違いで正しくは“T.FOX”です。関係各位にお詫び申し上げます。