自分が愛だと感じる元といったらよいか、それを研究すると自分の幼いころのひとコマが反映されていたりする。それを心理学者が愛の原型とよび大切に考える。
人それぞれ、愛の原型は違うものである。AさんとB子さんが結婚したとする。その時にAさんの感じる愛の原型とB子さんの愛の原型は、どこかで違うのは普通である。
理想と現実のギャップをストレスと考えると、AさんもB子さんも愛の原型の違うことによるストレスを覚える。一家団欒で鍋をつつくのが愛の原型となっているAさん。一方商売人の両親をもったB子さんは、町のレストランで美味しいラーメンを食べることが愛の原型になっているとする。新婚生活を始めてしばらくしたとき、生育史からくるストレスで二人は何か不安感を覚える。
ストレス曲線の理論からすると、放置された不安感は、やがて怒りとなり、身体症状、ウツ、錯乱とアップしてくるという。その破たんへの道を選ぶか、あるいはストレスの元である理想や現状の解釈を変えるか、妥協点を選ぶかは重要なポイントになる。AさんにとってもB子さんにとっても、大きな試練だ。鍋だ!ラーメンだ!火種はそんなところにあるものだ。
理想を変えて家で実においしいラーメンを作って食べるか、外食でお鍋を静かに食べられるレストランを選ぶなどいろいろ方法があるだろう。望むべくはAさん、B子さんにとっての自他肯定の道だが、訓練なしではかなか厳しいものである。
良く考えると、生育史からくる愛の原型もいろいろあり、自分だけでなく相手のことまで考えるべき問題だ。その他に、人間は生育史だけでなく、身体と魂(宗教や哲学の領域)からもなっているので、身体の愛の原型や魂の愛の原型なども考える必要があるかもしれない。
この世の多様性をこの年になって、最近時々深く考える。何故これほど多様な生命があるのだろうか。植物園に行っても動物園にいっても感じる。公園に行っても山にいっても、海にいっても感じる。それは本来美しいものかもしれない。聖書の創世記の一節を思い出したりする。「見よ、それは極めてよかった」
どっちに行こうか 4/10
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森 裕行 | |
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