先日、カウンセリング勉強会の中で、ドキッとするような質問があった。カウンセラーとクライアントという関係で、日本では本当にカウンセリングが成り立つのか?という素朴かつ根源的な質問であった。
国家資格のないカウンセラーという曖昧な職種の日本での大問題もあるが、私たちの草の根運動のような、暮らしの中のカウンセラー、身近な人に「生き甲斐の心理学」を真に役立てるかという問題もある。
カウンセラーとして、見ず知らずの関係の中で、お医者さんのように治療していくという基本的なモデルは成り立つと思うが、家族の中でとか、仕事での関係とか、福祉や教育の現場でとか、どうなのだろうか?
私は、「生き甲斐の心理学」をU先生との出会いという、幸運を得て9年間学んで来ているが、本当に役だっているのだろうかとちょっと不安になってしまった。
昨日、車を運転しながら、同乗していた妻にポツリと訊いてみた。「生き甲斐の心理学は、本当に役にたってるだろうか?」
しばらく妻は考えた後で、「娘のためになった。」とポツリと返事が返ってきた。
この勉強を始めたきっかけの一つは、当時こころの問題があった娘(二人いるが、そのうちのひとり)の為になればということであった。
しかし、親子の関係というのは、理論的にはカウンセリングを成り立たなくする要因に溢れている。利害関係、教育・養育関係、時には長時間におよぶ密な接触、その他諸々。・・・カウンセリングルームで綺麗に割り切れる関係ではない。
とは言え、想いだしてみれば、いざという時(命に絡むことも)には、カールロジャースのパーソナリティ理論19の命題を使っての傾聴などは役にたった。また、医療やカウンセラー、伝統宗教の宗教家、地域の人たちの多大なお世話にもなったが、その時に「生き甲斐の心理学」の知識があったかどうかは重要であった。コーディネーションは極めて重要だ。
先日のNHKスペシャルの「うつ病治療 常識が変わる」で、日本の精神医療の極めて深刻な実態が報道されていたが(NHKに感謝である)、あのような中で、大切な人を守るのは、身近な所に暮らしの中のカウンセラーがいたほうが良い。
妻の一言で、アカデミー賞で笑顔が何回も報道された滝田監督のように、嬉しくなった。
子供はもうすぐ初孫を産む。
<自己肯定、他者肯定 4/6>
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