小学校何年生だったか忘れたが、NHKで1954製作のゴジラを放送していた。すでに夏休みのゴジラシリーズでみんなの味方と化していた愛嬌のあるお子どものお友達ゴジラはそこにはなく、白黒画面の中で暴走し破壊の限りをつくす恐い顔の怪獣は恐怖以外の何者でもなく、あらゆる生物 の酸素を奪い、死滅させるオキシ ジェン・デストロイヤーによって殺られても、その開発者がこの新型兵器の戦争での使用を怖れて自らの死をもってそれを封印してしまった後味の悪いエンディングは小学生の柔な心には充分すぎる衝撃であった。
以後、長女が3才になったときに見に行ったゴジラvsデストロイアを最後にゴジラシリーズは見ていなかったが・・・・
そして、ハリウッド版二作目のGodzilla
今の複雑な時代背景をもってメッセージ性の強い日本版ゴジラ第一作との比較をするのは酷ではあり、所詮ハリウッドの超娯楽大作であり、ドキドキ、ハラハラが全面に出されていて違和感はあったが日本版ゴジラの存在が無ければ良くできた娯楽作品だと思った。
とにかく、最新CGのおかげで凄い迫力。ゴジラが怒ると本当に怖い~~と妙に納得して帰宅。
「劔岳 点の記」以来の木村大作監督(カメラマン?)作品、「春を背負って」を珍しく初日で見に行った。山小屋を舞台にした様々な人間模様を描いた作品。物語の展開、織り込まれるエピソードは山を舞台にした物語として意表をつくことはなく、全体として静かなトーンで描かれ、私だったら、果たして・・・と感情移入をしているうちに、涙腺が緩んでしまった。遭難シーンがどうだ、山ウェアが同じメーカーなのはいかがなものか・・と山屋の視点では・・・云々と野暮なことに目くじら立てず黙って画面の中に身を置いて見て欲しい作品でした。蒼井優、上手いです。山崎まさよしのエンディング曲もよかった。
3月8日、朝は和倉M前の20kmをやっつけてから奥さんと映画に出かける。
2月の土日祝日は、大会だ!練習だ!山だ!とすっかりアウトドア派なっていて、教養を深めていなかったので、前から行こうと思っていた「小さいおうち」がまだ上映中ということで、イオンシネマに行く。
・・・・日米開戦前の空気を背景にした幸せな家庭に起こってしまった秘め事・・。松たか子の見返り美人姿にゾクッとして倍賞千恵子は改めて巧い役者さんだなぁ~と思った次第です。
ベルリンで賞を取った黒木華さん、私は好きです。
さて、妻夫木聡演じる大学生の健史がストーリーを回していくのであるが、倍賞千恵子が演じる大伯母さんのタキの回顧に歴史の錯誤があると頭でっかちの青臭い難癖をつけていく。
全面戦争に突入していく現実とまだ距離があった当時の庶民の日常のギャップを浮かび上がらせていくのであるが、個人的には少し押しつけがましいように感じたのは私だけだかな・・と考えてしまった。もう少し抑えたやり方もあったのでは。
山田洋次監督は今の時代にメッセージを発信したかったのかもしれないが・・・・物語の骨格はあくまでも「小さいおうち」。あれこれ押し込むほど重層的ではない。
その意味でタキちゃんの心理描写はもっとあっても良かったのでは、と思った。
故・市川崑が撮ったら、また別の映画になっていたかもしれない・・・・。

間違ってはいけない。これは赤穂浪士をモチーフにしたファンタジー映画である。
東洋の島国の神秘性を出そうと、ナルニア物語のような狐や妖獣は出るは、ハリーポッターのような巨人は出るは、出島の賭けファイトはホームズのストップモーションだし、
吉良のお城は指輪物語のサウロンのお城の雰囲気だし、巨大な戦士もサウロンの幽霊戦士のようだし、浅野家のお城はエルフの国だし、衣装は相変わらず中華風だし・・・
RPGの天狗は出るし・・。
巷では早くも「これは赤穂浪士の物語でない!」ということで出足さっぱりの様子。
だが、待て。これは、あくまでの西洋人の作ったファンタジーと思えば娯楽大作である。
ファンタジーに不可欠要素は満載。わくわくします。
だが、しかし、討ち入りの段になると、雰囲気が変わってくる。
ディティールの違和感を無視すれば、西洋人のみた武士道のひとつの解釈としてこれもありかな思った。映画ザ・ラスト・サムライでも明治維新の背景が変であったが、アメリカ人の見たサムライ精神のひとつの見方としてありかな、と思った。(トム・クルーズも真面目に武士道に感銘を受けたアメリカ人を真面目に演じていたと思う)
キアヌ・リーブスもストイックに武士になろうと演じており、好感を覚えた。
最後に展開される仇討ちと復讐の連鎖に対する四十七士の切腹の意味付はちょっと考え込んでしまった。そして、将軍の大石主税への命令は・・私は救われ気分になった。
ちょっと、じ~んときた。
柴崎コウ、目力はハリウッド級でした。
「許されざる者」や「そして父になる」など話題作はまだ上映中だが、新聞の映画欄でロバート・レッドフォードの「ランナウェイ/逃亡者」が目に止まり、アメリカに実在したベトナム戦争当時に活動していた反体制過激派集団の地下に潜ったメンバーが表に出てしまう物語というのに興味をもち、感覚的に決める。
スリリングな追跡劇であり、重厚な謎解き劇であり、親子の愛情物語であり、社会正義とは何か突きつける物語であり、ずっと席で前のめりになってしまった。
イーストウッドも巧いが、監督レッドフォードも旨い。共演陣も渋い。
ましてや、77歳のレッドフォードが山の中をザック背負って走るのには脱帽。大人の映画でした。
原題は「The Company You Keep」これにすべてが集約されている。
