クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

赤トンボの秘密

2014-08-30 23:20:38 | その他の昆虫
今日、兵庫県北部の高山帯に行ってきました。

本当は9月に入ってから行くつもりだったのですが

これといった用事もなかったので ぶらりと・・

標高1000m付近 ところどころ霧で覆われていました。

雨も少し降ったようです。




やっぱり山の天候は移り変わりが激しく

実際に行ってみないと判らないものです。





少し開けた所には赤トンボがいます、アキアカネです。

赤トンボという種類のトンボは実際にはいないのですが

一般に赤トンボと呼ばれるトンボは 

このアキアカネを指すことが多いです。





アキアカネの卵は田んぼの中で冬を越します。

卵休眠というやつです。

そして春 卵は田んぼに水が張られると孵化します。 

ヤゴの誕生です。

ヤゴはミジンコが大好物。

ミジンコをいっぱい食べて育ったヤゴは6月の夜に羽化し

成虫アキアカネの誕生です。


アキアカネは暑さが苦手で

初夏には気温の低い所を求め山地に移動を始めます。

最初はオレンジ系だったアキアカネの体色は10月位になると

綺麗な赤色になり 繁殖も可能になります。





アキアカネは、トンボとしては性成熟に時間のかかる種で

何らかの仕組みで性成熟を制御しているものと思います。

10月にもなると平地でも気温は下がり

いよいよアキアカネの集団下山が始まります。





目指すところは故郷、田んぼ。

そして、稲刈りの終わった田んぼの水たまりや湿った場所に産卵します。

卵の数はおおよそ2000個ともいわれています。

産み付けられた卵はそのまま冬を越し、翌春の田んぼに水が張られるのを待ちます。

アキアカネは、これを毎年繰り返してきました。


アキカネが性成熟するのに数か月もかかる理由は、早い時期に産卵をしてしまうと

その年に卵が孵化してしまい 幼虫が(ヤゴ)冬の間に死亡するリスク回避しているといわれています。


中には下山することなく果てる個体も…





アキアカネは田んぼに依存したトンボ。

つまり 人との関わりが非常に深いトンボであることが判ります。

稲作がアキアカネの生態や繁栄に影響を与えたことはまちがいない。




林道沿いのヤナギの木




このヤナギ、特に珍しい木では有りませんが

今から5年ほど前

このヤナギに56mmのヒメオオクワガタが付いていました。

ヒメオオクワガタは、高山性のクワガタムシで

関西地方では 標高850m位から1000m付近の

ブナ帯に分布しています。


このヤナギで発見されたヒメオオクワガタは

私がこれまでに見てきた最大でした。

しかも この山はヒメオオクワガタ未記録の山で

毎年必ず発見できる秘密の場所です。


この山にはヒメオオクワガタが薄く広く分布しています。

残念ながら今日は見つけることが出来ませんでしたが

これから10月上旬ころまでの天気の良い日には

その姿を見ることができると思います。



カメムシ集団

沢山のカメムシが付いていました。

少しきしょく悪い10mmはどのカメムシでしたが 

よく見ると背中の模様は人の顔のようにも見え 

可愛いものです。








この集団もやがて厳しい高山帯の冬を迎えることになります。


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