クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

チャイロマルバネに迫る・4

2017-12-03 16:16:19 | チャイロマルバネ

チャイロマルバネに迫る

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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この記事には昆虫の腹部を切開した画像が含まれます。
*閲覧には注意してください。


今年はチャイロマルバネ採卵にテストを重ねた結果

検証した個体すべてが産卵し(n=4)、飼育するのに十分な数が得られました。





中でも野生の個体が産卵したことは私にとって特別で

一連の産卵ラッシュは偶然ではなかったと理解しています。


↓ 西表野外個体

↓ 西表島野外個体から(11月25日)

↓ 西表野外個体、同年11月28日死亡

↑ の野外個体は

10月31日に樹上で採集された発生初期の個体で

採集日から4週間ほど生存したことになりますが

死亡の5日前にテストした産卵床でやっと産みはじめ

2日で7卵、その後の異なる産卵床でも3日で4卵産んだ後、☆になりました。


↓ 11月28日 西表 掘り出し途中(1日の指数2.2)



茶色であること

クワガタムシ(生物)は、温度・湿度・光・同種異種等

外部環境の影響を受けて生存しています。

とりわけチャイロマルバネは昼行性が強いとされ

その体色からも昼間の活動家であることがわかります。


↓ 周囲に溶け込むことで生き延びる

↓ 上翅は薄く透けて見える




チャイロマルバネの上翅の厚みは薄く、羽を閉じたときの色彩は

上翅・後翅・腹部背面が相まっていることがわかりました。

また、チャイロマルバネは国産種の中で最も遅い時期に発生します。

もしかしたら発生時期と飛翔頻度はこの薄い上翅と関係しており

強い日差しの連続は苦手なのかもしれません。

また、光(日長)と産卵の関係を意識した環境テストも

1週間行いましたがこれに関しては何もわかりませんでした。





腹部切開

私はクワガタムシの産卵に関して特に気になった種の場合は

死亡確認後に腹部切開をしてきました。


切開は、まず4枚の羽を広げ、臓器に注意しながら

背中の被膜だけを切り取らなければならないのですが

わたし、失敗しないので。



☆ ↓ 一部内臓が見えるため閲覧注意!
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今回最も知りたかったことは

西表の野外個体が蔵卵したまま死亡に至ったのかどうか?

それによって思うことが異なります。

仮に、蔵卵したまま死亡翌日に切開した場合体内には卵が見てとれます。

それは、誰が見てもわかります。


↓ チャイロマルバネの体内 

↓参考:カズヒサツヤクワガタ(2003年)



結果は画像の通り、内臓の状態は新鮮ですが

卵は認められず、一区切りしたものと判断しました。

・・・合掌


孵化

採卵した卵は順調に孵化し、幼虫は少し古い自作のマットを食べています。


↓ 孵化近し

↓ 3~4週間で孵化(管理温度21度前後)




最後に

チャイロマルバネの寿命はおおよそ1か月前後です。

時間の余裕はありません。

セットから2日経過しても産んでいないときは産卵床不適合と判断し

迷わず次のセットに切り替え適合範囲の中央を探しているところです。




↓ 高粘土は卵の取出しが難しかったので1回で終了

↓ 9日間で18卵(1日の指数2.0)12月2日掘出し


↓ 寿命が近づくにつれ産卵数は減っていく

↑ 7日で8卵(1日の指数1.1)12月2日掘出し

↓ 10日で24卵(1日の指数2.4)12月3日掘出し




仮に、今回の採卵テストで得た実際が真に迫るもので

安定したブリードに繋がるなら、さらに詳しい生態を知るチャンスがやってきます。

そして、野外個体の需要が、一人分減ります。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
深い (あら)
2017-12-05 23:43:46
こんばんは(^^)
卵があるか調べるとは恐れ入りました。
ウチでは、どうにかメスを手に入れたのですが、中々もぐらず、こよみさんのブログからヒントを得て、少しだけ残っていた現地赤土、庭にある赤土2つを使ってセットをくんでみました。現地のやつは赤枯れと混ぜると比較的粘土が低かったですが産んでくれました。庭のやつは水分が多く、こよみさんの高粘土のものの様な感じで産んだかもよくわかりませんでした。
ここまで赤土に反応するというのは、栄養価が少ないからなのか、酸性で雑菌の繁殖がしにくいことで卵を守る為なのか、よくわからないですが、機会があれば、マットのphを測ってセットすると面白いかもしれないと感じました(^^)酸性が好きならばその調整で採卵が簡単になりますし(^^)
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採卵◎ (こよみ)
2017-12-06 01:23:13
こんばんは

採卵おめでとうございます。

腹部切開は、殺生と紙一重でいつも複雑な思いですが、
生態のよくわからない種はそこまですると何かヒントがあるように思い、以前から行なっています。
それで得たことが多いのです。

今回のテストは、温度、産卵床湿度・質・硬さ、光等試してみたいことの多くを実施することが出きました。

また、高粘度でも沢山産んだのですが、ねばねば過ぎて取出しには往生しました。
多分取りこぼしがあったと思います。

そして、あらさんも恐らく気づかれていると思いますが
チャマルの好む産卵床は特別だということがわかり始めました。

あと少し試してみたいことがあるのですが、次のシーズンになりそうです。




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