貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

グランディディエライトのプレオクロイズム

2024-03-22 20:20:42 | 単品

*すみません、最初の投稿に誤りがありました。(BO3)(SiO4)はホウケイ酸ではないのですね。お恥ずかしい。

(また長いタイトルを)

グランジジイ石。笑い。(よしなさい)

20世紀初頭にマダガスカルで発見されたけれど、2014年に同地で新たに大き目の美結晶が出て話題になったとのこと。まあ新しい石ですね。
(Mg,Fe)Al3(BO3)(SiO4)O2。こんな格好で珪酸と硼酸を両方含む鉱物は、IMA認定鉱物では11種しかない。同じくアルミを含むものにデュモルチエライト(Dumortierite、Al(Al2O)(Al2O)2(SiO4)3(BO3))、大峰石(Ominelite、日本で発見、(Fe2+,Mg)(Al,Fe3+)3(SiO4)(BO3)O2)がある。あらデュモ君と近いのね。
苦鉄質熱水と海洋性堆積岩との接触でできるらしい。
一応レア・ストーンだけど、けっこう出てる。実は数年前、在りし日の五反田さん(死んでないぞw)でさざれサイズ10個で1500円というのを買っている。



時々クリスタルワールドさんはこういう暴挙をおやりなるので嬉しい。最近もBaseでやってらっしゃる。4個は近所の子にあげたらしい。
色は美しいけど、いかんせん濁りが多い。でもまあこれでいいでしょと思っていたのだけど、ヤフオクで透明なのが安く出ていたのでゲット。
小さい。老眼にはつらい。
しかし澄んで美しい。少し緑が入っているけどいい色。
そしてなんと、方向変色する。プレオクロイズム、多色性ね。薄くなったり濃くなったり、端っこの方は黄色っぽい光もかすかに見える。小さくて扱いづらいので苦労するけど、なんとか見える。あちきの写真術ではうまく捉えられないけど。





どちらかというとアイオライトの方向変色に似ている。コーネルピンアキシナイトなどの多色のプレオクロイズムではない。

高価なルースがあちこちで出ているけど、多色性を捉えた写真は見ない。あんまり知られてないのかな。
一方、透明度の低いビーズなんかはかなり安く売られている。レアストーンとはとても言えない。
ちょっと不思議な石ですね。


3軒ハシゴ

2024-03-21 20:52:16 | 漫筆

春分の日はちょっと用事があって出たついでに3軒の石屋さんをハシゴするという暴挙に出た。(オジジ大丈夫か?)
1軒目は御徒町のクリスタルワールドさん。五反田にあった頃はよく行っていて勉強させてもらったけど、御徒町はちょっと回り道になるのでご無沙汰気味。
けっこう新入荷が並んでいて楽しい。すごいのは国産鉱物の県別陳列。いや箱に入っているから陳列ではないな。収納? 箱の中でさらに小さな紙箱に収められているものも多い。
いやあ、やっぱ国産鉱物ファンというのはすごいものですねえ。こうやってお目当ての鉱物を探すんだ。採取してくる人もすごい。あちきなんぞは布賀が岡山県だくらいは覚えているけど、荒川鉱山はどこだったっけというお粗末状態だから、茫然とするばかり。ちらちらと見ても、知らない石がごろごろ。猫に小判状態ですな。
ちょうど行った時はいかにもマニアっぽい男性がごそごそと探っていました。
クリワさんははっきり言うと、美麗さにはあんまり重きを置いていない。いろんなものを安く売るということが主眼のようで。だからマニアはもちろん、あちきのような新米には有り難いお店です。
それでも時折はとんでもなく美しい、高額のものが出る。前はアクアマリンの巨大美麗結晶があったし、セラフィナイトの大きくて素晴らしいのが並んでいたこともある。
今回びっくりしたのは、「カクタス・アメジストのジオード」というもの。アメジスト・ジオードは溢れているけど、カクタスというのは初めて見た。10センチもあるようなきらきらのサボテン型結晶が何本も、半球の受け皿から伸びている。欲しいなと思ったけど高くて買えなかった。(キヨミズをやったほうがよかったんじゃないの?)
で今回はそっと、アンブリゴナイトのきれいな結晶があったのでそれを一つ。しょぼくてすまん。

2軒目は原宿のコスモスペースさん。前にも書いたけど老舗で、磨き石が中心。昨今の美麗結晶派の方々は冷めた目で見るかもしれないけど、磨き石というのもいいものですよ。
ここのすごいところは、「超プチプラ」があるということ。ミニ・ジオード半分が100円、アメジスト・水晶クラスターが200円、バケツに山盛りになっている。そして小さな磨き石。一般的な石はもちろん、ピーターサイト、ヌーマイト、ブロンザイトなんていうマイナーな石のタンブルが小鉢に盛ってあって、500円くらい。前にここで買ったヌーマイトは他ではなかなか見ないような美しいやつでした。
そんなだから、子供には嬉しい店。あちきが見ている間にも、子供連れの家族が何組もやってきていました。お子様をお持ちの方はぜひどうぞ。
ここでも今回はひっそりと、ブラッドストーンのミニ卵を1つ。770円。(しょぼ)
このブラッドストーンというやつ、有名で、かつ最近は枯渇しているとか言われる石だけど、まあ地味。一つ欲しいなと思っていたのだけど、なんかあんまりにも地味なので買ってなかった。こやつも地味。(地味地味繰り返すなw)

強い光を当てると色が浮かび上がるのだけど、普通だと何じゃこれの世界。まあしかし1つは持っていたかった石なので、お安くて有り難かった。石の詳細はまあちょっとパス。

3軒目は――行くぞ――、株式会社東京サイエンス紀伊国屋書店新宿本店内ショールーム。これでいいのかな。ま要するに東サ新宿さん。学習用という感じで広く安く取り揃え。
ここも子供連れが何組も。「今日お金持ってこなかったね」と言っていた親御さんは、計画的犯行か。(犯罪じゃねえw)
コレクター向けのものももちろんあって、今回はトルマリンなんかの美しいものがあったけど、パス。

ハシゴをしたのはちょっと理由があって、ド新米から少しヨチヨチ歩きになって、「どういうふうに見えるかな」と思ったのでした。
さすがに前の「うわ、うわ、こんな石があるんだ」という驚きはなくなってきました。残念ながら。もちろん、「美しいな、欲しいな」と思うものはいろいろあるけど、「まあな」みたいで。でも、実物がたくさん並んでいるのを眺めるのはやはり楽しい。

ネットショップは星の数ほどあるし、ネットオークションもあるし、展示即売イベントも増えているしで、実店舗の石屋さんはなかなか厳しいものがあるかもしれません。
けれど好きな時に行けて、実物を眺めて買えるお店は楽しくて嬉しい。頑張ってほしいものです。
あ、この3軒はあくまで個人的選択です。
ほかに東京でいいお店があったら教えてくださーい。ただし高級品専門店を除く。

しかし街は外人観光客の多いこと多いこと。びっくり。


那智黒

2024-03-20 18:32:50 | 国産鉱物

水曜水石。(まだやるの?) そろそろネタが尽きます。

有名。もっぱら碁石の黒として知られている。飴玉にもなってる。(飴にはならん)
けど、黒碁石に那智黒が使われるようになったのは明治中期だとか。「近代の伝統」なんですね。
「那智」黒と言われるから那智の滝と関係があるのかと誰もが思う。けど、産地は熊野市神川町で、那智の滝とは全然離れている。
この熊野市も熊野だから和歌山県かと思うけど、三重県。熊野市が熊野市になる時には和歌山方面から抗議があったらしい。しかし昔の熊野区役所(違う)は熊野市にあったのだから強奪というわけではない。
と、いろいろ誤解の種を抱えている石です。



真っ黒。とりつく島もないほど真っ黒。ムラもない。
黒い堆積岩の塊として産出するという。これはそれをかち割ったものでしょう。
黒曜石のガラス質とは違う。黒水晶の質感とも違う。堆積岩らしい微細な層構造のような模様が見える。それがなかなかいい味わいを醸し出している。



一応「水石」なんでしょうけど、こういうかち割りは水石ではあまり高く評価されないようで。「人工」だからかな。
けれどこの一途な黒と荒々しい姿は迫力あるし、柔らかな肌も美しいのではないかと思います。

三重県総合博物館の説明によると、
《細粒の砕屑物からできている泥岩で、黒色不透明の微粒な有機物粒子が散在しています。長石片のような砕屑粒子の方向は、ほぼ層理方向にそろっていて、有機物片も同様な配列になっています。このような組織のために、岩石は弱いへき開を持っています。新第三紀の泥質堆積岩としては、例外的な緻密さを持っています。》
「泥」というと語感が悪いけど、単に粒子の大きさを表わす概念で、16分の1ミリ以下の粒子を言う。それ以上は、シルト岩、砂岩となる。

堆積岩というのは、多い。
《地表に露出する岩石の80~90%は堆積岩である。しかし、地殻全体に占める堆積岩の体積は8%程度である。》『岩石と宝石の大図鑑』
しかしあまり鑑賞石の対象にならない。何せ「ゴミが固まったもの」だから。ゴミというのは失礼だけど、要するに火成岩や変成岩が砕けて砂埃になり、それが集まって圧縮されたもの。石灰石や苦灰石なんかも堆積したものが変成したり、一度水に溶けて再結晶したりしたものでないと、美しいものは出ない。
平野部の普通の川原に行っても面白い石がないのは、堆積岩ばかりだからでしょう。
もっとも堆積が色の層になっていたり、それがうまく削られたりすると、ちょっと面白い石ができたりする。前に挙げた好間川の虎石なんかはそういうもの。派手ではないけれど。

那智黒も堆積岩で華麗なものではないけれど、そのひたすらな黒さでスターとなっている、ちょっと特別な石ではないでしょうか。


モルガナイト

2024-03-18 20:50:26 | 単品

クンツァイトで「淡色美」を賞揚したので、ついでと言っては何だけど、モルガナイトも。
言うまでもなくベリルのピンクの石。アクアマリンとエメラルドは世に溢れているけれど、モルガナイト、ヘリオドールゴシェナイトレッドベリルアルカリベリルはわりとマイナー。しかしモルガナイトは専門宝飾店があるくらいでファンは多いのかもしれない。
まあベリルは前に上げているので別段書くこともない。ずいぶん前なので読み返すと我ながら新米のクソ駄文だと思うけど昨今のものだって似たようなものだと言えば言える。
モルガナイトもクンツァイトと同様、透明度の高いものはわりと少なく、けっこう高い。けれど白っぽいものもいい味わいがある。
でもやっぱ透明なのを一つくらい、と思っていたらヤフオクでお安く。(またかよ)

やはり「あるかなきか」の淡泊美。いいですねえ。

で、ついでにというか、リチウムをやったので今度はベリリウム鉱物のリストを別項で。
ベリルとかユークレースとかがあるので、ベリリウム鉱物はどれも美しいのかと思っていたらそういうわけでもない。何せ129もあるんだから当たり前ですかね。

ま、ベリルはやっぱ美しいです。(平凡な感想)


ベリリウム鉱物

2024-03-18 20:49:59 | 元素別鉱物リスト

ベリリウムを主成分とする鉱物は mindat によれば、IMA認定で129、それ以外も含めると165。最初聞いた時は多いねえと思ったけれど、そうでもない。アンチモニーなんかですら306あるのに。
以下、主要(主観的)鉱物。ありゃアルファベット順になっちゃってる。

ベルトランダイト Bertrandite Be4(Si2O7)(OH)2
ベリル Beryl Be3Al2(Si6O18)
ベリロナイト Beryllonite NaBePO4
クリソベリル Chrysoberyl BeAl2O4(アレキサンドライト
エピディディマイト Epididymite Na2Be2Si6O15 ・ H2O
ユークレース Euclase BeAl(SiO4)(OH)
ユーディディマイト Eudidymite Na2Be2Si6O15 ・ H2O
ガドリナイト Gadolinite (Ce,La,Nd,Y)2Fe2+Be2Si2O10
ヘルビン Helvine Be3Mn42+(SiO4)3S
ヘルデライト Herderite CaBe(PO4)(F,OH)
ローレントーマサイト Laurentthomasite K□2Mg2(Be2Al)[Si12O30]
リューコファナイト Leucophanite NaCaBeSi2O6F
ロンドナイト Londonite (Cs,K,Rb)Al4Be4(B,Be)12O28
マグネシオターフェアイト Magnesiotaaffeite Mg3Al8BeO16/Mg2BeAl6O12
ミラライト Milarite K(□H2O)Ca2(Be2Al)[Si12O30]
ペツォッタイト Pezzottaite Cs(Be2Li)Al2(Si6O18)
フェナカイト Phenakite Be2SiO4
ローディザイト Rhodizite (K,Cs)Al4Be4(B,Be)12O28
ソレンセナイト Sorensenite Na4SnBe2Si6O16(OH)4
トゥグトゥップアイト Tugtupite Na4BeAlSi4O12Cl
ベイリネナイト Vayrynenite BeMn2+(PO4)(OH)★