貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

石を撫でる:神居古潭石

2024-03-13 20:18:16 | 国産鉱物

水曜の水石です。(まだやるのかい?)
神居古潭石。ヤフオク信濃さんから。台座付き。

台座付きで3300円とは安すぎではないかい? この台座作るんだってけっこう手間が掛かりそう。それともプロならちょいちょいとできるのか。(いいよ余計なことは)

神居古潭は石狩川が旭川盆地から石狩平野へ流れ落ちる急流の地域。水で激しく磨かれた美石が出るので有名で、いろいろバリエーションのある「三大名石」にもだいたい入っている。
名前もいいですね。アイヌ語で「カムイ」は神様、「コタン」は集落の意味らしい。実は最初にこの名前を聞いた時、あまりにも決まりすぎていて、冗談というか、一種の商品名かと思った。
いろいろな色、姿があって、茄子紺色のものは特に珍重されるとか。これはひたすら黒。ちいと曲がった新幹線のような変な形だけど、黒光りしていて美しい。
このずっしりとして滑らかな石を手に持って撫でる。何とも不思議な感覚。

美麗結晶好きの方々はあまりなさらないでしょうけど、石を撫でるのはいいものです。
すべすべの石も、少しざらざらの石も、手に持って撫でていると、なぜか心が落ち着き、時に不思議な気分になるものです。あんまりざらざらとげとげの石だと怪我するけど。
天然石の領域でも「ペブル」とか呼ばれる大きめの磨き石がある。ニューエイジ系の方々はパワーをもらうために携行したり撫でたりするらしい。あちきはそういう系統ではないけど、いくつか持ってる。
これは「ゴールデン・ヒーラー」と名付けられた水晶。パワーを信じたのではなくて、ただ美しいから買った。でも握って撫でるとやはり気持ちいい。

水石の世界だと、おじいちゃんが毎日毎日、縁側にすわって愛する石を布で磨いているというイメージがある。あれは味を出そうとしているというより、磨くことの感覚的快楽を味わっているのかもしれませんな。
あちきも縁側はないけど、窓辺にすわって愛する石たちを撫でながら死にたいものです。(うんうん、お早くどうぞw)

あんまり意識する機会は少ないものの、人は石や岩が好きらしい。
石というのは、人間・生物の対極に位置する存在。その絶大な対極さが、何かを語り掛けてくるのだろうか。そこに込められている永遠にも近い時間の厚みが、はかない人間の心を打つのか。それを生み出した大いなる創造の光暈が、かすかにでも感じられるのだろうか。
触って撫でられる石はいい。すっぽりと握ってその重さや冷たさや肌への触感を味わえる石はもっといい。
ぜひ皆様も、ご自身のとっておきの「撫で石」をお持ちになるといいと思います。(石屋の宣伝かよw)