貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アポフィライト

2022-04-24 13:33:48 | 単品

Apophyllite。魚眼石。KCa4Si8O20(F,OH)・8H2O。
洋名は「apo=離れる」「phyllon=葉」から。加熱すると薄く割れるらしい。
和名はてかてかの光から。けどねえ、あまりいい語感ではない。「行く春や鳥啼き魚の目は涙」という有名だけどよく意味のわからん句があって、それを思い出す。少しきもい。

よく売られている。特に緑のものは人気が高い。そして値段も高い。
あちきも最初は、緑のを買った。高いから小さい結晶。

淡い緑がきれいで、表面の輝きもいい。
まあそれでいいかと思っていたのだけど、前にも書いたように、その後五反田さんで透明なチビ結晶クラスターが安く売られていたので買った。
このきらきらは、結晶表面が真っ平らではなくて微妙な高低があるから起こるみたい。フィロ珪酸塩で雲母と同派閥。その面状結合のせいか。とても美しくてびっくり。



ついでにピラミッド型単結晶も2個で500円(おお)とお安かったので購入。中の断層部分が虹色に輝いてきれい。形も端正だし、お気に入り。

アポフィライトという石を見直したのでした。緑じゃなくても美しいよ。

で先日、楽しみにしている夕星庵さんの金曜6時の更新を見ていたら、ピンク色の妙にかわいらしいクラスターがある。アポフィライトと水晶の共生とのこと。ジジイが買うには少しばかり乙女チック(古っ)ではあるけれど、心惹かれてぽちっ。
荷物が着いて包装を開けたら、おお、と声が出た。

ドゥルージーの水晶に混ざって、オレンジピンクのアポフィライトの小結晶。
きらきら輝いて、色も華やかで、実にきれい。痺れた。

しかし、写真というのはこういうキラキラものはダメですな。腕も悪いんだけど。
人間の眼というのは、網膜に凹凸があるので健常者でも微小な乱視があるという。そういう眼で見ると、輝きは滲んで美しく見える。あちきは少し乱視気味なのでかなり滲む。夜空の星なんかは下手をすると一つが三つに見える。けど返ってきれい。現実を少しだけ美しく見せてやろうという神様のご慈愛か。(違うと思う)

「綺麗」というのは「美」とは違う。「綺麗」というのは視覚的快。「美」というのはその奥に、神々しさとか愁いとか謎とかを秘めているもの。絵画だって、単に綺麗な風景画は美ではない。美人だって単に顔立ちが整っているだけでは美人ではない。
けれど綺麗が極度に高まると「美」になる。ルノワールの「イレーヌの肖像」なんてのは綺麗が高まって美になっている。北川何とかさんだって顔の造作の綺麗さが高まって美人になっている。(はあ?)
石もまた単に結晶が綺麗なだけなら綺麗に留まる。けれど、それが極度に高まると美になる。このミニクラスターは「美」になっている。(何かわけのわからん理屈だな)

まあ、カリウムとカルシウムの珪酸塩という素朴な石でも、美しいものは美しいということですな。
(しかしよくしゃべるね)
暇なもんで。


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