貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

スウェディッシュ・ブルー

2022-04-29 13:42:09 | ややレア

ガラス。といってもちょっと奇妙なガラス。人工の「ガラス製品」でもないし、自然の火山性ガラスでもない。
製鉄の際に生じる残滓。鉱滓・スラグ・金屎(かなくそ)。そこから「発掘」されたもの。
夕星庵さんより。えらく安かった。

「発掘」の経緯はだいたい次のようなもの。「スウェディッシュブルー・ジュウェルリー」より。
スウェーデン中央部のベルグスラーゲン(Bergslagen)では、13世紀から19世紀中葉まで近世的な手法による製鉄が大規模に行われてきた。1873年には646の鉱床で82万3000トンの鉄鉱石が生産されたという。
1960年代にある金細工師がその近世的精錬遺構から青い石を発見し、ジュエリーを制作、「Bergslaggsten」という名で人気となった。その後、「発掘」はさらに進み、2006年にストックホルムの鉱物業者が「スウェディッシュブルー」としてGIAに紹介し、世界に広まった。

といっても、スラグ全体がこういう美しい青をしているわけではない。「かなくそ」の中から見つけ出し、削り出すのはなかなかの手間らしい。
青の色は銅によるものとのこと。主成分はシリカ SiO2 でほかにいろいろ入っているのでしょう。
日本にもないかなと思ったけど、伝統的「たたら製鉄」は砂鉄を使うので、こういう変なスラグは出ないのでしょう。島根県吉田町にあるたたら遺構を見たことがあるけど、なかなかすごいものでした。かなくそも飾ってあったけど、きれいなものではなかった。
ちなみにたたらでは鉄が「よく沸く」ように建物内のある方角の柱に人間の死体を縛り付けておいたとか。(何の話だよ) 死体にスラグをぶっかけて埋めておいたら不思議な石ができたりしないだろうか。(おいおい)

確かにガラスですな。見た目も触り心地も、何とはなしに石とは違う。ような気がする。なんか柔らかーく触ると柔らかく感じる。(ほんとかよw)
けれど、色合いや濃度が違う青の薄い層がうねり模様を描いていて、神秘的。
地殻運動による変成でも、人為的加工でもなく、こういう模様ができるというのは、実に不思議。シャーレンブレンドでもあったけど、「冷却速度」によって模様ができたりするのだろうか。しかしなぜ? 物質自体にこういう模様を描く「揺らぎ」があるのか。それとも誰か絵描きがいるのか。(いないと思うよ)

似たものに、ドイツで産出する「ジーバー(シーバー)アゲート」がある。やはり鉱山のスラグから採掘された模様入り青色ガラス。
両方ともニューエイジ系の人たちには「ヒーリングストーン」として人気があるらしい。ふむ。かなくそでもヒーリング効果はあるのか。(そういう言い方はおやめなさいw)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿