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ブログ de 姫リンゴ

ひめまの戯言、次女の雄叫び、

一言多い長男、長女、父の日常です。

愛しの座敷わらし

2011-07-08 | 
荻原浩著。

久々だなあ、こういう荻原節。
しがないサラリーマンやうだつの上がらない父親を書かせたら日本一上手いと思う。

転勤で都会から田舎の古民家に引っ越すことになった高橋家。
そこには座敷わらしが棲み着いていた。

おどろおどろした話じゃないです。
「愛しの」ってくらいだから、想像通り可愛い座敷わらし。
微妙にコミュニケーションを取り、徐々にその存在に高橋家の面々が気づいていく様が面白い。

最初に気づいたのは犬のクッキー。
続いて小学生の智也、同時におばあちゃんの澄代。
この2人は積極的に座敷わらしにコンタクトを取ろうとする。
中学生の梓美は薄々気づく。
お母さんの史子は「見てはいけない物を見てしまった」と鬱状態。
お父さんの晃一だけ「そんなものはいない、いちゃいけない、いないよね、やめてよ」と見事なヘタレっぷりを発揮。

田舎暮らしに大反対だった家族が翻弄されながらも田舎暮らしに慣れていき、
愛着さえ感じるようになる。
そこに絡んでくる座敷わらし。
無理がないです。

最後の「六名様ですね」の一文で、にんまりしつつもホロリとくる。

この「六名様ですね」は途中でも1回出てくる台詞。
これを受けたときのリアクションの違いがこの家族の成長。

好きな作品です、久しぶりに荻原浩ヒットです。

これ映画化されるそうです。
主演は水谷豊。

ええ?

お父さんの晃一役。
うーん・・・違うなあ、イメージ。


武士道シックスティーン

2011-06-07 | 

誉田哲也著。

映画化されたので、知ってる人も多いでしょう。
例によって「映画化されちゃってるから読みたくない病」で手を出さなかったんですが、警察物以外の誉田哲也作品も読んでみたかったので、ジレンマ抱えつつ購入。

そして読んだ感想。
剣道やりたくなりました。
はい、単純思考回路で直結しました。
この作家さん、こういう作風の方が向いてるんじゃないか?
人殺しまくりのジウ3部作やストロベリーナイトの姫川シリーズよりずっといい。
誰も死なないって素晴らしい。
感想おかしい?
でもね、本当に登場人物全員死ぬんじゃないかってくらい殺すんだよ、この人。だから凄く新鮮で健康的。

内容は「剛」の磯山香織と「柔」の西荻早苗、2人の剣士の話。
ざっくりですね-、説明が。
対照的な女の子書くの好きですね、この方。
でも上手い。
読んでてあまりに女の子の心情捉えるのが上手くて、「女性作家だったっけ?」と思うことしばしばあります。
逆に男性だから客観的に掴めるのかもしれないなあ。

読んだ人なら絶対やると思うんだけど、香織派か早苗派かという自問。
私は即答で香織派。
頑固だし融通利かないし勝つことしかない子。
だからふらふら~とやってるようにしか見えない(強いんです、実際は)早苗に腹が立って仕方がない。
そんな早苗に負けた自分にも腹が立つし納得いかない。
白か黒かしかない。

でもそんな香織が変わっていく。
というか若干悟る。
基本的な部分は変わらないけど、歩み寄ろう、知ろうとする。
それは立派な成長。
こういう性格の子がそうなるには相当の覚悟が必要。
周りの人に助けられながらそれに気づいて進もうとする。

立派よ、香織。

10代っていいなあ、青春っていいなあと普通に思います。
今しかできないことって絶対あるもの。
かっこいいなあ。

続編の武士道セブンティーン・武士道エィティーンにも期待したい。

八日目の蝉

2011-05-12 | 
※ 蝉って漢字、この字じゃないんだよなー。
手書き入力したんだけど、文字化けしちゃうので不本意だが、こっちの蝉で

映画みたいんだよねー。
小説・TVドラマを見ちゃってるから映画はどうなんだろう。

ドラマが凄くよくて、壇れいが役に合ってたと思う。
ドラマだからじっくり時間かけて作品を作れる分、間延びした感が出てもおかしくなかったのに、それも皆無。一切の無駄がなかった。
全く期待せずに見たから、予想外の出来の良さにどっぷり嵌って見てました。

だからあのドラマを超えられるのかと思っちゃう。
なんか永作博美が誘拐犯のイメージじゃないんだよなあ、童顔過ぎるの。
好きな女優さんなんだけど、どうもイメージじゃない。
多分、ドラマの壇れいのイメージが強すぎるからかな。

DVDに落としておけばよかったなー、後悔。

直木賞

2011-01-07 | 
芥川賞・直木賞の候補者が発表されました。


【芥川賞】
▽朝吹真理子「きことわ」(新潮9月号)
▽小谷野敦「母子寮前」(文学界9月号)
▽田中慎弥「第三紀層の魚」(すばる12月号)
▽西村賢太「苦役列車」(新潮12月号)
▽穂田川洋山「あぶらびれ」(文学界11月号)

【直木賞】
▽犬飼六岐「蛻(もぬけ)」(講談社)
▽荻原浩「砂の王国」(講談社)
▽木内昇「漂砂のうたう」(集英社)
▽貴志祐介「悪の教典」(文芸春秋)
▽道尾秀介「月と蟹(かに)」(文芸春秋)

芥川賞の方は私には馴染みのない方、作品が大半なので分かりませんが、
気になるのが直木賞。

作家買い常連の荻原浩がまた入った。
これで4度目か5度目、もうそろそろいいんじゃないかね。
出来れば「コールドゲーム」とか「噂」とか、なんなら「明日の記憶」あたりで
獲って欲しかった。
候補作は文庫本化してないので未読。
最近の作品はちょっと微妙だからどうだろう。

更に不運にも貴志祐介、道尾秀介と一緒に候補に挙がってしまった。
分が悪い。
道尾秀介は作風が好きじゃないので「向日葵の咲かない夏」しか読んでないが、
貴志祐介は割と好きな方なのでこっちがくるんじゃないかと。
「青の炎」とか「黒い家」はかなり私のなかでも上位作。
候補作は読んでないからどうだかわかんないけど。
一般的に見たら貴志祐介か道尾秀介って思うもんなあ。

さてどうなるでしょうか。

今、池井戸潤の銀行ものに嵌ってすっかり金融・経済かぶれになってます。
元来、数字にからっきし弱いので読むスピードがかなーり遅くなってますが。
ちゃんと読み砕かないと分かんなくなるんだもん。

有川浩

2010-12-06 | 
『阪急電車』が良くて、他の作品も読みたくなった作者。

3部作らしい『塩の街』『空の中』『海の底』を立て続けに読んだ。

SFですね。
発想が「ありえねー」って部分が大きいけれど、そこを割り切ると楽しめる。
だって人間の塩化とか空の中に異生物とか巨大ザリガニとか・・・。
そこに登場人物の恋愛模様が絡んできます。

私にとって、この恋愛模様がいらなかった。
3作ともちょっと強気な女の子と素直になれない男というパターンがね・・・。
話の中のいい清涼剤にはなってるんだけども。
好みだね、これは。

しかし。
『塩の街』を読んでて銀河鉄道999の『化石の星』という話を思い出した。

化石の星

突如襲来した化石化ガスにより、全てが石化してしまった惑星。住民もこの星から離れていた化石の戦士以外は全て石化しており、石の彫刻のようになってしまっている。この星の化石を売りさばこうとする者が後を絶たないため、化石の戦士がその番人を務めている。鉄郎はこの星で美しい裸体の女性の化石を発見し、外に出た際に化石の戦士によって背中をサーベルで斬られた上に、999号のパスまで盗まれてしまった。

※アニメ版では化石の戦士にユリウスという名前が設定されているほか、鉄郎が見つけた裸体の石化した女性はリージャといい、化石の戦士の婚約者だった、という設定が追加された。また、リージャの化石には高額の値段が付いているらしく、盗賊団が執拗に狙っていた。

999でも好きな話の一つなので覚えてました。
ちょこちょこした部分が似てるんだな。
パクリとかそういうことを言いたいのではなく、ふと思い出しただけ。

そして999が無性に見たくなっただけ。

全てが合うとは限らない

2010-12-06 | 
『木漏れ日に泳ぐ魚』恩田陸を読みました。

ざっとのあらすじは、
1組の男女が向かえた最後の夜、明らかにされなければならない、ある男の死の秘密−。運命と記憶、愛と葛藤が絡み合う。『婦人公論』の連載に加筆し単行本化。(引用)

一組の男女のたった一晩の回想劇です。

結構評価高いんですけど、私全く合いません。
評価しているどなたかが「舞台にするとよさそう」と言っていたが、
それには納得。
とにかく一つの感情を描くのに何ページ費やすんだよと、
苛々してしまうぐらい間合いが長い。
だから舞台には持ってこいなんだろう。
でも私はこういう類のは無理、苦痛。

結局なんなの?と思ってしまった時点でアウトでした。
なにもかもが中途半端な感じがダメ。

好きな方、すみません。
星★☆☆☆☆です。

もう一冊、恩田陸買ってるんだけど、手が伸びない・・・。

秋は推理物が多かったので、冬は明るいのが読みたいです。
今読んでるのは荻原浩の『さよなら、そしてこんにちは』
タイトルからすると重そう、暗そうでしょ。
ノンノン、お得意のニヤリとさせる人間模様の短編集です。
サラリーマンの悲哀や突っ走る暴走家族を書かせたら右に出る物はいない。

すぐ読み終えてしまいそうなので、ゆっくり読もう。
楽しむ時間を長引かせたい作家です。


池袋ウエストゲートパークⅧ

2010-09-11 | 


TVシリーズはとっくに終わってもまだあの世界は続いてる。

マコトもタカシもあのまんま。

ついにシリーズ8作目(外伝を含めると10作)。
某雑誌の作者コラムによると、今作でひと区切りつけるそうです。

IWGPファンとしては残念だが、確かにマンネリ感は否めない。
それでも読み続けたのは、あの世界にいたかったから。

今作はまだ読み始め。
堪能しよう。

猛烈な勢い

2010-08-18 | 
怒濤の読書月間となっております。
今年は凄い勢いで本読んでます。

たくさん読んだんだけど、ひとつ分かったことがある。

私、宮部みゆきダメだ。

できるだけ大御所には手を出さず、発掘する喜びを求めていろんな作家に
チャレンジしてきたが、月に10冊近く読むとさすがにネタ切れになる。

そこで東野圭吾と宮部みゆきは最後の砦にしようと決め、
温存してきたのだが、ネタ切れが早かったため、
新装された宮部みゆきの『レベル7』を読んでみた。
なぜ東野圭吾と宮部みゆきを温存なのかという理由は、
単純に話題性が高くて発行部数が多いからというだけ。
流行り物は後回しでいいやということ。

読んでみて、確かに読み応えはあった。
でもなんか苦手と感じちゃった。
複線を張るのは好きなんだけど、その加減が重要。
複線を回りくどいと思ったら、その作家は合わない。
都合良すぎるだろ、そのこじつけとまで思っちゃった。
点が全て繋がって線どころか輪になってるんだもん、無理。

昔『理由』を読んで途中でやめたことがある。
そのときも「読むのめんどくせ・・・」と思ったんだっけな。
読みかけた本を途中でやめるって私にはあり得ないこと。
それをやるってことは合わないんです。

好きな作家を見つけるのは楽しいけど、
苦手作家を知るのも必要不可欠。
これで苦手作家リストに入ったのは2人目。
まだ増えるか?

嗚咽

2010-07-03 | 
いやぁ 泣いた。

横山秀夫の『臨場』を買いに行ったのに、懲りずに『半落ち』を買ってきてしまった。
何してんのよ、私。
ついでに新書が出てたので、石田衣良の『5年3組リョウタ組』も購入。

臨場は?!

そんなウッカリ買いをしてきて読み出したが、半落ちで号泣。
映画にもドラマにもなってるけどみてない。
寺尾聰が主演なのは知ってたけど、スルーしてた。

全く半落ち知識がない状態で読んだので、ダイレクトにきましたよ。
これは泣くわ。
複線を全く読み切れなかった、いい裏切り方。

さあ 臨場も期待できそうだ。(←早く買え)

ウッカリ買い、その2の『5年3組リョウタ組』
これも思わぬホロリ。
綺麗事な部分もあるけど、これはこれでいいの。
だって小説だもの。
不登校に陥った同僚の先生を救うために訪ねた養護学校でのくだりは、
内情を知っているだけにホロリ。

もうね、素直に読めばいいと思う。
本当はこんなんじゃないとかいろいろあるけど、
こうでもいいじゃないかと。
養護学校の先生が素敵すぎた。
いるよ、こういう先生、少ないけど。
少し前の私なら、「障害児を教材にするんじゃねー」とか言ってたな、絶対。
そういうことにいちいち腹が立たなくなってきたわ。

今年はハイペース読書です。
やっと『臨場』買ってきたし。

後追いは続く

2010-06-23 | 
読みたかった本が先に映像化されることほど、
ガッカリするものはない。

だって先入観持っちゃうでしょ。
それに「話題になってるから原作読むんだ」みたいな感じも嫌。
ちっさい、くだらないプライドですけど。

しかし。
映像化されてない小説を探す方が大変になってきた。
ことごとく映像化決定!の帯が・・・。

そこでもう割り切って気になる本は気にせず読もうと。
ようやくくだらない縛りから解放しました。

そこで読みたいのは横山秀夫の『臨場』
これはTVシリーズのファンだから、原作もいいに違いないと思って。

早速書店に行って臨場に手を伸ばしたが、ふと隣に並んでた
『ルパンの消息』という本が気になった。
作者は臨場と同じ横山秀夫。
前にも買おうとしてやめた気がするな、今回は買ってみるかと、
臨場をやめルパンを買いました。

あらすじは、
15年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人だった・・・
警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。
当時、期末テスト奪取を計画した高校生3人が校舎内に忍び込んでいた。
捜査陣が2つの事件の結びつきを辿っていくと、戦後最大の謎である
三億円事件までもが絡んでいた。
時効まで24時間、事件は解明されるのか。

三億円事件引っ張り出してきたか・・・とちょっと引いたんだけど、
これがとんでもなく面白かった。
寝る前読書を決め込んでいたのに、夢中になってしまい一気に読んでしまった。

最後の最後、当時期末テストを盗み見るために、
校舎に忍び込んだ高校生の一人・喜多が取調室を出る時に、
記録係として同室していた幸子に思わぬ真実を告げられるシーンで
何か引っかかった。

取調室を出る直前のシーン、小熊の表紙の絵本・・・
これ映像で見たことある。
私どこで見たんだ?はっきり思い出せない。

と、記憶を辿っていくと映像化されたものがスライドショーのように
頭の中に映し出されてきた。

分かった!WOWOWのドラマだ!!
多分、最初から見てなくて最後の方だけ見たんだ。
だから記憶になかったし、断片的だったんだ。
上川隆也とか岡田義徳とか出てた。

繋がった、繋がった。
つーか映像化されてたのね、またもや。

でも小説は文句なく面白かった。
これで更に臨場が楽しみになった、絶対買おう。