えー!まだ暑いのに?でもね、暦ではもう秋なの。今日から残暑見舞いって書くのよ。今日は立秋、ユウが新聞を読みながら、
「高校野球、始まったの?」
「そうよ!ユウだけよ!中学生で部活もしないで家にごろごろいるのは!」
お母さんのきつい一言に、びくっとするユウ。しまった、こういう話題、口にするべきじゃなかった。
高校野球は、高校生だけどね。中学生だって、部活部活で毎日追い立てられてるわけで。
「ほら!今のお話聞いてた?十代っていうのはね、何か打ち込んだってものがないと。マコトちゃんを見習いなさいよ。マコトちゃん、毎日吹奏楽部に行ってるんですって!」
いい加減にしてくれ!お母さんに何も言い返せないまま、ユウは、新聞を放り出し、自分の部屋に逃げた。何だよ!部活が何が何でも絶対みたいに!
バタン!閉めた自室のドアにもたれかかって、崩れるように床に腰を落とす。何だよ、何だよ!私、中学生になった途端、全部全部悪者みたいに!
『どうせ、悪いことしに行くつもりなんでしょ?』
陸上部をやめたあの時の言葉、絶対に許せない!部活辞めたら犯罪者、スカートが嫌いなら病気。性同一性障害ってなんだよ!私は女の子、ちゃんと女性用のトイレに行ってる!おかしいのは大人のほうだよ!ここまで、個人というものを認めないなんて。大人ってどうして、皆同じにしたがるの?矛盾ばっかり!自分たちに理解できず、扱いにくかったら、結局放り出すんじゃない。キョウコちゃんのこと、私も聞いてる。あんなの酷過ぎるよ・・・汗が出てきた。この部屋、窓と後ろのドアも開けてないと夏は暑いんだ。まあいいよ。汗ぐらい拭いておけばいいし。
同じ頃、第一中学校音楽室。
「ま、文化系は、お盆は一週間休めるしいいよね。」
「そうそう。」
部屋の隅っこで、小さくなって床に腰を下ろしているマコト。
『田舎のお土産。吹奏楽部の皆さんにも持っていきなさいね。』
お母さんに持たされて、小さいキャンディがたくさん入った缶を持ってきてるんだけど・・・私はここにいないって状況、だれにも渡せないよ。練習からもずっと外されてるのに。
『秋の演奏会、ぜひとも聞かせてもらいたいわね。』
どうしよう、本当にどうしよう・・・
「高校野球、始まったの?」
「そうよ!ユウだけよ!中学生で部活もしないで家にごろごろいるのは!」
お母さんのきつい一言に、びくっとするユウ。しまった、こういう話題、口にするべきじゃなかった。
高校野球は、高校生だけどね。中学生だって、部活部活で毎日追い立てられてるわけで。
「ほら!今のお話聞いてた?十代っていうのはね、何か打ち込んだってものがないと。マコトちゃんを見習いなさいよ。マコトちゃん、毎日吹奏楽部に行ってるんですって!」
いい加減にしてくれ!お母さんに何も言い返せないまま、ユウは、新聞を放り出し、自分の部屋に逃げた。何だよ!部活が何が何でも絶対みたいに!
バタン!閉めた自室のドアにもたれかかって、崩れるように床に腰を落とす。何だよ、何だよ!私、中学生になった途端、全部全部悪者みたいに!
『どうせ、悪いことしに行くつもりなんでしょ?』
陸上部をやめたあの時の言葉、絶対に許せない!部活辞めたら犯罪者、スカートが嫌いなら病気。性同一性障害ってなんだよ!私は女の子、ちゃんと女性用のトイレに行ってる!おかしいのは大人のほうだよ!ここまで、個人というものを認めないなんて。大人ってどうして、皆同じにしたがるの?矛盾ばっかり!自分たちに理解できず、扱いにくかったら、結局放り出すんじゃない。キョウコちゃんのこと、私も聞いてる。あんなの酷過ぎるよ・・・汗が出てきた。この部屋、窓と後ろのドアも開けてないと夏は暑いんだ。まあいいよ。汗ぐらい拭いておけばいいし。
同じ頃、第一中学校音楽室。
「ま、文化系は、お盆は一週間休めるしいいよね。」
「そうそう。」
部屋の隅っこで、小さくなって床に腰を下ろしているマコト。
『田舎のお土産。吹奏楽部の皆さんにも持っていきなさいね。』
お母さんに持たされて、小さいキャンディがたくさん入った缶を持ってきてるんだけど・・・私はここにいないって状況、だれにも渡せないよ。練習からもずっと外されてるのに。
『秋の演奏会、ぜひとも聞かせてもらいたいわね。』
どうしよう、本当にどうしよう・・・