チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第7章 真夏の子どもたち その22

2014-12-23 20:22:32 | 時は管理教育「この時代を」
 チリリリリン!住宅街を走るユウの自転車。お盆も終わって夏休みもあと十日。だけどまだまだ暑いね!キョウコちゃんの家に到着。お店の邪魔にならないところに、自転車を止めさせてもらって。
「こんにちは!」
おうちのほうへ。キョウコちゃんが出迎えてくれて、
「ユウちゃん、こんにちは!」
「キョウコちゃん!よかった、元気そうで。」
田舎のお土産を渡そうと思ったら、キョウコちゃん、熱が出たって聞いたから。大変だったね。ううん、よくあることよ。
 擦りガラスの向こうで、キョウコちゃんがお茶の準備をしてくれているのがわかる。キョウコちゃんは本当にすごい。すごく行き届いて、何でもよく気が付いて。
「お待たせ!」
「ありがとう、いただきます。」
冷たい麦茶に、何でもないお菓子でもきれいに盛り付けてある。
「今日ね、お父さんもお母さんもお商売の用事でいないんだ。お兄ちゃんも部活だし・・・そうだ、ユウちゃん、宿題終わった?」
「うん、あとは読書感想文だけ。」
 中学生になって、勉強が特別厳しくなったとは思わない。変わったのは規則の面。
「小学校も規則はあったけど、中学みたいに理不尽じゃなかったよね。一人一人に配慮してたし。」
だから、キョウコちゃんもごく普通の小学校生活を送れた。それが、中学校ときたら、何の配慮もしないで。
「いや、何もしてくれてないことはないよ。」
と、キョウコちゃん。
「キョウコちゃん、無理してない?」
 キョウコちゃんが学校の無配慮のせいで苦しんでるの、よく知ってるから。そして、制服部活動を完全拒否した私。
「ユウちゃん。私は、それで正解だと思うよ。」
「そう?」
「だって、あんなの誰が考えてもおかしいもん。女の子は全員スカートって。スカート履いてない先生も多いじゃない。うちのお兄ちゃんだけど、本当はもうサッカーはできないってお医者さんに言われてるんだよ。」
これは初耳だった。中学ですでに悪くしてたんだって。要するに、部活で酷使して体を壊した。
 体を壊したら何の意味もない。心が壊れたら、それこそおしまい。
「人間には個性があるよね?皆がすんなり受け入れられることって多くないと思うんだ。私、制服が皆に受け入れられる服って思わない。制服にしなくても、地味な人は地味だよね?」
これに対し、キョウコちゃんが、
「そうだよね。制服を嫌がる人を、どうして個性ってしてしまうのかな?型にはまらない人を悪い人っていうのもおかしいよね。」
 そして、マコトちゃんのこと。悪口じゃないよ、この頃様子がおかしい。キョウコちゃんが、
「この間お土産もらった時、びっくりしたよ。あんな顔のマコトちゃん初めて。心配だよね。塾には来てるの?」
真面目で何事にも忠実。それがマコトちゃんの長所だけど。
「何があったか知らないけど、マコトちゃん、相当につらそうだよ!」
何とかしないと。学校のせいで、皆つぶれてしまう。
「ねえ、キョウコちゃん、校則を変えない?」
「え?そんなのできるの?」
「わからないよ。だけど、できそうなことから、私たちから、やってみようよ!」