チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第7章 真夏の子どもたち その10

2014-12-01 19:47:45 | 時は管理教育「この時代を」
 深夜。三日ぶりの自室のベッドで、まだ寝付けないマコト。おじいちゃん、おばあちゃん・・・
『そう!うまくいってるんじゃない!』
『よかったよかった。大したものじゃないか。』
『秋の文化祭はぜひとも行きたいわ。吹奏楽部での活躍、見せてほしいもの。』
どうしよう・・・壁側に寝返り。
 お母さんもお父さんも、学校の先生も、皆、私は学校でうまくやっていると思ってる。校則はきちんと守ってるし、一学期の成績も。でも私、中学なんか何も楽しいと思ってない。今は夏休みだけど、何も救われてない。吹奏楽部・・・私、何も悪いことしてないじゃない。それなのに始めから。
『アハハハハ。』
私は、そこにいないみたいに。楽譜なんか、一回も私のところに回ってきたことない。だから、演奏する曲なんて・・・どうしよう・・・文化祭におじいちゃん、おばあちゃんが来たら・・・どうしよう・・・
 次の日。ピンポン!
「こんにちは!お邪魔します!」
約束の時間通り、ユウちゃんとキョウコちゃんがやってきた。
「あらあら、こんにちは!久しぶりね!」
いつもキョウコちゃんの家に集まるから、うちのマンションに集まるのは、かなり久しぶりだと思う。中学に入ってからは初めてじゃないかな?
「あ!マコトちゃん、私服姿!めちゃくちゃ久しぶりじゃない!」
指さし、声をあげるユウに合わせて、キョウコ、
「本当だ!中学入ってから、制服しか見てない!」
「当ったり前じゃない?校則で決まってるわよ。」
ムッとなるユウを、落ち着かせるキョウコ。
 皆、本当に大きくなったわ。よそのお子さんを見ると本当にそう思う。
「お母さん、お茶持っていくね!」
「はいはい。ほら、お菓子も!」
本当にいいお嬢さんだもん、マコトも、どんどんいい影響受けてほしいわ。
「そうだ、忘れないうちに、二人にお土産!」
「わー、かわいい!ありがとう!」
うちも、来週から田舎に行くんだ。そうなんだ!うちも。
「そうそう、宿題やってる?ちょっとわからないところあるんだけどさ。」
「え?どこ?教えてあげるよ。」