チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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「希望の樹」第10章 新たなる支配者 その20

2012-12-27 19:08:15 | 福祉の現場から「希望の樹」
 何だ!コミュニケーションって、所長が一方的に言いたい事言っただけじゃない!イマサトさん三人組に、完全に支配されちゃってさ!それも、私の意思確認というより、一方的に言いたい事を言い放っただけじゃない!・・・今も、畳のスペースで。
「・・・・!」
「・・・?」
イマサトさんと所長、二人立ち話をしてるけど。
 体の拒絶反応に耐えながら、お皿洗いを完遂するべく踏ん張ってる。腕まで赤くなってきて、これ、確実にアレルギー起こしてるよ。もう、真剣に次の仕事を獲得しなくちゃ。正社員の仕事を。一日も早くここをやめないと、心も体も持たない!

プルルルル!
『はい。ツリーハウス、ホシオカです。』
「あの、ヒロノですけど。」
『・・・・!』
無視を貫く気か!今月の給与明細、またおかしいから聞こうと電話したのに!
「先月もこうだったじゃないですか!もういい加減困ります!今度こそ正式な明細いただけます?」

 やっとお昼ごはんが始まった。介助がないと、わりとゆっくり食事が出来る事だけが幸いか。
「ごちそうさま。タマキさん、ありがとう。」
どんどん山積みになって行く洗い物。これ見てるといつも憂鬱。・・・絶対このせいだ。それまで、全身の肌がすべすべでつやつやだったのに、これをさせられた途端、明らかに腫れている。自分の石鹸を持ち込めば大丈夫と思ったけど、やっぱり・・・
「ユキ君!唾吹きやめろ!」
バタン!ああ!またあんな事して、あの三人組!・・・私が調理じゃなかったら、飛んでいってでも助けるのに。
 もう駄目だ・・・また目が回って、キッチンの床にしゃがみ、顔を伏せていた時、
「タマキさん。」
ゆっくり顔を上げると、所長!ちょっとちょっとっという感じで、
「あの、今、いいかな?」
はい。立ちあがると、横にイマサトさんがいる。
「あの、タマキさんね。」
え?用事があるのはイマサトさん?
「あのね。わしの知り合いで、身体障害者の作業所やってるのがいて、今、人を募集してるんだ。まあ、ここより障害の程度も軽い人だし、楽だと思うし、タマキさん、どうだ?」





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