チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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時は管理教育「この時代を」第4章 マコトの誠実 その10

2014-10-24 19:51:31 | 時は管理教育「この時代を」
 ユウちゃん、部活もやめたの?制服も着てこない上に・・・キョウコちゃんの話を聞いて、ショックを受けているマコト。ユウちゃんとは、小学校で出会って・・・そう、転校してきて、クラス替えがあって、友達がなかった私に、初めて声をかけてくれたのがユウちゃん。
『ドッヂボールやろう!』
ちょっと男の子みたいだけど、すごく元気で活発で。人に馴染みにくい私を、ぐいぐい引っ張ってくれて。でも、心臓が悪いキョウコちゃんのために、教室で遊べることを考えてくれたり、とても優しいところもあって。中学に入ってからは、規則を守らないって腹立ててばっかり、喧嘩ばっかりだけど、本当は・・・
 ところでユウちゃん、教室にいないけど、学校には来てるのかな?一時間目、数学。
「テストを返します。」
え!もう返ってくるの?淡々と答案を返すタシロ先生。クラスメイトの反応はいろいろ。
「アヤセ。」
点数は、百点。
 同じ頃、職員室。ドアの向こうで、母親一人と校長、教頭、女性担任。
「この度は本当に申し訳ありません。何度も言い聞かせていますけど、本人はもう・・・」
泣きそうな声で話すユウの母親に、担任のクロダ先生、
「わかりました。とりあえず、学校としましては、授業はジャージのままでもとりあえず受けさせることにしました。中間テストは別室で受けてもらいました。」
それは、中間テストまでの対応。今日からはまた、別室で自習させている。理由は言うまでもない。
『陸上部をやめる!』
 本人を問い詰めても、反発されるだけだろう。子どものことは、保護者が一番知っている。
「部活をやめるってことは、親の私たちもびっくりしました。まさか部活をやめたいっていうなんて・・・何かあったの?って聞いても、ユウは何も答えてくれませんし。」
要するに、いじめ?
「部活動ではそのようなこと、起こるはずないですけどね。学校としても、いじめにあう子が出ないように全員部活動を義務付けてるわけですし。」
 放課後。今日は吹奏楽部も茶道部も活動がある。
「途中まで行こうか。」
キョウコちゃんと途中まで一緒に・・・別れて、マコトは音楽室へ。
「よろしくお願いします。」
きちんと挨拶もしてるのに。誰からも返事はなし。
「はい!今日は全員合わせます!」
だけど、私。だけど・・・私、入部してから一回も、楽譜もらったことない。