チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

チコの小説連載中!完結作は「でじたる書房」より電子出版!本館「ポエムの庭」へはリンクでどうぞ!

ADHDとともに「君の星座」第8章 箱が開く その20

2013-12-12 19:44:19 | ADHDとともに「君の星座」
 看護師のイシイさんから。
「ツキシロさん、入ってもらってって言ったら、次の人の名前読んでね。」
タイミングがつかめなかったんだ。やっぱり、苦手なんだな、チームワークが。
 今日は、ジョブサポートセンターのカウンセリング。ニシカワさん、ちょっと久しぶりだ。
「こんにちは。」
「どうですか?あれから。」
保健師マツウラさんに話したし、伝わってるかもしれないけど、私からも直接。
「はい、家庭問題相談所で、一度検査したほうがいいって言われて、こころのクリニックを教えてもらったんです。」
「あそこでは出来なかったの?」
「はい、ひきこもり専門だから私は対象がいっていわれたんです。その代わりに、医療機関教えてもらって、いくつか候補あったんですけど、こころのクリニックに決めました。この間初診でドクター決まって、即、発達障害が考えられるから検査って言われて・・・」
ここでは、発達障害という言葉が素直に出てくる。
「検査は九月八日にとれました。」
「じゃあ、もう来週だね。」
「本当は、もっと早いほうがよかったですけど・・・」
 そうだよ、本当に悔やまれる。この一ヶ月とかそういう話じゃなく、あの時、
「私、講師の仕事が終わる時に親に言ったんです。発達障害の可能性があるから調べるべきだって、それなのに、拒否されて。」
親に勧められるまま医療事務の仕事に行って、解雇。
「まあまあ、まだ充分間に合うから。」
「でも、もう三十二歳ですよ、私。お父さんも春に定年になりましたし。」
だからこそ、早く解決したかった。お父さんの定年には間に合うようにって、努力してきた。
「それで、今の医院の方はどうなの?内科、だったね?」
解雇と言われてすぐに決まってしまった次の職場。
「はい。こじんまりしてますし、クビになった前の医院よりはじっくり仕事を覚えられるかな?って思います。」
前よりもずっと掃除、雑用が多い職場。
「ここにも結構医療事務辞めたって子くるけど、歯医者さんなんかは、ほら、人の口の中を見なきゃいけないでしょ。その助手が嫌でやめたって話も多いよ。」
「そうなんですか!うちなんか、胃の中ですよ。胃カメラの助手しますから。」
アハハハハ。仕事だもん。嫌だなんて言ってちゃいけない。お給料もらうために辛抱しないと。
「私の方針が決まるまでは、何としてもいさせてもらわないとって考えています。たとえ、土下座してでも。」
 ニシカワさんも安心してくださったみたいだ。
「じゃ、とりあえずは九月八日の検査だね。結果はいつ頃出そう?」
「うーん、検査の日に次の診察の予約を入れてもらいますって言われたんですけど。」
「わかりました。その後に僕のカウンセリングの予約入れてくれるかな?結果も持ってきてくれる?とりあえず今の仕事がんばって。」
「ありがとうございます。」