チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

チコの小説連載中!完結作は「でじたる書房」より電子出版!本館「ポエムの庭」へはリンクでどうぞ!

「希望の樹」第10章 新たなる支配者 その6

2012-12-13 19:32:53 | 福祉の現場から「希望の樹」
 勤務は月曜と土曜の二日、危険な作業にパワーで当てがわれ、時給も時間も削られて・・・
「まあ、辛い職場なんです。」
就職支援センターの職業カウンセリングでも、殆どツリーハウスの話になってしまう。そんな事より、これからの事を相談しなくちゃ。だけど、何をしたら、どうしたら?
「私、定年まで同じ職場で、保険が付いて、安定して働けたらそれでいいんです。」
そう、何も特別な事は求めていない。でも、年齢を考えたら、正社員になれる仕事って、
「介護しかないでしょうか?」
何とも答えてくれないカウンセラーさん。
 前に進まない理由はわかってる。私に、何がしたいという希望も夢もないから。だけどもう、そんな事言ってる場合じゃない。自分にできる事、現実にある仕事の中から、早く正式に働く道を見つけないと。

カウンセリングは、進んでるの?
いい加減に決めてくれ!

わかってる、わかってる!せかされるほどに・・・

 あーあ、辛いなぁ。職場でも家でも板挟み。
『調理の仕事、結構しんどいでしょ。まだ、タマキちゃんには何とも言ってこない?私はもう、週一回でもストレスいっぱいだわ。』
ヒロノさん、かなり参ってるな。ずっと前からもう辞めるって言ってたもんな。
『所長はね、タマキちゃんも辞めさせたいのよ。』
 このごろ、ツリーハウスの様子は、皆のメール頼みだ。
『プルルルルル!』
あ、サガワさん。
「こんばんは!」
『タマキちゃん、こんばんは。サガワです。』
サガワさんは今日、勤務だったんだ。
「で、どうでした?」
こちらが聞くまでもなく、
『ねえ!ちょっと聞いてよ!ふたば三人組ね・・・!』
はい、はい・・・
「うわー、やりたい放題ですね!」
『そうなのよ、来たばっかりの人間がね!』
所長を差し置いて、前にいた職場のやり方を押しつけてるらしい。
『洗濯物干しも、勝手に外に出しちゃったって!それにね、ヨシナガさんの悪口言いたい放題言ってるらしいわよ。』
「へー!一体何でしょうね?」
もう、驚くしかない。後から来たのに、先に来てる人の悪口を平気で言うなんて。やっぱり、とんでもないのが来たんだ。
「サガワさん、四月の集会、早めにしましょう!」
『そうね、そうしましょう!』