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ユーロ危機、新興国に影 韓国はウォン安に直面

2011年10月05日 07時35分52秒 | 為替
 ユーロの財政危機は金融市場の混乱を通じ、堅調な成長が続いていた新興国の実体経済にも影を落とし始めている。韓国ではドルの調達難から一部の銀行が融資に慎重になり、株式市場での資金調達額も減少。運用リスクを回避しようとする海外マネーの急速な巻き戻しが国内の信用収縮を引き起こし、景気の足を引っ張る懸念が浮上している。




 4日のソウル外為市場でウォン相場は一時1ドル=1208.2ウォンと前週末比2.5%のウォン安・ドル高となり、ほぼ15カ月ぶりの安値圏に下落した。対円でも100円=1560ウォン近辺で推移し、リーマン・ショックに伴う安値に接近。海外から流れ込んでいたマネーの流出が続いている。

 ウォン安によって銀行は外貨建て債務の返済負担が重くなっている。さらに韓国金融機関が外貨借り入れの3割強を依存する欧州の金融機関は、自らの資金繰り懸念もあって一部で借り換えに応じなくなっており、外貨の調達コストが上昇している。韓国の銀行が外貨を借り換える際、基準金利に対する上乗せ幅は7月に平均で0.274%だったが、9月は0.372%へと拡大した。

 財務の悪化懸念を背景に、大手銀行の一部は9月から景気減速の影響が表れやすい中小企業向けの融資を絞り始めている。ある電機関連の中小企業経営者は「資金事情は3年前のリーマン・ショック時並みに厳しくなっている」と話している。

 外国人投資家の売りが膨らんでいる株式市場でも中堅・ベンチャー向けのコスダック市場での企業の資金調達額が8、9月に前年同月比でそれぞれ52%減、19%減となるなど、資金繰りの悪化懸念が出ている。

 経営規模が大きい大企業では今のところ目立った影響はみえていないが、鉄鋼最大手のポスコは円建て外債(サムライ債)の発行を検討中。投資マネーの流入によって起債環境が相対的に良好な日本で、必要な資金を調達する動きが今後広がるとの見方もある。

 ウォン安進行は輸入品の価格上昇で物価をさらに押し上げる恐れもある。4日発表された9月の消費者物価上昇率は前年同月比4.3%と、韓国銀行(中央銀行)の目標上限を9カ月連続で上回った。ウォン相場下落の影響は1~2カ月後から表れ始めるとみられ、消費意欲を冷え込ませかねない。韓銀は信用収縮の懸念と物価上昇が同時に進む中で、難しい政策対応を迫られている。(ソウル=島谷英明)
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