ひからびん通信

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検察審査会の2回目の議決も起訴相当

2010年10月04日 | 事件・裁判
小沢氏、強制起訴へ 検察審査会2度目は「起訴議決」(朝日新聞) - goo ニュース

 大阪地検特捜部検事による証拠のねつ造疑惑やそれを組織的に隠ぺいしたとする最近の検察の不祥事の発覚により,小沢氏の政治資金規正法違反事件(2004年と2005年の政治資金収支報告書の虚偽記載)に関し,検察審査会は起訴相当の議決はしないのではないかという見方が強まっていたが,検察審査会は1回目の議決と同様に再び起訴相当の議決をした。

 2回続けて起訴相当の議決が出れば,起訴が強制されるところ,このような検察審査会の議決に強制力が与えられたのは,司法に市民の感覚を反映させるという意味で,裁判員裁判の導入と同じ趣旨に基づくものと考えられる。

 これまで検察は,起訴されれば間違いなく有罪が見込める事件しか起訴しなかった。
 しかし,これでは裁判は検察の起訴行為の追認作業に陥る恐れがあるのであって,無罪になるかもしれないが,起訴して裁判所の判断を求める方法が失われてしまう。

 このように起訴・不起訴の判断に対する基本的な考え方が違うのであるから,検察審査会が,有罪の見込みがないとして検察が行った不起訴処分を否定することがあることは当然といえば当然のことである。

 主に特捜OBの弁護士らは,公判では高い確率で無罪となるであろうなどとメディアでコメントし,検察審査会審査会制度のあり方そのものに疑問を呈している。
 しかし,証拠に問題があり無罪となる可能性が高いからといって不起訴にするのではなく,市民感覚の反映という観点から,検察の不起訴処分が妥当であったか否かを問うのが検察審査会制度の立法趣旨なのであるから,検察OB達の議論は検察審査会の立法趣旨の議論とはかみ合っていない。
 もっとも,本当に無罪となる可能性が高いと言えるかは分からない。
 もし検察が2度にわたり不起訴にした事件が,有罪となったとき,果たして検察はどのような説明をするのだろうか。

 ところで,起訴強制後の裁判の審理において,証拠請求される秘書たちの供述証拠の信用性が認められるかという問題があり,また仮に無罪判決を得ることができたとしても,一旦,被告人とされたことによる不利益の回復はどうはかられるのかという問題も残っている。

 だからこそ,起訴強制の要件は厳格に定められていて,審査会において,2回にわたる起訴相当の議決があって,しかもともに11人の審査員の8人以上の議決が必要とされるのである。

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