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ダークフォース続き(仮)新規です

ダークフォースDFと続きに仮セカンド。
新規とDF追加再編です

はじめに。 「ためぞう の ぼうけん。」

2020年12月09日 22時44分52秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)
 ためぞうの冒険は、


 主人公(仮)

 「山本 貯蔵(ためぞう)」君の、


 何気ない日常を、


 大した起伏もなく、

 特に、冒険することもなく、

 ゆるめに描く、物語です。



 ・ これまでのためぞうさんの足跡。


   - 特に変化はありません。 -



 ・ 本作品は、フィクションですので、

   いい事あっても、それは架空のお話になります。


   - いい夢、見れるといいですネ。 -



ためぞう「夢オチなのか・・・。


     嗚呼、『夢』でもいい。

     いい想い出をこの胸に抱いて、


     ささやかにでも、きらめいていたい。」



 2015年度が始まりましたので、

 新たに、学園生活のスタートです。


 今ならなんと、

 冒険、90%OFFのプライスです!


ためぞう「・・・わかっている、

     結局オレは、

     旅立てはしないだろう。


     それでもいい。


     ためぞうなりの、小さなラッキーを、

     こつこつと貯めていければと思います。」



 それでは、

  『三年T組 ためぞう先生。』

            スタートです。



ためぞう「オレ、卒業しちゃってるの!?」


 → おっと、ためぞうの知力では、卒業出来ないッ! (知力 3)


 私立 聖クラウス学園の

 どこかのクラスからのスタートになります。


ためぞう「ふぅ~、助かった。


     どうやってその学力で、

     入学出来たかは不明だが、


     ささいな事を気にしては、

     今のためぞうは、

     本当の『冒険』に旅立ちそうなので、


     なるだけワナっぽいのは、スルーしよう。」


 ためぞうさんは、

 立派に成長しています。


 冒険者としてのLVも

 『93』(最大は、LV99になります。)と

 とても高いので、


 いつ、冒険に出しても、

 そこそこの成果は、挙げてくれるでしょう。


 そこで本年度、一回目の選択肢です。


 ・ 軽く、冒険してみませんか? (経験値は、入りません。)



   → はい。


     オーケー。


     いつでも行けるゼッ!



ためぞう「・・・行くしかないだろう。


     オレはまだ、

     選択できる立場にはない。


     よろしくお願いします。」



 → ためぞうさんに『冒険 90%OFF』の効果!


   さすがに、

   簡単には『冒険 10%』は引けないッ!!



ためぞう「なら、

     選択肢とか出すなYO!」


 てへっ・・・。


 以上、解説の

  聖クラウス学園、

   生徒会長のアリス=クラウスでした。



ためぞう「会長さんでございましたか!?


     これからも、

     お引き立てのほど、

     よろしくお願い致します!」


 ためぞうの前に、

 絵に描いたような、金髪の美少女さんが現れました。


 髪とかふわふわで、なんだか癒されますね。


アリス会長さん「がんばって下さいね。」


ためぞう「はい、頑張りますッ!!」




   ◇ 現在の ためぞう のデータ。



       冒険LV 93。 < スーパー冒険者。 >



       長崎ドラゴンタウンに暮らす、自称 16才。

       美人のお姉さん(23)の家に、下宿中。


       学園生活を送りつつ、

       バイトに励んでいる。


       近年、丸くなったとのウワサ。

『続きに続く、古蔵さん。』

2017年05月30日 19時12分10秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)
   『続きに続く、古蔵さん。』


 ・・・そろそろ、
めんどくさくなってきましたネッ♪


古蔵さん
「だからって、てきとーにやるんじゃないッ!!

 古蔵さんの未来がかかっているといっても、
 過言ではないくらい、
 オレに光が当たってるんだよぅ・・・。

 運気をくれてありがとう、ねーさんっ!

 ためぞう君がいたって、
 やっぱ面倒見、最高だぜッ!!」


 ためぞうさんに古蔵さんにと、
その肩の荷が重過ぎて、出会いを逃し続ける、
悲運のヒロイン、エリスねーさん。

 せっかくの美しい容姿も、メリハリの効いたナイスバディーも、
ズンと重たい鉄球の繋がれた鉄鎖と化し、まとわり付く二人の義弟たちによって、
空は暗雲で覆われ、煌びやかに咲くエリスねーさんという花も、
うまくお日様を拾えていません。

 今が旬で引く手数多なのに、陳列ケースのど真ん中で、
罰ゲームのように売れ残されているのですーっ!!!


エリスねーさんの遠吠え聞こえて来るかのようです。
「いつの間にか、二つに増えてたんだよッォ!!」


 ……ですが、与えられた椅子にあぐらをかいて、
贅沢三昧の日々のあの甲斐性なしの古蔵さんも、
今では、すっかり自立して、
ついでに周囲の好感度も上げながら、
いい汗流すようになりました。

 それはエリスねーさんが、とっておきなのに譲ってくれた、
運気に満ち満ちた、素敵なネコさんのレスラーマスクと、
湧き出る泉のように惜しみない慈愛の賜物でしょう・・・。


遠くのねーさん
「……湯水のように吸われ続けているのか。」


 滅多にないチャンスなのですから(他力本願ですけど。)、
たとえ妄想の中の出会いであったとしても、
取りこぼさないように、注意して下さいねっ。

 ほら、古蔵さん、
妄想世界の中で、ルフィアさんを待たせっぱなしですよ。 


古蔵さん
「はうっ!?
 根性みせろ、オレッ!!」


 ……シーンは飛びます。いきなり飛びます。

 そこは、古蔵さんの地道な努力が積み上げられている、
きちんと掃除の行き届いた、営業所の倉庫の中。

 自然光を上手く取り入れた、エコな感じの建物内は、
壁面に張られた白のクロスによって、
とても倉庫の中とは思えない、明るく清潔感に溢れています。

 外側からは、本当にただの荷物倉庫にしか見えませんが、
その内側の印象は、まるで真新しい引越ししたての、
オフィス空間のように、見えなくもありません。

 それは、バイトの古蔵さんに感化されて、
社員の皆さんと一緒に、職場を快適なものへと変化させた、
その結果でもあります。

 本音を言えばこうなるのですが、
古蔵さんといると、時折、街に現れるとウワサの、
一流モデルのように華のある、素敵な美人OLさん。

 実はその麗人の正体が、古蔵さんの義姉
『エリスおねーさん』様だとバレてからというもの、

 もしその類まれな美人おねーさんが、
急な来訪で突然現れたらと(例:お弁当などを古蔵さんが忘れた等。)、
妄想に慌てた社員さんたちと所長さんが、張り切ってリフォームした、
汗と努力の結晶だという夢の詰まった営業所なのです。

 空調器具もしっかり完備されていて、
少しでも快適に、この場所に長くいて欲しいという、
願いにも似た淡い想いが、女性社員さんも含め、
営業所のみなさんの心の中にはありました。

 ・・・残念な事に、まだ一度も訪れてくれた事はありませんが。
古蔵さんが一言声をかければ、すぐに駆けつけて来る、
義弟想いの、とてもいいおねーさんです。

 鈍感さでは、ねーさんに引けを取らない古蔵さんが、
早く、みなさんの想いに気付いてくれるといいですねっ。


 そして、招かれたルフィアさんにとっては、
初めて目にする、彼の今の職場です。

 衝撃吸収材付きの油圧シリンダーで、優しくクッションする、
背もたれ付きの椅子のすわり心地は、なかなかのものです。

 そのすぐ脇に腰掛ける、古蔵さんのデスクには、
エリスねーさんがくれた、可愛い花柄の急須の中に、
高級な緑茶のティーパックが入れてあります。

もちろん、電気ポットも保温状態でスタンバイOKです。


古蔵さん
「ここ、オレの今の職場だけど、
 いつもは、荷物が山積みで、

 でも、それをいろんな所に届けて喜ばれるのは、
 ちょっと、うれしいんだよね。

 おっ、お茶入れるからちょっと待ってねっ。」


ルフィアさん
「お気遣い、ありがとうございますっ。

 その、なんと申しましょうか、
 本来、お茶汲みなどは私の役目なのに、

 あの・・・。
 本当に、ありがとうございます。」


 この世界の家電の使い方を知らないルフィアさんは、
なんとも便利な給湯ポットから、きゅうすという茶器に、
お湯が注がれていくのを、なんだかもじもじと、
申し訳なさそうに見つめています。

 約80度に設定された電気ポットから、お湯が注がれると、
なんとも芳しい、未体験の緑の匂いが、
ルフィアさんの鼻先を抜けていきます。

 これまでのお茶とは少し違う、
異国の香りを、ゆっくりと目を閉じて楽しむルフィアさん。
そこに、しばしの沈黙が訪れます。

古蔵さん
(・・・いかん、
 目を奪われそうな美しさに、緊張してしまいそうだ。

 幸いなことに、何やらわからんアウェーではなく、
 ホーム地と言えるここでのもてなしに、
 救われている古蔵さんだが、
 次にどうすればいいやら、さっぱりわからん・・・。

 妄想に暴走なんかして、
 夢の中でも、また姫に逃げられないように注意しなきゃな、
 オレッ!!)

 古蔵さんは、笑顔のその下で、
念仏でも唱えるように、一桁の足し算の問題を、
ゆっくりと間違えないよう、慎重に解きながら、
なんとか平常心を保っています。

 ただ、他の事を考えている余裕なんて、
微塵もないようですが・・・。

 いつもの古蔵さんが、暗算をやるのなら、
そんな方法より、配達料や代金引き換えの、
おつり辺りを計算していた方が、余裕だったで事しょう。

 今の古蔵さんの置かれた状況では、
どんなに地の利を得たとしても、
助け舟がなければ、やっぱり無理のようです。

 スピード勝負のダッシュ編でも、
不器用でさっさと終われない所がダメダメな、
古蔵さん。

 もう、『ダッシュ』しないですよね?
 (甲斐性あんなら、やってみィ!!)


古蔵さん
(・・・む、無理っす。)


 ですがルフィアさんとしては、
そんな隙だらけの姿を見せてくれる、古蔵さんだからこそ、
こうして、傍に居たいと思うのでしょう・・・。

 時代や場所は変わっても、何も変わらない古蔵さん。

 ためぞうという、同じ名を持つNEWキャラの登場で、
古くなるしか選択肢がなかった(というより、強制でしたが。)、
変わりたくても変われない、父方のダメな遺伝子が、
どうしても主役の座を追われ、脇役に徹する定めのようにも見えるのです。

 緑の香りを楽しみながらも、
ホッとしているようにも見えるルフィアさん。
実はルフィアさん、ネコのレスラーマスクに覆われた、
古蔵さんのその素顔が、なんと普通に見えているのです・・・。

 まるでエスパーみたいですが、妄想世界にまで、
ネコのマスクを持ち込んだのは、古蔵さんの方です。

 古蔵さんが勝手に被ったままだと、
そう思い込んでいるだけなので、
別に特殊能力だとか、何処かの機関のエージェントだからとか、
そんなウソっぽい理由で、見え見えなのではありません。

 肩までかかる金髪も、その端正な顔立ちも、
それは真に、あの頃のタルスメフィー帝のもので、
そこに焦りや照れの表情が、バレバレで見えているのが、
少し可笑しくも、また可愛らしくありました。

 この妄想世界の中のルフィアさんが知る、
かつての彼、タルスメフィー帝と、
現在の彼、まじめにバイトに励む古蔵さんが、
永い時を経たとはいえ、何も変わっていない事は、
とても嬉しい事でした。

 ルフィアさんは、言葉には出しませんでしたが、
ホッさせられて、胸の内を少し温かくさせられる感じがしていました。

 妄想空間の中?
という曖昧な場所ではありますが、
唯一無二の絶世の美貌を持つ美しい女性(ひと)、
ルフィアさんは、どうも古蔵さんが妄想で生み出した、
夢の美少女とは、少しだけ違う感じがしました。

 そもそも、これほどに美しい女神のような姿の、
可愛らしくもピュアピュアな女性を、
たかが妄想くらいで顕現させるなど、
古蔵さんの貧相な妄想力や薄っぺらい感性では、
出来ようもありません。

 ラッキー+1(ねーさんバージョン。)が、
都合よく、ねーさんのエナジーをむさぼり続けながらも、
発動してるからといって、
今のエリスねーさんは、この眩いばかりの美少女、
ルフィアさんの事を、全く知らないのです。

 あくまで、エリスねーさんの付与あっての効果なのですから、
妄想がいかにリアルで、帰りたくなくなるほど魅力的でも、
ねーさんが知らない範囲の人物は、登場させようが無いのです。

 古蔵さんの妄想など、いくらブーストして、
その極限まで願望や欲望を高めても、
奇跡なんて簡単に起こせるものではありません。

 彼は、ためぞう同様、
望んでも物語の『主人公』には、なれはしないのでぇすッ!!!


 ですが、今回はエリスねーさんだけではなく、
最強の助っ人外国人(?) 神々しいまでに万能で、
世界のあらゆる望みを叶えられるのに、謙虚に、
そしてダンディーに生きている、純白のスーツの紳士さん。

 そう、セバリオスさんがいるのですYOォォオ!!!

 セバリオスさんは禁忌とか難癖付けられて、
辛い日々を送っていた、黒髪のルフィアさんを見事に救い、
あのアリス会長さんでさえ、叶えられなかった、
彼女の自由を、軽々と勝ち取って、
一人の乙女の自由を、さも大英雄のように勝ち取ったのですっ!

 それも、仕事に励む秘書のセリスさんや社員さんを労う為、
天下一品と評判の、ラウエルさんちの中華まんを、
買いに行った、そののついでに成し遂げる余裕っぷりで。

 彼が望めば、一つの世界の支配者だって、
美女や美少女に溢れる、華の現代版大奥だって、
実現は可能ですッ! 

 ぜぇぜぇ・・・。

 とにかく、語りきれないくらいの、
ハンパない『主人公力』といいますか、


◇ 究極のレジェンドクエスト

  難度 ☆☆☆☆☆☆
  
     -「世界の中心にいる私。」 -


 の、その最高難度のクリア条件を、
ちょろっと達成可能なお方なのですよ。

 さすがは、かつての『ラスボス』!!(らしい?)
今は正義のイケメン企業家、セバリオスさんです。

 セバリオスさんの、とってもエレガンスな能力、
『最大限界』のおかげで、
黒髪のルフィアさんが、本物の自由を取り戻したおかげで、
妄想世界のルフィアさん(仮)も解き放たれたわけですネッ。

 現在、妄想世界にいる方のルフィアさんは、
実はむかしむかし、・・・とってもむかし、

 運命の日に、大事な心と想いを失わないよう、
光の妖精や精霊のような姿へと変わり、

 その実体を黒髪のルフィアさんに託して、
封印という眠りに付いた、

 エグラート世界の戦女神、
虹色の髪を持つ美しき乙女と云われた、
古蔵さんの知ってる、
(古蔵さんは都合よく、記憶をいじられてますが。)
再会を誓い別れたあの日の、ルフィア姫だったのです。

 ・・・あの日の君のルフィアさんは、
その大切な想いを記憶を、その時の古蔵さんに託したまま、
彼の前から姿を消していたのです。

 止められなかった究極の力の暴走・・・。
ルフィア姫だけが手に入れてしまった、
人の手に余る脅威の力、『無限』という禁忌の力が、
思いもよらず、セバリオスさんによって、
制御されてしまったのです。

 さすが、セバリオスさん!!
実にすばらしい能力を、限界を超えたその先で、
選んだものですっ。

 セバリオスさんのいる一定の範囲内なら、
ルフィアさんだけでなく、同様の力を持つリンカさんもおまけに、
もう、何も心配する必要もありません。
その効果範囲は、銀河を包み込むほど広いです。

 スーパーエレガンスセレブガイの、
ミスタージェントル・セバリオスさんは、
ひょっとしたら、とんでも暗黒パワーを内の内に秘めまくっている、
アリス会長さんでさえ、凌駕するパワーをお持ちなのかも知れませんねっ♪


蚊帳の外のアリス会長さん
(・・・。

 仲良き事は素晴らしいですねっ!
 ンンッ、是非こちら側に引き入れなければ・・・。)


 という事で、
今、古蔵さんの前にいる、あの日の君のルフィアさんは、
魂の世界に近い、妄想空間という限定はありますが、
こうして、再び古蔵さんと出会えたのでした。

 なので現実で出逢った方の、黒髪のルフィアさんは、
古蔵さんとの思い出など、まったくありませんし、
どちらかと言うと、セバリオスさんの方に好意を寄せていたりします。

 その黒髪の方のルフィアさんが、
自身も気付かない内に、古蔵さんの妄想の中に、
あの日の想い出のルフィアさんを登場させていたのです。

 その事を現実の方で理解していたのは、
アリス会長さんだけでした。

 そんなミラクルを容易く成立させたセバリオスさんは、
薄々と何かを感じてはいましたが、最近はすっかり、
趣味と好奇心の方に、その心を持っていかれている様子です。

 妙に勘の良い、全知全能の秘書のセリスさんに相談でもして、
もし彼女にエリスねーさんがいる場所へと、ダッシュでもされたら、
業務の代行は他の社員さんでは立ち行かなくなり、
セバリオスさんは、オフィスへと強制帰還させられるでしょう。

(ギャラクシー級の総合商社、傘下企業が億単位である、
そんな悶絶必至の激務を、たった一人でセリスさんは管理しています。)

 そうなれば、貴重な時間に没頭出来なくなりますネ・・・。

 なので、セバリオスさんは、
「ひゅるる~♪」っと、口笛を吹くなり、
気付かないフリを決め込んで、スルッと通り過ぎて行ったのです。

 自分に正直過ぎるセバリオスさんですが、
まったく無害の上に、行った先々を豊かにしまくるので、
セバリオスさんへの、ダイレクトメールは絶える事がありません。

 仮に何か問題が起こったとしても、
セバリオスさんなら、どこでもワープ出来るので、
どんな困難でも、たちまち解決してくれるでしょう。

(・・・緊急時のワープは、ブーメランパンツ一丁と、
 ほぼ全裸で現れてしまいますが、衣装は送れてやって来るので、
 ちょっと目をつぶっていればいい話ですねっ。)


 もはや神っぽい(以前、ガチな全能神だったというウワサも。)、
正義のブーメランパンツヒーローの、
セバリオスさんの存在そのものが、

 この街の(星の)影の支配者である、
アリス会長さんを真っ先におびやかす、
イレギュラーな存在だと、そろそろ意識してもよろしいのでは?

 ということで、ここで一回状況の整理なのですっ!


 ◇ アリス会長さんとセバリオスさんの比較。 - 2017年版 -


   ・ 会長さんはLV99
     ですが、セバリオスさんは、
     なんとK点越えのLV100ですッ!!

     この街(この星)近辺で、LV100到達の猛者は、
     セバリオスさんだけなのですっ。

   ・ 実はこっそり、税金かからない場所に、
     隠し財産がありそうなアリス会長さん。

     でも、セバリオスさんは銀河でも並ぶ者の少ない、
     超絶リッチマンさんですっ。

     世の中、お金という方もおられますが、
     セバリオスさんは、そこも超越されております。

    (推定資産は、
     『999999999・・・兆億万円』を超えておりますぞッ!!
     もう、単位がおかしいですねっ!)

   ・ アリス会長さんには、頼れる軍師さんに、
     世界唯一の知力『99』のアリサさんがいますが、

     セバリオスさんの秘書のセリスさんは、
     『知力98(×10倍のオーバークロック)』という、
     わけわかんない、規格外のスペックです。


     アリサさんVSセリスさんの軍師対決が楽しみですっ!!


     セリスさん
     「いつでもいらっしゃって、クダサイネッ。
      ウフフフフ・・・。」

     アリサさん
     「ちょっ!
      姉さん、絶対無理だよォォオ!!!」


           以上、簡単に比較してみましたっ。(´ω`)~♪


現実で、遠い目をしたアリス会長さん
「お友達よね、レイカさんっ♪」


 そのアリス会長さんに、絶対逃げられないよう、
両肩をがっちりとホールドされてるレイカさん。
はやく答えないと、どんどんと足元がアスファルトを突き破って、
マントル層奥深くまで、埋もれていきそうな勢いです。


レイカさん。
「お、落ち着いてくださいよっ!
 アリスさんって!!」


 妄想世界の外では、エリスねーさんの苦労も知らずに、
どうでもいい掛け合いが行われているようです。

    では、そろそろ次回に続きますっ。


   次回『決戦! セバリオスさんVS絶対者アリスさん☆』
         - 新たなる絶対者の誕生へ・・・。 -


アリス会長さん
「やめーーーーっ!!

 次回『決戦! セバリオスさんVS古蔵さん。』
    - 新たなる生徒会役員 セバリオスさん誕生☆ -

 で、お願いしますっ!!!」



 ・・・古蔵さんを身代わりにするより、
エリスねーさんを巻き込めば、セバリオスさんはオマケで、
要らなくても付いて来ると思いますが。


アリス会長さん
「!?

 ・・・うふふっ、いい事聞きました。」


 会長さん、苦しいみたいですね。
あまり攻めると、ためぞうさんの未来が薄っすらとなりそうなので、
素直に次回予告に行っときます。


   次回『そろそろ妄想やめようよ、古蔵さん。(未定)』

            ということで、続きます~。

続 「ダッシュ!」しない古蔵さん。』

2017年05月08日 21時48分44秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)
   『続 「ダッシュ!」しない古蔵さん。』


古蔵さん
「ここで、引っ張るんかいっ!!
 ・・・って、始まっとるやんけ。

 オオゥ、
 おろ、おろおろ・・・。」


  ◇ 『ラッキー+1』再発動!!


 それは、古蔵さんの目の前で広がる、
開かれし光輝の天上の門・・・。

 プラチナに煌めく長い髪を柔らかに揺らしながら、
その髪にまばゆい煌めきを流し、虹色の天使の輪をその頭上に淡く描く、

 この世のものとも思えない、
まさに古蔵さんの望んだ以上の、
究極の美少女が、彼の元へと光臨して行きます。

 その姿は、まさに伝説にさえ謳われる、
世界の終焉や、理すらも塗り替える事が出来るという、
『最強』と呼ばれた、運命の乙女・・・。

  「キラキラ☆ルフィアさん。」

 そんな夢のような(?)感じで登場した、
ルフィアさんは、ラッキー+1に無理矢理に、
引っ張られて来た気分ですが、
身振り手振りで、あれこれ空回りしながらも、

 ぽかんと口を開けて、フリーズしている古蔵さんに、
とても優しい表情をして、温かな言葉でこう言うのです。


ルフィアさん
「私の事を、これほどに想ってくれていたのですね、
 タルスメフィー陛下・・・。

 この容姿はおそらく、
 私の内に封じたある能力が、
 ほぼ、限界値に達している状態の姿なのでしょう。

 内容を語る事は出来ないのが、
 大変、申し訳ないのですが、

 ここまで私などが、
 陛下に想われているなんて、
 その・・・、

 すごく嬉しく思います。」


 そのルフィアさんの再現度は、
古蔵さんの妄想激烈パワーに依存しています。
とんでもなく、溜りに溜まりまくった熱い想いが、
その奇跡を生み出したのでしょう。

 呆ける古蔵さんを心配しながらも、
そう言葉を告げ終わったと同時に、
恥らう乙女な感じの、初々しいルフィアさんは、
古蔵さんの方を、まともに直視出来なくなってしまいます。

古蔵さんの願望のせいで、
強制的に、恥らう乙女をさせられている、
照れた感じの愛らしい、ルフィアさん。

 透けるように美しいその白い肌が、
薄桃色に高揚する様子からも、
その彼女の恥じらい具合は、十分に伝わって来ます。

 古蔵さんも、望みはしたものの、
予想以上の胸の高鳴りに(おそらく、数千年分溜まりに溜まった。)、
ひどく落ち着かない様子で、
天上の階段以外に、辺りに物などないとわかっているのに、
もじもじとしながら、あちこち目を泳がせは、
無尽蔵に湧き上がって来る、
何ともこそばゆい感じを必至に押し込め、
誤魔化すその姿は、変態さんにも、不審者さんにも見えて、
まさに無様そのものです・・・。

 するとぼんやりとしていたその場所に、
階段以外の家具や調度品が次々と現れ始め、
さすがは、エリスねーさんが持ってる『ラッキー+1』、
といった効果を発揮し始めますっ。

 あっという間に、古蔵さんにはとても印象深い、
毎日通っている宅配の営業所の倉庫が、
二人を取り囲むようにして出現したのですっ。

 まるで二人とも魔法にでも、かけられたような感じですが。

 とても倉庫の中とは思えないほど、
綺麗に整えられた室内には、伝票整理などの、
簡易な事務にも使えそうな、立派なデスクが二つ、
横に並んで置いてありました。

 普段なら向かい合わせに並んでいて、
簡単な間仕切りでもありそうなものですが、
まるで二人で座れと狙ったように、
ピッチリと、二つのデスクがくっ付けてあるのです。


 霧で前が霞んだような、アウェーの地から、
親しんだホーム地へと、無事帰還した古蔵さん。

 その空気に安心してか、古蔵さんは慣れた感じで、
自分のネームプレートの置かれたデスクに座ると、
ルフィアさんに隣のデスクへどうぞ、と手招きです。


ルフィアさん
「あっ、はい・・・。」


 天上への階段が併設されている以外は、
古蔵さんには違和感なく、すんなりと、
この状況を受け入れられました。

 エリスねーさんの見えない力は、
ダメな古蔵さんの気持ちさえ、一発で吹き飛ばすかのように、
威力バツグンのようですねっ。

 「ようは、気持ちの持ち様と」、

エリスねーさんの偉大な姐さんパワーは、
古蔵さんの妄想世界さえ上書きするほどの、
ありがたい加護の効果を見せるのです。

 ・・・そして、遥か彼方の現実世界では、
邪まな気持ちとわかっていても、
やっぱり見たいという好奇心を抑えられずに、
便利アイテムを使って、コッソリと覗き見ている、
アリス会長さんと、レイカさんの姿があります。

 まるで、二人の乙女の想いが重なりでもしたかの様に、
エリスねーさんの方へと振り返ると、
見つめるその視線に、熱がこもります。

 (わ、私たちも一刻も早く、どうにかして、
  お姉さまの加護を得なくてはっ!!)、

・・・と。


 そんな二人が、何をやっているのかも分からないでいる、
現実世界でおいて行かれるエリスねーさん。

 時が止まったかのように見詰め合う、
黒髪のルフィアさんと、ネコのマスクの古蔵さんの、
そのあまりの不自然さを、フォローしているのは、
エリスねーさん、ただ一人です。

 「もうちょっと、動かないでねーっ。」

 っとか言いつつ、
ちょうど持ち合わせていたスケッチブックに、
二人のデッサンを取るフリまでして、
通りかかる街のみなさんたちを、ベタな演技で誤魔化して、
孤軍奮闘している、人がいいエリスねーさん。

 そのねーさんのピンチを狙ったかのように、
一台のリムジンがスマートに横付けして来ると、
中から白のスーツ姿で決めた、
いつものイケメン紳士さんが下りて来ます。


セバリオスさん
「気になって、偶然を装って通りかかったんだけど、
 何だか困ってるみたいだね?
 ピンチなんだよねっ、エリスッ。

 なんと、お困りではないとっ!?

 フフッ・・・。

 そうだな、私も信じよう。
 例えそれが、どんな解決しがたい困難だとしても、
 エリスがそれで満足すると言うなら、
 そういう感じのプレイも、
 邪魔する気などないので、
 
 たまには、そういうピンチも、
 息抜きにはいいものだよね。

 本当にどうしようもない窮地に陥っても、
 その時はまた、通りかかると思うから、
 ついでに、ルフィアさんの事、
 よろしくねっ。」



 当のエリスねーさんは、演技の方に集中しすぎて、
セバリオスさんの好意の言葉も、聞こえていないようです。

 ルフィアさんの事だけは、
うんうん頷いていましたが・・・。

 すぐにでも助け船を出してくれる、
アルティメットヒーローのセバリオスさんを、
うっかりと通過させてしまいました。

 そんな隙の多さも、
もしかしたら、魅力の一つかも知れませんネ。


エリスねーさん
「ぜぇぜぇ・・・。

 何だか今日は、セバリオスが素直で助かるよ、
 おう、ルフィアさんの事は任せとけっ!!

 そんじゃ、またなーっ。」


 貴重な運気を、いまだに古蔵さんから吸い上げられる、
割と苦労人のエリスねーさん。

 義理人情を重んじ、演じる事をやめない、
女傑でカッコいい、OL23才さんのその姿に、
見る者は心を打たれ、その茶番を温かく見守ってくれます。

 例え、とんでもない窮地に立たされるとしても、
影で事情の分かったセバリオスさんや、
その友人で憧れの人、レオクスさんなどが、
ワープして来て、解決してくれる事でしょう。

 ただ、先ほど通り過ぎたセバリオスさんと、
試練を根性で耐えるエリスねーさんは、

 どうして古蔵さんの妄想に付き合わされて、
ルフィアさんまで、時を止められているのかに、
まったく気が付かない所ですねっ。

 些細な事など気にしないのが、
やっぱり、ねーさんらしいと言えるのでしょう。

 ・・・きっと後で、

 「何で、さっき教えてくれなかったんだよっ!」

と、違いのわかる男の中の男、
セバリオスさんの胸ぐら掴んで、
問い詰めそうなものですが。

 そんな事をしても、きっとセバリオスさんは、
エリスねーさんの責めを、一つの愛情表現だと思って、
悦に入りながら、受け入れる事でしょう。

 勝手な誤解で、ねーさんから変人だと思われてる、
セバリオスさんは、至ってジェントルマンな、
イケメンのスーパーセレブです。

 セバリオスさんのミラクルパワーがなければ、
ルフィアさんは、今もきっと窮屈な思いをしていたのですから。


アリス会長さん
(この世界の最大の限界LVである、
 LV『99』をあっさりと超える、
 現状、無敵のセバリオスさん・・・。

 んんっ、
 この地では、セバリオスさんに親切にしておいた方が、
 身の為のようですねっ♪)


 なんとなく、アリス会長さんが思っている事が理解できる、
いろんな才能に溢れた、麗しき黒髪の女子高生のレイカさんは、
その彼女が、ほんの僅かな間だけ気を引き締めた感じを、
見逃しません。(約10億分の1秒の間ですが・・・。)

 その身に危機を感じたレイカさんは、
たまらず、会長さんの耳元で、
注意しておくべきアドバイスを、ヒソヒソと尋ねます。


アリス会長さん
(・・・という事ですねっ。

 この有益な時間を、私たちでお邪魔しては、
 きっと、何処からかカミナリが落ちるかもですょ。

 温かく見守る事に、しておきましょーねっ。)


レイカさん(わ、わかりましたっ。)


 すると突然っ!!

 この二人にも予想させない展開で、
泥やホコリまみれのくたびれたボロ服に、
土色の髪のエストさんが、
何処からともなく、湧いたように出現しますっ!


エストさん
「ふぅ~っ、何とか帰って来れた。

 あれ、
 古蔵さんが、どなたさんかとパントマイムしてるし。
 姐さんは、お絵かきっすか?

 ともかく、出迎えっぽい人がいて一安心。
 戦利品でも、確認しときますかね。」


 不意に現れたエストさんに、
今のエリスねーさんは、すぐには反応出来ませんっ。

 エストさんが、表がボロボロになったがま口から、
その手のひらに、アメ玉とよくわからない石ころを、
広げてみると、その目線の先で、
アリス会長さんとレイカさんに、目が合ってしまいます。


アリス会長さん
「あっ・・・。」


エストさん
「こんにちはー、会長さんっ!
 あと、レイカさんも~っ。」


 空のがま口を持ったまま、手を振るエストさん。
そして、目が合った瞬間から、
音もなく消え去る、いろいろ覗ける便利アイテム・・・。


レイカさん
「!? えっ、消えたぁーーっ!!」


 そう、エストさんの冒険に、
そんな便利アイテムが存在してはいけないのです。

 苦労して、もっと苦労して、
荒波にも逆らって、断崖絶壁さえ逆に登りきる、
エストさんの冒険魂ィ!!!

 世界のその矛盾を解消するかのように、
様々な便利なアイテムは、エストさんの中心から、
失われていく事でしょう・・・。

 それは、古蔵さんの妄想世界でさえ、
例外ではありませんっ!!!

 エストさん、ちょー危険人物な感じになってますっ。


アリス会長さん+レイカさん
(ウ、ウイルス化でもしているのぉぉーーーオッ!!!)


 刹那、目にも留まらぬ速さで、
セバリオスさんが通り過ぎると、
それと同時に現れた、新たなる冒険へのゲートが開かれ、
問答無用にエストさんを呑み込むと、
瞬く間にゲートは閉じられ、

 エストさんの戦利品のようなものと、
残響のみがその場に残ります。


エストさん
「ぼ、冒険の準備がぁ・・・。」


 少しの沈黙の後、エリスねーさんが首を傾げながら、
ひとり言のように、こう言いました。


エリスねーさん
「あれっ!?

 ちょっとセバリオスの気配を感じた気がしたけど、
 気のせいかな?

 そういえば、エストさんもどっか行っちゃってるのね。」


 アスファルトにまかれるように落ちた、
エストさんの戦利品を、綺麗なレース編みのハンカチで、
丁寧に拾ってあげる、アリス会長さん。


アリス会長さん
(これは大切に預かっておくとしましょう。

 古蔵さんの夢の中への道は絶たれてしまいましたが、
 ルフィアさんの夢も壊さすに済んで何よりです。

 ・・・。

 驚くべきは、ルシファーVII(セブン)と、
 要塞ファールスを使って、何とか維持していた、
 限界を超えてしまい、危険だったルフィアさんを、

 何事もなかったように、この地に招いてくれた、
 セバリオスさんの、その神の御業ですね。

 と言いますか、セバリオスさん自身が、
 まさに神のような方なのです・・・ネ。)

 そんな、『神』っぽささえ漂う、
セバリオスさんまで、
従えているようにも見えた、凛々しきエリスお姉さまに、

アリス会長さんもレイカさんも感激のあまり、
その乙女な瞳には、その姿は神々しくさえ映り、

 盛りに盛られて、
羨望を浴びている方のエリスねーさんは、
今後も苦労しそうな感じが、
むんむんと滲み出ています。


エリスねーさん
(だ、誰か助けてくれよぅ・・・。)


 エリスねーさんの苦労は、続きます・・・。


エリスねーさん
「どんだけ続くんだいっ!!

 そんな事、どーでもいいから、
 いい加減、ためぞうのヤツも出してやっておくれよぉー。」



     ためぞうさんは出ても出なくても、
               続くのでした・・・。

『ダッシュ! 古蔵さん。』

2017年04月30日 19時07分56秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)
<レイアウトを少し変更して、試行錯誤しています。
PCからページが読みにくかったら、すいません。>


   『ダッシュ! 古蔵さん。』


 昨今、人のエピソードで、
やたら長い回想編に耽っている古蔵さん。
それも、ポンコツの古蔵さんからの想い出サルベージなので、
作業が難航し、更新も遅れ気味です・・・。
公正してないので、誤字脱字もすいません。


古蔵さん
「オレのせいに、してんじゃーねーよッ!!

 ・・・あとついでに、オレの話で、
 試作とかてきとーに、試すのどうよ?

 オレとためぞう君は、都合のいい捨て駒扱いな感じ、
 少しかなしーよ。」


 ネコのレスラーマスクを、エリスねーさんから、
強制的に被せられた時は、散々悪あがきをして、
美少女を見かけるや、問答無用で惚れ吹き矢の雨で、
餌食にしたりと、(見えない力で、無効化されてはいますが。)
やんちゃな行動で、やりたい放題の、
節操なしの古蔵さんでした。

 ですが!? 今はなんと、
改心したと見せ付けんばかりに、日々のバイトも皆勤賞でこなし、
便利すぎるレアアイテム、当たれば一目惚れ間違いなしの吹き矢に、
頼る事も、ほとんどなくなって、
今や街のマスコット化して、みなさんに愛される日々です。

 エリスおねーさんは、本当に素敵な、
美人のおねーさんですねっ!
どんな出来の悪い義弟でも、
立派に更正させる、その責任感が素晴らしいですっ。

 これからもいっぱい、
おねーさんの姉弟(妹)の契り志願者が、
現れそうですねっ♪


アリス会長さん+レイカさん
(それって、ホントに可能なんですかッ!?)


古蔵さん
「しれっと、オ、オレを追い込むような、
 爆弾発言してんじゃねーよッ!!
 せめて、ためぞう君卒業までは、
 枠増やさないでネッ?」


 申し送れましたが、この場は番外の辺境の地、
ダッシュ! で物事を片付けてしまおうという、
堕落と奈落の狭間みたいな感じの、極限エリアです。


古蔵さん
「!? ちょっと待って。
 オレ、自分の回想モードで、
 あんなにルフィアに愛されちゃってるじゃん!

 微笑ましくも、笑顔が素敵な女子高生、
 鈴木さんと、ルフィアの間に迷い挟まれて、
 円満解決の策とか、考えちゃったりしてるのね。

 どんだけオレがロンリーな気分で、
 これまで耐えしのいで来たか、
 わかってはいただけませんでしょうか?

 人肌恋しい、古蔵さんなんですっ!!」


 ロンリーが長い方は、古蔵さんだけではありません。
むしろ、ほとんど誰も異性とは上手くいっていないと、
言い切っても差し支えないでしょう。

 あらゆる色々諸々お持ちな、アリス会長さんも、
才女で美少女で、七つの奇跡を同時に起こせそうな、
レイカさんだって、

 みなさん出会いには、飢えていらっしゃるのですっ。


アリス会長さん+レイカさん
(うおぉ・・・、
 何にも言えないですョ!!)


 コソコソとやり取りを見つめている、
美少女二人も、しっかりうろたえているようです。

 という理由で、
まだ古蔵さんの順番ではないでしょう。
遥か遠くの、どれかの選択肢の先で、
満たされて微笑ましい未来が見えるようです。

 100億パターンあるルートの、
どれかは存じませんが。


古蔵さん「無理って言ってるじゃんッ!!」


 ◇ はい、ダッシュ行きますよ~。

   15秒以内に、以下の選択肢のどれかを選んで下さいねっ♪
   慎重かつ真面目に素早く選ぶのがコツです。


→ 1)ルフィアさんはさっぱり諦め、可愛い女子高生に走る。


  2)鈴木さんはネコ船長に任せ、なんとなくルフィアさんを追う。


  3)素直に実家に帰って、そこそこちやほやされて、丸く収まる。
    (豪華、お花セットを送らせて頂きますッ!!)


  残り2秒・・・。


古蔵さん
「なっ・・・。
 ええい、1番と2番のいいとこ取りでッ!!!」


  残念!! 時間切れです。


 選択肢は音も無く消え去った・・・。


アリス会長さん+レイカさん
(ひ、ひぃ!!

 ここは素直に、ためぞうさんを探しましょう。
 数々の試練と甘いワナを乗り切っている、
 ためぞうさんがいないと、無理ですってッ。)


 アリス会長さんとレイカさんは、
二人で顔を合わせると、的確に出口の方向へと、
駆け出して行ってしまいました・・・。

 ちなみにその「EXIT」と書かれた、
闇にぼんやりと浮かび上がる、その非常口は、
古蔵さんには、見えていません。


古蔵さん
「お、おいっ、
 オレの知る限りの最強ラスボスJKさんたちが、
 真っ先に逃げ出しちまったぞッ!!

 ちょ、
 一体、どのくらい危険な状況なワケ? オレ。」


 ・・・古蔵さん、ここは貴方の妄想世界。

 わかっていますか? 貴方はわりとよこしまな心を、
その内にひたすら押し込めて、純情好青年っぽい事を、
結構な事、やってきたわけですね。

 では、そこに押し込められたままの、
たぎるようなリビドーが、今もスパーキングしそうな、
そんな臨界状態だとしたら、

 ふつー、乙女さんお二人は、
妄想でも餌食になるのを恐れたりしますよね?


古蔵さん
「オ、オレを欲求不満の変態みたく言うなって。

 ・・・そのだな、ピュアピュアになっちまった今のオレが、
 笑顔でこのオレを、更正してくれた可愛い女の子とだな、
 逃げられちまった婚約者の狭間で、
 ゆらゆらと揺れちまってるんだよぅ・・・。

 なあ教えてくれよ、
 番外編のスピード狂の神さまよォ。

 どんな試練の先でもいい、
 いつか、一世さんみたく、心穏やかに暮らせる日が来るって、
 可能性だけでもいいから、一言、言ってはくれまいか・・・。」


 ・・・。

 おっと、失礼。
フリーズしてしまいましたね。
すぐ再起動するので、電源を切らずに少しお待ち下さい。


  フワワァァーーーーン♪ フワァフワーーーンッ♪


 ようこそ、貴方の創りし妄想世界、
   『シャングリラVII(セブン)』へ。

 ではまず、この冒険の書に、
生年月日とお名前を記帳下さい。

 おや、貴方にはすでに『冒険の書 1』に、
「古蔵さん」というキャラクターが登録されていますね。

 このキャラクターを選択しますか?
 (残り時間 2秒・・・。)


古蔵さん
「お、おいっ、
 たった残り2秒で、しかも古蔵さんしかねぇのかよっ。

 さすがに2秒で新品の冒険の書に、
 イケメン最強主人公なんて、記帳出来るかーッ!
 大事なキャラメイクくらい、せめてじっくり凝らせろよォ!!

 しかも、本名が「古蔵さん」登録って何?

 ってか、オレの今まで築いてきた輝かしい栄光とか、
 そこら辺、どーなんてんの?

 新たな街で、ねーさんのフォロー無しで、
 また最初っから積み重ねろとでも。

 ええいっ、
 オレの告白とか、悩みとか、一体、
 何度オレに、心の中で、
 恥を晒させる気なんだよッ!!!

 ここって、オレのフリーダム、
 妄想の世界の中なんだよねっ!?」


 おおお・・・。
お喜び下さい、まさに今世紀最大の奇跡ですよっ。

『LV535 古蔵さん』で確認が取れましたっ!
フフッ、さすがはワタシ。

 なかなかのツワモノさんですねーッ。
       (ヨッ、アンタは大統領ッ!!)

 過去の恥ずかしい想い出の数々も、
そこそこの実績も、ちゃんと残ってるみたいですねっ。
では、妄想世界の続きをお楽しみ下さいネ♪

 残り時間は、あと60秒ですっ。


古蔵さん
「・・・。

 ここは素直に、なにもせず時間を過ごそう。
 たった、一分では何も出来ん。」



  ピキーーーンッ!


 ◇ お待ちかねの選択肢ですっ!!
  (残り20秒。)


→ 1)黒髪のルフィアさんと妄想世界で幸せにオレはなる!(夢です。)


  2)純情JK、鈴木さんとアブナイ関係にオレはなる!!(妄想ですっ♪)


  3)めんどいから、いっそハーレムモードよォ!!!(妄想ですが。)


 ・・・熱く語り過ぎてしまいましたね、

   フゥ~。(あと、1秒。)


古蔵さん
「つか、
 この無理難題押し付けてる、
 てめぇは何処の何者なんだよッ!!

 タイム的に選択の余地がねぇんなら、
 オレの純情ピュアハートを、揺れ動かすんじゃねーよッ

 まったく・・・。」


 妄想の中の古蔵さんっ。
もしかして、私の事が気になってますかーっ?
何なら、すぐにでも貴方の目の前に現れても、
いーーーーんですョ☆

 クックックッ・・・。


純情古蔵さん
「落ち着けオレ、
 ここはオレの妄想の中、
 つまりこのオレが最強な、言ってて少し虚しい場所だっ!!

 ・・・だよな、
 オレが自由に出来る、『妄想ワンダーランド』だから、
 無敵の会長さんも、謎のラスボス美少女のレイカさんも、
 逃げ出したんだよ。

 きっと、そうだよ。
 なっ、自分を信じろよ。
 今のオレは、誇りを持って汗水流して頑張ってる、
 ねーさんが褒めてくれた、『古蔵さん』なんだッ。

 ねーさんを信じる、自分を信じろッ!!!」


 そう言って、古蔵さんは目を閉じて沈黙してしまいます。
瞑想でもして、その果てない欲望を鎮めていらっしゃるのでしょうが、
ためぞうさんと違って、古蔵さんに、
その忍耐があるのかどうかは、疑わしいものです。


古蔵さん
「無駄口叩いてるくれえなら、
 さっさと出て来いやぁ、コラァ!!!」

妄想の中の天の声
「はーい。」


古蔵さん
「返答も早えYOォ!!」


 それまでぼんやりと、
ピンク色の霧がかかったような場所だった、
古蔵さんの夢のワンダーランドに、
天上から、純白の階段が現れると、

 そこから天上の女神のように美しい女性(ひと)が、
白いドレスを纏って、古蔵さんの元へと、
一歩、一歩と降りてきたのです。


古蔵さん
「マ、マジなのか・・・。

 いや、ここはオレの妄想世界なんだ、
 落ち着けオレ、頼むよ・・・。」


 緊張で硬直する、ネコのマスクマンの古蔵さん。
例え、妄想だろうが、夢だろうが、
エリスねーさんのネコのマスクは無敵なのです。

 そのありがたい効果のおかげで、
古蔵さんの呆けて情けない表情は、
今もしっかりと、目と口の部分以外は、
安全第一でガードされています。

 安心して、うろたえていて下さいねっ。


  ◇ エリスねーさんの、プロレス愛の加護発動ッ!!

    → 古蔵さんに『ラッキー+☆1』の付与!(今回限定。)


 よい風が吹き始めましたねっ。


 ・ 選択肢ダッシュ! を100%ブロック!!

 ・ イケメンに見える効果、妄想限定600%!!

 ・ 古蔵さんのHP(ハートポイント)が10倍になった!!

 ・ 今日の仕事分の宅配を、全部ためぞう君が肩代わりした!!

 ・ 何故かみなさんの視線が、古蔵さんに優しい!! (誰かは不明。)

 ・ 妄想をリアルに感じる事の出来る感度が、2000%になった!!

 ・ いつでもやめたい時の妄想が止まる、九回の守護神が待機!!
   (年間の防御率、堂々の0,00の無失点ッ!!!)

 ・ 妄想の制限時間が、無期限になった!!
   (ちゃんと、帰ってきて下さいねっ♪)


古蔵さん
「つまり君は、
 オレの悶々とした日々が生み出した、
 その・・・。」


 目の前にその姿を現したとても美しい美少女は、
ルフィアさんにさらに磨きをかけて、
究極に美化されまくった、妄想古蔵さんの、
現実で見ていたルフィア姫のイメージそのものです。

 おろおろとたじろぐ古蔵さんに、
来ました、次回予告っーークゥ!!!


古蔵さん
「ここで、引っ張るんかいっ!!」


                   つづきます・・・。

『ルフィアさん パート4.2』

2017年04月16日 19時53分38秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

   『ルフィアさん パート4.2』



 銀河皇帝の執務室と呼ぶには、あまり簡素で小さな一室の、

 その中央に置かれた長テーブルに、

 向かい合うよう置かれた、

 革張りの椅子に腰を下ろすタルスメフィー帝に、

 心をこめた一杯の紅茶を置くルフィア姫。


 ルフィア姫も、品良く菓子が盛り付けられたティーセットを置くと、

 芳しい香りの湯気の向こうの彼に、

 向かい合うように、ゆっくりと腰を下ろしたのです。


 あらためて目にする、銀河一と言っても過言ではない、

 七色の色彩の美く長い髪を、その腰まで垂らした美姫のルフィア姫。


 一目で誰をも魅了するであろう、奇跡の絶世の美貌の持ち主は、

 彼だけの為に、優しく微笑んでいるのです。


 緊張に手先が震えるのを抑える彼、タルスメフィー帝が、

 そんな彼女には、とても愛おしく見えたのです。


タルスメフィー帝
「・・・その、こうやって向き合うのは、

 初めてというか、とても久しいので少し緊張している。


 ハハッ、情けないなぁ。

 もう何年、君と一緒に居るんだオレは。」


ルフィア姫
「そうですか・・・、

 その、私も少し緊張しております。


 何なのでしょうね、このこそばゆい感じは。

 話したい事は、たくさんあるのですが、

 それが言葉に出てこなくなってしまいそうです。」


 タルスメフィー帝は、恥じらいを誤魔化すように、

 皇室ご用達の、三段のティースタンドに盛られた、

 綺麗な包装の茶菓子に手を伸ばします。


 ごはごはッ! っと、

 焼き菓子を喉に詰まらせるタルスメフィー帝。

 まだしっかり熱い、紅茶で流し込んで、

 今度はその熱さに耐えるように、額に汗を流す姿は、

 滑稽そのものです。


ルフィア姫
「御身をもって、

 危うい食し方を示して下さっているのですネッ!」


 危うく自身がそうなる運命を、

 先に犠牲になる事で、教えてくれた彼に、

 冗談っぽく言ってみせる、ルフィア姫です。


 彼女も彼女なりに、

 普段なら有り得ない温度の間違いに、


 ああ、自分はこんなにも彼を意識していたんだと、

 照れながら顔を少しだけ背けてしまいます。


 彼の姿が、その視界からほとんど消えたその一瞬の事ですが、

 安易に正義感だけで、アリスアリサの求めに応じ、

 二度と戻れぬ地へと旅立ち、


 のちに悔いを残さすに済んだ事に、

 ルフィア姫は、ホッと安心したようにも見えました。


 体裁を取り直したタルスメフィー帝は、

 少し真面目な表情で、視線を戻したルフィア姫に向かって、

 こう言ったのです。


タルスメフィー帝
「オレが焦って、

 義姉さんに頼み込んで準備してもらった、

 来月のその・・・、

 指輪とかの交換? 一件だが、


 あれは無かった事にして欲しいっ!!」


 思わぬ彼の言葉に、内心、驚いたルフィア姫。


 ですがその言葉に対してルフィア姫は、

 少々いたずらっぽく、その淡い艶やかかな桜色の唇の乗せて、

 彼にこう返すのです。


ルフィア姫
「えっ、

 別の姫君に心を持っていかれちゃったのでしょうか!?


 ・・・おろおろおろ。


 少し寂しくも思いますが、

 確かに宮中には、

 様々な華やかで麗しい美貌のお持ちのお姫さま方で、

 溢れかえっていらっしゃいますもの・・・。


 では、私の事は側室にでもなされるのでしょうか?

 それとも、チェンジの意味で、

 遠方に飛ばされてしまうのですかっ!!


 さっ、寒い所だけはお許し下さいっ、

 陛下ッ!!!」


タルスメフィー帝
「違ぁ~~~~うッ!!!


 そ、そのだな、

 改めて、自分からだな、

 申し込みたいとそう思っただけだ。


 断じて、あの黒歴史を蒸し返して、

 勝手にバカおやじが実践中の、

 『銀河横断・酒池肉林絶倫計画』なんて、


 親子で同じ発想をしてた、

 こっぱずかしい過去のオレは、

 きれいサッパリ忘れちゃって、誤解しないでねっ?」


 そう言って、丁度よい温度に冷めた紅茶を一気に空にし、

 おかわりをねだるように、カップを突き出した彼に、

 ルフィア姫は頷いて、スッと受け取ると、

 慣れた手付きで、紅茶を注いでいきます。


ルフィア姫
「初めて出会った頃を、

 なんだか思い出してしまいました。


 あの頃は、こんな堅苦しい立場におさまるとは、

 思いもしませんでしたよっ。


 そもそも、子供っぽかった私になど目もくれず、

 サリアさんや、綺麗な姫様たちを見つけては、

 その後ろを、ずっと追っかけ回していましたね・・・。


 ・・・エリスさんという、女性なのにカッコいい、

 素敵な御方がいなければ、

 そこらで私たちは、別行動となっていたのでしょうね。」


タルスメフィー帝
「義姉さんには悪いが、

 あのカリスマに救われっぱなしなのは、

 今もたいして変わらない。


 あれだけカッコいい姿をいつまで続けて、

 自称『23才 独身』を、続ける事になるんだろーなぁ。


 は、果てが見えねぇ・・・。」


ルフィア姫
「そんな暴言、もしエリス様のお耳にでも入ったら、

 帝位ごと剥奪されて、それこそ、

 陽の当たらない、銀河の果ての極寒の辺境にでも飛ばされ、

 ござ一枚手渡されて、


 生涯を、孤独な辺境の番人として、

 さみしーく、終えるんでしょうね・・・。」


 そう言ったルフィア姫が、

 そのしなやかな人差し指を唇にそっと添えると、

 こう迫ってきたのです。


ルフィア姫
「もし、私から先に告白したとしたら、

 こ、断られるとも思いませんし・・・、


 陛下の面子も地に落ちて、

 マイオスト様やライエン様といった、

 揚げ足取りのお上手な方々が、


 張り切って、銀河最強の盛大な祝賀会を、

 用意してくれそうですよねっ♪」


タルスメフィー帝
「や、やめてくれ・・・。


 すでに舐められてるヤツらに、

 底無しの甲斐性無しと罵られると思っただけで、

 背筋がゾクッとするぞ。


 ・・・いいお飾りにされて、

 この先ずっと、好き勝手に仕切られるのが、

 目に浮かぶようだ。」


 その光景を簡単に想像出来るほど、

 彼らの実行力を知っている彼は、


 冗談だよね、っと誤魔化すような仕草を披露して、

 これ以上、自分を懲らしめないでと、

 ねだってみせるのでした・・・。



ルフィア姫
「・・・では、陛下がそのお言葉を下さるまで、

 しばらくお世話になりたいと思いますが、


 そ、それでよろしいでしょうか?」


タルスメフィー帝
「ぜ、是非、お願いしますーーッ!!」


 完全に立場は逆転していますが、

 引っ張るよりは、引っ張られる方に慣れている彼にとって、

 ルフィア姫の方から、リードしてくれるのならばと、

 その底無しの勇気の無さを救われるような想いでした。


 エリス元帥は、模範となるような素晴らしい女傑でしたが、

 教育者には、向いていなかったようです。



 こうして、初めて二人で笑いながらの、

 微笑ましい時間は、すぐに過ぎていきました。


 お互い照れたような表情をしながら、

 意識を取り戻していく二人を見つめる、

 アリスアリサや、エリス元帥は、


 上手くいったこと確信したのか、

 余裕ある表情で、二人を再度迎え入れるのでした。


 ただ、マイオスト元帥とライエン元帥は、

 面白くなさそうに、しらけた顔をして、

 自力で立ち上がるタルスメフィー帝の後ろ姿を、

 ぼーっと見ています。


ライエン元帥
「さて、飲みなおしますか。」


マイオスト元帥
「そうですねぇ・・・。


 運の尽きを期待していたのですが、

 こちらの運を持って行かれたような気分です。


 後はお任せして、我らは愉快に明日の話でも、

 語り明かしましょうかね。」


 そんなオッサン二人に、

 エリス元帥の鋭い視線が突き刺さりますっ!


エリス元帥
「ルフィアの代わりにはなりそうも無いが、

 平和な世の中に、お前らのような軍師や闇商人っぽいヤツらは、

 百害あっても一理なしの、ごく潰しだろ。


 俺たちの冒険はこれからだッ!! の根性で、

 立派にアリスアリサ様の下で、役にでも立って見せろよ。


 ちなみにあたしがお前らに、

 行く行かないの選択権を与えるなんて、

 思ってねーよな?


 ここは、素直に行って来いよッ!!

 ハッハッハッ!!!」


オッサン二人
「そ、それはどうかご容赦をッ!!


 エリス姐さんに我らは付いて行きたいのですッ!」


 その光景を哀れに思ったのか、

 心優しいアリスアリサは、エリス元帥の説得を試みます。


アリスアリサ
「あ、いえっ、


 (マイオスト様とライエン様と、バルマード様には、

  言えないのですが、初期の段階から、

  オリジナルの方のかたに、ご活躍いただいております。
  
  
  決して、今の皆様がにせものとか、コピーではないのですが、

  それを説明すると、とても長いお話になるのです・・・。)


 お気持ちだけで、結構ですよ。


 私はエリス様や、ルフィア様と、

 再び出会えた事だけでも、十分に嬉しく思っていますので・・・。」


エリス元帥
「せっかくこちらへと出向いていただいたのに、

 土産の一つも出せないというのは、

 大変、心苦しい限りです。


 ルフィアの1%も、お役には立たないでしょうが、

 妙に使えたりするヤツ等なので、

 ルックスは残念な感じですが、

 使い捨ての駒としてでも、世の為にお使い下さいませ。」


 非常に困った様子を見せる、

 光の中の美神、アリスアリサです。


 エリス元帥の心意気も十分に承知している為、

 そう返されては、何も言えなくなってしまいます。


 エリス元帥は、彼女が敬愛してやまない唯一の存在、

 『ノルン』という人物に、とても雰囲気が似ているのです。


 そういう意味では、最も傍に居てほしい人物は、

 個人的趣味だけで言うなら、エリス元帥以外にありません。


 ただ、その敬愛が重なる彼女の、

 その楽しい生活を失わせてまでという、両天秤には、

 ほしいという感情はどうしても負けてしまうのです。


 今のエリス元帥には、気になる可愛い義弟を、

 真の一人前にするという目標が、

 やりとりを見ているだけで、理解出来てしまいます。


 エリス元帥は、光の中のアリスアリサを戸惑わせたのを気にしてか、

 彼女に普段見せない微笑みを返します。

 すでに面識のあるエリス元帥は、

 アリスアリサの機嫌でさえ、簡単に変える力を持っているようです。


 元が美しいエリス元帥ですが、その性格から、

 女性らしい微笑みを見せる事など、普段なら有り得ません。


 長く流れるエメラルドの髪の、

 戦女神と讃えられる彼女のその姿は、

 かのアリスアリサさえ、気押させるように凛として美しい姿です。


 これには取り巻きのマイオスト元帥もライエン元帥も、

 言葉を失って見惚れています。


 かつて、このエルザード世界の破滅の神として恐れられた、

 『絶対神 セヴァリオス』でさえ、魅了した彼女の微笑みに、

 つい頬を赤らめるアリスアリサ。


アリスアリサ
「エリス様がそうお望みならば、

 有難く、二人の英雄を私たちの同志として、

 歓迎する事にしましょう。


 そ、それでよろしいですよね?

 エリス様ぁ・・・。」


 その場を圧倒していたアリスアリサが、

 恋をした一人の乙女のように恥じらい、

 もじもじとした様子を抑えるのに、一生懸命のようです。


オッサン二人
「・・・あはは、

 これはやられましたな。



 まさかここまでの影響力をお持ちとは。

 これは、新たなフロンティアで、

 我らも腰を据える必要がありそうですネ・・・。」


 ライエン元帥と違って、

 すでに想い人が存在したマイオスト元帥には、

 かなりの割り切りと覚悟が要る、冒険のようです。


 マイオスト元帥は、ライエン元帥の方をチラッと見て、

 羨ましそうに、呟きます


マイオスト元帥
「独身貴族の貴殿が、こんなにも輝いて見えるなんて、

 女運の無さも、ある意味ラッキーかも知れませんねぇ・・・。」


ライエン元帥
「!? お言葉を返すようですが、

 ただの片思いを結びつけた時点で、そう言われたいものです。


 ・・・やめましょう、所詮我らが小競り合いをしても、

 低層の揉め事と称される事でしょう。


 せめて協力し合って、少ないパーセンテージを、

 1%でも向上させる方が、良策でしょう・・・。


 どうして天は、我が身に姫君攻略と軍略の両方の才を、

 授けてくれなかったのか、


 考える時間だけは、今後十分に取れるでしょうから。」


マイオスト元帥
「ですな・・・。

 ライエン殿の知略と、私の調達力を合わせて、

 左遷されても、窓際部入りは回避したいものです。」


 肩をガックリと落とすオッサン二人を、

 エリス元帥が両方の背中を引っ叩き、

 こう励ますのでした。


エリス元帥
「何、勘違いしてんの?

 左遷じゃねーよ、栄転だよっ。



 アリスアリサ様、

 こいつ等に、銀河中から集めた自慢の美少女軍団の、

 一部のパンフでも、見せてやってくれませんでしょうか。」


アリスアリサ
「あ、はい。

 エリス様が、お望みならば・・・。」


 すると等身大の個性豊かな美女や、美少女たちの姿が、

 立体映像で映し出されます。

 そこには、ルフィア姫にも劣らぬ、

 麗しき姫君たちが華やかに立ち並んでいるのです。


オッサン二人
「ま、まじすか・・・。」


 そのビジョンを可愛い義弟に見せない為に、

 エリス元帥は、タルスメフィー帝の顔を、

 明後日の方向に固定して、ロックしています。


タルスメフィー帝
「ヘッドロックは、マジでキツイぜっ!!

 ギブ、ギブ、ギブッ!!!」


エリス元帥
「あはは、遠慮すんな!」


 そして、映し出された美女群が消えた頃には、

 すでに二人の元帥の姿は、光の中へと消えていました。


 残された二枚のメモ紙には、

 それぞれが残したメッセージが、残されていました。


エリス元帥
「ほう、挨拶も紙一枚ってか。


 まあいいさ、ギャラクシー級の攻略難度が待ってるとも知らずに、

 あいつら、アホだな。」


 エリス元帥の誘惑から、何とか我に帰ったアリスアリサは、

 あまりに酷い二人の言われ様に、同情しつつ、

 目の前のエリス元帥に、魅入ってしまわぬよう、

 注意しているようにも伺えます。


 ちなみに残されたメモの内容はこうでした。


『姐さんっ、婚活頑張って来ますッ!!

 未来の写真入りの年賀状を、楽しみにしていて下さい。

             第1の子分 ライエンより。』


『人の出会いは一期一会ですね。

 ハインには、私が星になったとお伝え下さいませ。

 エリス様も、頑張って下さいネッ!!

 では、また何処かで。     ☆ マイオスト♪』



 エリス元帥は、ポイッっと紙クズを破り捨てると、

 アリスアリサに向かって、深く頭を垂れて謝意を述べます。


エリス元帥
「アホ共が、お世話になります。


 面倒をおかけ致します事を承知で、

 彼らにも、ささやかな祝福を賜れば、

 嬉しく思います。」


アリスアリサ
「はいっ、お任せ下さい!!


 それよりも早く、顔をお上げ下さいませ。

 こ、困ってしまうのです・・・。」


 ルフィア姫もタルスメフィー帝も、

 大いなる存在に気を使わせるエリス元帥に、

 リスペクトの眼差しを送っています。


エリス元帥
「私もやり残した事を終え次第、

 御身の下へと駆けつける所存であります。」


アリスアリサ
「あの、いつでもよろしいので、

 お気になさらずに。



 あと、ルフィア様の能力の事ですが、

 そこだけは、エリス様にお願いいたします。


 では、ルフィア様へとこの光輝をお返しし、

 私もテラ01に戻ろうかと思います。


 ・・・いつでも、想いは繋がっていると、

 思っていても構いませんか?」


 そう少し不安げに問う光輝の乙女に向かって、

 その眩い光に照らされながら、

 エリス元帥は肯定するように、微笑んで頷きました。


アリスアリサ
「タルスメフィー様には、

 ご武運をお祈りいたします。


 二つ目の月によって、新たな光の道が示されます。

 その日は遠くない未来に訪れるでしょう。


 愛すべきものを守る為、共に力を合わせたく思います。


 ルフィア様の事では、ご心配をおかけした事に陳謝を述べて、

 再会の時までの挨拶とさせて頂きます。」


タルスメフィー帝
「多大なるお気使いに、感謝申し上げます。


 正しき覇道を歩めるかはわかりませぬが、

 創世主様のご期待にお応え出来る様、

 精進して参りたく存じます。」


 こうして光輝は収束し、その輝きはルフィア姫への内へと、

 煌めきとなって戻っていったのでした。




 後になって、現れた月の名を、

 エリス元帥は『ゼータ VII(セブン)』と、

 タルスメフィー帝に伝えます。


 それは、大銀河ゼリオスの中心へと繋がる扉であり、

 未知なる星空を駆ける為の『翼』でもある、と。




               その5へと続きます。

『ルフィアさん パート4.1』

2017年04月16日 19時50分23秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

   『ルフィアさん パート4.1』



(パート4.1と4.2にわけてあります。

  誤字等の校正が終わっていませんので、すいません。^^:)



 ふと何かのキッカケに思い出す、

 そんな風景・・・。

 人の中で最も美しく残っている、

 そんな大切な場所は、まるで万華鏡のように、

 想いを巡るたびに鮮やかで様々な光を、

 見せてくれるものなのかも知れません。


 それは、初めて褒めて貰った事、

 誰かを、好きになった時の事、

 素敵な人たちとの出会い、

 そして、故郷と呼べるような居場所・・・。


 それらには、人それぞれの形が無数に存在しているでしょう。

 たとえば、故郷といっても、

 それははじまりの場所だけとは限らず、

 大事な想いを残した場所や、

 また、大切な人と一緒に見る、その風景だったりと、


 感情や願いというフィルターの色によっても、

 より美しく彩られていく事でしょう。



 タルスメフィー帝とルフィア姫が現れた場所は、

 普段と何一つ変わる事のない、

 整然と書類の積み上げられた、彼の執務室でした。



 愛用し続けた為にクッション部が、やや硬い感じになっていた、

 執務室のテーブルの椅子に、タルスメフィー帝は座っています。


 その彼と椅子との間には、

 ルフィア姫が慣れない手付きで作ったと思われる、

 小さなクッションが敷いてあります。


 多少不恰好な、水色の四角いクッションでしたが、

 機能的は十分で、なかなか心地よい反発力が、

 長時間の作業を支えてくれそうです。


タルスメフィー帝
「はは、この椅子のクッションを貰ってから、

 何年くらい経つんだろうね。


 相変わらずの心地良さで、姫の洋裁の機会の一つを、

 減らしてしまっているようだが。」


ルフィア姫
「陛下が遠慮して、時々空気椅子をして、

 ふざけて遊んでいらっしゃるから、

 物持ちも良いのでしょう。

 代わりが要るのでしたら、下手なりに作ります。


 脚を鍛えるのであれば、

 議事堂内での、ながら散歩の階段の昇降運動や、

 庭に出たりして、花壇の土弄りでもしていた方が、

 よほど、お気も紛れてよいでしょうに。」


 その言葉を、ルフィア姫が発した瞬間、

 彼女はこの執務室に妙な違和感を感じたのです。


 お茶を入れようとしても、それを入れるカップも、

 湯沸し器やハーブも見当たりません。

 彼女が普段、何気なく使っている物がなかったり、

 微妙に位置がずれているのです。


 再現されたこの普段と変わらない様子の執務室は、

 姫の目線では再現されていないとしたら、

 これは、タルスメフィー帝の想いの中にある、

 彼の知る執務室だと、ルフィア姫は気付いてしまいます。


 そう知った瞬間から彼女の中に、

 タルスメフィー帝の言葉では語り尽くせないほどの、

 大切な想いが、とても温かく流れ込んでくるのです。


 その時、ルフィア姫はこうも思うのです。

 その事を、彼に気付かせてはいけない・・・。


 と同時に、


  - 二人の見ている景色がこれほど近いのなら、

    その違和感が無くなってしまった時こそ、

    本当の意味で、想いが『一つ』になるのね・・・。- と。



 そう気付いたルフィア姫には、もう、

 今この瞬間にでも、自分の想いを記憶に重ねて、

 二つの想いを一つにする事が出来るとわかっていました。


 何処かで、その一歩を躊躇わせる枷(かせ)が、

 彼女の心の奥に、あったからです。


 それを隠し続けたまま、二人の願いを叶えるのは、

 ルフィア姫には可能でした。


 ただ、その真実をひた隠し、

 自分に素直になれば、それでいいのです。


ルフィア姫
「のどが渇いてはいませんか?

 できれは、特別に美味しいハーブティーなど、

 入れたく思いますが。」


タルスメフィー帝
「それはありがたい。

 さっそく、菓子付きで準備してもらおうかっ。」


 すると、少し奥の隠れた場所にある、

 ルフィア姫がお茶の準備をする、ささやかなパントリーに、

 たくさんのハーブの瓶と各所の銘菓が、

 華々しく彩るように溢れます。


 かなりリッチで、可愛らしいイメージに仕立て上げられましたが、

 可笑しくも嬉しいような気遣いのようにも映りました。


 ルフィア姫は何処か嬉しそうな様子で、

 お茶の準備を進めます。

 普段の彼女は、それほど感情を面に出す方ではありませんでしたが、

 その居心地は、彼女の心を少しくすぐったようにも見えたのです。


 彼女は、想いを重ねることが彼をの距離を縮めるように、

 感じていましたが、実際は少し違っていました。


 ただ、寄りかかるだけでも、その答えは見つかるものなのです。


 お互いに身を寄せ合い、必要と感じることで、

 それはもう支えあっているという、

 人らしさそのものの、愛情表現が出来ている証でしょう。


 問題は、自身の想いを伝えるだけの言葉が、

 二人とも見付からないという、
 その初々しさと恥じらいによるものです。と、

 アリスアリサは、二人にそう伝えたかったのでしょう。


 彼女は二人が、ずっとこのままプラトニックな関係のみで、

 有限の時を過ごすのは、一人の少女の想いとして、

 純粋にむず痒いのです。


 永遠に等しい時を、星々の子らを見守り続ける事を決意した時より、

 真に迫る脅威を排除するまでは、二度と少女には戻れない、

 彼女アリスアリサ女史の中にある、幼くも優しい心が、


 遂げられなくなるかも知れない恋を、

 放ってはおけない程に、おせっかいにさせるのです。


 目的の為にあらゆる努力を続ける、

 身体という器を失った、(アリス)アリサという一人の少女。



 自らが一人の少女であるにもかかわらず、

 自身の事を忘れさせてでも、

 まるで、我が子を見つめる母親のような目線に、

 その使命感のようなものが、彼女を置かせるのでした。


 それは、彼女を初期の段階で支えた、

 『ノルン』という一人の女性の影響が、

 とても大きかったのですが、

 彼女が登場するには、もう少し先のお話になります。


 タルスメフィー帝は、ルフィア姫の知る、

 この世界に残された有限の時の事を知りません。


 それは、彼がアリスアリサと邂逅出来るだけの条件、

 世界の理の、『三つの限界を超えし者』を、

 満たしていないからでしたが、


 その事実を仮に知っていれば、

 彼はもっと強引になれたはずですし、

 ルフィア姫ただ一人を守る為に、その帝位を捨てていた事でしょう。



  - 明日、全てが滅ぶかも知れないとわかっていて、
  
    それでも勇気をもてないなら、

    願いが叶う事など、永遠にないでしょう・・・。 -



 ルフィア姫も、エリス元帥も、

 ウィルハルト聖剣王、バルマード剣王、

 そして、彼の父帝トレイメアスでさえ、


 アリスアリサという、かけがえのない世界の救世主が、

 その滅びを防ぐ為に、一人でも多く仲間を必要としている事と、

 同時に、その域に達する者の出現の両方の存在を、

 多く必要としている事を、理解しています。


 その戦士を見出し、成長させる事の出来る、

 エリス元帥、バルマード剣王、大帝トレイメアスの三人は、

 この地に留まり、戦士の探求をした方が、

 アリスアリサにより貢献出来る事をわかっていました。


 広大になりすぎた、エグラート帝国によるその支配域を、

 最も強固に守護する事の出来る、

 桁外れの実力を秘めた、ウィルハルト聖剣王は、

 南西星域防衛に、欠かせない存在です。


 アリスアリサ女史の知るゼリオス銀河の全体図から見れは、

 タルスメフィー帝の帝国領など、ただの辺境の一部に過ぎません。


 彼女の知る星々の地図は、あまりにも壮大で、

 途方も無い宇宙域の果ての先にも、

 忌まわしき災厄である、『ハイデス』が存在しない事まで、

 知り得ています。


 その僅か数千兆分の1の大きさしか持たない、

 ゼリオスという名の銀河が、

 いかに脆弱であるかという、とても重たい危機感を、

 彼女はその胸の内に隠し、


 例え永久に等しい時に、足枷を科せられたとしても、

 最大限の尽力と解析技術、防御システム構築を根拠に、

 人々に希望を語り、微笑み続けているのです。


 そんな彼女に、自身の力を委ねているルフィア姫は、

 彼女、アリスアリサに感謝の念を抱きながら、




 同時に、その彼女の背負う重荷を少しでも軽く出来ないのを、

 申し訳なく思うのです。

日記 2017.4.6

2017年04月06日 17時18分39秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

 こんにちは、井上です。

 少し遅れましたが、年度初めですね。


 本年度もよろしくお願いします。


 とくにイベントなどありませんが、

 なんとなくの日記です。


 日記、すなわちご飯表という図式が、

 まだまだ続きそうですネ^^:



 ・ 朝ごはん 紅芋パン+ふわふわたまごパン。


 ・ 昼ごはん おかかのおにぎり2個+天そば。


 ・ 晩ごはん ぎょうざ+お吸い物+ごはんの予定です。



 み、短いですね。


 で、では、またですー。^^

『ルフィアさん パート3』

2017年03月31日 19時55分08秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

   『ルフィアさん パート3』


 (まだ後半部分が校正出来てません。^^:)



 エグラート帝国の主星ニューアースは、

 かつて存在したとされる『地球』という惑星を元に、

 テラフォーミングされた、美しい青い星です。


 そのデーターが、一体何処から得られたかという事は、

 前サードラル帝と、彼に付いてこの星を旅立った、

 選りすぐりの将校たちしか知らない謎でした。


 かつて、現在の帝国の礎となる、

(第二次)ミストレウス帝国時代末期、


 サードラル帝はこんな予言を残して、

 銀河の未踏破域へと去って行ったのです。



 - 空に二つ目の月が現れた時、

   それは、この星の民たちを導く、

   新たな時代への幕開けになるのだろう・・・。


   恐れる事など何もない。


   人の想いが未来を切り開くと信じ、

   もし人々が失望するような危機が訪れようならば、

   私は舞い戻り、その危機を救うと約束しよう、


   愛しき子らよ、

   進むは容易くなかろうとも、その手を繋ぎ、

   決して孤独ではないと勇気を信じ、

   自らの手で、その道を開く事を、

   私は切に願おう。 -



 そして予言は、現実として起こるのです。


 ある日、見上げるその夜空に、

 二つの月が煌いていることを、

 一際明るい夜の光景から、人々は気付かされます。


 この頃、エグラート帝国では、

 銀河統一から約10年の月日が経っており、


 ようやく整備された、銀河ネットワークが構築され、

 帝国に参加する全ての国々が、その恩恵に与り、

 人々の生活や治安が安定期に入った時期の事でした。


 執務室の外へと出る、

 タルスメフィー帝とルフィア近衛隊長。


 皇居とは別に造られたこの巨大な議事堂に残っていた、

 他の元帥たちも、騒がしさと物見遊山(ゆさん)で、

 宮殿の庭へと誘われます。


ライエン元帥
「ほほーっ、

 これでお月見が二倍になるのでしたら、

 それはめでたい事ですなぁ・・・。」


マイオスト元帥
「早速、酒盛りの準備と団子でも用意しましょうか。

 他につまみが入用なら、何でも調達いたしますよッ!」


 浮かれる二人のバカ元帥の後ろから、

 10年前より、23才独身を続けている、

 エリス元帥がやって来て、

 その明るい夜空に言葉を失っています。


マイオスト元帥
「おや?

 エリスの姐さんは、あれが何だかお分かりなんですか。

 勿体付けずに、教えて下さいよっ。」

ライエン元帥
「興味深いですな、


 エリス様のその何時にない生真面目な、

 月明かりにダブルで照らされた、

 その麗しいナイスバディーなお姿・・・。


 私でよければ、愛人の末端にでもして頂けませんか?」


 そんな二人の声すら届いていないのか、

 まるで魅入られたように、

 新しく現れた月を見つめて動かない、

 エリス元帥。


 どうやら、ただ事ではないような雰囲気ですが、

 バカ二人は、空気など読まずに、

 勝手に月見酒の準備に取り掛かってる始末です。


 いつの間にやら、

 コンパニオン風の衣装に着替えさせられた、

 宮殿の綺麗どころの給仕、

 数名に、社長並みの接待を受け、

 勝手に酒盛りを始めてしまいます。


エリス元帥
「・・・ルシファーVII(セブン)。」


 エリス元帥が呟いたその短い言葉を、

 バカ二人は聞き逃してはいませんでしたが、

 その慣れなさが実に初々しい、

 美女たちに鼻を伸ばし、

 完全に、祝杯モードに突入しています。


 エリス元帥同様、神妙な面持ちで、

 突如として現れた、もう一つの月を見つめるルフィア姫。



 そのただならぬ雰囲気に、

 タルスメフィー帝は、彼女の事をつい心配してしまいますが、

 かける言葉が浮かびません。


 タルスメフィー帝も、このただならぬ状況が、

 吉兆の前触れなのか、あるいは災厄をもたらすものなのか、


 多くの人々を守らねばならないという、

 逃げ場の無いその立場から、

 まずどう行動すべきかという事を見極め、迷い、

 また覚悟を決めなければならないと、

 目を逸らす事無く、その星々の中で煌く、

 二つの月を見上げていました。


 すると暫くした後、ルフィア姫が、

 ゆっくりとタルスメフィー帝の方へ振り返ります。


 その二つの月明かりにライトアップされた、

 幻想的なまでに美しい、ルフィア嬢の姿に、

 思わずハッと、息を呑んでしまうタルスメフィー帝。


 そして、彼女は彼に語り始めますが、

 どうもいつもの凜とした、ルフィア姫の雰囲気ではありません。


 そう、まるで何かに身体を操られているような、

 焦点の合わない虚ろな瞳と、普段ほとんど見せる事のない、

 優しげな、温かみさえ感じる表情・・・。


 刹那、眩い光輝の球体が目の前に出現し、

 そこから女性らしき人影が現れますッ!!


光の中の女性
「私の名前は、『アリスアリサ』。


 始まりの星、『テラ01』にて、

 星々の子等を見つめる者です。」



 この時、タルスメフィー帝のその背筋に、

 何か嫌な予感のようなものが駆け抜け、


 ルフィア姫の前に現れた、その恐るべきものに、

 アダマンのつるぎをその手に握り、

 身構えるように、彼女に対峙しました。


タルスメフィー帝
「誰だか知らんが、ルフィア姫に何した!!

 妖異の類なら、引きずり出して、

 消し去ってくれるわァ!!!」


 タルスメフィー帝の周囲に、

 凄まじい闘気が、竜巻のような勢いで、

 青白く取り巻き始めますッ。


 彼が本気になれば、この世ならざる者さえも、

 瞬時に消し去る事の出来る、

 鬼神の如き力を発揮する事も容易なのです。


 彼は仮にも、銀河皇帝の名に相応しいほどの、

 高次元の戦闘力を秘めた、戦士の中の戦士です。


 愛する者が危機的状況にあると感じたなら、

 ただ一人の男として、

 この強大な破壊的な力を、躊躇わず行使する事でしょう・・・。


 ・・・タルスメフィー帝は、

 10年もの歳月をかけて、愛おしいルフィア姫から、


 「私の傍に、ずっといて欲しい。」という、


 その言葉の答えを、やっと引き出していたのです。


 結ばれるだろうという周囲の期待を、

 応えられるかも知れない希望の中での、

 この出来事です。


 だからこそタルスメフィー帝は、僅かな事でも、

 ルフィア姫の事に関しては、臆病に動じてしまう、

 そんな心境にありました。


 故に、余計に先走って行動してしまうのです。


 愛しい彼女の返事を聞いてからの、

 煌くような日々は、

 重かった彼の肩の荷を、羽根のように軽くしてくれました。


 そんなタルスメフィー帝が、ついに感情を抑えきれずに、

 ルフィア姫から生気を奪った、者へと立ち向かおうとした、

 その瞬間ッ!!


 姉のような存在のエリス元帥が、彼の前へと現れ、

 我を忘れて暴走する彼を、強引にねじ伏せ、

 硬い大理石の石畳にドシッ!っと、強烈に押し伏せたのですッ!!!


エリス元帥
「早とちりしてるんじゃないよッ、

 このバカ野朗がッ!!」


タルスメフィー帝
「ね、姉さん・・・。」


 すると、ルフィア姫の生気によって現れたように見えた、

 そのアリスアリサなる者が、

 エリス元帥とタルスメフィー帝の二人に、

 こう言うのです。


アリスアリサ
「彼を放してあげて下さい、

 まず、彼を誤解させた事を、

 私は、お詫びしなくてはいけないのですから。」


 優しく語りかけた声は、ルフィア姫のその声と、

 重なって聞こえるようでした。


 そう、ルフィア姫は生気を抜かれたというより、

 自ら進んで、彼女に依り代を与えたいう印象です。


 光輝に包まれるアリスアリサに対して、

 エリス元帥は、深々と頭を垂れて、

 従順の意を示しています。


 ある二人を除いては、

 誰に対しても屈する事のなかった、

 エリス元帥のこの態度に、

 ただただ困惑する彼女の義弟、タルスメフィー帝。


 彼女が以前、服従の意を示した相手など、

 偉大なる帝王サードラル帝と、

 その実弟でタルスメフィー帝の父王である、

 剣帝トレイメアスの、二人のみです。


 義姉のその態度が、目の前の存在を、

 タルスメフィー帝を遥かに超える存在だと、

 否応なく彼に告げるのです。


 仕方なくつるぎを床に置き、

 立ち尽くしたタルスメフィー帝。


 彼は、その正体不明の彼女に、

 従順にしてやる気など、とても持てなかったのです。


 花々たちが二つの満月に照らされて、

 幻想的に美しい、タルスメフィー帝とルフィア姫の、

 プライベートガーデン。


 硬直するように立つルフィア姫の姿は、

 確かに望んでそうしているようにさえ見えました。


 次第よ鮮明な姿を見せる、アリスアリサ。


 美の女神としか例えようもない、

 長いプラチナブロンドの髪の、絶世の美貌を持つ、

 ルフィア姫を超えて美しい、

 麗しき美少女の像・・・。


アリスアリサ
「さすがは、ルフィアさんですね。


 こうも高次元に私の姿を投影出来る、その高い能力・・・。


 ・・・以前のその力は、さらに磨きがかかっているように、

 みなぎる強い想いを感じます。」


エリス元帥
「もしや、この場所で顕現されたお姿を拝謁出来るとは、

 光栄の極みです。


 我らが創世主、アリスアリサ様。」


タルスメフィー帝
「・・・どういう事だよ、

 あんたとルフィア姫が、

 何の関係が、あるってんだよッ!!


 姉さんもちょっとおかしいぜ。

 オレ一人、置いて、

 何、勝手に話進めちゃってんだよ。」


 タルスメフィー帝は、乱暴な態度に出ることはありませんでしたが、

 その感情の持って行きようもなく、

 イライラしたような表情で、

 言える最大限の言葉を吐いて、

 少し、顔を背けるのです・・・。


 この時、マイオスト元帥もライエン元帥も、

 遠くで、いざとなればタルスメフィー帝の盾となる覚悟で、

 見守る姿がありました。


 そして、彼らだけではなく、

 タルスメフィー帝に恩義を感じている、ウィルハルト聖剣王や、

 彼の元の師であった、ハイン元帥も、

 同様に彼の為に、その状況を遠い場所から見守っています。


 それにすでに気付いているアリスアリサは、

 その張り詰めた緊張の糸を優しくほぐすように、

 タルスメフィー帝にこう言ったのです。


アリスアリサ
「貴方の心をかき乱して、

 まずはそれをお詫びしたく思います。


 私はあなた方の『敵』ではありません。


 貴方の心の拠り所である、ルフィアさんのこの清い心は、

 必ず、お返し致します。


 彼女は私の為に、

 たくさんの力を与えてくれていますが、

 ルフィアさんはご無事ですので、

 どうかご安心下さい。


 では次の瞬間、

 力なく倒れ行くルフィアさんのその身体を、

 その手に受け止めてあげて下さい・・・。」


 その時、アリスアリサの映像のような姿が、

 一瞬だけ乱れます。


 タルスメフィー帝は、ルフィア姫の身体を、

 とても大切に受け止めると、

 その表情は、以前の彼女のものへと戻っていくのでした。


 初めて抱きしめた、彼女のその柔らかな身体。

 彼の肩にかかる、その長い桜色の髪が、

 とてもいい匂いを彼に届けます。


 タルスメフィー帝は、それだけで赤面するような自分を、

 抑えるのに必死でした。


 それと同時により鮮明になる、

 アリスアリサ本来の姿が投影された、

 エーテルのようなビジョン。


 彼女、ルフィアの力は、

 そのアリスアリサの姿の投影に使われているのだと、

 腕の中で眠り、甘い吐息を感じさせながら微笑む、

 ルフィア姫の表情から、彼は納得せざるを得ませんでした。


アリスアリサ
「改めて、(第二の世界の)銀河皇帝陛下にご挨拶申し上げます。


 私は、遠い小さな世界の蒼い星、

 『テラ01』に生を受けた科学者の一人、

 『アリスアリサ=クラウス』と申します。


 私の使命は、

 愛すべき揺りかごである『大銀河 ゼリオス』を、


 ・・・異界よりいずる『ハイデス』という名の脅威より、

 全ての人類の、叡智と結束によって守り抜く、

 その手助けを成す事です。」


 少しだけ浮いたように見える、

 麗しき金髪の少女のホログラム映像は、

 タルスメフィー帝に、優しげな雰囲気で語りかけます。


 その本人は、気丈にこそ振舞っていますが、

 内心、ルフィア姫の事が心配で、

 アリスアリサの話を半分も聞き取れていない状態です。


 それを察してか、義姉のエリス元帥が、

 金髪の少女の映像に対して、深々と一礼した後、


 タルスメフィー帝の両肩を強く掴むや、

 激しい口調で、こう言い放つのですッ!!


エリス元帥
「ここじゃ、身分も何も関係ねぇ、

 いいか、ルフィアはお前の為に、

 かの偉大なる先帝様であらせられる、

 サードラル陛下のお言葉を辞退し、


 お前のために、この場所に残ったってんだッ!!


 ルフィアは、当時たいした功績も実力もなかったお前が、

 自分を好いてくれているのを知ってだな、

 トレイメアス師匠の辞退で、

 空席となりそうだった帝王の座という、

 とてつもない重責を任されたお前がよ、

 失恋の失意でガッカリとさせないように、


 ・・・そして、ハンパなく重いその肩の荷を、

 実力ではサードラル陛下に次ぐと言われた、

 事実上のナンバー2としての力で、

 影からこっそりと悟られぬよう支える為に、


 一度として逆らった事のない、

 敬愛してやまないサードラル陛下の言い付けを、

 初めて断ったってんだよッ!!!」


 誰よりも信頼している姉から発せられた、

 知り得なかった真実に、

 驚きと動揺を隠せないでいる、タルスメフィー帝・・・。


 それは遠くで、コソコソと様子を伺っている、

 ライエン元帥やマイオスト元帥たちの酔いを醒ますのにも、

 十分な言葉でした。


エリス元帥
「ほら、マイオスト! ライエンッ!!

 盗み聞きしてんだったら、とっととこっちに来いッ。


 お前らはまだ、アリスアリサ様の事は知らなかったよな。

 今から勉強して、しっかりと働くんだよッ!!!」


マイオスト元帥+ライエン元帥
「は、はいっ!!!」


 こうして、光輝の中の美少女、

 アリスアリサを囲む輪の中に、

 エリス直属の重臣である二人の男たちが、

 加わるのでした。


 アリスアリサのその姿は、

 遠くからでは、ぼやけて見えましたが、

 初めて目にする、これほどに美しい少女を前に、

 二人は、言葉さえ失ってしまいます。


エリス元帥
「ったく男どもは、これだからなぁ。


 ・・・あたしのプライドを傷付けて、

 そんなに愉快かい?」


間の抜けた二人
「いえ、滅相もございませんっ!!


 ほら、私らにとっては感動のオープニングシーンみたいな、

 そんなもんじゃないですかネッ?


 ・・・。

 言い訳になっていませんなぁ・・・。」


エリス元帥
「部下どもが失礼致しました、アリスアリサ様。」


アリスアリサ
「いえ、


 お二方も、私にとっては、

 共に道を照らす事になるかも知れない、

 かけがえのない同志に、なられる方々かも知れません。


 私に代わって、お二人の賢人を呼び寄せてくれた、

 エリス様には、感謝しております。」


 アリスアリサはそう言うと、

 優しく微笑みながら、エリス元帥と男二人に、

 丁寧にお辞儀をしました。


 そのとんでもない美貌と優しさに、

 完全に魅了された男二人は、

 二つ返事で、彼女アリスアリサにこう答えました。

マイオスト元帥+ライエン元帥
「何処までも、お供いたしますッ!!

 アリスアリサ様ァ!!!」


 妖精の女王と比喩しても、足らないほどに、

 絶世の美少女である彼女、アリスアリサに、

 魅了されない男の方が、むしろ異常なくらい、

 その可憐さと美しさは神々しさに満ちています。


 それには、ある理由がありましたが、

 それを知るのは、彼らにとってはまだ遠い未来の話です。


 なんと彼女のその容姿は、

 求めるその最高の理想像として、人々の目には映るのです。


 幻覚のようにも感じられますが、

 今でこそ、自らの意思で、

 人としての形を失っている彼女、

 アリスアリサですが、


 その彼女の、オリジナルの少女の姿は、

 さらにその幻想の姿を超えていると、

 彼女を知るごく一部の人々は知っています。


 その心を魅了してやまない、理想の美少女像でさえ、

 ピンボケして見えるという、驚くべき真実を、

 彼らが今後、知り得るかまでは不明でした。


 二人が現れたおかげで、我を取り戻したタルスメフィー帝。

 この二人は、彼にとって特別な友人とも呼べる存在です。


 エリス元帥は、愛すべき義弟の為に、

 本来、ここにいる資格を持たないこの二人を、

 それだけの為に呼び寄せたわけですが、


 アリスアリサもその気遣いを悟って、

 彼女の意思を尊重するような態度を見せるのでした。


 エリス元帥自身も、彼女を直視して、

 同性でありながらも、彼らと同じように激しく魅了されているのですが、

 平然とした態度を保っています。


 理性という壁を柔らかに越えて、

 本能そのものを魅惑するその絶世の容姿は、

 性別など関係はありませんでしたが、


 アリスアリサ自身、

 そんな目的で今の姿をしているわけではありませんでしたし、

 美しさというものは、いずれは慣れてしまうものなのでした。


 彼女のオリジナルを目の当たりにして、

 それが当てはまるかは、言い切れませんが、


 アリスアリサ自身、

 そんな事よりも気持ちで、想いで繋がりたいと、

 今も純粋に想い、彼らに接しています。


 その彼女自身は、とても善良でお人好しな女性ですが、

 この空に広がる星たちに降りかかろうとしている、

 破滅的な災厄に対する為にも、


 望まなくても、実行し続けなければならない、

 そんな使命を負わされています。


 エリス元帥とルフィア姫、

 そして、先にサードラル帝の要請を拒んだ、

 ウィルハルト聖剣王、


 さらには、タルスメフィー帝の父王であるトレイメアス剣帝、

 ウィルハルト聖剣王の父王、バルマード剣王の五名だけは、

 その事を、とても深く理解していました。


 つまりは、真にアリスアリサと接する事の出来る、

 選ばれし者たちに、

 当のタルスメフィー帝は含まれてはいません。


 ただ、彼女アリスアリサの、

 一人としての女性の優しさとその寛容さが、


 タルスメフィー帝のその心と記憶を、強制的に上書きし、

 ルフィア姫の存在、そのものへの想いを消し去る事を、

 とても許すことが出来なかったのが、その理由でした。


 ルフィア姫もエリス元帥も、

 彼女アリスアリサと共に、愛すべき星々を滅ぼそうとする、

 破滅的なまでの脅威に立ち向かえるだけの、

 次元さえ超える『力』を持ち合わせています。


 その二人、正しく言えば彼ら五人の力を、

 アリスアリサはその立場から、必要としています。


 ただ、アリスアリサはそれを一度として、

 誰にも強要した事はありません。


 ルフィア姫も、エリス元帥も、

 知りながらもその事実を、タルスメフィー帝に伝える資格も、

 勇気もありませんでした。


 何より、アリスアリサ自身が、

 辛い現実を見せるより、ただの簒奪(さんだつ)者として、

 憎まれてもいいという、その覚悟を持っていたからです。


 孤独に永遠の時を、一人で戦い続ける、

 そんなアリスアリサの力になりたいと、

 その五人の誰もが、そう思っていないわけではありませんでしたが、

 それぞれの理由で、二つ目の月が現れる、

 今までは留まっていました。


 何も知らないタルスメフィー帝は、

 そんなアリスアリサに、こう言うのです。


タルスメフィー帝
「オレは、ルフィアを渡さない・・・。


 全てを賭けても、義姉さんが止めようが、

 絶対に、やってたまるものかァ!!!」


 その叫びに、誰もが沈黙します・・・。


 彼の言っている事は、当たり前の事です。

 それを否定する資格は、誰にもありません。


 ただ、その純粋さと、

 彼の若さから来る無謀な勇気が、

 ただただ、いたたまれないだけでした・・・。


 アリスアリサがそっと瞳を閉じると、

 その輝きと姿が、少し薄くなっていきます。


 と、同時に、

 彼の腕の中にいる、ルフィア姫が、

 少し苦しいような表情へと変わるのです・・・。


タルスメフィー帝
「!?・・・どうした、ルフィアァァッ!!


 一体、ルフィアに何をしやがったッ!!!」


エリス元帥
「いいから、黙ってろッ!!

 何も知らないガキがァ!!!」


 止めに入ろうとしたエリス元帥を、

 少し存在が消えかかっているアリスアリサが静止します。


アリスアリサ
「彼の言っている事は、正しいのですから、

 どうか叱らないでやって下さい。」


 ルフィアの想いが不安定になっている事を、

 アリスアリサもエリス元帥も、感じています。


 ルフィア姫は志願して、アリスアリサを見ることの出来ない、

 タルスメフィー帝の為に、

 その想いと生命の力を使っています。


 それは電池のように、

 消費されてしまうようなものではないのですが、


 じっと落ち着いていなくてはいけない、

 その彼女の身体を抱きとめる、タルスメフィー帝自身が、

 彼女そのものを乱れさせ、苦しめているのです。


 アリスアリサは、彼に少しだけ申し訳ないような顔をして、

 最後に、僅かな微笑みを浮かべて消えてしまいます・・・。


 タルスメフィー帝と、残された二人の元帥たちの前から、

 消滅した、アリスアリサ・・・。


 そんな彼女がまだ側にいるのを感じているのは、

 苦しみが和らぐように目を覚ます、ルフィア姫と、

 苦い顔をした、エリス元帥だけです。


 突然の事にスッと我に帰って、

 ルフィア姫を抱きしめる自分に、恥ずかしくなってしまう、

 タルスメフィー帝・・・。


 エリス元帥が顔を歪めるように、厳しい表情で、

 周囲を見ているのに、勘のいい二人の部下はすぐ気付きます。

 しかし、そんな表情の彼女に、

 何を言っても無駄なのを最も知る人物が二人であるからこそ、

 二人は動けずに、ただ立ち尽くすしかありませんでした。


 今、この瞬間、

 やってはならない『禁忌』を、

 タルスメフィー帝が犯してしまったのです。


 本来、アリスアリサという大いなる存在に、

 出会う事が許される者は、選ばれし者のみです。


 彼女と言葉を交わす事が許されるのは、

 彼女の存在を、媒体なしで感じることの出来る、

 『限界を超えた力』を持つ者のみなのです。


 ルフィア姫とアリスアリサが見せていたその奇跡は、

 条件付きになりますが、意義を唱える者など存在しません。


  - 伝承を残す者と、語られるその道標。 -


 それは、伝説のような特例で、

 何処にあってもおかしくない話で片付けられるでしょう。


 ですが、自らその道標を折るような事があれば、

 大事を察し、アリスアリサを守る者が、

 その愚行を決して、許しはしないのです。


 エリス元帥に残された選択肢は、ただ一つ・・・。


 誰かが駆けつけるよりも早く、

 自身とアリスアリサ、そしてルフィアの記憶を、

 この世界の全てから、抹消するという手段なのです。


 急を知った、聖剣王とその父王、

 そして、愚行を犯した者の父である、剣帝トレイメアスも、

 エリスやルフィアたちを守る為に、

 瞬時に周囲を囲むように、身構えています。


 恐らく、真っ先に賭け付け、

 その三人の存在を消し去りに来るのは、

 剣帝の兄、覇皇サードラルです。


 他者に介入を許すくらいなら、身内の不始末は、

 自らの手で握り潰しに来る事でしょう・・・。


 目覚めたルフィア姫は、素早く彼の身体を突き飛ばすと、

 瞬時に、アリスアリサの像を復活させ、

 同時に石畳の床に崩れ落ちます。


 そのタルスメフィー帝とルフィア姫の間に、

 目にも留まらぬ速度で入った、エリス元帥は、

 遠くに聞こえるほどの声で、

 タルスメフィー帝に、こう言うのですッ!!


エリス元帥
「あんたは、ルフィアの大切な想いを、

 本気で消し去る気なのかいッ!?


 いいから、黙ってそこでじっとしてろッ!!


 でないと、あんただけじゃなく、

 そこのマイオストもライエンも巻き込んで、

 かのサードラル陛下に、一気に消し去られるぞッ!!!」


 すでに二人の元帥たちはすでに、

 その気配に気が付いたように、落ち着いています。


 自分が消されるかどうかの狭間で、

 もう臣下も身分差も、何も関係はありません。

 ですが、運命ならば受け入れるという覚悟の表情が伺えます。


マイオスト元帥
「ええ、この場所を、

 かの三強が鉄壁の防御で守っていますねぇ・・・。


 大体の事は、それで察しが付きますよ。

 アハハハハァ・・・。


 ・・・ごめんな、ハイン。」


ライエン元帥
「見てはならない、知ってはいけない知識を、

 見学させてもらっていたのですから、

 義理人情よりも、ルールが優先されてしまうのは、

 仕方のない事です・・・。


 でもまだ見込みはあります、よねっ?」


 ライエン元帥がそう言って振り返ったのは、

 眩い光輝の中から再臨した、アリスアリサの方でした。


 ですが姿が違っています・・・。


 とても、ルフィア姫に似ているのです。


アリスアリサ
「ルフィアさんの機転で、間に合ったようですね。


 どうか、心配しないで下さい。

 サードラル様にも、他の皆様にも、

 これで一応の名目が立ちます。」


エリス元帥
「フウッ・・・。


 あと数瞬遅れていたら、

 いくら外側の三人が強くても、あっという間に突破されてた。


 やっぱお前ら、運がいいのな!

 マイオスト、ライエンッ!!」


マイオスト元帥+ライエン元帥
「信じてましたぜっ! 姐さんッ!!」


 ルフィア姫のその身体を、

 とても大事に抱えるエリス元帥。


 その表情は、まるで実の妹を見るかのように、

 優しさに満ちています。


エリス元帥
「よく頑張ったよ・・・。

 こんな芸当、ルフィアくらいじゃないと、

 絶対無理だからな。」


 桜色の長い髪の、美しい少女となった、

 アリスアリサは、その言葉に頷くようにこう言いました。


アリスアリサ
「ええ、脅威の能力と言ってもいいでしょう。


 私の知る同志たちの中にも、

 はたして、これほどの潜在能力と瞬発力を、

 同時に覚醒させ、操作出来る方は、

 いないと言って過言ではありません。


 まさに、奇跡と呼べるほどの驚くべき力です。


 私のエーテル体を一瞬で再構成し、

 容姿こそルフィア様に似ていますが、

 間違えなく、私の光の身体の器を生み出してくれた。」


 彼女、アリスアリサから感じ取れる雰囲気は、

 以前のものとまったく変わらないように、感じられます。


 その姿が、ルフィア姫に似てしまった事を除いてですが。


 そのせいか、とてもおとなしく話を聞いている、

 タルスメフィー帝です。


アリスアリサ
「今から少しだけ、タルスメフィー様とルフィア様の、

 対話の場を設けたいと思います。


 そこは、私さえ立ち入ることの出来ない、

 二人だけの世界です。


 皆様は、タルスメフィー様の意識が、

 消えたように感じるかもしれませんが、

 ほんの少しの時間なので、どうか見守ってあげて下さい。」


 そのアリスアリサの言葉に、

 エリス元帥も、他の者たちも一斉に頷きます。

 それは、危機の去った事を知る、

 外の三人の猛者たちも同じでした。


ウィルハルト聖剣王
「本当に良かったです。」


剣帝トレイメアス
「まったく・・・、


 おなご一人、口説けずにもたもたしおって。

 本当にワシの息子かどうか、


 間違えて取り違えたかの?」


バルマード剣王
「その息子可愛さで、

 あんな滅多にない絶好のチャンスを棒に振って、

 麗しき姫君とのランデブーよりも、

 子守を優先されたくせに・・・。


 ですよね? 師匠。」


剣帝トレイメアス
「・・・。

 ワシの青春を返せーーーッ!!


 バルマード、お前さんは、

 ゆっくり再会を楽しんでおいていいから、

 ワシは、速攻で戻らせてもらうぞぃ!!」


 クラサン親父が、見苦しい逃走しようとした刹那、

 その紺の作務衣の襟を、ガシッっと掴み上げる、

 たくましい体格のヒゲの大男、バルマード剣王。


バルマード剣王
「少しは、私の帰郷にも付き合って下さいよ。」


剣帝トレイメアス
「ええい、その手を離せぃ、

 初孫のようにわが子を愛する、

 ゆとり親父がぁ・・・!!!


 ・・・うっ、コテッ。」



 アリスアリサは、エリス元帥に、

 その瞬間の訪れを、微笑んで伝えます。


エリス元帥「おい、マイオスト、ライエン!!


      しっかり義弟(おとうと)の身体を支えてやってくれよ。

      みっともねえ格好は、させたくないからな。」


マイオスト元帥+ライエン元帥
「は、はいっ!

 エリス姐さんッ!!」


 そんなやり取りを見つめるアリスアリサは、

 少し羨ましそうな感じで、

 エリス元帥にこう言ったのでした。


アリスアリサ
「素晴らしい賢人や、頼もしい仲間たちに、

 囲まれているのですね。」


エリス元帥
「いえ、それは錯覚ですッ!!


 こいつら、アホばっかりで苦労しますよ・・・。」


 そうしたやり取りをしている内に、

 タルスメフィー帝が脱力するように気を失い、

 それは、外にいる剣帝トレイメアスの知る所となります。


剣帝トレイメアス
(多大なるご恩、決して忘れは致しませぬ、

 未来の我が主にして、偉大なる創世主よ・・・・。)



 アリスアリサはルフィア姫の力を借りている内に、

 彼女の秘める内なる想いに、

 気が付いてしまっていたのです。


 それは、ルフィア姫が彼、

 タルスメフィー帝と過ごした、温かで穏やかな日々。


 そして、時は絆となり、

 気が付いた時にはもう、

 彼の事を強く意識している彼女がいた事です。


 と同時に、

 これ以上の、募る想いを残していては、

 旅立ちの決断が鈍ると気付いていた、ルフィア姫。


 その想いを自身と重ねたアリスアリサは、


 そんな彼女が、

 『愛する世界と人々を守る為』、

 果ての無い戦いへとその身を投じるという、

 その限りなく強い意志を、


  - 彼、タルスメフィー帝に、

           繋ぎ止めて欲しい。 -


 とそう願ったのです。



               その『パート4』に続きます。

書き込み。 2017.3.27

2017年03月27日 17時16分41秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

 季節が流れ行くのは、早いですねー。

 本年度も残す所、あとちょっとです。


 春になったと思う時は、

 陽射しが暖かくて、自転車こぎやすいなぁ~とか思って、

 チャリの過ぎていく景色が、

 おお凄いVRだ、とかフッと思ってしまう時なんかですねー。


 去年がVR元年だったせいか、

 自分が持ってないせいなのか、


 さらに数年後はどんな風に進化してるんだろーって、

 楽しみになります。


 あ、もちろん現実との区別はとっても大事ですネ!


 最近スマホを使うようになってきて(ちょっと慣れてきたのかな?)、

 便利がとても身近になったなぁーって、

 感じます・・・春、関係なくなっちゃってますね。^^:


 とはいえ、春でもやっぱり寒いときは寒いですね。

 未だに暖房の温もりからは、離れられません。

 外でかける子供たちとの体力差を、感じちゃいます。


 それと、毎度の事ですが、

 更新が遅れてるという理由で、本日の書き込みとなっております。^^:


 うかつにも少々、体調が微妙なってしまい(寒暖差とか、軽いかぜかな?)とか、

 理由を付けては、テキストを打てていない自分に、またも反省です。


 一番大事なのは体調管理と、

 常々、やらかした後に思う自分です。


 「ルフィアさん パート3」は、

 そこそこ仕上がってはいるのですが、

 横道にそれて、だいぶ遅れています。

 書いてる量は、たいしたものではないのですが・・・。



 では、この辺で、

 近いうちに更新したいと思います。



 では、またー。(^-^)

『ルフィアさん パート2』

2017年03月17日 19時35分49秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)

   『ルフィアさん パート2』


 - 夢や希望、

   そして、裏切りや野心に溢れた、

   そんな混沌の色濃い、戦国の時代・・・。


   その中に在って、最も広大な領土を築き上げた、

   一人の英雄がいました。


   彼の名は、大覇王タルスメフィー。

   数多の銀河の星団や列強を、その傘下に治め、


   一王のすらも、遥かに超える権限を与えられた、

   二十名を超える、星々の大元帥たちをその軍門に連ね、

   「向かう所、敵なし!!」と、意気高い家臣団。 


   大銀河・ゼリオスの統一に、

   最も近いと言われた、そんな大皇帝のお話です。


   ですが、彼はその力を増すほどに、

   人々の輪から、遠く離れて行くしか術は無く、

   王者の孤独の中にありました。 -


 そこは、大神殿のように大理石で造られた謁見の間。

 部屋と呼ぶにはあまりに広く、


 麗しい装飾のなされたその白の空間には、

 選ばれし者しか、歩む事を許されない、

 一本の幅の広い、鮮やかな赤いカーペットが、

 遠くを見るような距離まで伸びており、

 その先から玉座を崇めるもの達は、

 その椅子の主の姿さえ、

 瞳に捉える事も、かなわないでしょう。


 部屋を二つに分ける、その赤い道の両脇に立つのは、

 将軍以上の将校で、

 それぞれが我が君の御前にて、ただならぬ強者の雰囲気を、

 放っています。


 その将軍の数も二千はゆうに超え、

 参列する仕官の数も合わせると、数万は下らないようです。

 ですが、窮屈に並んでいるわけでもなく、

 それだけでも、この謁見の間が広大かという事がわかるようです。


 さらに玉座に近付くと、

 各々に壮麗な衣を纏った、十名ほどの男女がいます。

 彼らがどうやら、星々の大元帥たちのようであり、

 その先頭に眉目秀麗で、赤の衣を纏った長身の青年、

 『ウィルハルト聖剣王』が、立っていました。


 彼だけが赤いカーペットの脇で、

 玉座に最も近い位置に立っており、

 その椅子の主との距離は、目と鼻の先という位置で、

 他の大元帥との格の違いを際出させています。


 そして、数段上がった玉座付近には、

 十名ほどの近衛が左右に立ち、


 その隊長とおぼしき、この世のものとは思えないほどの、

 絶世の美女が、その腰に長さの違う二つの剣を携えて、

 聖剣王と玉座の間の等位置の、

 右手側に立っています。


 その近衛隊長の女性の髪は、虹糸のように美しく、

 幾つもの色彩に変化させる事が出来るらしく、

 今は、僅かに淡いピンク色の長く艶やかな髪を、

 腰の辺りまで、ゆるやかにおろしています。


 彼女は、敬意と尊敬の念を持って、

 人々からこう呼ばれています、

 『虹色の髪の戦乙女(ワルキューレ)、ルフィア様』と。

 その彼女が護る一本のつるぎ、

 それは覇王のつるぎ、『カストラ』という名の宝剣です。


 玉座の主は、彼女にそのつるぎを預けるほど、

 彼女の事を信頼している証でした。


 一本の覇王のつるぎが、

 他の列を成す者たちとは別の位にある事を示しています。


 その彼女、ルフィアと対等に位置に、

 立つ事を許された者は、

 ウィルハルト聖剣王、ただ一人のみです。


 そして、玉座の後ろの扉が開き、

 奥の執務室から出て来たのは、

 一人の若い、金髪の青年。


 彼こそが、この大銀河ゼリオスにおいて、

 最大勢力を誇る『エグラート帝国を中心とする、大銀河帝国。』

 の若き覇王、タルスメフィー帝、その人でした。

 (現、古蔵さん。)


 大元帥以下の臣下は、彼の登場に一斉にかしずき、

 少し高い位置にある、玉座の段から見るその光景は、

 選ばれた者のみが見ることの出来る、

 あまりに壮観で、筆舌に尽くしがたい、

 王者の高みを味わえる事でしょう。


 タルスメフィー帝が座したその玉座は、

 これほどの帝王には、あまりに貧相な作りの椅子で、

 貴族のアンティーク調の腕木付きの椅子と、

 大差ありません。


 彼は、その衣さえ他の将校の物と大差なく、

 即時に戦地へと赴けるような、実用的な服を身に着けています。

 それだけに、彼にかしずく多くの臣下の中に紛れてしまえば、

 まったく見分けが付かなくなるでしょう。


 タルスメフィー帝は、端正な顔立ちにその長い金髪が美しい、

 帝王というには、あまりに若すぎる美青年です。

 士官用の制服に、ただ皇帝の証を勲章に見立てただけの、

 飾り気のない帝王の証が、胸の左側に付いただけの装いです。

 彼は自分が『帝王』や『大覇王』と扱われるのを、

 仕方なく受け入れているといった感じでした。


 それを決して表情には出しませんが、

 次の瞬間、彼がこう発すると皆が一斉に起立するのです。


タルスメフィー帝
「そう気を使うでない、皆面を上げるのだ。」


 そうして立ち上がり彼に敬礼するのは、

 広大な謁見の間に居合わせた、ほんの一部の前列の者たちだけです。

 そう、その奥には彼の声が届かないほどに、

 各々の星団中から、臣下が列席しているのです。



 正直、彼タルスメフィー帝は、

 こういう行事はあまり好みではありませんでした。

 用意された舞台に役者を欠いては、

 臣下が動揺するのです。


 彼の軍門に下った、銀河中の数多の王候貴族たちは、

 そんな彼を執拗に守り立てようとするのです。


 タルスメフィー帝の想いを知る、ウィルハルト聖剣王は、

 この大役を進んで背負ってもらった彼に義理があります。


 その眼差しは、そんな彼に対する忠義心で溢れ、

 強い光を放つ眼光で、実質上のナンバー2として、

 無言ながらも、この集団を威圧する空気を生み出し、

 自らの身を、玉座の下に置いていました。


臣下一同
「この度の全銀河統一、

 真に見事であられました、皇帝陛下!!


 臣下一同、何処までも陛下の為にその身を尽くし、

 此度の偉業の大成を、謹んでお喜び申し上げますッ!!」


 繰り返される、彼への賛美と忠義の言葉。

 彼らがこれほどまでに尽くす理由は、

 その身の栄達を望んでの事です。


 当初、共和制を説いたタルスメフィー帝でしたが、

 信頼に足る重臣たちの意見により、

 帝政にする意見に押し切られて、現在に至ります。


 帝王が誕生すれば、その周囲を固める者たちの権威は、

 例えその身が王座になくとも、

 周辺星域の王たちより、遥かに強力な力を誇示出来ます。


 ただ唯一、タルスメフィー帝の提案が受け入れられたのは、

 その帝位が、世襲ではないという特例です。


 これを強く支えたのは、ウィルハルト聖剣王を筆頭に、

 戦女神と謳われたエリス大元帥などの、

 圧倒的貢献度を持つ、ごく一部の諸侯の賛同です。


 帝政を押すが故に、数の論理は強者に廃され、

 これに意義を唱える者など、その臣下に存在すらしません。

 反すれば、間違いなく身の破滅が待っているのです。


 結果、次期帝位は諸侯による選挙によって、

 選出される事になり、

 新たに『選挙候』という身分が追加されたのです。


 その名の通り、選挙候の立場は、

 他の諸侯とは大きく異なり、

 次期皇帝は、この選挙候の中から選出されるという事になります。


 その為、選挙候となった者は、皇帝に次ぐ権威を持ちます。

 さらに選挙候は枠にとらわれず、

 傘下のどの国に所属していようが、

 その椅子を得る事が、選挙候たちの3分の2の賛同で、

 得る事が出来るのです。


 故に、これまで頻繁に起こっていた、

 それぞれの国の対立や争いは、

 選挙候の資格を持つ諸侯に取り入るという行為に取って代わり、

 些細な内乱は形を変えて、いかに選挙候らの機嫌を取るかという、

 奉公合戦へと、その矛先を変えたのです。


 つまりは、ここに集まる臣下たちの多くは、

 皇帝の椅子の周囲に立ち並ぶ、選挙候という特別な権威への、

 憧れと野心を秘めたものと成り果てています。


 在位する帝王にも、その票は一票と選挙候と変わらぬ為、

 より容易に近付くことの出来る、

 選挙候へと関心が集まって行くのは必然でした。


 しかし、狡猾な者やより賢き者にとって、

 銀河皇帝のその威信は、

 遥かに選挙候のそれを超えています。


 皇帝が多くの選挙候から支持されている以上、

 その権威は数字で図りきれるものではないのです。


 例え選挙候に成れずとも、美しき姫を皇帝に捧げる事により、

 いずれ生まれ来るその子が、選挙候の誰かに気に入られれば、

 その一族により強い絆が生まれるのです。


 皇帝との絆というだけでも、十二分にその対価は得られ、

 自らの周辺地域において、彼らは飛び抜けた影響力を、

 手に入れる事でしょう。


 タルスメフィー帝自身は、捧げられる乙女たちが、

 憐れでなりませんし、

 何より、彼には想い人がその傍ら近くに立っているのです。


 近衛を仕切り、帝国の双剣と称される、

 美髪候ルフィアは、その強さだけでなく、

 容姿や性格も、ずば抜けて優れており、

 誰からも憧れる、唯一無二の存在でした。


 もう一人の帝国のつるぎ、ウィルハルト聖剣王と、

 麗しき彼女が一太刀交えれば、

 どちらがより優位に立つのかという疑問は、

 二人の関係からも実現こそしてはいませんが、

 多くの臣下が、その結果を見てみたいと思わせるほどに、

 麗しき天使のような理想の近衛隊長の存在は、

 強い憧れの対象と言えたでしょう。


 こんなにも近くて遠い存在、

 彼女の方に振り返る勇気が、なかなか持てない、

 タルスメフィー帝の姿がそこにはありました。


 形式だけの謁見を行った後、

 タルスメフィー帝は、再び奥の執務室へと戻ります。

 皇帝の座に就いてからというもの、

 彼は、多忙な執務を一日として欠かした事はありません。


 彼の駆け出しの頃を知る者たちは、

 そんな勤勉な彼の行動が、理解出来ない者を多くいました。

 広大な謁見の間の隣には、元帥たちが語り合うのに十分な、

 落ち着いた雰囲気の、木目を基調とした休憩所が設けられてあります。


 そこには各種飲み物や軽食を提供する、

 腕利きのコックやソムリエたちが待機しており、

 オールドスタイルの装いの美しいメイドたちが、

 元帥たちをもてなすように、行き交っていました。


 その洋式の室内の、特に日当たりの良い場所に、

 テーブルを占拠するエリス元帥と、

 その彼女のご意見番の元帥たちが、

 それぞれの好みに合った飲み物を片手に、

 語り合う様子が伺えます。


エリス元帥
「あいつ、皇帝になって真面目になったよな。

 地位や責任ってやつが、

 そんなに人を簡単に変えるもんなのかねぇ。」


 甘ったるい砂糖水のような紅茶を手にそう言った女性は、

 雰囲気こそ、気のいい姉さんのような感じですが、

 その容姿は桁外れに美しく、まるで地上に舞い降りた、

 艶やかな長い新緑の髪の、天上の女神のようです。


 その彼女は、タルスメフィー帝にとってかけがえのない、

 頼りになる姉のような存在でした。

 それも理由の一つかも知れませんが、

 彼女自身が備える気安さと、そのカリスマ性で、

 立場において、ウィルハルト聖剣王にも肩を並べる、

 元帥の中の大元帥です。


 さらに彼女は、独身という事もあり、

 この場にいる者たちに限らず、

 数多の王候諸侯たちが憧れを抱く者も多く、

 選挙候ではないものの、それと同等かそれ以上の、

 発言力を有する、重臣の中の重臣です。


ライエン元帥
「さて、それはどうでしょうかな。

 誰だって意中に相手には、自分をカッコ良く見せたいものでしょう。


 陛下と一緒に執務室に居られるお方想えば、

 この私だって、いいとこ見せたくなるでしょうがね。」


 レモンソーダをストローで飲みながら、

 そういう不精ヒゲの中年の男は、

 帝国でも一、二を争う智将のライエン元帥です。


 同席する銀髪の青年元帥のマイオスト卿と共に、

 享楽に興じる不真面目な男ですが、

 大事に至れば、最も頼れる元帥の一人ではありました。


マイオスト元帥
「まあ、私の場合は(愛するハインがいるので、)、

 そう気軽にはいきませんがネ。


 あの中途半端な男が、真面目を演じているのであれば、

 しばらくは、我らも休暇を有意義に過ごせることでしょうなぁ。」


エリス元帥
「マイオスト、お前の言葉の一部が良く聞こえんが、

 あたしの悪口じゃないだろーね。


 どいつもこいつも、どうしてこんなガラクタみたいなヤツしか、

 あたしの前には出てこないかねぇ。


 大体の予想でそう仕向けたが、

 あいつ、やっぱりルフィアの事が好きなのか?


 変態のお前らが言う事が、なんだかまともに聞こえたのは、

 やっぱ男同士にしかわからん、そういう類のやつなのか??」


マイオスト元帥+ライエン元帥
(この人、性格さえちゃんとしてれば、

 魅力的なんだけど、どこまで鈍いのか、

 わからないからなぁ・・・。


 ・・・行き送れる分には、楽しいんだが、

 いい女性(ひと)なのに、

 それだけでこんなに惜しくなるなのか。


 高嶺の花のまま売れ残るのは、

 少し可愛そうなので、私たちがリア充を達成した後にでも、

 合コンに誘って上げよう。


 ・・・嫁(未定)に気取られず、遊ぶスリルは、

 なかなか刺激的で楽しそうな気はする。)


 エグラート帝国の元帥たちは、そのほとんどが変わり者で、

 忠誠を誓うその理由が、面白いからだとか、

 面倒な領主になどなりたくないという、

 富や名声にまるで興味のない者たちばかりで構成されています。


 何事にも迅速に応じる事を建て前に、

 自由奔放な暮らしを送る者も多く、

 ごく一部の生真面目な者たちによって、

 その根幹は築かれていました。

 一見、その変わり者の分類されそうなエリス元帥や、

 最強の剣王と謳われるウィルハルト聖剣王たちが、

 その生真面目さんたちになるのですが、


 正直、聖剣王一人だけでも、帝国の全てを統べるだけの、

 実力を備えています。


 変わり者の集団ですが、ごく一部の者を除いては、

 利害関係や友誼(ゆうぎ)で結束しており、

 これから暫くの内は、この銀河帝国に杞憂の欠片もないという感じで、

 それぞれが程度に油断して、楽しんでいるようでした。


 ただ一つだけ、注文を付けるとすれば、

 聖剣王の父である、先代のバルマード剣王と共に、

 半ば強引に行動を共にさせられている、

 タルスメフィー帝の父、

 剣皇グランハルト=トレイメアス大帝の存在です。


 藍染の作務衣に袖を通し、トレンドマークのサングラスで、

 勝手に自身を、チョイ悪オヤジと勘違いしている、

 その迷惑なおじさんは、

 人生の全てを数多の美女に捧げるなどと、

 勝手気ままに、世の女性に手を出しまくる、

 危険なおじさんでした。


 その風来坊のスケベ親父のウワサは、

 タルスメフィー帝の威光と同時に、

 あらゆる場所へと広がっており、


 皇帝家と親族になれるのならばと、

 嫌がる可憐な乙女の、我が娘たちを、

 進んで差し出す諸侯に溢れ、

 それをブロックするのに、彼の愛弟子のバルマード剣王が、

 一役買っているという現実でした。


 成敗するにも、その武勇はまさに剣神という脅威の強さで、

 それに近い実力の者を監視に付けるくらいしか、

 現状に打開策がない、という事です。


 元帥たちの中でも、1,2を競う発言力を持つ、

 肝心のエリス元帥自身が、彼の弟子であり、

 そんな悲しいウワサは周囲の善意にかき消され、


 そのろくでなしの師に、時々とんちんかんなエリス元帥が、

 淡い恋心さえ抱かせているのを、

 ライエン元帥やマイオスト元帥がうやむやに誤魔化して、

 彼女の目の前を曇らせています。


 父帝の影響で、タルスメフィー帝も色欲の塊と、

 周囲に勝手に誤解され、


 捧げ物にされるかもしれない、

 王候貴族たちの麗しいご令嬢さんたち巻き込み、

 時々、たちの悪い悪夢へと誘っていたりして、

 健全な安眠を妨害し、寝付きを悪くさせている始末です。


 時代が移り変わろうとも、人というものの根本は、

 たいして変わらないように思えたりします。

 いつまでも物欲、色欲、名声などというものは、

 そのコミュニティーの大小に関わらず、

 あまり変わり映えのしないものでしょう。


 タルスメフィー帝は、古代史の文献をよく学び、

 過去を教訓に、その立場に合った見識を深めようと、

 努力する日々を送っています。


 そして、あの大宮殿のような謁見の間に比べ、

 あまりに質素に作られた執務室のテーブルで、

 今日も山済みの様々な案件に目を通し、

 それに丁寧に、皇印を押しサインをしています。


 日差しが柔らかに室内を明るく照らす、

 その幾つかの窓の先には、

 エリス元帥が造らせ、ルフィア近衛隊長の管理する、

 温室の庭園が広がり、いろんな花言葉を持つ、

 カラフルな花々が鮮やかに、その瞳を癒してくれる、

 そんな風景がありました。


 よく詰め込んでも、せいぜい十数名が限界の、

 銀河皇帝には、あまりに控えめに作られた室内ですが、

 そこには、少しでも日常の慌しさを軽くするような、

 配慮ある、静かで落ち着きのある書斎のような、

 ささやかな安息の場所として、造られています。


 そしてこの執務室にいるのは、

 やや重厚なアンティーク調のテーブルで、

 淡々と書類の山を減らして行く、タルスメフィー帝と、

 常に出入りが許されている、

 近衛隊長のルフィア姫の二人です。


 彼の斜め後ろの位置にルフィア姫は、軽装の甲冑を身に付け、

 そこで雑務をこなしながら、タルスメフィー帝の警護の任にあたっています。


 執事や給仕の者たちの姿は無く、

 ふわっと湯気立つ琥珀色のロイヤルティーや、

 片手間に食べることの出来る軽食の配膳などは、

 全て一人で、ルフィア姫が慣れた手付きで、

 彼が必要としたタイミングに、その手元にそっと置かれるのです。


 これは、彼の義姉にあたるエリス元帥が、

 不甲斐ない義弟の為に、意中の人との時間を過ごす事の出来るよう、

 お節介を焼いて、そう仕向けたのでした。


 絶世の美姫ルフィア嬢に、

 少しでも良い印象を与えようと、

 熱心に執務に専念する、タルスメフィー帝。


 彼女、ただ一人をその傍らに必要としている彼にとって、

 多くの王侯貴族から送られて来る、

 皇帝の妾を目指せと指示された、哀れな乙女たちは、

 彼にとっては気の毒な存在で、


 別の場所にある巨大な造りの皇居の大部分を、

 その乙女たちに自由に開放し、

 城下街や庭園など、行き来を許可して、

 十分な財源で、彼女たちを一切拘束せずに、

 預かっているといった所です。


 その資金は勝手に親元から送られて来るので、

 適度に管理し、過度には与えず、

 彼女たち一人一人の将来の為に、

 積み立てているという、面倒見の良さです。


 親元に送り返すのは、彼女たちを悲運に突き落とすようなもので、

 出されてお手付きとなり、捨てられたと余計な誤解を招く事が、

 目に見えているからでもありました。


 タルスメフィー帝の機嫌を損なえば、どんな大王家であっても、

 ウィルハルト聖剣王辺りが、手を下さずには済まないでしょう。

 つまり、その娘が新たに子を成せば、

 タルスメフィー帝の隠し子というレッテルを張られ、

 野心ありと、あらゆる諸侯に嫉妬されるでしょうし、


 それを覚悟で、哀れな乙女を受け入れる勇者など、

 いれば統一の段階の時点で、

 どの元帥かが、その軍勢に招き入れていた事でしょう。


 タルスメフィー帝は新たに、特例の命令を下し、

 数の理論で受け入れきれない姫君たちに、

 皇都での自由恋愛の許可を、臣下たちに触れているのです。


 皇都レトレアには、星々の大元帥に連なる名家の将校や、

 現在の帝国の礎となった、前覇王サードラル帝に繋がる、

 数多の名家が城下に存在しており、


 地方の王侯諸侯の自尊心を十分に納得させるだけの、

 譜代の臣下たちが名を連ねているのです。


 以上のような理由で、タルスメフィー帝は、

 自身の自由を自分で縛ったような形となり、

 元帥たちからは、各国の麗しき令嬢たちで、

 城下をより華々しく盛り上げたと感謝される裏で、


 内心、とんだ貧乏くじを引いたものだと、

 いい様に弄ばれている始末です。


 それでも、律儀に浮ついた事も無く、

 ただ日々の執務に足かせされた、タルスメフィー帝ですが、

 エリス元帥が、ルフィア前元帥を近衛に推し、

 彼に出来得る最大の恋の貢献をしたせいか、


 タルスメフィー帝は、そんな日々を、

 日々穏やかに、あと胸の高鳴りを抑えながら、

 斜め後ろの想い人を、想い続けているのでした。


ルフィア姫
「陛下も、即位なされて暫く経ち、

 この春を迎えられ、より頼もしく感じられるように、

 なられたと、小官は嬉しく思う所であります。」


 タルスメフィー帝とルフィア姫は、

 ほんの少し以前は、共に戦場を駆ける同士の関係でした。

 王と元帥の身分の違いはあっても、

 仲間意識は、他の元帥たち同様に強く結ばれ、

 同じ時代、そして歴史を刻んできた、

 かけがえのない存在でした。


 それが結果、異性をルフィア姫に意識させるチャンスを、

 奪っていたというのが、その中でも最大の幸運でした。


 もし色恋があったとして、

 彼より魅力的な異性は多くいましたし、

 さらにその当時のタルスメフィー王と結ばれようなど、

 わざわざ苦労を引き受けて、共に王道を歩むという、

 面倒に巻き込まれるだけで、


 新たな発見や旅路に夢を抱く、ルフィア姫にとって、

 その選択肢はまさに有り得ないと言い切る事が出来たのかも知れません。


 人は同じ環境に置かれると、

 友人や恋人とは少し違う、家族のような感情を、

 錯覚するのかも知れません。


 このまま帝国に大事さえ起こらなければ、

 二人の時間はもっと長いものになるでしょうし、

 普通の人々とは違い、

 特別な力をその身に覚醒させている、

 タルスメフィー帝とルフィア姫は、


 人の百年が、一年ほどにも感じないほど、

 その若さをほぼ悠久に維持することが出来るのです。


 帝国全土を安定させ、次の選挙候に帝位さえ譲れば、

 タルスメフィー帝は、この束縛から解放され、

 約束された地位と、幸せに溢れた日々が、

 その先に待っているだろうと、彼は夢見ているのです。


 その条件に、最低「ルフィア姫の心を自らの力で掴む。」という、

 前提があるのですが・・・。


 フフッ、っと笑ったタルスメフィー帝は、

 それに少し驚いてみせる麗しのルフィア姫に、

 こう言ったのです。


タルスメフィー帝
「なんだか、姉さんたちと一緒に、

 世界の広さなんて知らず、楽しくやってた日々が、

 今は、とっても懐かしいよ。」


 そんな和んだ表情を見せたタルスメフィー帝に、

 ルフィア姫は、その耳ざわりの良い美しいソプラノの声で、

 桜色の唇を少しだけ潤わせて、

 魅惑的にこう返したのでした。


ルフィア姫
「はいっ!

 とても楽しい日々でしたねっ。



 でも、今のこの暮らしにも、

 私はとても満足していますよ。」


 その愛しい想い人の言葉に、

 タルスメフィー帝は多くを救われたような気持ちになり、


 表情にこそ出しませんでしたが、

 その胸を躍らせながら、山済みの書類を、

 ペース良く処理していったのでした・・・。


タルスメフィー帝
(ありがとう、ルフィア・・・。

 いつかその名前を、人前でそう呼べるように、

 オレは、頑張るよ。)



             パート3に続きます。