『ダークフォース』(DF)とか、 あとは読み物、落書き、日記などのブログ。

DFなどのブログを始めてみました。

小説というより、かなりテキスト寄りです。
更新遅めですが、よろしくです。^^

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10・26 書き込み。

2010年10月26日 17時34分11秒 | 日記
こんにちは、
井上です。

更新が遅れまくってしまい、
すいません。


なるだけ早く、
ローゼと凛花の戦い(女の戦い)を
再開したいとは思っています。

ヤマモトサンは、殉職です。

凛花「ベニヤ板って、何ですか!?
 例えがあまりに酷すぎませんか。」

ローゼ「平べったい上に、
 薄っぺらいのが特徴ですわね。」

凛花「解説しないで下さい!!」

凛花「大体、当初の予定では、
 ヤマモトサンのオメガを私が使って、
 姫様を懲らしめて、終わりだったハズ。」

ローゼ「わたくし、懲らしめられたくはないのです。
 例え、『悪い魔女』と罵られようとも、
 それには少しも、ゾクゾクッっとなど、
 しておりませんし、
 太く、長く、そして、強く美しく生きたいと、
 そう願っているだけなのです。」

凛花「さっさと、成敗されて下さい。」

ローゼ「凛花さんは、知っていらっしゃるでしょう?
 何故、私がヤマモトサンに勝てたかという、
 その理由を。」

凛花「げっ、もうすでに私にも使っているとか!?
 わ、私のステータスを書き換えましたねッ!!
 か、返してください!!
 私のC・・・、いえ、Dカップを!!」

ローゼ「別に、凛花さんには、
 特別何かをしたわけではありませんワよ。
 お望みでしたら、変えて差し上げてもわまいわせんわ。
 ウフフフフッ・・・。」

凛花「・・・。」

凛花「・・・姫様に、借りを作るのは嫌です。
 それに、私、信じていますから。
 いずれは、この私の希望の丘もいずれは成長していくと。」

ローゼ「クスッ、
 ええ、信じているとよいでしょうね。」

凛花「何ですか、その含み笑いは!?
 まさか、私の未来のページを読んだわけではありませんよね!!」

ローゼ「そんな無粋な真似、

 ・・・してみようかしら。」

凛花「してないなら、そのままッ!!」

ローゼ「ウフフッ・・・。
 人には、成長限界というものがありますわ。
 人に限界があるのなら、
 『神』にでもなると言うのはいかがでしょう?

 ある一部位のコンプレックスの為だけに、
 そこまで・・・、
 あえてこの言葉を使いましょう。
 「がむしゃら」になれるなんて、
 ウフッ。」

凛花「そこまで、驕(おご)ってはいません!!
 そんなやましい目的で、世界を混乱させたら、
 第一、バルマード様に嫌われます。」

ローゼ「そこが貧しい事が美徳とされた時代も、
 ございましてよ。
 リバイバルするかもしれませんし、
 流行(はやり)とは、そのようなものでしょう。

 五千年ほど周期がかかるかも、知れませんが。」

凛花「な、長すぎです!!!
 んんっ、
 神をも恐れないのは、
 姫様だけで結構です。

 出過ぎた真似は、私にはやっぱり無理です。」

ローゼ「まあ、清純なことで結構。
 ならば、あえて私は、
 悪い魔女を目指しましょう。

 ちょい悪なのも嫌いではありませんので、
 凛花さんのメラニン色素を増やしてみたりして、
 凛花さんを清純派美少女から、→ギャル系に、
 イメージチェンジしてみるのも、よいでしょう。
 日焼けサロンに通う必要はありませんので、
 お手軽です。

 職業は、『学生』から→『遊び人』ということで。」

凛花「・・・そ、そんなこと、
 絶対、やめて下さいね・・・。」

ローゼ「ええ、
 凛花さんをからかうのが楽しい間は、
 言葉遊びだけにしておきましょう。

 飽きたら、ヤマモトサンと同様という事で。」

凛花「私を、ガムみたいに捨てないで下さい!!」

ローゼ「ウフフ・・・。
 ヤマモトサンは、吐き捨てられたと。
 言いますわね、凛花さん。」

凛花「言ってないですから!!」

ローゼ「あらまあ。」



それでは、またです。

寒くなるみたいなので、体調管理には、
お気をつけて。

でわでわ~~。^^
コメント

サーヴァ05 アークシオン 『グランドクロス』 と 戦士LVについて、Ⅱ(仮)

2010年10月16日 22時48分45秒 | 資料(落書き級ですいません^^:)
サーヴァナンバー05『アークシオン』


『グランドクロス』 戦士一覧。


NO,01 戦士LV575
 『戦神 アークシオン』 男性(エクサー)

NO,02 戦士LV500
 『守護の盾 サフィリア』 女性(大天使長)

NO,03 欠番
 (戦士LV550 『美髪王 ルフィア』 女性)

NO,04 戦士LV不明(500~)
 『名も無き戦士 04(ゼロフォー)』 性別不明
(ゲームで製作した場合のプレイヤーキャラ設定です。)

NO,05 戦士LV500
 『北の覇王 ゾーナルベルト』 男性(エクサー)

NO,06 戦士LV500
 『姫将軍 SINO(司乃)』 女性(戦天使)

NO,07 戦士LV500
 『美月候 SAI(彩)』 男性(戦天使)

NO,08 戦士LV500
 『白の王女 レミーア』 女性(戦天使)

NO,09 戦士LV500
 『赤き皇帝 アイオロス』 男性(エクサー)

NO,10 戦士LV500
 『黄昏の女帝 セラ』 女性(エクサー)

NO,11 戦士LV501
 『ソプラノの従者 エミル』 男性(戦天使)

NO,12 戦士LV600
 『絶対者 アリス(アリスアリサのクローン)』 中性(偽りのエクサー)


グランドクロスの戦士たちは、
ゼリオス銀河北東部にて、
最大の敵とも言える、

『冥界神 ハイデス(Hades)』との、

死闘を、サーヴァ創成期より繰り広げています。

『カオスフォース』と命名された
混沌の力を用い、
侵略して来る、別銀河の敵を、
サーヴァ05を最終防衛ラインと定め、
決死の覚悟で、防衛しています。


 = 敵戦力 =

『ソーサラー級』
 ダークフォースを使用出来る、敵側の捨兵。
 LV換算値 90~300前後。
 その数は無数と言ってよい。


『ウィザード級』
 ダークフォースを使用できる、現在、敵側の主戦力。
 LV換算値 250~490前後。
 サーヴァ05独自の防衛システムにより、

 (『カオスゲート・封印装置』

  大天使長サフィリアと、
  6つの大型サーヴァの防御システムを連結し、
  更に36程度のサーヴァを連動させた、
  エクサー・戦天使たちによる大出力シールド。
  12個の恒星級大型要塞を建造し、

  ((建造時、12個のサーヴァが自滅。
   それを、まるで十字架のように、
   縦と横に交差するよう、
   サーヴァ05内に配備された。
   『グランドクロス』メンバー各々の拠点でもある。))

  その強大なる防御力にして、
  人類の生存圏を保持している。)

 ウィザード級の侵入は、一定量に抑えられている。
 (ソーサラー級の侵入は、放置されている。
  排除が容易なのが、その理由。)

『ネクロマンサー級』
 ダークフォースを操り、
 カオスフォースによってゼリオスの銀河を蝕む、
 敵側の主力級兵力。
 LV換算値 500~ 
 (確認出来た、最大値は約590近辺。)

 封印装置のシールドを喰い破って、
 侵攻できる程の力を持つが、
 大変、不安定な存在で、
 自らの力を制御できずに、
 シールド内で消滅しているケースも少なくは無い。
 現段階では、投入には時期尚早な戦力と推測される。

 一度現れると、サーヴァ05に甚大な被害を及ぼす難敵。


 サーヴァ05の防衛戦力は、
 現時点で、
 グランドクロス11名を含め、

 戦略級戦士(LV~500) 約 100

 戦術級戦士(LV~400) 約 2,000

 戦士(LV~300) 約 20,000,000

 (数は激しく増減する為、
 『戦略級』以下の戦士数は、
  常にランダムである。)

 程度の戦力です。

 アークシオンのメッセージを受け取った戦士は、
 その呼びかけに応えるかのように、
 かの地に集結していますが、
 ゼリオス銀河北東部エリアの戦士が、
 メインになります。

 ゼリオス銀河の危機そのものを、
 アークシオンを防波堤程度(時間稼ぎ)に考え、
 銀河全体の支配権を握ろうとする覇者(覇王)たちも、
 多数存在する為、
 外との戦いと、
 内との戦いが、際限なく繰り返されています。

 神聖不可侵である、サーヴァ01
 『アリスアリサ』

 は、内なる戦いに中立ですが、

 その周辺は、争いに満ち満ちています。

 アリスアリサが単に、奪われていないのは、
 各覇王たちが、その戦いを制した者に対する、
 いわば、『戦利品』のようなモノだと、
 考えているからに過ぎません。

 アリスアリサに手を伸ばした者は、
 真っ先に、他の覇王たち(覇王連合)の討伐対象となる、
 暗黙のルールが存在しています。

 何より、アークシオンがそれを許さないですし、
 アークシオンの所持する戦力は、
 ゼリオス銀河でも、
 『最強』だと断言出来るものがあります。

 アークシオンの元に集まる戦士たちの中には、
 アリスアリサに憧れ、彼に認められる事で、
 彼女に近付こうと想う者も少なくはありませんが、
 NO,12の戦士、
 『アリス』を見て、
 言葉を無くす者も、それと同程度はいると言えます。


『戦士』について、そのⅡ。


 『DARK FORCE』に
 登場するキャラクターは、
 特定のキャラ(アセリエスなど)を除いては、

 そのほとんどが、
 『戦士』という能力を持っています。

 それは、称号のようなものとして扱われています。


 『戦士』という言葉は、後で名付けられたもので、
 かつては、『ネオ・エイジ』と呼ばれていました。

 戦士とは、

 「周囲に存在する、質量やエネルギーを、
 己の力へと変換出来る者。」のことを指し、


 その昔は、むしろ『魔法使い』のような存在として
 扱われていました。


(ここから、以下の解説は、
 読み飛ばしてもらって構いませんです。
 ややこしいもので。^^:)


 『DARK FORCE』の世界では、

 宇宙に存在する全ての質量・エネルギーが、

 僅か数%(3~4%)しか実体化されていない、

(そこにあるのに、それに気付けていない。
 見れるもの、触れるものを『有』とするなら、
 感じる事の出来ないものを、
 無意識に『無』と思い込むように。)

 ということになっています。


 人は、この世界に存在する僅か数%を、
 世界の全てだと認識して、
 その日々を送っているということになります。

 光が放たれれば、
 真っ直ぐ進むはずなのに、
 それが、レンズのように曲がってしまう。

 それは、ぼやけた存在である、
 膨大な量の『無』の生み出す、
 引力によって起こっていたりします。


 『戦士』と呼ばれる人たちは、
 その実体化されていない、
 いわゆる『見えないもの。』を、
 自分の力に変えて戦っています。

 それは、無から有を生み出す、
 まさに、
 魔法のような奇跡にも見えましたが、

 主として、
 『外敵』との戦闘に活用され、
 より、力を収束させるのに、
 剣のような物を用いて戦った為、

 魔法使いから、
 戦士へと、
 時代の流れと共に、その呼び名が変わって行きました。
 『ネオ・エイジ』→『戦士、戦天使等』

 宇宙に存在するその総質量(エネルギーを含む。)は、

 『ライトフォース』と、

 『ダークフォース』とに線引きされており、


 ライトフォースと、ダークフォースの比率は、
 『1対5』です。


 ライトフォースの方が、『1』
 ということになりますが、

 何故、このように区別されているのかといいますと、

 ライトフォースは、
 その全てが具現化されたとしても、

 安定してこの世界に存在出来る力あり、


 逆に、
 ダークフォースは、
 その全てを具現化すると、
 宇宙を崩壊させ始めます。


 巨大な質量の誕生は、
 銀河を引き裂く、強大な引力となり、

 全てを喰らい尽くします。


 世界を終わりのとき、

 そして、始まりのときである、

 ビックバンを、迎えるのです。


 故に、闇世界とも呼ばれる、
 ダークフォースは、
 表面世界であるライトフォースを喰らい、

 かろうじて、その存在を安定させています。

 ダークフォースが完全に具現化すると、
 自らの重力に耐え切れず、
 崩壊を始め、

 強大なブラックホールと化し、
 世界を崩壊させます。

 その世界を安定させる為のシステムが、
 サーヴァと呼ばれ、
 ゼリオス銀河に無数に存在する世界を、

 ハニカム構造(蜂の巣のような)に区切り、
 エクサーという管理者の下で、
 多数の世界を安定させています。

 世界を区切るのは、
 滅び行く世界に巻き込まれない為の、
 種の保存の為の防御策です。

 一つの世界がダークフォースの闇に堕ちても、
 周囲をハニカム状に取り囲む世界が、
 それをブロックして、
 全体への影響を未然に防いでいます。

 エクサーは、
 世界を安定させるシステムの
 中核なので、
 その世界がエクサーを失うと、

 世界は、リミットと軽く超えてしまい、
 (エクサーの役割の一つは、
 存在する者たちにリミッターを付け、
 その力を抑制することです。)
 自己崩壊します。

 エクサーは、
 世界における最強の防御システムである為、
 絶対的な防御力を備えています。

 エクサーが失われた世界では、
 他のエクサーの支配域に下るか、
 新たなエクサーを輩出出来なければ、
 高確率で崩壊します。

 作中に登場する『戦天使』が、
 強大な防御力を有するのは、
 その戦天使こそが、
 実体として(人として)行動する、
 エクサーの分体だからです。

 天使はエクサーに、
 その身を引き換えとして得た、
 莫大な経験値をもたらし、
 エクサーを進化させます。
 (この場合、分体である戦天使は、
 基本、消滅します。) 

 エグラート世界において、
 エクサーにかけがえの無い奇跡をもたらした、
 『戦天使 オーユ』は消滅しました。

 彼女はエクサーへと返って、
 その役割を終える予定でした。
 が、

 覇王サードラルは、それを許しませんでした。

 エクサーが実在する『神』であり、
 妻、オーユがその『戦天使』であるならば、

 覇王は、神さえ倒して、
 愛するものを守る覚悟をします。


 そこに、人の気高さを見た、
 NO,1725のエクサー、『エルザーディア』は、

 唯一、自分と同じ目線に立った、
 覇王との会談に臨みます。


 後に、覇王は世界からその姿を消し、
 妻であった人、オーユは、

 別の命を得ることによって、
 エグラート世界へと留まります。

 彼女の新しい名前は、
 『聖王 バルエリナス』です。

 彼女は全ての記憶を失っていましたが、
 その彼女の傍には、
 そんな彼女を守る、最強の魔神がいました。

 彼女の従神でもある、その彼の名は、
 『魔神 レダ』といいます。
 (真の名は、『覇皇 サードラル』。)

(以上が、世界の成り立ちの説明です。
 ややこしくて、すいません。、
 こんな感じ、みたいなもので。^^:

 ライトフォースでの戦士LV限界は99(100)で、

 ダークフォースでの戦士LV限界は500になります。)


 戦士LV500を超えて、501~になる為には、
 ある一定の条件を満たさなくてはなりません。

 その条件は、個々に違うのですが、

 主に、『人』として、そして『神』として、

 二つの視点から限界を極めた者のみが、
 達する次元ということに、
 現時点では、なっています。

 『1対5』を、

 『1+5』に変えられた者だけが、

 究極のLV限界、『戦士LV600』に到達しています。
コメント

ダークフォース 第三章 中編 VII 下書き

2010年10月12日 20時51分29秒 | ダークフォース 第三章 中編(仮)
   Ⅶ

 ヤマモトは、至高の女帝(エンプレス)を前に苦戦を強いられていた。

 かつて、伝説の『剣皇』として世界の頂点に君臨したヤマモト。
 『剣神』とさえ、異界の神々に言わしめた、
 その実力には、微塵の陰りすらない。

 ヤマモトは、額に汗を流しながら、
 久しく味わうその高揚感に、身を震わせていた。

 ヤマモトは、両手に握りし太刀・第六天魔王に、
 渾身の力と魂を込めて、究極とも言える必殺剣の構えを取る。

 刹那にして、終わらせる。

 それがヤマモトの心境だった。

 ヤマモトとしては幸いな事だが、
 プラチナの髪を靡かせる女帝ウィルローゼは、
 必殺剣への錬気に集中するヤマモトに、
 一切の手出しをして来ない。

 ウィルローゼは、別にヤマモトを軽んじて手出ししないのではなく、
 目の前で展開されるその美しい錬気に、
 揺らめく光がシャープな一線へと研ぎ澄まされていく幻想的な光景に、
 ただただ、うっとりとした様子だった。

 ヤマモトは、本来なら、ここまでの錬気を太刀に宿らせたりはしない。
 名高き太刀である『斬刀・第六天魔王』は、
 その、限界をも超えた超絶的威力に、耐えうる刀身を持っている。

 並みの剣などでそんなことをすれば、
 光はブラックホールの質量の闇の中へと引きずられ、
 剣ごと戦士は、漆黒の闇へと消失してしまうだろう。

 ヤマモトが、その圧倒的な『力』の制御に使っているものこそ、
 『ダークフォース』と呼ばれる力であり
 人智を超越した、闇世界に封じられし禁忌の力だ。

 ウィルローゼは、言う。

「まあ、素敵な色の光だこと。
 どんな宝石を用いたとしても、こちら側の世界で、
 その艶めきを出すことは、難しいことでしょうね。」

「お前さんが、余裕を見せて、
 『守りの壁』など使っておるから、出せる芸当じゃわい。
 限定解除下でなくては使えぬワザを、
 それを要せずに、使わせてくれるのじゃからな。」

 ヤマモトの言う『限定解除』とは、
 戦士が一定値を超えた力を発現する為に使う、
 空間そのものを、世界から切り離す技である。

 ヤマモトほどの戦士が剣を振るうには、
 この世界はあまりにも脆すぎる為、
 その世界を破壊しない為に、それを行使する必要があった。

 この限定解除は、勿論、全ての戦士が行えるものではなく、
 むしろ、ごく僅かな、
 限られた、資質と才能を持つ戦士でないと発現は出来ない。

 その能力に長けている者の名を挙げるなら、
 この世界の主神であるセバリオスあり、
 セバリオスほどの完成度を持つ限定解除は、
 このヤマモトにすら発動させることは出来ない。

 それをいとも容易く、このウィルローゼはやってのけ、
 この嫌味なほどに飾られた室内を、完璧に世界から隔離している。

 限定解除下の圧力は、鋼鉄をもへし曲げ、
 あらゆる弱者の存在を許さない。

 ヤマモトは、その完璧とも言える、ウィルローゼの守りの壁の存在により、
 太刀・第六天魔王の刃に、
 ダークフォースの漆黒の煌めきを映し出せている。

 ヤマモトは言った。

「ワシの限定解除能力じゃ、ここまで安定させた状態で、
 異界の力を使うことは出来ん。
 不完全な限定解除による欠損により、
 世界をコンマ数パーセントほど闇に没させたことじゃろうな。
 ワシは、世界の存亡になどたいした興味はないから、
 勝算の高い選択肢を選ぶだけじゃがなっ!!」

「ウフフフフ・・・。
 ヤマモトさんと、私、気が合うのかも知れませんわね。
 私としても、この場所が、愛するお父様の、
 その愛に満たされた空間などでなく、他のどうでもよい場所でしたらなら、
 幾ら滅んでも、構わないと思っていますのよ。
 滅びたものなど、また新たに創り出せばよいのです。」

「まるで、神のような言葉を吐くのぅ。」

 太刀を構えるヤマモトのその台詞に、微笑むウィルローゼ。

「私の創り出す世界は、このように慈悲で溢れてはいないと思いますわ。
 私がお父様以外に興味を持つとするならば、
 それは、星のような輝きを放つ美しい存在くらいなものでしょうね。
 でも、そんな光り物ばかりを集めた世界では、
 輝きは色褪せて見えてしまうのでしょうね。
 ですから、刹那の煌めきを見せてくれるヤマモトさんには、
 大変、期待しておりますの。
 ウフフッ・・・。」

 まるで天使のような笑みを見せる、ウィルローゼ。
 その性質は毒々しさに満ちてはいるが、彼女のその闇が深くなるほど、
 ウィルローゼは、清らかな光輝に満たされていくかようだ。

 オメガを握るウィルローゼのその姿は、
 まさに白金の髪の天使と呼ぶべき神聖な姿。
 エストは、彼女の生み出す守りの壁の外側で、
 目の前で繰り広げられる光景に圧倒されるしかなかった。

「綺麗・・・。」

 エストは一言だけそう呟いた。
 特定の何かを指してそれを口にしたのではなく、
 純粋に、戦士能力を持つエストには見える、
 孤高の戦いと呼べる戦場がそこにはあった。

 この二人の、ヤマモトとウィルローゼの姿を目の当たりにしたなら、
 どんな豪華な調度品で飾られた部屋も、色褪せたモノクロの背景にしか見えない。

 エストは、その奇跡に心奪われた。

 ヤマモトの、その人智を超えた戦士能力は、
 人生を二、三度生きたくらいで垣間見れるほど、容易いものではない。

 事実、ヤマモトがここまでの力を解放し、他者に見せたのも、
 過去を、五千年前の大戦時まで遡らなくてはならない。

 ヤマモトは、太刀・第六天魔王の練成を終える。

 太刀を両手で構えるヤマモトのその周囲から、静寂が広がる。
 耳が、キーンと耳鳴りするほどに無音の状態だ。
 壁の向こうにいるエストには、直接、音としての空気の振動は届かないが、
 そこに立つ、荘厳にして偉大なる者の姿は、
 まさに『剣神』としか、喩えようもない。

 そんなヤマモトに対して、ウィルローゼは言った。

「さすがは、私の見込んだヤマモトさん。
 もしかしたら、剣気だけならば、お父様の上を行かれているのではなくって?
 ウフッ、さすがに、全ての実力がお父様を上回るなどと、
 お世辞を言うつもりはございませんが、
 期待以上の力に、久しくこの胸の奥がザワザワと騒いでいますのよ。
 それを、ドキドキ以上にさせるワザを、
 この私に見せてくださいな。」

「フン、実力ならワシの方がまだバルマードより、ちょっと上いっとるからの!
 弟子に弱みは見せられんし、その娘なんぞに舐められてはたまらんわいっ。」

 ウィルローゼは、唇にその白く細い指先を這わせて、
 ヤマモトにこう返した。

「あらあら、
 その弟子の娘に手を出して、あわよくば妾にしようなどと考えていらっしゃる、
 渋い黒メガネのオジサマにそんなことを言われては、
 男性経験の未熟な私であっても、ワクワクと興奮させられてしまいますわよ。」

「げっ!?
 下心が読まれとる!!」

 そう言葉を交わすウィルローゼとヤマモトのやり取りは、
 壁の向こうのエストには聞こえていない。
 ウィルローゼは、その意思によってあらゆる情報を、
 大いなる戦士(天使)能力『守りの壁』により遮蔽出来る。
 彼女から、エストに与えられたのは、今のところ視覚情報だけだ。
 ウィルローゼとしては、自分の言葉を、
 エストからバルマードに耳打ちされるのは、少し困るような気がしたし、
 ヤマモトとの会話も命のやり取りも楽しみたいという思いが働いていた。
 命のやり取りという表現は、少し過ぎているのかも知れないが、
 ヤマモトにしろ、ウィルローゼにしろ、
 本気でやり合わなくてはならない次元に、互いを持っていっている。

 ヤマモトはともかく、
 ウィルローゼはヤマモトの事を本気で抹殺しても構わないとそう思っている。
 ウィルローゼの興味の対象にならない存在は、
 彼女にとっては『いらないモノ』だからだ。

 必殺の奥義を発動出来る状態のヤマモトが、
 一向に仕掛けてくる気配を見せないのに、ウィルローゼは退屈する。

「ヤマモトさん、はやく私を攻めていらっしゃって。
 タイミングや間合いを計っているなどという、いい訳などは、必要ありませんので、
 私に、その漆黒の刃が魅せる光の軌跡を見せて下さいな。
 指をくわえて待つだけならば、私の方から攻めて差し上げてもよろしくてよ。」

「当てるのが難しい奥義なんじゃから、せかすでないわい!!」

「ヤマモトさんが、その威力で私を消し去ってしまうなどと心配しているならば、
 それは無用のことです。
 例え、この私が消え去ったとしても、
 ウィルハルトの方にはダメージゼロなものですので。
 ウフフフフ・・・。」

「!? どういう意味じゃ!!」

 ウィルローゼの言葉に疑問を抱いたヤマモトは、一瞬戸惑う。
 その隙を、ウィルローゼは攻めた!!

  シュンッ!!

 ウィルローゼは、電光石火の一撃をヤマモトに繰り出すが、
 ヤマモトはそれを寸前でかわす。
 エストには、そのウィルローゼの攻撃が見えなかった。
 光とほぼ同じ速度で繰り出されたウィルローゼの一撃は、
 視覚に頼っていては、遅れて目に届く。
 エストには、その意味を体感するだけの実力はないが、
 光速を超えるような次元で戦う戦士にとっては、
 一秒という時間を、一年よりも長く身体で感じることが出来なければならない。
 ヤマモトは、立ち位置をわずかに変えてこう言った。

「先制するなら、先に言わんかいっ!!
 ワシ、装甲は紙のように薄いからして、
 どんな手ぬるい一撃とて、もらえば即、あの世行きじゃわい!!」

 ウィルローゼは、対峙するヤマモトの顔を上目遣いで見つめて、彼に言う。
 ウィルローゼの背丈は、バルマードに引けを取らぬ体躯の持ち主である、
 ヤマモトよりもかなり低い。

「あら、せっかく散り際に華を持たせてあげようと思っていましたのに、
 その華も見ることなく冥府へと送り届けるところでしたとは!?
 ヤマモトさんも、体力的に年には勝てないのですね。
 初顔合わせで、知ったような口を利いている小娘だと思われるかも知れませんが、
 私、年寄り相手でも手加減は致しませんわよ。
 ウフフ・・・。」

「脆いのは、年のせいじゃないわい。
 もう、勘付いておるじゃろうが、ワシの戦闘スタイルに防御はない。
 ひたすらにかわし続けて、攻撃のみに特化する、
 いわゆる『攻撃型』の戦士タイプじゃ。
 お前さんの親父である、バルマードも似た戦いをするが、
 オリジナルは、ワシの方じゃからのっ!!」

 ヤマモトがそう口にする間も、
 ウィルローゼは、時折、その手のオメガを振るっていた。
 エストには、二人が止まって何かを話しているようにも見えたが、
 その間にウィルローゼが行った攻撃は、計503回に達する。
 ヤマモトは、その全てを移動による回避のみで避けており、
 その手の太刀による受け流しは、一度も行っていない。
 ウィルローゼは言った。

「その太刀をオメガで叩いてみたら、どんな素敵な音がするか興味がありますのに、
 触れさせてもくれないのですね。」

「そんな事が出来るか!!
 ワシは今、この手にブラックホールすら切り裂く刃を持っておるのじゃ。
 受け流しなどして、手元が狂ったら、
 ダークフォースの漆黒の闇の中に、ワシなど消え去ってしまう。
 絶対の戦天使能力である守りの壁を、いつでも纏えるお前さんなら、
 そんな異界の闇さえ、耐え凌ぐことが出来るじゃろうがの!!」

 ヤマモトはそう返したが、本音は違った。
 受け流しは可能だったし、むしろその方がスタミナを減らさずにすむ。
 ヤマモトが恐れたのは、触れられることでその威力が計られる事にある。
 ヤマモトの想像通り、
 ウィルローゼが絶対的な戦天使能力であるその壁を操っていたのなら、
 それは魔王ディナス、いや、戦天使セリカのものと同等の力ということになるからだ。
 セリカのその力は、異界の門を封じるほどに強大である。
 いくら、ヤマモトが優れた攻撃力を持つ戦士とはいえ、
 その鉄壁の防御の前に、意味を成さない。
 ウィルローゼは、まだヤマモトの実力を見抜いてはいない。
 それ自体を、楽しんでいるからだ。
 ヤマモトの手には、必殺の秘奥義である、
 「剣皇剣・覇、第九の太刀『暗黒』」が握られている。
 その威力は、まさに次元を切り裂くほどに超絶だが、
 放てば、その余波で我が身さえも危うい。
 さらに言うと、ウィルローゼを倒してしまえば、
 この隔離された空間が消滅してしまい、奥義の威力が外へと放出されてしまう。
 エストは確実の消え去るであろうし、堅牢なドーラベルン城にさえ、甚大な被害を与えるだろう。
 ヤマモトは、これ程の大技をこちら側の世界で放ったことなど、過去に一度も無い。
 かつて、限定解除すら使えぬ戦士たちは、ギーガとの戦いで禁忌の力を用い、
 惑星エグラートの南半球を闇へと没させた。
 ヤマモトはその限定解除能力を持ってはいるが、
 皮肉にもそれを使っていないからこそ練成することの出来た奥義なのだ。
 奥義を放った瞬間、即、その能力を展開する自信はヤマモトにはなかったし、
 わずか、コンマ一秒の遅れが、大いなる破滅をもたらすのは避けようがなかった。
 ヤマモトの限定解除能力は、前にも言ったように完璧ではない。
 セバリオス級のマスタークラスの補佐があれば、遠慮無用で行けるだろうが、
 そこまでヤマモトは、エストにも世界にも無責任にはなれない。
 ウィルローゼであらば、躊躇わずにその剣を振り下ろしたであろうが。
 そんなヤマモトを見かねたように、ウィルローゼは薄ら笑って言った。

「ウフフ・・・。
 ヤマモトさんの心配など、取り越し苦労に過ぎませんわよ。
 例え、この私が消え去っても、ウィルハルトは残ると、
 そう申し上げたハズです。
 私の予測が正しければ、この空間の保護は継続され、
 他に、何ら害を及ぼすことはないと言えるでしょう。」

 ヤマモトは、そう言うウィルローゼに問う。

「そこが分からぬのじゃが、良かったら聞かせてくれぬかのう。」

 ウィルローゼは、その問いに笑顔でこう答えた。

「ヤマモトさんの迷いを解く為に、教えてあげましょう。
 でないと、この退屈がまだ暫く続くことでしょうから。
 正確に言うならば、私はウィルハルトではありません。
 ウィルハルトがこう変化したように見えるのかも知れませんが、
 私の肉体と魂は、ウィルハルトとはまた別に存在しているのです。」

「!?」

 次のウィルローゼの言葉を待たずに、ヤマモトは過去の経験から、その事に気が付く。
 確かに、ウィルローゼの言うような存在とヤマモトは逢った事がある。
 その者の名は『邪王 アトロポジカ』。
 六極神と呼ばれる異界の神々の中でも、最強クラスの神の名だ。
 邪王は、二人の姉と妹の六極神で、一つの命を二人で共有し、
 故に、最強の六極神である『美髪王 ルフィア』に次ぐ実力を備えていた。
 姉のアリスと、妹のフェノ。
 邪王とは、彼女たち二人の姉妹を指してそう呼ぶ。
 一人でも、他の六極神たちと拮抗する実力を備えるが、
 数の上で、二人は他を圧倒している。
 つまり、ウィルローゼ、
 いや、ウィルハルトは中立の性を持っていたのではなく、
 単純に、男性のウィルハルトと女性のウィルローゼが存在していた事になる。
 ヤマモトは呟いた。

「ふん、バルマードのヤツに一杯喰わされておったか。
 てっきり、ウィルちゃんは女性にもなれる『中性』と思っておったのだが、
 まさか、双子であったとはな。
 何故、個々に存在しておらぬのかまでは、わからぬがの。
 姉の方か、妹の方かは知らぬが、
 まるで絵本に出てくるような悪い魔女のようじゃの。
 はよ、魔法が解けて、可愛い王子様の方に戻ってはくれぬかのぅ?」

「ウフフ・・・。
 魔法を解くには、清らかなキスよりも、
 全てを粉砕する必殺剣の方が、黒メガネのヒゲのおじさんには、お似合いでしょう。
 私、ヤマモトさんにファーストキスをお譲りするつもりもございませんし、
 勿論、そんな単純な方法で、この悪い魔女の魔法は解けませんわよ。
 でも、仮に今、愛らしい姿をした弟のウィルハルトに戻ったとして、
 ヤマモトさんは、そのウィルハルトにどんな悪戯をしようと思っていらっしゃるのかしら。
 男でも、女でも、可愛ければ見境が無いというのは、
 私としては、少々、変態じみていて心がくすぐられますけれど。
 フフフフフッ、愛のカタチは様々ですもの。
 私がお父様を何よりも深く強く愛するというのと同じで、
 お互い歪んだ愛の思想を持つということで。」

「一緒にするなーーーっ!!
 ワシ、純愛だからねっ!!
 例え女の子になれないと言われようが、
 ウィルちゃん(ウィルハルト)のことはどっぷり深く愛しとるからね!!
 ワシ、ウィルちゃんとハッピーエンドを迎えるつもりでおるから、
 ワシの後継者の方だけは、お前さんに頼むとするかのう!!」

「まあ、素敵な純愛ですこと。
 ヤマモトさんが力づくで奪ってしまわれるというのであれば、
 私はそれで、結構ですわよ。
 ウフフフフ・・・。」
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ダークフォース 第三章 中編 VIII 下書き

2010年10月12日 20時51分07秒 | ダークフォース 第三章 中編(仮)
   Ⅷ

 この時、ヤマモトは表面では冗談じみた言葉を交わしていたが、
 その裏では、真剣にこの化け物じみた存在であるウィルローゼの事を、
 冷静に分析していた。
 まさに『女帝』の名に相応しい実力を持ち合わせているのは、
 彼女が全力を出していない今でもわかる。
 資質で言うならば、彼ヤマモトの兄である『覇王 サードラル』を、
 超えているのではないかとさえ、思わせるほどだ。
 単純に、彼ヤマモトとウィルローゼの実力を天秤にはかけられはしないが、
 ヤマモトはその膨大な経験値により、格は彼女の方が上だと考えている。
 実際に当たってみないと何とも言えないが、
 ウィルローゼのその未知なる力は、ヤマモトの測定範囲の外側にある。
 ヤマモトは、彼女ウィルローゼの実力を体感してはいるが、
 見切れてはいないというのが本音だった。
 まだ、底知れぬ何かを隠し持っているような気さえ、ヤマモト程の戦士にさせるだ。
 ちなみに、ヤマモトはマスタークラスと呼ばれる戦士の中では、
 最高クラスの実力を持っている。
 ヤマモトは、地上最強の攻撃力をその手に握りながら、
 困惑と期待と血のたぎる興奮を覚えつつも、努めて涼しい顔でいた。

 その二人のやり取りを、エストとはまた別に、見つめる傍観者がいる。
 マイオストと、バルマードの二人だ。
 彼らは、バルマードしか知らない秘密の覗き窓から、その状況を見届けていたが、
 ヤマモトとウィルローゼの会話の内容は、エストと違って聞き取れていた。
 テレパシーのような思念を読み取る能力を、マスタークラスの戦士である二人は、
 持ち合わせている。
 これは、音速を超えた戦いをする戦士にとっては、不可欠な能力でもある。
 乙女の居室を覗く変態中年の二人だが、
 先に口を開いたのは銀髪の男、マイオストだった。

「・・・見てはいけないモノを見ている気がするのですが、
 私の身の保障の方は、大丈夫ですよね?
 口封じとか、されないですよね?」

 そんなマイオストに、バルマードは豪気に言った。

「あははははっ!!
 そんなつもり、万に一つしかないからねッ!!」

「ま、万に一つはあるのですか。」

 二人の存在は、ヤマモトとウィルローゼには気付かれてはいないし、
 音漏れのない便利な壁を、ウィルローゼの方から作ってくれている。
 マイオストは、続けてこう言った。

「しかし、ウィルハルト王子に姉君がいらっしゃったとは。
 私もてっきり王子は中性だと思っていたのですが。」

 バルマードは言う。

「あはは・・・、ウィルハルト自身は中性だよ。
 かみさんが男の子と女の子の両方が欲しいっていったから、
 今みたいになってるけど、実は本当に姉妹にもなれちゃうんだね。」

「なんと!?
 それでは、オーユ様とうちのセリカみたいな関係ですなぁ。
 オーユ様は、中性に生まれ、覇王の妃となられたお方。
 あなたの師匠同様、私も、オーユ様には恋焦がれたものです。
 甘酸っぱい、マイメモリーですがね。」

 そう言ったマイオストに、少しだけ困った顔をしたバルマードは、
 彼にこう言う。

「だと良かったんだけどね。
 むしろ、君なら知っているだろう、あの『邪王 アトロポジカ』の方に近いんだよ。」

「邪王 アトロポジカ!?
 そりゃまた、大変なお方の名前が出てきましたね。
 お姉さんのアリスさんの方には、二度と合いたくないといっても過言じゃないです。
 妹さんのフェノさんがとてもお優しい方だったから、
 今も生き長らえているみたいなものですからな。」

 バルマードは、ダメ元で、マイオストにある品物が手に入らないかを尋ねてみる。

「ねぇ、マイオスト君。
 君の才能で、邪王が所持している『ジュエル オブ ライフ』みたいなお宝が、
 手に入らないものかねぇ?
 カネに糸目は付けないからさぁ。」

「ジュ、ジュエル オブ ライフですか!?
 あれは、生命すら創生出来るいわば『神器』ですよっ。
 あれさえあれば、自分の理想の女の子(男の子)だって誕生させることが出来ちゃう、
 至高のレアアイテム。
 私程度が手に入れられるものなら、とっくの昔に俺の嫁!を誕生(デビュー)させて、
 大家族の一員ですよ。
 少子高齢化に歯止めをかける馬力を見せてあげちゃうくらいです。」

 バルマードは、無茶な要求であることは理解していた為、
 マイオストに、すまないねといった感じのウィンクをした。
 そして、バルマードは言う。

「いやーね、ウィルローゼの姿を見せることで、
 君に何らかのヒントを提示出来るんじゃないかなって、そう思っただけなんだよ。
 ウィルハルトも、ウィルローゼも、
 一つの命を共有しているから、それが不憫でね。
 家族三人、仲良く肩を並べたいんだけど、表に出ていられるのはどちらか一方だけでね。
 そこは話が長くなるから、別の機会があれば話そうと思うけど、
 レイラの、妻の母体を守る為にウィルローゼがそう望んだというかね、
 意地悪そうな子に見えるけど、実はとてもいい子なんだよ、あの子は。」

 そう言って、父親の顔になるバルマードに向かって、
 マイオストは言った。

「そうですな、始めから無理と決め付けては、芸がありませんし。
 私の、ファールスの端末へのアクセス権はセリカ並みに高いですので、
 情報収集してみることにしてみますよ。
 ですが、さすがに『神器』に関わるデータですので、コソコソと嗅ぎ回ってみます。
 バルマード殿は、ウチのマベルをご存知かはわかりませんが、
 セバリオスの所のフェルツ同様に、魂の器の生成に関する情報は、
 大変デリケートなものでして。
 『ジュエル オブ ライフ』のように安定して存在する物の方が、
 むしろ、奇跡と言えますので。」

「感謝するよ、マイオスト君。
 では、見学の続きと行こうか。」

 そう言ったバルマードに、マイオストは興味本位でこう尋ねる。

「ヤマモト師匠の錬気は、凄まじいものがありますな。
 どのくらいの攻撃数値を叩き出していると思いますか?
 私の予想は『2000』ですけど。」

「ハッハッハッ、
 私や君が300~350くらいだから、
 多分、その遥か上を師匠は行っておられるだろうね。
 ここまでの技は、私にすら見せた事はないからねえ。
 1000の数値を超えてる時点で、もう人の域を超えてはいるね。
 そうだねぇ・・・、私の予想は『9000』だよ。」

「9000!?
 守りの壁の物理防御力5000を越えて、
 空間そのものを異界へと繋げるほどの威力ですか。
 伝説の剣皇は、今なお健在といった所ですなぁ。」

 そのバルマードとマイオストの視線の先で、
 未だじっと対峙し続けるウィルローゼとヤマモトの姿がある。
 ウィルローゼの方は、ちょこちょこと手を出しているのだが、
 常人の目にはまるで止まっているかのように、着衣すら乱れさせない。
 ウィルローゼは高い能力を持ってはいるが、剣術の知識が皆無な為、
 その単調な攻撃がヤマモトをかすめる事は無い。
 父親のバルマードなどにキチンと手ほどきを受けていたなら、
 とっくの前に倒されていただろうと、ヤマモトは思う。

(しかし、なんちゅー規格外のスペックを持っとるんじゃ、
 この悪い魔女さんは。
 神速を誇るこのワシと、大して変わらぬ動きをしておるぞ。
 オメガの重たさに助けられておるが、慣れるのは時間の問題じゃろうて。)

 ヤマモトの言うように、
 ウィルローゼの手にする伝説の剣・オメガは、とても重たい。
 それも、持つ者の力量に応じて重量が増す為、
 ウィルローゼは大槌よりも重たい物を振り回しているということになる。
 原因は、オメガに埋め込まれたダーククリスタルが
 使用者に反応してその力を増幅しているからなのだが、
 現在、そのオメガの重量は、
 この堅牢なる王城、ドーラベルン城の質量に匹敵するといっていい程に激しく重たい。
 鋼鉄どころか、アダマンタイトでさえ紙のように引き裂く威力を持ってはいるが、
 肝心のウィルローゼが、その剣に振り回されている。
 それでも、その速度を微塵も鈍らせないのは、やはり流石と言えた。
 ウィルローゼは、オメガの切っ先を指先で撫でながら、ヤマモトに言う。

「当たらなくては、どんな宝剣も持ち腐れですわね。
 私個人と致しましては、
 お父様の持つそのオメガと同形のこの剣を手にしているだけでも、
 十分にうっとりとしてはいるのですが、
 自己満足もほどほどに、ヤマモトさんに一撃当てるか、
 もしくは、ヤマモトさんのその奥義が咲かせる色を、見てみたいものです。
 2000回近くも空振りしている、今のこの私の技量では、
 ヤマモトさんのその安物の泥色の服さえかすめるのは、到底無理な話でしょうけど。」

「ド、ドロ色て・・・。や、安物で悪かったな!!
 そりゃ、お前さんが着ておる皇族仕様のレトレア織のドレスに比べれば、
 どんなオートクチュールの作務衣を着たとて、
 安物呼ばわりされてしまうじゃろうがの!!」

「よろしかったら、今度、ゴールドとプラチナの糸で編んだ作業着を、
 ヤマモトさんに差し上げましょうか?
 私、ウィルハルトの裁縫技能を利用することが出来ますので、
 上等な物を仕立てて差し上げましてよ。」

「そんな派手で嫌味な服、いるかぁ!!」

「あら、残念。
 そうですわね、ウィルハルトのボケが、
 もう少し剣術の腕を磨いていたなら、その技能を横取りして、
 もっと華麗に舞うことも出来たのでしょうに。
 まあ、よいでしょう。他の解決法を探せばよいだけなのですから。」

「・・・なるほどの。
 ウィルちゃんをバルマードのヤツが花嫁修業させるわけじゃて。
 こんな、悪い魔女が憑りついておるのじゃからのう。」

 ウィルローゼは、そんなヤマモトの皮肉にも満面の笑みで応える。
 その様相は、まるで絵に描いた天使の微笑みだが、
 きらめきを放つゴールドの瞳の裏には、次なる悪戯を考える悪い魔女がいる。
 ウィルローゼは、ヤマモトにこう言った。

「ヤマモトさんの必殺剣の軸線上に、エストさんが重なるようにしようかしら。
 私、一応、これでも気を遣って、
 エストさんへ害が及ばない立ち位置を取っていますのよ。
 私の守りの壁を越えて、エストさんに攻撃が当たってしまうことを考慮した上で、
 せっかく、ベストな立ち位置にいて差し上げていますのに。
 ああ、そうですわ。
 いまさらエストさんに逃げろと仰っても無駄なことですわよ。
 音声の方は遮断されておりますので。
 ジェスチャーでしたら、幾らでもして差し上げて結構ですけれど。
 ウフフフフ・・・。」

「ふん、用はさっさとかかって来いと言うわけじゃな。」

「察しがよろしいようで、助かりますわ。」

 ヤマモトはやむなしといった感じで、その奥義の体勢に入る。
 ウィルローゼとヤマモトの距離は、3,5メートル。
 太刀・第六天魔王のリーチならば、踏み込むだけで当てられる距離だ。
 ヤマモトは、その必殺剣を当てる自信は十分にあった。
 しかし、ヤマモトには別に考えがある。
 この絶世とも言える美姫であるウィルローゼを、
 出来れば無傷で手に入れたいという欲だ。
 その美しさたるや、他に類を見ないほど神々しいといってもよい。
 あれほど美しいウィルハルトの、さらに上を行く美しさだ。
 さらにその美しさは成長の過程にあり、
 ヤマモトが欲して手にすることの出来なかった、
 あの『覇王妃 オーユ』にも匹敵する強さと美を兼ね備えている。
 その類まれなる資質を持った彼女を、
 純粋に覇王を目指した者の一人として、ヤマモトは欲した。
 この好機を取り逃す術はない。
 故に、他の何者にも見せることを拒んだ究極の秘奥義すら躊躇わずに出した。
 ウィルローゼの実力は本物だと、ヤマモトの戦闘経験は告げる。
 半端な必殺剣など、第五の太刀が防がれた時点で錬気の無駄だと理解した。
 ヤマモトは、人の戦士を相手に戦った経験が極端に少ない。
 彼の相手を出来る者が、いなかったと言った方がより正しい。
 よって、ヤマモトの剣皇としての戦闘経験は、熾烈な異界の神々とのモノが大半となる。
 ヤマモトは、リミッターを解除し、圧倒的な超攻撃力を発揮する戦い方は得意だが、
 逆に加減は苦手である。
 ヤマモトが戸惑っていたのは、まさにそれで、
 ウィルローゼの持つ強大な防御力を貫いた上で、
 彼女の存在を消失させることなく打ち伏せる術を模索していた。
 歯がゆい事に、ウィルローゼは自身の身体のみに鉄壁を誇る『守りの壁』を纏わせてはいない。
 それは、第五の太刀を打ち込んだ時に、彼女が僅かに傷を追った事で証明されている。
 ウィルローゼは、自分の持つその優位性を利用する事無く、
 純粋に戦士としての能力のみで、彼ヤマモトを相手しているのだ。
 それは、誇りに満ちた気高い行為ではあるが、少々、度の過ぎた火遊びでもある。
 単純に、一戦士としての防御力には、どれほどの天賦の才があろうとも限界というものがあるからだ。
 ヤマモトは、その太刀の切っ先だけを触れさせて勝負を着ける気でいた。
 ヤマモトは叫ぶ! その秘奥義の名を!!

「剣皇剣・覇、第九の太刀『暗黒』!!!」
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ダークフォース 第三章 中編 Ⅸ 下書き

2010年10月12日 20時50分49秒 | ダークフォース 第三章 中編(仮)
   Ⅸ

 その瞬間、ヤマモトとウィルローゼの二人を包み隠すように、黒い球体が姿を現す!!
 あまりの高威力に、攻撃力が爆縮しているのだ。
 周囲の光さえ吸い込む重力が、その黒い球体の中にはある。
 その異様な光景を目の当たりにしたマイオストは、こう呟いた。

「かつての大戦では、エグラートの防衛に回った私は、
 剣皇の奥義を目にしてはいないのですよ。
 異界では、このような大技が幾度と繰り出されていたのでしょうな。
 ウィルローゼ姫、大丈夫ですか? ヒゲのお父様。」

 黒い球体に見入るマイオストに、バルマードは余裕の表情でこう答える。

「ハハハッ、守りの壁が消失していないのが無事な証拠だよ。
 もし、ウィルローゼがやられていたなら、私たちごと、あの黒い球体の餌食だよ。」

「なるほど! ごもっともです。」

 納得した様子で、マイオストはその黒い球体の観察を続けた。
 バルマードの方は、我が子を見守るわりには余裕の表情をしている。
 このやり取りは、守りの壁の外側にいるエストにも見えていたが、
 エストには一体、何が起こっているのかは理解不能だった。
 黒い球体は十数秒にも渡って、安定して存在していた。
 中で、一体何が起こっているのかは依然、不明だったが、
 禁忌である『ダークフォース』をこの地上にて用いた行為にしては、
 静か過ぎるほど状態が安定していると言えた。
 通常ならば、即メルトダウンを引き起こし、
 半径数百キロメートルの範囲を異界の闇へと没させたことだろう。
 世界は、要塞ファールス(エグラートの月)の防御シールドによって覆われている為、
 それ以上の被害は、月に眠る天使セリカの『守りの壁』によって保護、修復されるであろうが、
 威力でいうなら、星一つを消失させるに十分なほどに高威力だ。
 ヤマモトの叩き出した攻撃力数値は『9000』。
 物理攻撃力の限界である『9999』に、届こうかという威力である。
 攻撃力がその限界数値9999を超えると、物理法則は崩壊する。
 攻撃力『10000』は、この宇宙には存在しない。
 その存在が確認されていないだけか、
 かつて存在した形跡が、歴史から消し去られているだけなのかも知れないが。

(以下の『』内の記述は、削除される予定だったものです。
 読み飛ばして下さい。ややこしい解説です。)

『あくまで、要塞ファールスの演算能力による推定(予測値)であるが、
 こちら側の世界であれ、
 異界と呼ばれる禁忌の世界であれ、
 『攻撃力10000』の物理攻撃が行われた時点で、
 一つの宇宙(サーヴァ)そのものが消失するというデータがある。

 サーヴァとは、
 ゼリオスの名で呼ばれる大銀河を、
 数千個に分割して構成している宇宙の単位で、
 一つ一つのサーヴァの形状は、大小の差こそあるが、
 ハニカム構造体(蜂の巣のような六角形)を形成して、
 ゼリオス銀河全体を覆っている。

 単純に正六角形ではないが、
 一つのサーヴァが、六つのサーヴァと隣接するように繋がれており、
 有事の際には、その周囲を取り囲む六つのサーヴァが、
 崩壊したサーヴァを銀河から隔離(内包)し、
 ゼリオス銀河全体への影響を防いでいる。

 簡単に言うと、蜂の巣の穴の一つを、
 マジックで黒く塗りつぶす感じだ。
 このハニカム構造の防御システムは、
 『サーヴァナンバー01 アリスアリサ』によって、
 構築されたものだと言われている。

 銀河の地図全体には、黒で塗りつぶされた幾つものサーヴァがあり、
 それは、銀河の辺境の地である、
 『サーヴァナンバー05 アークシオン』の周囲に多く在るとされる。
 サーヴァ05エリア付近は、ゼリオス銀河でも最大の激戦区である事が、
 太古より知られており、ゼリオス銀河の『絶対防衛線』とも呼ばれている。
 かの地には、銀河最強と呼ばれる戦士団が存在すると言われ、
 12名からなるその戦士団は、名を『グランドクロス』という。
 遠い遠い、遥か向こうの神話の存在である。

 そのグランドクロスのリーダーである、戦士アークシオンから、
 強力な思念波により、数多の星々の戦士たちへ向け発せられた言葉(メッセージ)がある。

「我が名は、アークシオン。
 辺境の地にて、『敵』と戦う戦士たちの、その一人。
 この声が届いたならば、その呼びかけに応えて欲しい。
 我々は、多くの戦士を必要としている。
 我が名を冠するサーヴァの陥落は、一宇宙の消滅に留まらず、
 ゼリオスの銀河に、かつて無い最悪を招き入れるだろう。
 我が想いはただ一つ、
 愛する姉上が創造せしこのユニバースを、
 冥界(カオスフォース)より、守り抜くこと。
 繰り返す、
 我が名は、アークシオン・・・。」

 この、メッセージの内容を知る者は、
 『サーヴァナンバー1725 エルザーディア』の宇宙の中では、
 要塞ファールスの建造者である、『覇王サードラル』と、
 その彼から、要塞ファールス最深部へのアクセスキーを託された戦士、
 四天王筆頭の『マイオスト=ガイヤート』のみである。
 要塞ファールスの演算結果が示すように、
 限界を超えた力が齎すものは、崩壊、そして破滅である。

 攻撃力9000という数値は、
 要塞ファールスの誇る512億ビットの演算能力を超えるものではないが、
 その破壊力に耐えうる異界(ダークフォース世界)ではなく、
 守る事が必然とされるこの脆弱な通常空間では、
 安易に発動の許される『力』ではない。』

 その圧力の中を、二人は耐えているということになる。
 守りの壁の健在が、自身の身の安全を保障するものではないと、
 ウィルローゼはヤマモトに言っていたが、
 バルマードの黒く鋭いその瞳には、
 壁の存在がウィルローゼの健在ぶりを示すものだと映っていた。
 見た目は薄皮一枚よりも薄く、透明な存在だが、
 バルマードは感じる壁の厚みで、それがウィルローゼのものだと確信する。
 高度な錬気能力を持つバルマードには、
 対象の防御力を読み取る術に長けている。
 バルマードの目には、その壁の物理防御力が、
 いまだに5000以上を誇っているのが容易に見て取れた。
 バルマードは、攻撃のみに特化した戦士、『剣王』である。
 相手の装甲の厚みを読み取れなければ、必殺の一撃を放てはしない。
 逆にもう一方のマイオストにとっては、
 壁の存在はわかっていても、見分けまでは付かないといった感じだ。
 実はマイオストは、戦士としての能力がそれほど高くはない。
 彼の戦士LVは、バルマードと同じ『95』である。
 その高い戦士LVの割には、高い攻撃力を持つというわけでもなく、
 一級の防御力を備えているというわけでもなく、彼の能力は凡庸と言えた。
 このクラスの戦士になると、何らかの才に秀でているものであるが、
 彼には、その片鱗も無いように見える。
 マイオストは、いわゆる『天才肌』の戦士ではないものの、
 だからこそ見える風景も違っていたし、
 彼の物事を見つめる角度には、誰もが認めるセンスがあった。
 多少、おっちょこちょいな面は否めないが。
 師であるヤマモトの安否は不明だが、
 バルマードは、そちらには興味が無いといった感じで口元をニヤニヤとさせていた。

「我が師、ヤマモトよ。お見事な最期でした。
 心より、ご冥福をお祈りしています。」

 マイオストは、バルマードのその言葉に驚いたように振り返った。

「えっ!?
 お師匠さん、マジで殉職したんすかっ!!」

「ああ、えーーっと、
 希望的観測に満ち満ちております。
 何せ、いくら我が師とはいえ、
 相手は愛する我が子に手を出そうとする変態ヒゲメガネ。
 ウィルハルトに、ウィルローゼにとその見境の無さが、
 父であるヒゲパパこと私を、非情にさせたとでも言っておこうかね。
 師匠に、アレを耐えるだけの防御力はないでしょ。
 生命力高めなマイオスト君だって、ギリギリなんじゃないの?」

「あはは・・・、確かに。
 セリカの加護無しだと、ほとんど、いや完璧に無理でしょうね。
 ヤマモトサン、サヨウナラ。
 いい技見せてくれて、ありがとう!!」

 次の瞬間、その黒い球体に異変が起こる。
 何か、鋭い斬撃のような一閃が、その球体を真っ二つに引き裂いたのだ。
 引き裂かれた半球体の黒い物質は、
 吸い込まれるように球体の中心があった、元の場所へと消えていった。
 その中から現れた影は一つ。
 影の主は、その莫大なエネルギーを文字通り吸い尽くして、その姿を現したのだ。
 マイオストはその光景に唖然とさせられ、言葉も出なかった。
 それは、とても一人で吸収出来るような質量ではなかったし、
 一定量の世界を消失してもやむを得ないといった視線で、
 マイオストは、成り行きを見つめていたからだ。
 マイオストが、バルマードに連れられて来たその理由を、
 いち早く、その消失座標をファールスに眠るセリカに伝えられるのが、
 自分であるからだと、確信していたからであった。
 バルマードの思惑も、まさに彼の読み通りで、万が一の保険として、
 絶対防御力への伝達者である彼、マイオストを同行させていた。
 だが、その結末に、バルマードは一瞬、苦虫を噛み潰したような顔になる。
 静まり返ったその場所に姿を現したのは、
 絶大なる攻撃力を宿したままの太刀、第六天魔王を手にした、
 無傷のウィルローゼであった。

「ウフフ・・・、素敵でしたわよ、ヤマモトさん。」

 ウィルローゼは、右手に握られたオメガを地面に突き立てると、
 まるでその漆黒の刃に魅せられたように、満足気に太刀・第六天魔王を見つめていた。
 ダークフォースの闇の煌めきの波紋を映す太刀を見ながら、
 ウィルローゼはこう呟いた。

「フフッ、これほどの力があれば、
 私は、この『ウィルローゼ』で在る状態を、
 ある程度は安定させて継続することが出来るかも知れませんわネ。
 ウィルハルトという呪縛から解き放たれたいという願望は、
 私にとっては、比較的重要度の高い項目ですので。
 ウフッ・・・、別に、ウィルハルトに消えてもらおうだなって、
 そんな酷い事までは思いませんが、
 適当な依代(うつわ)を見つけるまでの間、
 私がこの状態で長くこの世界に在れるというのは、
 とても素敵なことだと思いますの。
 ウィルハルトの中に潜在した状態でも、
 ワタクシ、この太刀の煌めきを留めたままでいる自信はございますし、
 むしろ、何かを手玉に取るのは得意な方と心得ていますので、ウフッ。
 だって、甲斐性なしの弟のウィルハルトに任せていたなら、
 何十年、何百年先に、この私だけの命の器を手に入れられるか、
 わかったものではありませんから。」

 そう言うウィルローゼを、バルマードは押し黙って見つめていた。
 バルマードにしろ、マイオストにしろ、
 あのヤマモトが敗れるなど、想定外の展開であったからだ。
 だが、現実として、二人はヤマモトの存在を、その痕跡さえ探知出来ないでいる。
 ヤマモトの存在自体が、完全に消失してしまっているのだ。
 バルマードは一呼吸置いて、マイオストに神妙な面持ちをしてこう言った。

「マイオスト君、困ったことに緊急事態、発生だよ。
 まさか、この私も、師匠が敗れるだなんて本気で思ってもみなかったから、
 ウィルローゼのその高く伸びた鼻っ柱を、
 へし折ってもらおうくらいに考えていたのだよ。
 多少、師匠にも痛い目を見てもらってね。
 ・・・だが、結果は見ての通りだ。」

「バルマード殿、
 確かに、長くあの剣皇陛下の実力を見せつけられてきた三下の私にしても、
 驚きを禁じえない状況だと言えます。
 正直、洒落ではすまない非常事態だということは、私にもわかりますよ。
 背筋が凍りつきそうなくらい、お強い娘さんをお持ちで。
 羨ましいやら、大変そうやら・・・。」

 バルマードは、言う。
 かつて無いような、真剣な面持ちで。

「残念だけど、私の実力は師匠より格下だ。
 情けないことに、我が娘(こ)を止めるほどの力は、この私にはないのだよ。」

 そんな『お父様』の様子に、慌ててマイオストは、こう返す。

「だ、だからと言って、
 私が協力したくらいで何とかなるものではないですよッ!!
 まさか、いまさら、
 その為に私を同行させただなんて、言わないで下さいね。
 止められないですからねっ!!
 あの、無敵の変態ヒゲメガネを退治してしまうほどの化け物、もとい、お嬢様なんて。
 私、人生の目標である『長生き』の記録を、
 これからもずっと更新し続けて行きたいですから。」

「でもねぇ・・・、
 師匠ほど馬鹿デカい戦士の存在が消えたともなると、
 私らが見つかるのも、もう時間の問題だと思うよ。
 逃げようとしたら、逆に挑発してしまうことだろうねぇ・・・。」

「そ、そんなぁ・・・。」
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