ダークフォース続き(仮)新規です

ダークフォースDFと続きに仮セカンド。
新規とDF追加再編です

どうか皆様、良い年の瀬をーっ✨

2020年12月31日 23時10分44秒 | 日記
 こんばんは、井上です。
2020年も残すところ数時間とカウントダウンな時間に入ってしまってますね。

 こうして書いている内にも時計は進んでいき、
TVには年末特番が流れ例年と変わらない年の瀬を迎えられ
健康な事が貴重だなぁと考えさせられる一年だった気がします
皆様もどうか来年もご健勝であられる事を願ってます。

 話が極端に飛びますが今年は色々ありましたね、
発売も店頭に並ばないPS5、X-BOXSeriesXも売ってないくらいで
ようやくニンテンドースイッチが入荷してるのは良いことだなーって思います

 ステイホームが多くなってきてやっぱりお家時間を楽しめたらと
ゲーム好きな物で、色々話すのが好きでスイッチはあのシンプルさと
少しやかなり前の物までダウンロードで楽しめるのが良いですよね🎵

 趣味にゲームが占める部分大きくて、そういう話題になりますが
スマホがゲーム機として定着して人気も高くCMどんどん流れてますね
FGOとかFATEとかアニメで見た知識で語るレベルに達していませんが
昔からシールとかトレーディングカードが好きで、そういうのをスマホ版でやってると
きっと沼にハマるくらい面白そうで、FF14をやってますがFF14マンチョコが買えなくて買えなくてと、
そういう欲しいみたいな物欲センサー振り回されてる内が楽しいなーって感じます。

 PS5が全然ありませんね💦
来年入ると良いですね、噂ですがPS5に使ってるRDNA2が来年RDNA3になる予定で
今はパソコンのグラボ特需で同じパーツ、メモリのGDDR6在庫が来年前半に供給不足(既に不足して足止めな感じも)になり
PS5は16GB要るんでそれが足りれば来年から多く出るという話で
その頃RDNA2が進化してますのでAPU化(CPUとグラフィックを統合して2つのパーツが1つになって小型化)するような話も出ていて
噂止まりですが、PS4の翌年出荷台数の1400万台を超える1800万台が目標みたいな話で
実現するといいですよねっ🌷

 っと、23:00時まわってしまいましたので中途半端な書き込みですいません^^:

 それでは、どうか良いお年を~。
 来年もよろしくお願いしますっ!

              2020/12/31 井上 光


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ためぞうのぼうけん などなど前書き

2020年12月24日 20時49分00秒 | 編集ミスで1話を2020で更新💦順が2~最後に1に;; 各2話~のURL記載等
こんにちは、井上です。

簡潔にまとめきれないのでそこをまず
すいません。


ためぞうのぼうけんは
以前描いたキャラが出てくるわりに前置き無しで始まるので
意味不明があってすいません

-人物紹介編-

・ためぞう=最初の主人公

 ボツになり放置
 現在リサイクル中

・古蔵(初代ためぞう)

 過去作ダークフォースで
 主人公ではないプレイヤーキャラで
 ためぞうの兄
 姉御と慕う女性から、
 ややこしいからお前古いんで『古蔵』でよくね?
 と言われてフレッシュではなくなった人物

・エリスねーさん

 過去に古蔵を導き日陰者だった古蔵に手を差し伸べた古蔵の女神。


・エストさん

ためぞうのような人生を送る小娘。
生まれは天下の覇王家の姫で、双子の妹?か姉の(エストさんからのネタは意味なく不明)のレミルさんに養分をほぼ100%吸われた口の絞った残り......。

エストさん「強く生きて行きます。
過去など無意味と前を向いてます。
平成どころか令和生まれと言いたいだけの通りすがりの美少女 16才。来年も16才です。」

エストさんには歴史があります
同性同名のお姉さんが世界を支配出来る帝王家に姫として行っているので
細く長く、流れに身を任せ、運命に抗わず流れにちょっとだけ乗れればそれでいいとしたたかに眼光をギラつかせる通行人の人。

エストさん「キラメキと玉の輿のある乙女の園、『ガールズサイド』に行けば、それで満足です。」

12月24日微調整
※編集中でまた追記します💦

-------------------------------
なりゆき

「ためぞうのぼうけん」をゲームで作ったのが遥か古の学生の時代
中盤まで作った所で作りなおし......。

ためぞうは新たな大地を目指して旅立ったんじゃー、的な打ち切りとなり

それから5回目くらいでようやく完成したのが
『DARK FORCE』シリーズとして
第1作から~5作まで続き
1と2に「ため蔵」が登場しますが
こちらが初代ためぞうとなり
他力本願で世界を救った英雄たちに紛れ、肩書きを嫌う英雄たちに
初代ためぞうが救ったぽいよ的ウワサを流し、一同が団結して初代ためぞうに肩の凝る名誉職『覇王』の冠と責任が押し寄せて、初代はめでたく冒険したのでした。

そして20XX年、時は21世紀
現在行方知れずの父の次男として
ためぞうのぼうけんの「ためぞう」の日々が始まり

初代も弟も同じためぞうで、
めんどくさくなった彼らの父の右腕で義理の姉としてどちらの面倒も見ている、
モデルのようなスタイルで体脂肪率と地上の重力を無視したような立派な胸と包容力を持った
23才独身OLのエリスねーさんから

エリス「おい、初代の方のためぞう!
兄弟に同じ名前付ける親も親だが、あたしの師匠である事からそこはどうでも良いが、区別が付かんし紛らわしの
わかるよね?」

初代ためぞう「......ちょ、オリジナルは俺だよ、ねーさん!!
俺じゃなくて、グラサンに髭で遊び回って行方知れずのウチの親父が適当なんだって」

エリス「誰も無理にとは言わんが、この中から選べ。
なんで三択が書かれたメモを手にしてるのかはわからんが
わからん事には関わらんのがこの世の掟。
決められんならダーツの的にそれ書いて回してブン投げて決めれば
不公平はないだろ?」

→選らんでね🎵

何処からともなくソプラノのような愛らしい乙女の声が聞こえると
選択肢の書かれたボードがさりげなく現れる。

・『たまぞう』
※宝石を表す「玉」に宝物殿の「蔵」と書いて、有難いものとしてタマゾウ。

・『ためぞ...
※この名前は既に使われています。

→・『古蔵』
※エリスさんが始めに考案された、古い方だから「ふるぞう」を採用させて頂きました!

エリスさん「よし、決まりだな!良かったなぁ、古蔵。
響きが渋くて、我ながら傑作というか
マスターピース感を醸し出す感じにピタッと決めたなっ!」

古蔵「古蔵になっとるし......。」

古蔵さんは選んでもない事にツッコミません。
彼の経験は知っているのです。
抗えば抗うほど、深い底なし沼にはまる事を。




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ソート仮 順番が不明でほんとすいません>< ..........💦

2020年12月14日 01時16分00秒 | 編集ミスで1話を2020で更新💦順が2~最後に1に;; 各2話~のURL記載等
※各一話の日付を最新に更新したのがミスの始まりで古い方から順に続いてまして

予定は一話からカテゴリー順に並ぶかもと更新してしまったのが
第二話から続きに並んでしまい二話からのURLになってます。

※スマホで確認しまして気付いたのがレイアウトがPC版で見てたもので、改行(空白)が目立ちます💦

※また手直しします(T-T)💦
2020年12月14日

URLをコピペで検索すると表示される感じに......。


ダークフォース セカンド(仮)
第二話 「入試」
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/081871a6701f2c839e0f985b2c2d24d4


-ためぞう の ぼうけん。- (仮)
第一話  「となりのお姉さん。」
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/055da50dc1eca328625ffe2adaa0bafd


カテゴリー:ためぞうの冒険・外伝(仮+試しなど。)
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/2e8627566b9ae57d5c8a2e7c279aab24


ダークフォース 第一章 Ⅲ、Ⅳ
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/584dd51fcb7475a808ae5af0f22aae30


ダークフォース 第二章 III
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/4c4bf49bfeb69aac7b98f4eb93c93d21


後編 ダークフォース 第二章 IX
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/58db6c6d72cfb57610ecb959b365e86a


ダークフォース 第三章 Ⅱ
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/28c0d239e91aed2c68ad15794a928d43


ダークフォース 第三章 中編 Ⅰ
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/ed3ec7cbc2fcda4fd4953a7527d11a4c


何となくですがいずれきちんとソートしたいと思います

URLのコピペで記事になってます💦💦
ちょっと訂正
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追記

2020年12月11日 16時55分16秒 | 編集ミスで1話を2020で更新💦順が2~最後に1に;; 各2話~のURL記載等
記事のソートをしようとしても
カテゴリーで繋がらないんですね💦

いえ、リサイクルなので自分にツッコミを一回入れてる所でして
投稿日時順に再投稿する必要があるの知りませんでした

URL
第一回投稿
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/cb27af24a832a066d197f7b2a78ed14f


ダークフォース 第一章 Ⅶ この順でソートされてて→IIに
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/1f53ea21cd17edca51b18e0022395a77



ダークフォース 第二章 IX
何故かこの順でソートされてて💦→IIに
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/58db6c6d72cfb57610ecb959b365e86a



ダークフォース 第三章 中編 VII 下書き 順がここから1に向かって 1を最新に更新;;
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/f377ba416d7c4c71955f7e0cc08f537e


ダークフォース セカンド(仮)
ためぞうのぼうけん 第二話 「入試」
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/081871a6701f2c839e0f985b2c2d24d4


ためぞうのぼうけん ためぞうの冒険 II - 番外編 12・16 -
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/caf8a944ea28c895631502da9d04f5d1


カテゴリー:-ためぞう の ぼうけん。- (仮)
第一話  「となりのお姉さん。」
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/055da50dc1eca328625ffe2adaa0bafd


-ためぞう の ぼうけん。『番外編。』-
パート1 『ためぞうの帰還。』  2016・5・30
https://blog.goo.ne.jp/hika71650/e/3af92bc3a1a74f78b37b7a7367a8fde2



あってるか不明ですがまたやり直します💦
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あっというまに師走ですね 2020/12/09

2020年12月10日 13時29分08秒 | 日記
こんばんは井上です

毎回の更新の延滞の報告で何ともです💦

近い内に再開したく日々思いながらも
この引用を使い回してしまい
何ともです(^_^;)

ツイッターの方も平行しておりますので
そちらも記載しておきます

こうも更新のないのに見る度に数千、数万のカウンターが回っている事に誠に感謝しきりです!

閲覧、ありがとうございます!!

追記
こちらに変更
@14ayakosan 井上 光

こちらが私のTwitterになります。

追記(プロフィールにURL記載><)

こちらが本HP兼ブログで
様々な方からのご支援の中、
こうして続けられている事に心より感謝いたします。

     2020/12/09
           井上 光
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なんとなく、第一話

2020年12月10日 00時14分54秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
「おはようございます。」

「あら、おはよう、サフィリアさん。」

 銀色の髪にブレザー姿の女子高生にそう返すのは、
 同じ制服を着た女の子。

「お、おはようございます、アリス会長。」

 会長と呼ばれたその娘は、
 有り得ないくらいの美貌を誇っている。

 蒼い瞳に、プラチナブロンド。

 見るからに北欧系の美少女で、
 サフィリアと呼ばれた娘も、
 可愛さは世界ランキング級の美少女だが、
 アリスのそれは、
 美しいという言葉では、
 喩えようもなく、
 グランプリ王者級だ(連続防衛中)。

 王に、王が重なるほどの、
 絶世の美少女である。

 さわやかな朝日に照らされる日常に、
 非、現実的なほど神々しい光景が、
 九州の片田舎にて、繰り広げられていた。


 時は、西暦20XX年ッーー!!


 人類は世紀末を波乱とともに向かえ、
 かつてなく巨大な壁であった、

 『不景気』

 という試練を、
 乗り越えようとしていた、
 新世紀を生き抜く若者たちの姿を、
 ハートフルに描く五つの物語であるーーッ!!
              (ここは息継ぎなしでお願いします。)


第一話 「ためぞうの冒険」


ためぞう「オッス! オラ、ためぞう。
     貯めるに蔵と書いて、
     『ためぞう』だぞ。
     オラは、願いを叶えるために、
     ラヴんな朝の光景を覗き見てるゾ。」


ためぞう「えー、当方16才なのですが、
     魔王の討伐を王様から頼まれたり、
     100円もらったりしてないんですが、
     冒険したい年頃です。」

ためぞう「・・・。
     間がもたんな。」

ためぞう「美少女はいい、美女もいい。
     オレは、世界で一番のハーレムを夢見る、
     高校一年生なんだからな。

     しかし、オレの十六年の人生経験が語るのは、
     この後に、

     『ためぞうの冒険 おわり。』か、

     次週、最終回、
     『ためぞう、時の流れの果てに。』だ!

     理由は簡単、キャストがオレ一人しか、
     タイトル表記のあとに、しゃべってないからだ・・・。」

ためぞう「・・・。
     すまないと思っている。

     美少女一人、登場させられない、
     理想の桃源郷を覗き見しているだけの男に、
     世界の1グラムすら語る資格はないということくらい。

     だが、ここでは終われん、
     終わりたくないのだよ!

     誰か、出てきてください。」

マイオスト「やあ!」

     そこに、銀髪の男マイオストがあらわれた。

ためぞう「アリガトウ!
     そして、ありがとッスーー!!」

マイオスト「いや、
      過去のためぞうの冒険 エピソード0(ゼロ)には、
      私と、嫁のハインウィンドは、
      登場してたからね。」

ハイン「嫁いうなぁ!」

    ハインウィンド(ブロンド ナイスバディ)があらわれた。

マイオスト「同窓会?」

ためぞう「いや、
     オレ、マジで共学の高校とか、
     通ってみたいんで、
     路線変更しないでね。

     子供が生まれましたの写真が入った年賀状を、
     結婚しました、のハガキもらってないのに、
     もらったりするのは、
     もーちょっと先でいいんで。」

マイオスト「もらったw」

ためぞう「マジか!!」

ためぞう「・・・。
     路線変更はなしでお願いします。

     お二人は、新婚生活を楽しんでてください。」

マイオスト「そだね。」

ハイン「ぶっ飛ばしていいか?
    お前らを。」

マイオスト「おいおい、
      やめてくれよ、ハニー。
      人前じゃないか、
      ハッハッハー!」

マイオストは、
お星様になりました。

ハイン「次は、貴様だ。」

ためぞう「一度だけでいい!
     チャンスをくれ・・・。

     通ってみたいねん。」

ハイン「・・・。
    まあ、いいだろう。

    過去の弟子に、機会を与えるのも、
    師であった者の務めであろう。

    あとはまあ、
    何とか、がんばれ。」

ハインは、
スーパーの方に向かって立ち去った。

ためぞう「ポイント10倍デーか。

     ・・・いかん、流されるなオレ。
     握ったチャンスを無駄にするな。

     リサイクルキャラの巣窟の同窓会には、
     あの伝説の世界樹の木の下で、
     平成生まれの新キャラの子に、
     告白されてからでも遅くはなかろう。」


次回、ためぞうの冒険 第二話

   「入試」


ためぞう「そっからかよ!!」
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ダークフォース 第一章 Ⅰ、Ⅱ

2020年12月09日 22時55分57秒 | ダークフォース 第一章
   <序>
 
  美しいものは、人の心を奪う。
  美しきものに、人は愛を求めてしまう。
 
  美しさとは、ヒトのモノだけではない。
  生きとし生けるもの、動物、草木、あらゆる全てが、それを強く求める。
  美しさこそ、進化の象徴。
  そして、進化の先にまた、さらなる美しさがある。
 
  世界の王と呼べる男、彼は言った。
 「この世の果てにいる異界の女神は、
   この世で最も強く、
      そして、この世で最も美しい」
 
    ― ミストレウス帝国皇帝・覇王サードラル
              『エクサーとの邂逅』より抜粋 ―



   Ⅰ

 そこは、エグラートの名で呼ばれる大地。
 古代文明の遺産群と、豊かで美しい自然とが調和し、緩やかな時を刻んでいる、
 そんな世界の物語・・・。

 世界は、八つの国家がそのエグラートの大地を八分し、皇帝を擁するノウエル叡智王国によって、国々は一つにまとめられ、人々は戦争を知ることも無く、穏やかに暮らして来た。
 だがその数百年という長い安寧の時も、大陸の国家群を八つから七つへ減らそうとした時、降りかかる戦火によって、エグラートの大地は再び、その境界線を大きく書き換えられようとしていた。

 南東の大国・フォルミ大公国が、代々、神聖不可侵とされた小国のスレク公国に侵攻したのは、大陸暦4095年の初春である。
 
「スレク公、お討死にッ!! フォルミ軍二万が怒涛の勢いにて我が方に攻めかかってきます!!」
「ば、馬鹿なッ!! 殿下は、戦士レベルが87にも達する大陸屈指の猛者であらせられるぞ。そのクラスの戦士である殿下が、二万もの大軍を集めたとはいえ、フォルミの雑兵ごときにやられるハズはないッ!!」
 石造りの荘厳なる古城の中で、騎士たち怒号が飛び交い会う。
 『ミストレウスの古塔』と呼ばれるスレク公の居城を取り囲む、二万のフォルミ軍は、堅牢な城壁を打ち破り、雪崩を打ったように、城内へと攻めかかった。
 古城の中央には、城の名の由来ともなった巨大な塔がそびえており、僅か千足らずのスレク公国兵たちは、決死の覚悟で塔への侵入を食い止めようとしている。
 古塔の上部にいるスレクの騎士たちは、階下に見える光景に唖然とさせられた。
「城門はアダマンタイト鋼で出来ておるのだぞ! どうしてこれ程にたやすく・・・」
「報告!! 敵、フォルミ軍の中に高レベルの戦士が一名確認された模様。・・・その者がおそらく、アダマンタイト鋼を引き裂いたものかと」
「フォルミ大公・レオクスが、自ら出陣しているのか!? 大陸広しといえど、殿下を凌駕するほど勇者など数限られている!!」
 そうこう慌てている間に、騎士たちはその者の姿を目の当たりにすることになる。
 素早く城兵たちを打ち負かし、騎士たちの元へと現れたのは、年の頃が15にも満たなそうな、一人の金髪の少女だった。
 金髪碧眼の少女は、騎士たちに問う。
「公女はどこにいる? エスト公女さえこちら渡せば、我らフォルミは兵を引こう」
 堂々とした少女の言葉に、騎士たちは一瞬、凍りついたように少女の方を見つめた。
 騎士たちの背筋を駆け抜けたのは、圧倒的強者に対する恐怖である。
 この金髪の少女が発する絶大なる剣気は、スレク公のそれすらも凌駕し、何度かスレクの騎士たちも謁見かなったことのある、大陸最強の剣王と名高い、ティヴァーテ剣王国・剣王バルマードのそれとも見紛うばかりの威圧感である。
 バルマードの戦士レベルは95。
 少女がそれに近い戦士であることが、スレクの騎士たちにも容易に感じ取れた。
「フォルミ大公はこれ程の戦士を配下に抱えているのか!?」
「私の実力を読めるそなたらであれば、抵抗がいかに無意味であるかも容易に理解出来よう。我が名はリシア。フォルミ大公国・大公レオクス殿下に仕える戦士。戦士レベルは94。そなたらになら、この数字の意味は説明するまでもなかろう」
 『戦士』とは、この世界にあって、超越者にのみ贈られる称号である。
 人間としての限界を遥かに超え、『ライトフォース』という自然界に存在する質量、エネルギーを自らの力として、人ならざる力を発揮する者たちの呼称である。
 戦士には、戦士レベルという強さの指標が存在し、これにより高レベルの戦士たちは互いの実力を知ることで、無用な争いを避ける傾向にある。
 戦士レベルの最高値は100とされ、人が達した最高値はティヴァーテ剣王国の剣王バルマードの、95である。
「94!? ノウエル皇帝陛下と同じ戦士レベル!! 馬鹿な、皇帝陛下は人類で二番目の戦士レベルをお持ちなのだぞ。・・・いや、しかしこの圧倒的な剣気。フォルミ、なんという大国・・・」
「公女を渡すのだ。我らとて、無用の流血は避けたい」
 そうリシアが降伏を勧告した刹那、一人のスレクの騎士が何かしらの装置のようなものに触れた。
「まだ、負けと決まったわけではない! エスト様はすでに、ティヴァーテに向かって発たれておるわッ。・・・公国の意地を思い知るがいい!!」
 美しい模様をした大理石のパネルに掘り込まれた古代文字のような文様が、虹色に輝き始めると、慌てて別の騎士がその操作を止めに入る!!
「ば、馬鹿な真似はよせッ! 殿下無きとはいえ、公国そのものを消滅させる気かッ!!」
「それは、何の装置だ?」
 リシアの問いに、その騎士は素早く答えた。
「あれは異界の扉を塔周辺に開くもの! フォルミの戦士よ、装置を破壊してくれッ!!」
「ギ、ギーガ(悪魔の総称)をこの地に召喚するつもりかッ!! スレク公国そのものが、この大陸から消滅してしまうぞッ!」

   ズドーーーンッ!!

 リシアは超人的な速さで、パネルと騎士を外壁ごと吹き飛ばし、古塔に風穴を開ける!
 が、時すでに遅し・・・。
 風穴の向こうの地平には、漆黒の闇ともいえるドス黒い亀裂が、いたる所に発生し始めていた。
「なんという巨大な亀裂・・・。一体、どれほどの数のギーガが溢れることか」
 止めに入ったスレクの騎士は、兜の音がガシッと鳴るほど額を石畳に擦り付け、リシアに向かって懇願した。
「フォルミの戦士よ、ギーガの侵入を食い止める為、我らに力を貸して欲しい! 殿下おられぬ我らに、ギーガと戦うだけの力は無い。無理は承知の上!!」
 リシアはすぐに頷く。
「承知した。ギーガと対するに、国家の境界など関係はない。・・・しかし、これ程に巨大化した闇に、私一人で対することが出来るだろうか。決死の覚悟で挑んではみるが、結果は期待しないでくれ。あと、双方の軍に我が思念波(テレパシー)を遅らせてもらうぞ」
「・・・す、すまん」
 リシアは風穴から階下の全軍が見下ろせる位置に立つと、兵たちに向かって思念を送った。
 その声は、両軍の兵たちの頭の中に、直接鳴り響く。
『我が名は、フォルミの戦士リシア。承知のように、今、ギーガが異界から溢れ出そうとしている。スレク、フォルミ全将兵に告げる! 全力を持ってギーガども対し、死力を尽くして戦うのだ!! ・・・家族を、故郷を、この地に生きるもの全てを! 漆黒の闇から守り抜くのだ!!』
 リシアはそのまま、塔の風穴から直接、最も大きい亀裂へと向かって飛び出した。
 リシアは巨大な闇の中心へと向かいつつ、心の中でこう呟いた。
「・・・任務失敗だな、もう、公女エストを追う余裕はない。生き残る為に戦い、その間にレオクス殿下への言い訳でも考えさせてもらうか」と。

   Ⅱ

 チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえる、ある朝のこと。
 その豪奢な石造りの一室を照らす日の光は、角度を上げるごとに、やわらかさが眩しさへと変化し、そこに眠る愛らしい少女のまぶたを強く照らした。
 まぶたをこすりながら、ふわ~んという声を出して半身を起こすその少女は、新緑のように萌える、鮮やかな長い髪を持ち、その薄く開いた瞳は、日の光もあってか、とても澄んだ水色に見える。
 光に包まれた少女のその姿は神々しいまでに美しく、端整に整った顔立ちに、淡いピンクの唇が、よだれによって潤っていた。
 ・・・潤い過ぎていた。

  ジュルルルルーーッ!!

 顔に似合わず下品な音を立てて、少女はよだれをシルクの袖で拭き取ると、ぼーっとした表情で小さく可愛らしい置き時計に目をやった。
「じゅっ、十時半!? がはっ、寝過ごしたぁぁ!! つか、目覚ましなってねーーーっ」
 血相を変えて少女は天蓋付きのベットから飛び起きると、急いで身繕いを始めた。
 ・・・十分ほどかかりそうなので、その間に彼女の紹介等々をさせていただく。
 彼女の名は、エスト。二ヶ月前の「スレク公国の乱」で無事逃げ延び、南西の大国・ティヴァーテ剣王国に身を寄せる、元公女である。
「元を付けるなっ! 今でも公女殿下じゃわい!!」
 コホン、公女殿下である。
 ティヴァーテ剣王国は大陸でも一、二を争う強国で、その統治者・剣王バルマードは大陸最強を冠する無敵の戦士である。
 戦士の中で最上位を意味する『マスタークラス』の称号を持つ唯一の人間で、彼以外のマスタークラスは、全て人以外ということになる。
 つまりそれは、神界フォーリナの神々(セバリオス・ジラ・フェルツ)と、魔界ファールスの魔王ディナス、その魔王配下の四天王の三名(マベル・ホーネル・マイオスト)の名を指す。
 まあ、めちゃくちゃ強いのです。
「最後は、小学校の作文みたいなオチだな。まー、つええよ、バルマード様は。だから私はマクラを高くして眠れるのだよ、にしし・・・」
 ということで寝坊した公女殿下は置いといて、
「ああ、置いといてくれ。あたしゃ、身支度に忙しい。・・・まあ、しけた田舎の公国の姫で終わるより、都会でリッチでドデカい、このティヴァーテ剣王国に潜り込めただけでも、しめたもんって思っちゃいるがね。ビジョン(テレビ)なんて12チャンネルもあるのよ。ウチなんかたったの2チャンネルだったのに。しかも、スーパーハイパービジョンだし、飛び出せ! 立体映像だし・・・。3Dメガネすらいらないのよ」
 ブツブツと呟きながら忙しそうしている公女殿下は、ホントに横に置いておくとして、このティヴァーテ剣王国は、エグラート大陸全土を統べるノウエル帝とも親密な仲にあり、ノウエル帝は、ティヴァーテ・剣王バルマードの義理の父にあたる。
 次期皇帝は、このティヴァーテから輩出されるであろうと噂されるほどの、まさに超大国である。
 このティヴァーテの世継ぎでもあるウィルハルト王子は、次期皇帝候補の筆頭と言われ、また、抜群の容姿の持ち主でもあり、その姿は、絶世の美女とも見紛うばかりの美しさである。
 鮮やかな赤い薔薇色をした、艶のあるしなやかな長い髪と、魅惑的で吸い込まれそうな黒い瞳の持ち主で、性格はとても明るく、そして、万人に優しく、まさに非の打ち所のない人物である。
 時の皇帝にさえ、たった一人の孫娘を嫁がせたいと思わせるほど、ウィルハルトの王子っぷりは、まさにパーフェクトであり、どこぞの田舎公女が付け入り、玉の輿に乗ろうなど、もっての外の、論外である。
「クックックッ・・・たらし込んで、既成事実さえ作っちまえば、こっちのもんよっ!! メイクは毎朝一時間!! の精神でケバくならず、キュートで可愛い、おぼこ娘を演じきってみせるさぁ! まー、今朝は謁見まで時間ないんで、10分メイクでいくがね。王子が世間のイロハを色々わかっちまう前に、このエスト様ががっちりキャッチしてみせるぜ。うひょひょひょひょ」
 エストは鏡台で、もう一度、自分の姿をチェックする。
「さーて、準備も出来たし、いっちょ、顔でも出してくっかね」
 そう言って、顔をパンパンっと叩いて気合を入れたエストは、セレブなドレスに身を包み、颯爽と王子様の待つ王の間へと向かったのだった。
「毎日こつこつ1ポイントでも恋愛度を稼いでおかんとな、地味な積み重ねを三年もすれば、めでたく、ハッピーエンドってなもんさぁ!」

 謁見の間へと数分でたどり着いたエストは、玉座に鎮座する剣王バルマードへ向かって、深々と頭を垂れた。
「ご機嫌、麗しゅうございます、バルマード陛下」
 エストは、先ほどとはうって変わって気品ある態度で玉座の主に一礼した。
 玉座へとつながる赤い絨毯の脇に並び立つ重臣たちの顔も、猫かぶりの登場せいか幾分にこやかで、その先頭にいる完璧王子ウィルハルトも、エストと顔を合わすとニコリと微笑み返した。
 剣王バルマードは、黒く鋭い瞳に灰色の髪の人物で、立派な髭を蓄え、腰掛けた姿でもその背丈が190センチをゆうに超えるとわかる頑健な男である。
 いわば、ダンディズムとはこれであると、絵に描いたようなチョイ悪オヤジ風の風貌で、威厳も備えているが、やはり格好良いの方が先に立つ独身男である。
 早くに妻を亡くした彼は、それ以後妻をめとろうとはせず、一途に亡き妻を今でも想い続ける義に厚い男である。
 その生き方さえもサマになっているバルマードが、玉座から軽く身を乗り出すようにして、錆びの効いた声で、エストへと発した第一声はこうだった。
「うーん、エストちゃん、オジサン寂しかったよぉ。もっと早く顔を出してくれないとオジサンの一日は始まったって気がしないのよ。今日も相変わらずいい感じの美少女してるねぇ・・・。オジサンのこのドス黒いまなこも、エストちゃんのおかげで綺麗に洗われるって感じだよ」
「恐れ入ります、陛下。この様な小娘をかくまって頂き、日々感謝に絶えません」
 エストの言葉に、そんなの気にしちゃダメだよーっという素振りで、軽くウインクをするバルマード。
 実は、このバルマードは、かなり気さくな感じのするオッサンで、その寛容な性格で、猛者揃いのティヴァーテ家臣団を上手くまとめ上げている。
 非常に気の回る人物で、仮に彼が無敵の剣王でなかったとしても、彼のカリスマが今のように強固に家臣団を結束させていたに違いない。
 ティヴァーテ王室は、大陸でもトップクラスの権威と実力を備えているが、その中身が実にアットホームなのは、彼の存在抜きには語れないであろう。
 王子のウィルハルトは、その寛容な父の影響を受け、実に心優しく、芯の強い性格に育っており、国民人気も圧倒的である。
 美女顔負けの容姿に、まるで変声期を迎えていないような高く、柔らかい声色。
 寝巻き姿のウィルハルトなど見かけてしまうと、譜代の家臣でさえムラムラとしてしまいそうな、そんな究極の王子様なのです。身長は父親に比べると、頭一つ低いのもチャームポイントと言う事で。
 そのウィルハルトは、澄んだ柔らかな声でエストにこう話しかけた。
「ねえ、エスト。今日も剣術の稽古を付けて欲しいんだ。男がこんな可愛い女の子相手にそういうこと頼むのって、みっともないかもしれないけど」
 エストは、むしろ寝技を仕込んでやるわいッ! と口には出さず、上機嫌そうに、二つ返事でウィルハルトの申し出を承諾した。
「私も、ウィルハルト様との鍛錬はたのしゅうございます。こちらこそ、是非」
「うん、ありがとっ」
 エストはいい加減な性格をしているが、こうみえて実は戦士としての才覚に秀でた、バトルプリンセスなのである。
 彼女の戦士レベルは70以上で、これは各国の将軍でさえ簡単には手におえない次元の強さである。
 せっかく、容姿端麗、実力十分に生まれてきているのに、彼女の捻じ曲がった性格と根性が、それに水を差している。
 いいものは、持っているのに・・・。
「うるさいんじゃ、ボケ!!」
 エストの叫びに少し驚いたバルマードとウィルハルトらであったが、とっさにエストはその場を取り繕った。
「あはは、昨日見たビジョン番組をつい思い出してしまって。あんなに面白いお笑い番組、公国には無かったものでして、」
 と恥らうようにエストが言うと、場は一気に和やかな雰囲気になった。
 エストは白々しく横に目をやりながら小さい声でこう呟いた。
(貴様・・・ハメやがって。ボロ出たらしばくぞ、コラァ!!)
 決してハメてなどいない。
 ただ、常に墓穴だけは用意しておいてやるとだけ言っておこう。
(・・・落ちるのは私じゃない。私の覇道を邪魔する全ての女(敵)どもだよ・・・。くっくっくっ)
 エストがニシシとしたり笑いをする中、親族経営の会社の朝礼にも似た、緊張感の無いティヴァーテの午前の謁見は、何事もなく平穏無事に過ぎ去っていくのでありました。
 おわり。
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ダークフォース 第二章 I、II

2020年12月09日 22時55分06秒 | ダークフォース 第二章 前編
   Ⅰ

 フォルミ大公国が、スレク公国を滅亡せしめた『スレク公国の乱』からおよそ三ヶ月。
 季節は春から夏へと移り変わり、スカイブルーの頂点で輝く太陽が白く眩しい。草原の草木や森の木々たちも、強い日差し照らされ、その緑も鮮やかさが映える。
 この頃にもなると、各国のフォルミ大公国に対する不満は日々強まり、セバリオス法王国や、ガルトラントなどは痛烈にフォルミ非難を唱えていた。
 そんな渦中、真夏の輝きに煌びやかに照らされるフォルミ大公の館・アメジストガーデンに、一人の客人が訪れる。
 麻布の、さほど高価でもない外套に身を包み、身分を隠して大公に謁見を求めたのは、その場に居合わせたエリクやリシアには、まさに以外とも思える驚くべき人物であった。
 ティヴァーテ剣王国・国王、バルマード=マクスミルザーである。
 大公の間に、その大公レオクスの姿は未だ見られなかったが、ぼんやりと薄暗い室内、大公の椅子の正面に、向き合うように用意された豪奢な作りの椅子に、ゆっくりと腰を下ろした剣王は、気さくな笑みで二人に笑いかけた。
「こんにちは、お嬢さん方。かわいらしい方はリシア殿で、あと赤毛の美しいお嬢さんの、名前はわからないが、レベル95の戦士殿と見た。当たったかな? よろしく頼むね、ティヴァーテのバルマードと言います」
 気のいいオッサンといった感じのバルマードであったが、リシアも、そしてエリクも、背筋が凍りつくほどの恐怖感をこの男に覚えた。
 エリクに至っては隠していた戦士レベルをあっさりと見抜かれ、リシアもこの時初めてエリクのその戦士レベルを知った。
 剣王バルマードの戦士レベルは95と大陸に知られているが、二人は今、実際の剣王を目の当たりにする事で、確実にそれは誤りだと気付く。
 二人とも、身震いがして言葉さえ口に出来ない。
 剣王の機嫌を損ねた時、例え二人がかりで彼を相手にしたとしても、一瞬の内に倒されてしまうという、強烈なまでの威圧感が、彼からは感じ取れたからだ。
 人類最強にして、人類唯一のマスタークラス。
 彼のその称号が、紛れも無く本物であることを、二人は、まだ少しの本気すら出していないだろうバルマードに、感じさせられてしまう。
 剣王は、強い。それも圧倒的なまでに。
 二人を怖がらせたのを察したのか、バルマードは腰に帯びた剣を、金属製のベルトごと取り外してこう尋ねた。
「あの~、コレ、どっかに置いといてもらえるかな。見たところ使用人の姿もないみたいだし、何処においていいやらわからなくって。ゴメンね、まるでお姫様のような君たちに、こんな雑用みたいなこと言っちゃって」
「わ、私が、置かせていただきます!!」
 緊張してそう口走ったのは、より彼の身近にいたリシアの方だった。
 リシアは頭を低くしてバルマードの元に近づくと、彼から剣を受け取る。
「!?」
 リシアはその、ズシリとした剣の重量に驚きを隠せなかった。
 重い、とてつもなく重いのだ。
 アダマンタイト鋼の五倍、いや十倍以上重いと感じさせるその剣の重量は確実に1トンを超えている。リシアほどの戦士であれば、この剣をなんとか持つことは出来たが、この重さの剣を使いこなせる自信などない。
「あ、ごめん・・・、一言言えばよかったね。その剣、ちょっと重かったでしょ。一流の戦士の君に、ライトフォースを使っちゃって、軽量化させた剣なんかを渡したら、失礼かなとも思ってね」
 大地すら引き裂くであろうこの剣は、歴代の剣王たちによって極秘裏に受け継がれてきた名剣であり、その名を『剣皇剣、オメガ・レプリカ』という。
 オリジナルのオメガは、剣皇トレイメアスと共に姿を消しており、実質的にはこの剣こそ、真のオメガの名を冠するに相応しい程の名剣である。
 ただ、律儀なことにわざわざ「レプリカ」の名を継承し、剣皇の持つオリジナルと差別化するところが、剣王家らしいといえば、らしいと言えた。刀身はオリジナル同様、未知の金属、トレニチウム製であり、現在に至る数千年もの間、刃こぼれ一つしたこともない。
 リシアはそんな名剣とは露知らず、純粋に一戦士として、溢れんばかりの気品と、風格漂うこの剣の、そのさぞ美しいことであろう刀身の姿を、鞘から出してついつい拝みたくなってしまう。わざと転んで、うっかり抜いてしまおうかともリシアは考えた。
 ただ、それは武人であるバルマードを前にして、あまりにも非礼極まりない行為であり、その好奇心を必死に押さえつけるリシアであった。
 リシアのその顔を見れば、バルマードにもそれはわかる。
「あ、よかったらそれ、抜いてみてもいいよ。やっぱ、気になっちゃうよね、戦士としては」
 バルマードは屈託の無い笑顔で、青い瞳を輝かせる金髪の少女にそう言った。
 リシアは思わず、ブンブンと首を縦に振って見せた。まるで新しいオモチャを手にした子供のようだ。
「ほ、ほんとにいいんですか!?」
「ああ、いいよー。どうせ減るもんじゃないから」
 リシアはその有り難いお言葉に甘えて、名剣を抜いてみることにした。
 さすがにそれは、エリクにとっても相当羨ましい行為であったようで、エリクは少し歯痒そうにリシアの方を、薄目でじーっと見つめていた。
 言うなれば、勇者が初めて『伝説の剣』を手に入れて、それを初めて抜くその瞬間だ。
 リシアは、柄を掴んで思いっきり引っ張るが、簡単には抜けない。
 だが、リシアほどの戦士なら、時間さえかければ抜ける。
 ・・・カチッ、という音と共に、静かにその美しい刀身を現すオメガ・レプリカの姿に、リシアもエリクも、目を皿のように丸くして、その一瞬、一瞬を見つめていた。
 チャキーン、といい音をして鞘から抜けた刀身を、リシアはついつい天にかざしてしまう。
 気分はもう勇者気取りだ。
 かなり重いが、気合で我慢できる!
「き、綺麗・・・」
 エリクも思わずそう漏らしてしまうが、確かにオメガ・レプリカの刀身は、これまでに見た幾多の名剣のどれよりも、美しく気品に溢れ、そして気高い。
 形状は、日本刀のそれに近い片刃のサーベルで、ごく僅かに反っているという感じの、直刀に近いデザインだ。
 刀身自体は、流れる清水のように、美しい銀光を波紋状に反射しており、刀身の色は白金のようにも見えるし、角度によってはクリスタルのようにも見える。
 それはまさに、超一級の美術品とも言えた。
 その仕事の素晴らしさに、鑑定士でさえ開いた口が塞がらないほどだ。
 エリクが、指をくわえてその名剣に見とれていると、バルマードは優しくエリクに向かってこう言った。
「そちらのお嬢さんも、よかったらどうぞ」
「は、ハイッ!!」
 エリクの返事もまた、リシアのように子供のように快活である。
 オメガ・レプリカに吸い寄せられるようにエリクは近づくと、名剣に酔いしれるリシアに、早く貸しなさいよとエリクはねだる。
 リシアはもう少し待ってくださいというが、エリクはもう待ちきれない様子だ。
 先程まで、あれだけバルマードを警戒していた二人だったが、何やら、あっという間に打ち解けた感じで、自然とバルマードの方に笑みをこぼしていた。
 バルマードは、こうなる事を予想して、わざと剣を渡したのかも知れない。
 実はこう見えて、ヒゲ親父のバルマードは、割と気の利くオッサンだったりする。
 二人があれこれ言いながら、オモチャの取り合いを続けていると、バルマードはその光景を見ながら、穏やかな顔をして優しく笑っていた。
(なかなか、いい子たちじゃないか。・・・やはり、マイオストの言うように百聞は一見にしかず、だな。この子たちに、愛すべきエグラートの大地を汚すような真似が出来るハズもないじゃないか。エストちゃんの一件も、スレク公の側に非があるのは、間違いないようだし)
「オメガ・レプリカは、気に入ってもらえたようだね」
「!?」
 その名に二人は沈黙する。
 何故ならば、それは真に『伝説の剣』を冠するに相応しい剣の名であるからだ。
 世界には古より、三つの名剣の伝説がある。
 それは、覇王サードラルの愛剣『覇王剣カストラ』。
 そして、剣皇トレイメアスが所有する『剣皇剣オメガ』、『斬刀・第六天魔王』である。
 失われし三つの伝説の剣。その一つであるオメガと、まったく同じ完成度を誇る、オメガ・レプリカが今、二人のその手の中にあるのである。
 元は二刀流の戦士であったトレイメアスが、剣皇剣オメガを作成する過程で、その鋳造に不可欠とされた暗黒物質『ダーククリスタル』を彼が二個所有していた為、まったく同じ物をもう一本製作した事により、このオメガ・レプリカは存在する。
 本来、この剣は名を『オメガ、第二の剣』という。
 だが後に、トレイメアスが異界の神『六極神』、その第六位の神である『破王ザーベル』の剣、『斬刀・第六天魔王』を手にしたことで、トレイメアスはそれを手放し、それから『オメガ、第一の剣』と区別するように第二の剣は、「レプリカ」と呼ばれるようになった。
 つまり、正真正銘、本物の伝説の剣であり、その行方が永年不明とされてきた『剣皇剣オメガ、第二の剣』を、バルマードが人前で帯剣したのは、ノウエル帝以外では、これが二度目となる。
 その事からも、バルマードがフォルミに単身乗り込んできた事への覚悟の程が窺えた。
 オメガ・レプリカといえば、それがオメガの第二の剣であることなど、常に名剣との出会いを求める戦士たちにすれば、もはや常識であった。
 出会えたことが奇跡とも言えるその名剣に、二人のその浮かれっぷりが、いかに恐れ多いことであるかという事に、リシアとエリクが気付くのには、さほどの時は必要なかった。
 いきなり、オメガの名を知らされて、どうしていいやら困ってしまう二人。
 二人して、互いに顔を見つめ合うが、あたふたとするばかりである。
 このエグラート世界の主神である『セバリオス』ですら手にすることの出来なかった伝説の剣を、一体、何処に置いてよいものやら、やっぱり手放したくないやらで、言葉も動作もチグハグになっているリシアとエリク。
 そんな二人に向かって、バルマードは優しい目をしてこう言った。
「実は私もね、それを初めて父から譲り受けたときは、興奮で夜も眠れなかったよ。君たちのような強さと美しさを兼ね備えた戦士に気に入ってもらえたのなら、その剣もさぞ喜んでいるだろう。少しの間だが、可愛がってやってくれないかね」
「は、は、は、は、ハイッ!!」
 リシアとエリクはそのあまりの喜びから、ついつい、オメガ・レプリカに頬擦りしてしまう。
 高揚し、悦に入った二人の恍惚とした表情に、ついバルマードは心配そうにこう言った。
「け、怪我しないように、ネ」
 そんなバルマードの声も二人には聞こえていない様子で、片方がオメガ・レプリカを持ち、もう片方が斬られ役になって、「やられた~~!」 みたいな子供じみたやり取りを、次は私の番よと、二人は仲良く延々と繰り返している。
 微笑ましいやり取りではあるが、切れ味は世界最高級のオモチャなので、ちょっと不安になったりもする、バルマードであった。
 しばらくして、リシアは好奇心から、バルマードにこう尋ねる。
「バルマード様が使うと、このオメガはどの位の剣気を放つのですか?」
「ちょっと、よしなさいよリシアさん。失礼でしょ」
 エリクはそうリシアを諌めるが、内心、自分も興味津々であった。
「うーん、そうだねぇ。ちょうどいい事に、この部屋は剣気をある程度遮断出来る作りになってるみたいだし、外に与える影響も少なそうだから、見せてあげるよ。貸してごらん」
 バルマードはそう言って、すっと立ち上がると、二人に向かって右手を突き出した。リシアはそそくさとバルマードに近寄り、オメガ・レプリカを渡す。
「それじゃあ、ちょっと剣気を放ってみるから、二人ともシールドを忘れないようにね。調度品を壊さないように、そっちの方へは加減しないといけないな・・・。一応、気をつけてネ」
「はい!」
 元気の良い返事で、わくわくしながら両手を合わせてバルマードの方を見つめる二人。二人は戦士能力の防御シールドを最大に張って、その瞬間に備えた。
「準備はいいようだね、それじゃー、いくよぉ!」
 刹那! 大公の間の空気が一転する。
 それは、あまりに強大で、神の如き絶大な剣気。
 バルマードは、周囲の物質を破壊しないように、剣気を見事にコントロールしているが、そのレベルはリシアやエリクが、人を相手にして初めて感じるほどの、絶対的な力であり、また神秘的な美しさがあった。
 刀身は輝きを増し、室内を白く照らすオメガ・レプリカ。
 だが、そのオメガ・レプリカの中心には、相対するように形容し難き深き闇がある。
 その闇こそがダーククリスタルの煌めきであり、その漆黒の闇はリシアとエリクの心を吸い込んでしまいそうな位に、魅惑的で美しい。
 バルマードのこの瞬間の戦士レベルは明らかに95程度のものではない。
 リシアとエリクにはその強さは計り知れないが、偉大なるマスタークラスの実力に、二人は握り合う両手を震わせながら、深く感動していた。
 二人には、バルマードのその神々しい姿が、伝説の剣皇トレイメアスのようにも見えた。
 強い、それも桁違いの強さだが、それはとても美しく、気高い。
 この時、バルマードの力を戦士レベルに換算するならば、それはその限界値である100に達していた。
 まさに、人類最強の剣王の名に相応しい恐るべき強さである。
「さて、このくらいでいいかな?」
 感動で言葉が出ない二人が、うんうんと頷くと、バルマードはやんわりと剣気を落とし、オメガ・レプリカを鞘に収めた。
「す、すごかったです!!」
 そう素直に感想を述べるリシアだが、凄い以外の感想など、エリクにさえ思いつかなかった。
「そう言ってもらえると嬉しいな」
 にっこり微笑んでバルマードはそう言うと、二人のもとに歩み寄り、再度、オメガ・レプリカを手渡した。
 この時、リシアもエリクも、共に同じ事を思う。
 この無敵の剣王に師事することが出来たなら、それは戦士として最高の喜びであり、栄誉であろうか。
 今の自分たちの実力では、オメガ・レプリカを使うどころか、その重量に振り回されるのが関の山である。この無敵の剣王に剣技を学び、戦士として、己を高められたならば、どれほど幸せな事であろうと。
 純粋にそう想う二人だったが、他国の王にそれを乞うのは、さすがにはばかられた。
 二人はモジモジと、そう言いたげな瞳で訴えているが、心の中で「師匠!!」と叫ぶに留めておかねばと我慢する。
 これだけの実力差を見せておいて、その二人の心境がわからないほど鈍いバルマードでもなく、バルマードは二人に向かってこう言った。
「あー、えっとね、私でよければなんだけど、稽古相手になってあげるから。その、私が時間の空いてる時なら、いつでも言ってね」
「し、師匠ーーーッ!!」
 二人はオメガ・レプリカを恋人のように抱きしめながらそう絶叫した。
 バルマードは二人の熱烈感激ムードに、若干押され気味になったが、その姿を見ながら、ふと、昔の自分の姿を思い出していた。
(そういえば、私も彼に剣を習えるとなったその日は、こんな感じだったかも知れないなあ。今も元気にしておられるだろうか、・・・あ、いや、あの人に限って元気が無いなんて有り得ないか。帰ったら、お茶菓子くらい送っておこうかな)

   Ⅱ

 大公レオクスが、バルマードの待つ大公の間に現れたのは、日差しもやや西へと傾いた、そんな時刻であった。
 バルマード自らが申し込んだ会見とはいえ、彼ほどの人物をそれだけの長時間待たせることは、かなりの非礼である。
 かのノウエル帝ですら、彼をこれほど待たせたことは一度としてない。
 実を言うと、事前に少し遅れて入ってきて欲しいというバルマードの言葉を受けて、レオクスはこの時間になるまで入室を控えていた。
 室内は二人の娘の楽しげな笑い声で満たされており、リシアもエリクもバルマードとの会話に夢中で、レオクスが入室してきた事にも気付いていない。
 エリクはバルマードの肩を軽くポンッ、と叩いてこう言った。
「もう、バルマード様ったら、冗談言わないで下さいよっ」
「あはは、エリクちゃん。嘘じゃないからね、本当に君は、私の妻によく似ているんだ。だからオジサン、君とすっかり再婚したくなっちゃったよ。君が素直でいい子なのは、オジサンの経験が保証しちゃうよ。長年、師匠のヤマモト氏とおでん屋通いしていたオジサンの眼力は、もはやおでん屋のおやじ級と言っていい程に、鍛えられているからね。戦士レベルだって、ちょちょいと当てちゃうゾッ。ねえ、今度オジサンとデートしようよぅ。カラオケ歌って、おでん屋で一杯引っ掛けて、最後はスナック行って。ああ、でも、門限きついか。デートコースも超オッサンだし、やっぱ夜景の綺麗なクルーズとかがいいよね。ちょっと国家予算使って、豪華客船貸切って、川岸に盛大に花火でも上げちゃおうかな」
「クスクス・・・。でも、デートだなんて言ってくれたのって、私、バルマード様が初めてですよ。なんかちょっと、嬉しいですね」
 微笑むエリクにバルマードは、その灰色の髪を掻き揚げて、ニヒルな口元でこう返す。その錆声は、低音が効いていて渋い。
「君クラスの美女にもなると、男の方が物怖じして声かけにくいんだね、きっと。これで女の子に声をかけるのも、結構勇気のいるもので、撃沈確定っぽいとやっぱそういう事は言いにくいからねぇ。(ためぞう君辺りなら爆散覚悟で特攻してくるだろうけど、・・・まあ、やっぱり砕け散るよなぁ)」
 天下の剣王に褒められて、いい気分にならない女性などいるハズもない。
 エリクは「いえいえ」と謙遜しながらも、その頬を赤らめさせる。リシアすれば、自分も何か一つくらいそういう部分を褒められたいという願望に満ちた眼差しで、照れるエリクを見つめていた。
 すると間髪入れずに、バルマードはリシアの方を向いてこう言った。その仕草は実に自然で、それがまた、バルマードのダンディな部分を高めているといっていい。
「リシアちゃんも、うちのウィルハルトを紹介したくなるくらい、とても愛らしい、美少女してるねぇ」
「ほ、ほ、本当ですか!?」
 ウィルハルトの美形の超絶さは、大陸中に知れ渡っている。
 というより、リシアはウィルハルトの写真集を全部集めている程、彼のプリンスぶりには夢中である。リシアでなくとも、ウィルハルトの写真集の一冊くらいは誰でも持っているだろうと言い切れる程、エグラートの少女(心が少女な人たちも含む)たちにとって、それは必須のアイテムとも言えた。
 言われて気付くのもどうかと思うが、エリクもリシアも二人して、彼、バルマードがその大陸最高の王子様「ウィルハルト」のパパ上様である事実にハッとする。
 二人にそれを天然で忘れさせるバルマードのそのインパクトは、それだけ強烈でもあったのだが、彼と親しくなると、かの麗しのウィルハルト王子様ともお近付きになれるかも知れないという下心が、二人の心をキュンと萌えさせた。
 レオクスは遠巻きにその二人の姿を見つめていたが、見たこともない彼女たちの楽しそうなその表情にレオクスは心を和ませられた。
 バルマードはレオクスの存在には始めから気付いており、レオクスに向かって軽くウインクをした。
 レオクスは、自分には到底出来ないだろう、彼女たちのその心を柔らかに溶かすバルマードの言葉の一言一句に感心し、彼が自分に送れて来るように伝えた意味も理解出来た。
 レオクスは、その楽しげな二人とバルマードのやり取りをもう少し見ていたい気分になった。
 バルマードもそれを察してか、エリクとリシアの二人を、得意の話術で虜にする。
 もう、エリクもリシアも、彼を「偉大なる人類最強の剣王」としてなど見ていない。気さくで、とても感じの良いおじさんといった感じだ。
 暫く、バルマードは二人を色んな話題で魅了し、その距離を際限なく縮めさせた。
 異性というものを良く知らない純粋な彼女たちにとって、剣王バルマードは、あまりに人間味溢れ、実に魅力的な男性だったのだ。
 すっかりバルマードと仲良しさんになった二人の肩を、バルマードはその両手に抱き寄せると、その視線の先にいるビロードの外套の人物をしっかりとその黒い瞳で捉え、彼女たちにこう言った。
「さあ、君たち二人の事を、きっと世界の誰よりも愛してくれている彼の為に、気の利いた言葉の一つでもかけてあげなさいな」
 エリクもリシアも、その視線の先にいる人物に気付くと、一瞬で我に返り、レオクスの存在につい固まってしまう。
 バルマードはそんな二人の背中をポンッ、と軽く押し出してやると、二人は同じような格好でよろけて尻餅をつき、唖然とした顔で、アメジストガーデンの主の顔を見上げてしまう。
 そんな情けない姿の二人を見て、レオクスはビロードの外套のフードの下に見え隠れするその口元を、にわかに緩めさせた。
「フハハハハ、さすがは天下無敵の剣王殿だ。エリク殿もリシアも、そう気にすることはない。笑いたい時に笑い、泣きたいときに泣く、その自然さこそ、偽りなき人としての姿。だから、二人とも、そんな顔をしないでくれないか。心が豊かであることは、人として喜ばしい事と、私は思うよ」
 そう言ってレオクスは、真っ赤に赤面する二人に手を差し伸べ、その口元に笑みを浮かべさせる。
 恥ずかしそうに立ち上がる二人に、そのフードの下で満足そうな顔をしたレオクスは、バルマードの前に進み出て、一礼してこう言った。
「フォルミ大公国のレオクスです。お初にお目にかかります、ティヴァーテ剣王国・国主、バルマード殿」
 すると、突然、バルマードはそのレオクスの前で膝を折り、臣下の礼を取る。
 この剣王の行為にエリクとリシアの二人は驚きを隠せなかったが、次のバルマードの言葉は、その二人にさらに衝撃を走らせた。
「このバルマード、一戦士として貴方様に我が剣と命を捧げましょう。やはり、このバルマードの目に狂いはなかった。貴方様こそ、我が唯一の主にして、偉大なる覇王を継ぐ者。神聖ミストレウス帝国・第一皇子、レオクス=ミストレウス皇子殿下」
「バルマード殿、どうかお立ち下さい。貴殿ほどの英雄を得られるのも、我が父、覇王サードラルの威光あってのもの。この身には、未だ何の功績も有りませぬ。どうかこの至らぬ我が身を、その剣(オメガ)と剣王の武勇を以って支えていただきたい」
 バルマードは徐に立ち上がり、帯剣したそのオメガ・レプリカを抜くと、胸に垂直して剣を当て、剣王家の礼法に適った誓いの言葉を述べた。
「剣王家は代々、覇王を支える帝国の剣。このバルマード、我が剣にかけてその忠誠の証とさせていただく所存。レオクス皇子殿下には、存分にこの身をお使いいただければ、我が身の幸いと存じます」
「父に剣皇トレイメアス在らば、この身には剣王バルマード殿が在る。私は貴殿との出会いに感謝しなければならない。何故ならば、私は今、ようやく戦う為の剣(つるぎ)を得たのだから」
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ダークフォース 第三章 Ⅰ

2020年12月09日 22時53分37秒 | ダークフォース 第三章 前編
   Ⅰ

 この世界には、
 『魔王』と呼ばれる存在に、対なすように存在する者がいる。
 人々は、彼の事を人類の希望と呼び、過度の期待を込めてこう呼称する。

  『勇者・アレスティル』と。

 本人の意思など無視して、彼は勝手に英雄に祭り上げられ、そしてその行いは常に称えられた。
 彼はただ、自由に生きたかっただけなのに、人々の視線はそれを許しはしない。
 また、彼にはそれなりの実力もあった。
 アレスティルという名の青年は、ギーガと呼ばれる厄災にたった一人で立ち向かい、助けを乞う人々の為に、手にしたその剣を振るう。
 彼の所持する剣は、名を『聖王剣・エルザード』という。
 その鞘は未知の宝飾で彩られており、それは見る者の誰をも魅了するほどの細工で、その片刃の刀身は、氷よりも冷たく青い光を湛えており、不思議なことにアレスティル以外には、その剣を抜くことは出来ない。
 まさに、『聖剣』と呼ぶに相応しい剣だ。
 だが、その聖剣を手にしていたおかげで、いつの間にか彼の勇名は高まっていき、それにつれて周囲の期待もますます高まっていった。
 アレスティルは正直、この剣のことを疎ましく思ってもいたが、何故かそれを手放すことが躊躇われた。
 こうして聖剣と共に戦いの日々に明け暮れていたアレスティルだったが、人々から頼られては感謝され、そして事が過ぎて平穏が戻ると人々から、アレスティルの存在は忘れ去られ、また困ったときは、思い出したかのように神頼みされてしまうという事を、ごく最近まで繰り返していた。
 アレスティルは人々が言うように、自分がもしこの世界を救えたなら、その時、おそらく自分は不要になるであろうし、また救済した後も新たに起こり得るであろう厄介ごとに巻き込まれていくのだろうな。と思いつつも、その身を常に危険に晒しながら、人々の期待に応える働きをしていた。
 彼自身のことを少し語ると、彼、アレスティルは、色白の金髪碧眼の美男子で、線が細く、長身である。
 ただ、本人は口下手なだけなのだが、その印象はとてもクールで、まるで絵に描いたような美しい勇者像をしている。腰に帯びた聖剣もそれに華を沿え、その存在感は他を圧倒する。
 根が純朴はわりに頭は切れるので、人々の善意も悪意も感じ取った上で、利用されるがまま、ギーガを討伐してきた。
 その名声を高めるにつれ、自然と誰も見たことのない高みを目指させられている自分の背中に気付くアレスティル。それは、彼をさらに辛い戦いへと追い込む試練でもある。
 その時、彼はこう自分に言い聞かせて、自身を納得させていた。
「能力があるのならば、行使すべきである。それが良い結果をもたらしているのであれば、私の行動にも意味があるというもの」、と。
 アレスティルは孤独だった。
 彼には過去の記憶というものがほとんどない。
 気が付いた時には、彼のその手には聖剣があり、どうしてもそれ以前の過去が思い出せないのだ。
 外見もその時からほとんど変わってはいない。五年は経つというのに、外見は16~7歳のままだ。
 アレスティルは何かの呪いでも受けているのだろうと、その事を深く考えもしていなかったが、それよりも悲しいことは、思い出せる人というものが、頭の中に誰一人としていないという事だった。
 私は一体、誰の為に、戦っているのだろう。
 アレスティルは、そんな弱気になる自分の心に言い訳をしては、変わらない日々をただ繰り返していた。
 そう、・・・あの日までは。

 アレスティルがティヴァーテ剣王国を抜け、その北西に位置するセバリオス法王国の領内に入った時、アレスティルは「彼女」と出会った。
 どの国にも同じようなことが言えるのだが、国境付近ともなると都から離れている為に、守備軍の数も少なく、防備は手薄である。
 ノウエル帝の名の下、各国は帝国という形でまとまっている為、逆にその辺りへの軍備の増強は、隣接する国といらぬ緊張を高めることにもなる。
 よって、仮に人の暮す集落にギーガが現れても、その規模によって見捨てられることも決して珍しくはない。
 どの国々も戦力は有限で、まして数人から多くて十数人という小さな生存圏を守る為に、貴重な高レベル戦士や数百、数千の軍隊を、多大なる犠牲を覚悟してまで派遣しようなどとは思わないし、そんなことは第一、都に住む数百万の人々が自分たちの身を守ることを優先して、許さないだろう。派遣しただけ中央は脆くなるのだから。
 実際に、正義感を振り回してギーガ駆除に総動員をかけた国家が、瞬く間にその兵数を打ち減らされ、滅びた例もある。
 大陸最強の名を冠するティヴァーテ剣王国や、それに並び立つ北東の軍事国家・レムローズ王国は、戦士数も兵力も充実している為、独自の対応策でそれに当たっているが、各国がかの大国らのように有り余る兵力を有しているわけではない。
 アレスティルにとって、辺境で人々がギーガの被害にあっているのを目撃するのは、そう珍しいことでもなかったし、むしろ、その性格上、救済を求める人々の方へと吸い寄せられているようなアレスティルであった。
 独自で高い防衛力を誇る都になど彼は興味はなかったし、大勢の人々から英雄様や勇者様だと煽てられて、お守り代わりに長期に渡る滞在を求められるのもあまり好きではなかった。
 故にアレスティルは、こうして流浪の旅を続けながら、水と食料を分けてもらう為に、しばしば人の暮らす集落を訪れていた。
 そして、僅か数件の民家の立つその荒野で、アレスティルは目を疑うような光景に出くわした。
 少女が、・・・たった一人のプリエステス(女僧侶)が、一個大隊をも潰滅させるほどに強力なギーガを複数相手に戦っていた。
 人々を守るようにして、自らを盾としてギーガの強撃を防ぎ、手にしたメイスで襲い掛かるギーガどもを振り払う。
 基本、ギーガは黒い塊のような不安定な存在だが、彼女が相手にしているそれは、獣や人型に近いシルエットをしている。それだけの形状を維持出来ているというだけでも、アレスティルは過去の戦闘経験から、いかにそれらが強敵であるかということを容易に見て取れた。
 アレスティルが聖剣の柄に手をかけ、抜刀の姿勢を見せると、それに気付いた少女はアレスティルに向かって、こう言った。
「お心遣い、感謝します。私は大丈夫です、それよりみなさんを安全な場所に。そして、あなたも早くこの場から離れて下さい。・・・誰も守れなくては、この力に意味はないのですから」
 その言葉に、アレスティルはその蒼い瞳を大きく見開き、言葉を無くした。
 彼女は『戦士』だ。
 それも、とても気高い心を持った。
 アレスティルは迷った。
 彼女の為に、戦いたい。
 しかし、それは彼女の意思に、戦士としての誇りに反することになる。
 アレスティルは、生まれて初めて、自分を守ると言われたことに手が震えた。
 こちらを見て微笑む彼女に、初めて人の温度を感じさせられたような、そんな瞬間だった。
 傷だらけになりながらも、法衣を纏うその栗色の髪をした天使は、微笑みを見せてくれている。
 きっと、いまこの瞬間も、苦しいに違いない。何度となく死線を潜り抜けてきたアレスティルには、それがわかる。
 アレスティルは冷静に周囲を見回すと、生まれて初めて目にする悪魔との戦いに、震えて身動きすら出来ない人々に向かって、
「さっさと立ち上がれッ!! 生き残りたければ自分の足で逃げろ!!!」
 と、声を荒げる。
 住民たちはアレスティルの大声に、まるで悪夢から覚めたかのように我に返り、子供たちを抱えて、小道を奥へと逃げ出していった。
 アレスティルは全員が見えない距離へと逃げ切るまで、その場でじっと立っていた。
 その立ち姿は威風堂々としており、人々はそのアレスティルの姿に、助かる希望を見出した。
 アレスティルとしては、別にそういう意味で立っていたわけではなく、ただ彼女が危機に陥る事があるようなら、有無を言わさずギーガどもをなぎ払うつもりでいた。
 そのつもりでアレスティルは、一閃でケリを着けられる間合いにギーガどもを捉えていた。
 アレスティルはこの時すでに、聖剣へと静かなる錬気を始めており、抜刀と同時にその奥義によって敵を殲滅出来るように、静寂にも似た沈黙を保っていた。
 その姿を見て彼女は言う。
「あなたも、どうか早く」、と。
 死闘を演じる彼女には、アレスティルの姿がぼやけて見えている。
 彼女はアレスティルにさえ、ギーガどもの攻撃の余波が届かぬように、背面にライトフォースの盾を形成していた。これは彼女にとっては、かなり不利な条件である。
 アレスティルがその場に留まれば、彼女は全力でギーガにあたることは出来ない。
 しかも、彼女は僅かにだが押され始めている。住民たちを長時間にわたって守り続けていたしわ寄せだ。
 アレスティルに、彼女のその守りの壁は、あまりにも心地が良すぎた。
 まるでそう、天使の羽にでも包まれているかのように。
 彼女が次の言葉を言いかけた、その刹那。
 アレスティルは道理ではなく、心で動いた!!

 アレスティルの碧眼に、銀光が流れる・・・。
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はじめに。 「ためぞう の ぼうけん。」

2020年12月09日 22時44分52秒 | -ためぞう の ぼうけん。- (仮)
 ためぞうの冒険は、


 主人公(仮)

 「山本 貯蔵(ためぞう)」君の、


 何気ない日常を、


 大した起伏もなく、

 特に、冒険することもなく、

 ゆるめに描く、物語です。



 ・ これまでのためぞうさんの足跡。


   - 特に変化はありません。 -



 ・ 本作品は、フィクションですので、

   いい事あっても、それは架空のお話になります。


   - いい夢、見れるといいですネ。 -



ためぞう「夢オチなのか・・・。


     嗚呼、『夢』でもいい。

     いい想い出をこの胸に抱いて、


     ささやかにでも、きらめいていたい。」



 2015年度が始まりましたので、

 新たに、学園生活のスタートです。


 今ならなんと、

 冒険、90%OFFのプライスです!


ためぞう「・・・わかっている、

     結局オレは、

     旅立てはしないだろう。


     それでもいい。


     ためぞうなりの、小さなラッキーを、

     こつこつと貯めていければと思います。」



 それでは、

  『三年T組 ためぞう先生。』

            スタートです。



ためぞう「オレ、卒業しちゃってるの!?」


 → おっと、ためぞうの知力では、卒業出来ないッ! (知力 3)


 私立 聖クラウス学園の

 どこかのクラスからのスタートになります。


ためぞう「ふぅ~、助かった。


     どうやってその学力で、

     入学出来たかは不明だが、


     ささいな事を気にしては、

     今のためぞうは、

     本当の『冒険』に旅立ちそうなので、


     なるだけワナっぽいのは、スルーしよう。」


 ためぞうさんは、

 立派に成長しています。


 冒険者としてのLVも

 『93』(最大は、LV99になります。)と

 とても高いので、


 いつ、冒険に出しても、

 そこそこの成果は、挙げてくれるでしょう。


 そこで本年度、一回目の選択肢です。


 ・ 軽く、冒険してみませんか? (経験値は、入りません。)



   → はい。


     オーケー。


     いつでも行けるゼッ!



ためぞう「・・・行くしかないだろう。


     オレはまだ、

     選択できる立場にはない。


     よろしくお願いします。」



 → ためぞうさんに『冒険 90%OFF』の効果!


   さすがに、

   簡単には『冒険 10%』は引けないッ!!



ためぞう「なら、

     選択肢とか出すなYO!」


 てへっ・・・。


 以上、解説の

  聖クラウス学園、

   生徒会長のアリス=クラウスでした。



ためぞう「会長さんでございましたか!?


     これからも、

     お引き立てのほど、

     よろしくお願い致します!」


 ためぞうの前に、

 絵に描いたような、金髪の美少女さんが現れました。


 髪とかふわふわで、なんだか癒されますね。


アリス会長さん「がんばって下さいね。」


ためぞう「はい、頑張りますッ!!」




   ◇ 現在の ためぞう のデータ。



       冒険LV 93。 < スーパー冒険者。 >



       長崎ドラゴンタウンに暮らす、自称 16才。

       美人のお姉さん(23)の家に、下宿中。


       学園生活を送りつつ、

       バイトに励んでいる。


       近年、丸くなったとのウワサ。
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