老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

路端に転がる石

2022-02-19 14:07:03 | 介護の深淵


石のぬくもり 

介護ベッドの上で
寝返りすることもできず
ジッと天井を見つめたまま

長い一日を過ごす苦痛
屈伸することもできず
左右の手足は「く」の字に拘縮したまま

硬くなってしまった老人の躰は
石のように冷たい

辛夷(こぶし)に映る 握りしめた指をひと指ひと指解し
空に向って開いた手を握り返す
微かにぬくもりが伝わりはじめてくる


路傍の石はジッとしたまま
何処へも行くことができず
地べたにへばりついたまま

石の表面は
青空を見つめ
太陽に照らされ
ぬくもりの石になる

石の裏面は地べたに引っ付き冷たいが
表面からやさしいぬくもりが
じわっとつたわり
ぬくもりの石になる



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5 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-02-22 16:36:40
生きるということはーーー
 生かされているということではないでしょうか。
 では、自分は と問うてみてください?
きっと神様は まだ生きることを 何かを
 させてくれるはずです。
いま、このブルグを ずっと 続けよ
  かもしれませんね。
 ブログの内容は 何時も素晴らしく読ませていただいています。
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Unknown (星光輝)
2022-02-23 07:51:58
おはようございます
人間は(自分も含めて)
ひとりでは生きていけない。
誰かに生かされながら生きている。
その中に生きる意味があるのですね。

いまはブログ続いていますが
ときどき悪い癖で中断してきたことがあった。
何のためにブログを書いたり見たりするか。
危い人間の存在
老い病み死が迫ってくると
余計に存在が危ういものになってきます。
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Unknown (kame3957)
2022-03-31 00:00:06
いつもブログを拝見させていただいてます。まるで母の状態そのものです。
動かない体はとても冷たく氷のようです。
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Unknown (kame3957)
2022-03-31 00:36:58
すみません途中で‥

石のような体でも、それでもまだ呼吸は正しく動いています。上を見ているだけでテレビの音だけ静かに流れている。
その小さな世界だけなのに、一生懸命に頑張っている。その姿を思うだけで涙が出ます。自分もそれだけ歳を取ったのです。
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おはようございます (星光輝)
2022-03-31 04:42:17
kame sama

コメントありがとうございます
老い病みジッと生きておられるお母様の介護
本当にお疲れ様です。
老いた母を通し、自分も老いを感じます。

寝たきりになっても
懸命に必死に生きている姿に
泪が滲みます。
その泪は辛さであったり
勇気づけられこともあります。

こうしていま、生きておられることに
生の営みを感じます。

静かに生きる、それもありです。
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