図書館で、愛蔵版『あさきゆめみし』を発見し、
何故か最終巻から遡って再読してしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/3b/89a3137238aa32d82454ca39debe85b5.jpg)
紫の上を失い悲嘆に暮れる源氏→女三宮を娶り、嘆き悲しむ紫の上→
風流貴公子ぶりに素直に嫉妬する紫の上
結末からの逆読みはほぼ初めてですが
「後悔するんだから、やめておけばいいのに」
と違う意味で源氏に苛立つやら、もの悲しくなるやら…
なかなか興深いものがありました。
さて、10年以上前に某サイトで「源氏物語で最も幸せな女性は?」
というお題を出されたことがあります。
「幸せ」の定義にまず頭を捻りました。
平安時代の常識で考えるか、
自分の憧憬に当てはめるか、
みな薄幸だから、敢て消去法ではかるか――。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/61/f7ddcef163ca9a6cff68d87250131896.jpg)
私は「自分がもし『あさきゆめみし』の女人になるなら誰にする?」
と改題し、結果花散里を選びました。
決して美人でも目立つ女性でもないけど、人柄が優しく敵を作らない。
夫(源氏)との距離も、ほどほど。紫の上とも仲良し。
手先が器用で、趣味も悪くない。
育ての息子(夕霧)との母子関係も良好。
そして執着心が少なく、いつも微笑んでいる。
これが重要です。
源氏にかかわる女性は、概ね憂き目に遭遇し、よく落涙していますが、
この花散里が涙を見せたのは(あさきにおいては)
源氏が須磨に流されたときだけ、だったと思います。
執着心と矜持の高さでは、六条御息所が筆頭にあがりますが、
読み返すと紫の上も伯仲ではないでしょうか。
源氏の愛が薄くなったとしても、彼は情をかけた女を見捨てることはない。
明石女御や秋好中宮、その他大勢に慕われ、また比類なき才能に恵まれながら、
「源氏の最愛の人」であることが、唯一の支えだったのが非常に残念で…。
他の女人たちがあっさり現世を捨てることができても、
彼女だけは出家を最後まで許されず、
何一つ、思うままにならずに身罷った紫の上。
不足なき容貌、性質、才能を天から受けた反面、
これほどの悲運もあるまい、という状況を己の心から作り出した女性ゆえ、
紫の上は大好きですが、ああいう生き方はしたくないなとも感じるのです。
…だいたい、源氏の最愛の人は「源氏本人」だと思いますし。
藤壺よりも、紫よりも、自分好き~!なオトコですよ、あれは。
そういう男であれば、花散里くらいの距離感が一番楽で、
疲れないだろう…としみじみ思いますね。
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紫の上を失い悲嘆に暮れる源氏→女三宮を娶り、嘆き悲しむ紫の上→
風流貴公子ぶりに素直に嫉妬する紫の上
結末からの逆読みはほぼ初めてですが
「後悔するんだから、やめておけばいいのに」
と違う意味で源氏に苛立つやら、もの悲しくなるやら…
なかなか興深いものがありました。
さて、10年以上前に某サイトで「源氏物語で最も幸せな女性は?」
というお題を出されたことがあります。
「幸せ」の定義にまず頭を捻りました。
平安時代の常識で考えるか、
自分の憧憬に当てはめるか、
みな薄幸だから、敢て消去法ではかるか――。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/61/f7ddcef163ca9a6cff68d87250131896.jpg)
私は「自分がもし『あさきゆめみし』の女人になるなら誰にする?」
と改題し、結果花散里を選びました。
決して美人でも目立つ女性でもないけど、人柄が優しく敵を作らない。
夫(源氏)との距離も、ほどほど。紫の上とも仲良し。
手先が器用で、趣味も悪くない。
育ての息子(夕霧)との母子関係も良好。
そして執着心が少なく、いつも微笑んでいる。
これが重要です。
源氏にかかわる女性は、概ね憂き目に遭遇し、よく落涙していますが、
この花散里が涙を見せたのは(あさきにおいては)
源氏が須磨に流されたときだけ、だったと思います。
執着心と矜持の高さでは、六条御息所が筆頭にあがりますが、
読み返すと紫の上も伯仲ではないでしょうか。
源氏の愛が薄くなったとしても、彼は情をかけた女を見捨てることはない。
明石女御や秋好中宮、その他大勢に慕われ、また比類なき才能に恵まれながら、
「源氏の最愛の人」であることが、唯一の支えだったのが非常に残念で…。
他の女人たちがあっさり現世を捨てることができても、
彼女だけは出家を最後まで許されず、
何一つ、思うままにならずに身罷った紫の上。
不足なき容貌、性質、才能を天から受けた反面、
これほどの悲運もあるまい、という状況を己の心から作り出した女性ゆえ、
紫の上は大好きですが、ああいう生き方はしたくないなとも感じるのです。
…だいたい、源氏の最愛の人は「源氏本人」だと思いますし。
藤壺よりも、紫よりも、自分好き~!なオトコですよ、あれは。
そういう男であれば、花散里くらいの距離感が一番楽で、
疲れないだろう…としみじみ思いますね。
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