よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

私が子どもをもたない理由

2018年06月17日 | 読書
下重暁子さんの『私が子どもをもたない理由』『家族という病2』読了。

下重さんは他者に「子どもをもつな」と言っているわけでなく
価値観を押し付けることに警鐘を鳴らしている。

家を持とうと持つまいと
家族を持とうと持つまいと
車を持とうと持つまいと
煙草を吸おうと吸うまいと
貯金をしようとすまいと
就職しようとすまいと
ヘテロであろうとLGBTであろうと
(以下略)

他人に被害や迷惑がかかることならともかく
本人が自分の意志でやることに
容喙の余地はないはずだ。

「子どもがいなければ国が亡ぶから身勝手」というひとほど
実は全体のことなど平生考えていないものだ。

人類の存続という大きな括りで考えるなら
バースコントロールは人の意志よりも、
自然のままに任せた方が結局うまく行くものだ。

生存競争の激しい自然界での生き物は多産であり、多死である。
動物園の規則正しい生活をしている動物は、概ね生殖率が低い。
繁殖が過ぎないように、生態系が構築されているのだ。

全体論でいえば、少子というのはデメリットばかりではない。


そういう想定でモノを考えるなら、個人の意思で生きたからと言って
責められるいわれもないだろう。

究極、人間は自分が一番可愛いものなのだ。
愛する子のために死ねるといっても、子の死を見るより、
自分が身代わりになったほうが安寧という心理がある。

手前勝手に生きることを賛美しないが、
「国家のため」の滅私はもっと奇妙なことに思われる。

「子どもをもたない理由」を明言しなければならないほど
閉塞感があるのだろう。


私は日本という国を愛しているが、付和雷同の圧というものに
たびたび生きづらさを感じることがあり、やはり「個」が尊重される日は
まだまだ遠いのだろうか、と感じている。



佐藤愛子さんの『冥土のお客』も読了