元さんの日々是好日

日々感じたことを徒然なるままに。

福島で考えたこと その2

2018-01-14 20:25:17 | 日記・エッセイ・コラム
福島に滞在していた3日間は猛烈な吹雪だった。雪が小止みになった頃合いを見計らって雪景色を撮りに出かけた時のこと。知り合いのペンション近くの坂道を上っていると、前方にトラックが見えたので脇によって停車したが、坂の上で停車した運転手が手招きして「先に上がってこい」の合図があった。雪の坂道で再発進するときのセオリー通り、アクセルをゆっくり踏み込んだが車輪が空転して進まない。何度かアクセルを踏むうちに完全に道をふさいだ格好のまま動けなくなった。 
坂の上のトラックはクロネコヤマトの配送車、時間で配達しているので通れなくしては気の毒だ。焦れば焦るほどうずたかく積まれた道の両側の雪に嵌まっていく。暫くすると小さな麻布を持ってヤマトのドライバーが近づき、駆動輪にかませてハンドルを右に左にと色々指図してくれて、挙句には運転席に乗り込み脱出を試みてくれた。やがて次々に後続車が現れて、スコップをもって近づいてくる男性や、毛布を抱えてくるご婦人がいた。幸い大きな毛布を駆動輪の下に敷いてくれたお陰で難なく脱出に成功した。
 クロネコのドライバーを除いて全て地元の人たちだったが、お世話になった一人一人にお礼を言おうと思ったが、「この坂道はこの辺りで一番危険な箇所だから、これから気を付けてね」「お互い様だから」とさっさと行ってしまった。
 よく見ると薄く積もった雪の下は二本足で立つのも大変なテカテカのアイスバーンで、手伝ってくれる人たちは何度も転びながら作業していた。
 宿に戻り事の顛末を話すと、この村では当たり前のことだからとにべもない返事だ。
しかし、お互い様だからと言って困っている人の手助けが自分にできるだろうかと考えてしまった。この集落の小さなコミュニティーに、素敵な「お互い様」が残っている。この日は寝るまで幸せな気分になっていた。
 今日も寒かったので久し振りにミネストローネを作ったが、料理教室のレシピを見ながら大変美味しく出来た。まだ忘れていない。
 写真は雪国から帰る日、ようやく晴れた日の朝に出会ったコゲラ。



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