はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1001 ~ 名探偵コナン 緋色の弾丸

2021-04-18 | 映画評
今回は「名探偵コナン 緋色の弾丸」を見ました。

青山剛昌の人気漫画を原作にしたアニメの劇場版シリーズ第24弾。世界最大のスポーツ祭典が開催される直前に起きた拉致事件にコナンが挑む。前作『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』の監督である永岡智佳が本作も続投。高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一らおなじみの面々がボイスキャストを務める。


<ストーリー>
4年に1度開催されるスポーツの祭典、WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)の東京大会の開会式に併せて、最高時速1,000キロメートルという世界初の真空超電導リニアが開通することが発表される。世界から注目される中、WSGの大会スポンサーが集うパーティー会場から大企業のトップたちが誘拐されてしまう。コナンが解決に向けて動き出し、やがてアメリカのボストンで15年前に起きたWSG連続拉致事件との関連性を見いだす


映画版の「名探偵コナン」は、推理の部分をほとんど省いて、ただただスケールだけで見せているものが大半だけど、今回もまさにそれだった。

ネットでの評判も、あまり高くはないが、その理由は「赤井家の活躍が少ない」というものが多い。

確かに予告編では、コナンと赤井秀一とのやり取りがクローズアップされていて、赤井秀一の活躍がメインのような宣伝をしていたが、実際には赤井秀一自身もそうだけど、赤井一家はチョイ役であるどころか、親子・兄弟にもかかわらず、なぜバトルなんかしたりする。

「何で?」というシーンだったけど、たぶん原作ではそのあたりの説明があるんだろうが、いずれにしても、赤井秀一はたった一発ライフル射撃をするだけだ。

しかも、時速約1000kmで走行しているリニアモーターカーの背後から車両の前方にいるターゲットを撃つ、というかなりムチャクチャな狙撃だ。

時速1000kmだと、かなり概算だけど3秒間で約1km走ることになるが、一方で赤井が構えてからコナンの「お願いします」という指示が出るまでに、数十秒かかっているはずだから、その間かなり走行しているはずだ。(30秒で10km!)

そこをライフルで時速約1500kmの弾丸を放ったとしても・・・

ゴルゴ13でも、まず引き受けない依頼だろう。

でも、ツッコミどころは、実はそこではない。

はっきり言って赤井一家とのやり取りなんかどうでもいいくらい、ヒドい内容だった!

冒頭で、ガキども(少年探偵団)が大活躍(?)するシーンは、ネットでも「もう、いいかげんにしてほしい」というくらいくだらなかったが、それさえもたいしたことがない。

最終的に、犯人は二人組なんだけど、それが判明する以前に「はあ?」と思うことと、判明した後、あらためて「はあ~???」と思うことがある。

しかも、かなり致命的な欠陥だと思う。

まず判明する前、つまり現在進行形で「おかしい!」と思ったこと。

当初選ばれた人だけを乗せて記念走行をするはずだったリニアモーターカーだが、その直前に犯人が起こした事故によって、無人で走行することとなった。

しかし、そこに「拉致された要人」がリニアモーターカー内にいると判断したコナンたちが、リニアモーターカーに乗り込むのだけど・・・

無人走行すると言っても、まわりに誰もいないわけではない。

観客もいるし、そもそも一般の在来線でも、走行直前には駅員がちゃんと安全を確認しているはず。

そんな中、花火で皆の目をごまかして車内に乗り込む、というのだけど、コナンが乗り込む以前に扉が開きっぱなしだった。

何で?

しかも、発車直前に扉が閉まるのだけど、最初から閉めておくべきじゃないの?

何のために開けていたの?

この場面を含めて、このリニアモーターカーは危機管理が杜撰すぎる。

犯人の操作によって、終点に到着する直前にブレーキが効かなくなり暴走するのだけど、それに対してまったく何もできないのだから、最新鋭の技術が呆れる。

いろんな安全対策は当然用意されているはずなのに、本作では「この犯人がシステムの責任者だから、すべてを自由に操ることができる」という想定になっているようだが、システムを構築するのに、たった一人だけでできるはずがないし、そもそもさせるはずがない。

コナンを活躍させるためとは言え、こんなあり得ない設定にしたのは、いったいなぜ?

そのコナンも、最後は阿笠博士が発明した超特大サッカーボールでリニアモーターカーを止めようとする(これもムチャクチャだ!)だけど、それにもかかわらず、最後は駅に激突し、脱線・落下して大きなスタジアム内に落ちる。

乗っていたコナンを含めた4人の運命はどうなる?

最低でも重傷、普通でも死亡のはずなのに、何と全員軽傷だった!

まるで「シートベルトをしていたから大丈夫だったよ」みたいな展開には唖然とした。

確かに、日航ジャンボ機が墜落した際に、奇跡的に数名生生存していたが、あれこそ「奇跡」というべきものであって、助かる見込みはほとんどないはず。

どうして、あんなムチャクチャな展開にしたんだろう。

駅の直前でギリギリストップして、脱線したものの何とか止まった!という展開にすれば、まだよかったのに。

以上が、犯人発覚前に感じた違和感というか、「何だ、これは?」というシーン。

しかし、最後に犯人が判明し、しかもエンジニアとイベントの進行役の二人とわかってから、まず思ったこと。

「ん?このお姉ちゃん(イベントの進行役である女性)は、復讐を果たすために元FBI長官を殺害しようとしている、と言っているけど、お前のお父ちゃんは冤罪ではなく、実は犯人だっただけでなく、お前も共犯者じゃん!」

つまり、この犯人(?)は、コナンや元FBI長官に対して、ではなく観客に対してウソをついていたわけだ。

推理小説の中では、よく「叙述トリック」というものがあるが、これは明らかにミスリードというか、そもそも意味のない(してはいけない?)やり取りじゃないの?

この犯人が元FBI長官に対して復讐心なんかあるはずがない。

むしろ、被害者支援対策(この場合は加害者だけど)によって、名前を変えて日本で何不自由なく暮らすことができたのは、FBIの配慮があったからなので、感謝こそすれ怒りを覚える理由はないはず。

このバカな犯人は、いったい何を考えているの?

というか、作者・監督はいったい何を考えて、こういう展開にしたの?

でも、もっとも「はあ?」と思ったのは、ここではない。

かなり遡ることになるが、最初の方で、リニアモーターカーの披露パーティーの席で、蘭のお友達である鈴木園子の父親・鈴木財閥の会長が、パーティー会場で拉致されるシーンがある。

これも、犯人のうちの男の方がやったことになっているが、ここの犯行がムチャクチャだ。

拉致方法は、会場を突如停電状態にして、そのスキに鈴木会長をスタンガンで気絶させ、配膳のためのワゴンに隠して運び出した、というのが真相だけど・・・

こんなことは、ゼッタイにあり得ない犯行だ。

まず、鈴木会長が拉致されたのは、食事を乗せたワゴンが立ち並んでいる場所ではなく、会場の中央あたりだった。

停電状態にした時に、鈴木会長の位置を特定するのが、まず難しい。

まあ、これはできないことではないと思うが、その後の犯行はまず不可能だ。

人が密集している中で、スタンガンなんか使ったら、音はするわ、電光が見えるわ、人が倒れる音はするわ、人が倒れ込んでくるわで、間違いなく誰か(少なくとも複数)が気が付くはず。

しかし、実際に気が付いたのは、少し離れていたコナンだけだった!?

周りでは、だ~れも騒いでいない。

あり得ない! ゼッタイにあり得ないだろう。

密集の中にす~っと入っていって、会長を気絶させてワゴンに押し込んで、それを密集の中をかき分けて外に出る、なんてことは、どう考えても実行不可能だ。

こんなプロットを考えたヤツは、頭がおかしいのか。

それとも、「どうせバカな観客にはわかりゃしない」と高を括っていたのだろうか。

いずれにしても、どうしたらこんなトリック(?)が思いつけるのか理解できない。

犯人がこの拉致行為をしたわけは、過去にアメリカで実際に同様の事件があったというのが理由なんだけど、そういう展開にするために、トリックなんかまったく無視して、いいかげんに結果だけを描写したという、この映画の製作者には怒りさえ沸いてくる。

おそらく、「犯人が暴かれ、真相が明らかになった時点で、「観客なんて、最初の方で描かれているシーンなんか、ほとんど覚えてねえよ」とでも思っていたのだろうか。

いずれにしても、犯人が明らかになり、それがたった二人の犯行だと判明して映画が終わり、家に帰ってから感想を書こうとして、いろいろと思い出していた時に、「えっ?」と思ったわけで、見終わった直後は、最後の「列車か木っ端みじんになったにもかかわらず、死人どころか重傷者ゼロ」という結果だけで、「ダメだ、こりゃ!」と思っていたけど、もっと根本的な問題だと思う。

とにかくヒドい、と言うしかない。

もう一度思い返して、年末にも再度総括したいので、評価としては、とりあえず「D」にしておきます。


ついでに・・・

最後犯人を捕まえるシーンで、FBIの女性捜査官が、犯人に向かって「FBIよ」と手帳を見せながら拳銃を突き付けるけど・・・

「だから、何だよ」と言うしかない。

FBIが勝手に日本で捜査したり拳銃ぶっ放したりするなよ!

製作者は、これがカッコいい、とでも思ってるのか?

たぶん、カッコいいと思ってるんだろうな。

ああ、ダサ!

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