「本当に何にもないですねえ!」。東京から来た美人編集者が芯から驚いたというように研究室を見回しました。研究室の鍵をもらってから1ヶ月以上立ちますが、何もないです。灰色のスチール机と3連結の大型書棚が1つあるだけです。書棚には実家の書庫にあった仕事に使えそうな本を1箱分だけ。あまり寂しいので追加の1箱と自宅から手提げ袋で少しずつ運びはじめました。ジャンル別にするほど本の数がないので背表紙を眺めていると自分の頭の中をのぞき込んでいるようで面白いです。唐木順三『朴の木』は学生時代に心に突き刺さるものを感じながら読んだ随想集です。いま読んだらどんなかなと思ってしまいます。このまま手提げ袋の搬入だけを続けると書棚が埋まるのに1年はかかりそうです。少ししたら明るい色のポットとコーヒーカップを数個買おうかなと思っています。